Tiny(ちいさな)Lovely(かわいい)Authentic(本物の)Supreme(最高の)上記の頭文字を取った「TLAS(トラス)」をコンセプトとし【納得のいく品質でなければ発売しない】という絶対的なポリシーを貫く蒸留所。
1.概要
地元の清酒メーカー9社の共同出資によって蔵元に日本酒用の原料アルコールを提供する会社として1950年に「山形県醗酵工業株式会社」を発足。
その後、1966年(昭和41年)に「株式会社金龍」と社名を変更し、2020年には創業70年の歴史を誇る酒造メーカー。
「株式会社金龍」は焼酎製造を主としており、約9割が県内で流通しています。
県内の人口減少に伴いマーケットを縮小せざるを得ない状況を打破すべく、世界で戦えるジャパニーズウイスキー製造へと踏み出す。
遊佐町は、山形県の北方、秋田県に隣接する名峰鳥海山の麓の町。
いたるところで美しい湧水群が見られ、1996年には『水の郷百選』(国土交通省)に認定されています。
女性社員を登用し蒸留責任者に任命する等、積極的に若手を採用しながらも、スコットランドの歴史深い伝統を重んじ、フォーサイス社にレクチャーを受けるという、温故知新のバランス感覚に非常に優れた才覚を持つ蒸留所。
2.基本情報
2-1.オーナー
株式会社 金龍
2-2.所在地
〒999-8302
山形県飽海郡遊佐町吉出字 カクジ田20番地
2-3.アクセス
【JR】
JR東日本羽越本線「遊佐駅」下車し徒歩約25分
または車で約5分
2-4.操業開始
2018年(平成30年)
2‐5.主力商品
毎年リリースされ、ハウススタイルでもあるYUZAのシングルモルトシリーズ。
伝統的な製法にバーボン樽由来のまさに定番の一本。
現在のところありません。
3.見学・ビジターセンター
現在見学受け入れは行っておりません。
スタッフの人数が少ない事や、ガイドスタッフに人員を割くよりも今はウイスキー製造に専念したいとの想いから、現在は見学受け入れを行っていません。
公式ホームページでは今後の状況によっては検討し、時期が来たらお知らせすると発表しているので、その時まで首を長くして待ちましょう。
3‐1.周辺グルメ情報
遊佐駅から一駅で行ける吹浦駅に降りれば名物の岩ガキが食べれます。
近くの庄内砂丘のメロンも特産品として有名。
その他海産物はもちろん、山形ラーメンや遊佐カレーも外せません。
3‐2.観光宿泊
実は近くには月光川蒸留所も存在し、どちらもいつか見学の受け入れが始まれば蒸留所見学のはしごも出来るかもしれません。
また遊佐駅から車で約15分の所に日本三大砂丘の一つ、庄内砂丘もありおすすめです。
4.製造スペック
フォーサイス社に設置とレクチャーを依頼し、ポットスチルは佐々木社長曰く、初留器はマッカラン。
再留器はグレンドロナックを参考にしたと語っています。
粉砕の比率はオーソドックスな2:7:1(ハスク:グリッツ:フラワー)
生産量 | 11万リットル |
仕込み水 | 浄化した鳥海山伏流水(硬度46の軟水) |
仕込み量 |
ワンバッチ1トン(年間約300回仕込み) 使用麦芽 英国産ロリエット種 |
モルトミル | イギリス製ローラーミル |
糖化槽 | フォーサイス社製ステンレスセミロイタータン1基(約5000リットル) |
麦汁量 | 4900リットル |
使用酵母 |
ピナクル社製ドライイースト(発酵時間、約96時間) |
発酵槽 | 日本木槽木管製カナダ産ダグラスファー5基(約7400リットル) |
ポットスチル | 初留 フォーサイス社製ストレート型1基5000リットル 再留 フォーサイス社製バルジ型3400リットル 初留、再留共にスチーム加熱 両方とも下向きのアーム |
冷却装置 | 初留再留共にシェル&チューブ(冷却水に井戸水を使用) |
ボトリング設備 | 有り |
熟成庫 | ダンネージ式4段二棟。現在、約2700樽熟成中 |
その他 |
樽詰め度数63.5% |
5.熟成環境について
10数ヵ所の候補地の中から検討に検討を重ねて、2年の歳月を費やし、最高品質のウイスキー造りに適した土地として見出された場所。
熟成庫の下には地下水が流れており地面にカビ防止の為に石灰をまいているそう。
年間の温度差が40°Cもあり、最低が-5℃ で、最高が36℃。
使用樽はアメリカンホワイトオークを基本としシェリー、ミズナラ、ワイン樽等を使用しています。
6.蒸留所ストーリー
6-1.歴史
1950年 (昭和25年) |
山形県酒田市に日本酒メーカー9社が出資し山形県醗酵工業が発足。 焼酎「爽」を製造販売。 |
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1966年 (昭和41年) |
金龍に社名変更。 |
1993年 (平成5年) |
本社を現在地に移転。 |
2017年 (平成29年) |
ウイスキー蒸留所計画を発表、蒸留所建設に着手。 |
2018年 (平成30年) |
ウイスキー製造免許を取得、遊佐蒸溜所竣工。蒸留開始。 |
2022年 (令和4年) |
初製品シングルモルトジャパニーズウイスキー「YUZA First edition 2022」発売。 朝日町ワインとのコラボレーションウイスキー「YUZA 朝日町ワイン樽熟成」 「YUZA Second edition 2022」発売。 |
2023年 (令和5年) |
「YUZA medium peated 2023」 「YUZA Sherry Cask Finish 2023」 「YUZA 2023」発売。 |
2024年 (令和6年) |
「YUZA スプリング イン ジャパン 2024」 「YUZA 2024」発売。 |
6-2.歴代のブレンダー
ウイスキー蒸留の経験値が0から始まったという遊佐蒸溜所のスタッフですが、操業開始直後には計3名が秩父蒸溜所と安積蒸溜所へ研修に行っています。
蒸留責任者 齋藤美帆
1994年(平成6年)酒田市生まれ。飛島出身。
山形大学農学部に進学、植物遺伝学の研究室へ。
お酒が好きが高じて金龍の工場見学をした際、ラインが動いているのを見たのを機に入社を決めたそう。