12/6に行われた三郎丸蒸留所の東京イベントの内容を簡単にご紹介。
そして蒸溜所のブレンデッドウイスキーの新ブランドとなるSAB.の情報も併せて紹介します。
1.東京イベントレポート
1-1.はじめに
今回のイベントはメディア、関係者、ウイスキーファンの方々(抽選)を3部制で実施。
リフォーク大手町にて開催されました。
若鶴酒造代表取締役社長 稲垣貴彦氏の挨拶からスタート。
最近の蒸留所のTOPICSについて3点。
- 過去のに発売された三郎丸55年(定価55万円)が現在台湾にて907万円にて発売されている。
- 日本一駅から近い蒸溜所として売り出し、現在世界一なのではないかと思いギネス申請中。映画『駒田蒸留所へようこそ』なども影響し、蒸溜所の来場者数は前年比+5,000名
- 創業以来こだわっているピートはアイラ&ハイランドの2種類を使用している。
1-2.ジャパニーズウイスキーの課題とアクション
稲垣氏の考える現在のジャパニーズウイスキーの課題は大きく分けて3つ、
2.「グローバルな視点」での展開戦略、長期戦略
3.熟成ノウハウの不足と販路開拓、蒸溜所が増加する中での樽や麦芽の高騰、「ジャパニーズウイスキーの基準」の海外への情報発信不足
があげれらます。
- 国内外プレーヤーの増加による市場の飽和
についての蒸溜所の対策としては、蒸溜所の独自性を持つこと、また、グローバルに勝負するブランドを構築することとし、
現在世界で販売量の大半を占めるブレンデッドウイスキーへの挑戦・スモーキーブランドの確立・グローバルを意識したボトル、ネーミング・環境に配慮したウイスキー造り等があげられ
そこで今回、三郎丸蒸溜所の新製品としてSAB.の発売が発表されました。
製品詳細はページ下部にて紹介させていただきます。
2.「グローバルな視点」での展開戦略、長期戦略
に関しては、持続可能なウイスキーづくりを掲げ、
再生カレットを使用したエコグリーン瓶の導入、プレヒートタンクを使用したCO2削減、ZEMONの蒸溜効率によるCO2削減が成功事例として挙げられました。プレヒートタンクとZEMONに関しては蒸留所のコスト削減にもつながる施策でもあるそうです。
3.熟成ノウハウの不足と販路開拓、蒸溜所が増加する中での樽や麦芽の高騰、「ジャパニーズウイスキーの基準」の海外への情報発信不足
に対しての対策は、ウイスキー産業の基盤を支える事業が必要になるということが挙げられ、
・ジャパニーズウイスキーボトラーズ産業「T&T TOYAMA」にて
新規蒸溜所へは原酒を購入することでキャッシュフローを生み出し、製造やマーケティングのコンサルも行っているそうで、現在10ヶ所ほどの原酒を貯蔵しており、来年にはそのリリースが行われる予定
・新事業「RE:COOPERAGE」にて
現在参入する蒸溜所は数多くあれど、2018年から比べ、バーボン樽の価格は約4倍ほど。新規蒸溜所においては樽と麦芽の原料費用が90%以上を占めており、蒸溜所における大きな費用の一つ。
そこで樽を「リペア、リメイク、リチャー」をすべて行う日本初の再生型樽木桶再生事業を発足し、ウイスキー産業を支える存在として、日本初の「再生型樽木桶再生事業」を立ち上げ。また、特許取得のバレルロールなども加え、樽の再利用を打ち出しています。
そのほかには三郎丸蒸溜所にて
まもなく出来上がるブレンダー室とワークショップ設備の紹介、ハンドフィルでのバリンチ体験
大きなニュースとして、地場大麦の使用と、フロアモルティングの導入などが挙げられました。
フロアモルティングに関しては11月から4月の寒い時期にしか行えないそうで、今後はそれらを使用したものも製品化するそうです。
3.新製品「SUB.」
この度、三郎丸蒸留所からあらたなブレンデッドウイスキー「SAB.」をリリースいたします。
日本だから、うまれた。富山だから、つくれた。
富⼭の壮麗な⼭々と、その恵みである清冽な⽔。
そこに訪れる美しい四季の移り変わりと、
⼈々の暮らしが育んできたものづくりの⽂化。
雄⼤な⾃然と⽔の循環が、
繊細な季節の変化と⼈の⼿仕事が、
⽇本でしか、富⼭でしか⽣まれない
ウイスキーを育みました。富⼭県砺波平野という地域に根ざし世界に挑む三郎丸蒸留所がつくる、
⽇本の美意識と富⼭の⾵⼟を宿した
ブレンデッドウイスキー「サブ」。
ここ富⼭から、世界へと届けます。
