真夏に“煙”を求める理由「ピーテッドウイスキー」という選択肢

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真夏に“煙”を求める理由【ピーテッドウイスキー】という選択肢

東京では既に30度に迫る日もあるほどにもう真夏は目と鼻の先だ。
夏といえばビアガーデンで飲む冷たいビールや爽やかなレモンサワー、炭酸の効いたハイボール。

そんな季節に、あえてスモーキーなピーテッドウイスキーを選ぶ人がいる。

蒸し暑い夜に、バーで飲むあの独特な「煙の香り」が恋しくなるのだ。

ピートの香りは、どこか“涼しい”感覚を呼び起こす

ピーテッドウイスキーとは、スコットランドのアイラ島などで使われる泥炭(ピート)を燃やして麦芽を乾燥させたウイスキーのこと。特徴的なスモーキーさが魅力で、焚き火や潮風のような香りをまとっている。

ともすれば「薬品の香り」と敬遠する方もいれば、この香りこそウイスキーの持つ魅力と熱狂する人もいる。

個性的な香りだが、実は夏の夜と相性がいい。
暑さに疲れた体に、キリッと冷やしたピーテッドウイスキーを一杯。口に含んだ瞬間、煙の香りが立ちのぼり、どこか“涼”を感じさせてくれる。

 ハイボールで楽しむ「夏のピーテッドウイスキー」

ピーテッド=クセが強い……という印象を持つ人も多いが、飲み方を工夫すれば夏にもぴったり。

真夏の暑い日のおすすめは、やはりハイボール。
炭酸で割ることでスモーキーな香りは、ふわりと広がり、重さは感じない。アルコールの量を少なくしても香りが立つのも特徴だ。

たとえば「カリラ」や「アードベッグ」のハイボールは、どこか潮風を思わせるような香り。
真夏にゴクゴクと飲みたくなるようなある種の”爽やかさ”を感じる。

自宅で試すなら、グラスをしっかり冷やしておくのもポイント。最近は氷の解けづらい真空断熱タンブラーなどもオススメ。
しっかりと冷やして作った場合には、ピートの香りがよりクリアに、飲み口もシャープに、さらにドライに仕上がる。

バーで楽しむ「静かな一杯」にも

夏はにぎやかな飲み物が多いけれど、たまにはゆっくりとひとり、バーで飲みたくなる日もある。
そんな時にもぴったりなのが、ピーテッドウイスキー。
ハイボールでは食事とも合わせ、語らいのそばに寄り添う。
けれどロックやストレートは、静かなバーでひとり、どこか昔に憧れた情景と思いながらグラスを傾ける。

夏にこそ飲みたいピーテッドウイスキー 3選

厚岸 大暑

夏の一番暑い時期を指す、「二十四節季シリーズ」のブレンデッドウイスキー。
ピンクグレープフルーツのような果実感とスモーキーな味わい、厚岸特有の塩味とスパイシーさも相まって伴って素晴らしいハイボールに。

嘉之助2023年リミテッドエディション

嘉之助の2023年の限定製品、いぶりがっこや塩キャラメルのようなコクのある甘みとスモーキーなニュアンスが味わい深い1杯、ロックやストレートで。

SAB. NIGHT BLACK

スモーキーを極める、三郎丸蒸留所の通年製品。価格も手ごろで、ブレンデッドながらもしっかりとした三郎丸らしい、焚火のようなスモーク感が楽しめる。

この記事を書いた人
Ryuhei Oishi

北海道出身 bar新海虎ノ門店のバーテンダー。
都内のレストランで従事し、日本ソムリエ協会認定ソムリエ資格を取得。
土地それぞれの風土から様々な味わいが作り出される日本のウイスキーに興味を持ち、bar新海に就職。蒸留所へ行き、造り手の方々に話を聞き、その情熱・情報をバーテンダーとして伝搬するべく、JWDに参加。

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