3-1.SAB. SUNSET RED
発売日 | 2024年12月12日 |
内容量 | 200ml、700ml |
価格 | 1,254円(税込)、3,498円(税込) |
アルコール分 | 46% |
原材料 | モルト、グレーン |
砺波の散居村、山々の間に沈んでいく夕日。見渡す限りの水田に映り込み、赤に染まっていく美しい風景をイメージ。
香り:潮気、落ち着いたウッディ、オレンジ、灰、仄かなワックス、キャラメル、全体を包み込むスモーキーさ。
味:滑らかで、ふくよかで丸みのある甘み、キャラメル、スモーク、赤いリンゴ。ブレンデッドとしてはボディが十分にあり、飲み応えがある。後味はウッディさと丸みのある甘みが続く。
立ち位置としてはサンシャインプレミアムの後継といえる。コンセプトにスモーキーの入門からこだわりのユーザまで広く対応できる、甘く丸みのあるブレンデッド
3-2.SAB. NIGHT BLACK
発売日 | 2024年12月12日 |
内容量 | 700ml |
価格 | 5,940円(税込) |
アルコール分 | 46% |
原材料 | モルト、グレーン |
夜空に月と星が輝くのと対照的に、山と木々が影絵のように黒く静かに佇む情景をイメージ。
香り:落ち着いた香り立ち、燃えさしの木の様なスモーク、爽やかなウッディさ、黒胡椒のヒント。
味:滑らかで柔らかな口当たり、苦味、わずかな黒胡椒、舌を覆う灰、全体を引き締めるしっかりとしたウッディさ、土っぽさのあるピート。穏やかにスパイシーでしっかりスモーキー。
十年明や玉兎の後継といえ、コンセプトはより奥深く、複雑さを持ったスモーキーさが光る「ピートを極める」を体現したブレンデッド。
3-3.SAB. OCEAN BLUE 【数量限定】
発売日 | 2025年夏発売予定 |
内容量 | 700ml |
価格 | 9,900円(税込)予定 |
アルコール分 | 46% |
原材料 | モルト、グレーン |
香り:力強いピート、灰、リンゴ飴、みりん干し、仄かな蜂蜜、スモークウッド、微かに山椒、火の消えたろうそくのワックス
味:丸み狩りスムース、舌を覆う灰としっかりした酸味、力強いピート、ハチミツをかけたリンゴ、しっかりとしたウッディさとピートの暖かさが残る。
立ち位置としては最近ファイナルが発売されたブレンデッドTHE SUNの後継。三郎丸の特徴である力強いスモークとフルーティな魅力が際立つ三郎丸最高峰のブレンデッド。
4.三郎丸蒸留所について
三郎丸蒸留所
所在地 | 〒939-1308 富山県砺波市三郎丸208 |
操業開始 | 1953年(2016年改修) |
1952年創業の北陸で唯一の蒸留所。
戦後の米不足のなか1952年にウイスキー製造免許を取得。以来、冬は日本酒を仕込みそれ以外の期間ウイスキーを蒸留。年間200仕込み。今後は300仕込みを計画中。
操業当初からスモーキーなウイスキーにこだわりアイラピーテッド麦芽と最近では富山県産ピーテッド麦芽で仕込んでいます。 自然の風味を生かすため、冷却濾過や着色は一切していないのが特徴です。
2018年、三宅製作所の最新のマッシュタンを導入。
2019年、地元企業の老子(おいご)製作所と協業して鋳造製のポッドスチル「ZEMON(ゼモン)」を開発。
2020年、木桶の発酵槽を1基導入。
他の蒸留所との大きな違いは世界初の鋳造製のポッドスチル「ZEMON(ゼモン)」を採用。
大きな特徴は3つ。
①鋳物工法により型による成形が可能になり短納期での製造が可能。また、低コストで十分な肉厚をもたせることができ、本体の高寿命化を期待できます。
②鋳造による自由な造形により様々な酒質を実現。また、パーツごとのユニット化により消耗した部品のみの交換や機能の拡張に対応します。
③銅が約90%、錫が約8%含まれる銅錫合金によりつくられています。錫は銅の約3倍の価格で取引される高級な金属です。
錫は古来より酒の味をまろやかにするといわれており、酒器や焼酎の冷却器に用いられてきました。ZEMONは銅と錫の2つの効果により高品質な蒸留酒の製造に貢献します。
それ以外にも年々設備の投資を行っており、三郎丸蒸留所再始動後の蒸溜の歩みを簡単に年表でご覧ください。
年度 | 麦芽 | マッシュタン | 酵母 | 発酵槽 | スチル | その他設備等 |
2016以前 | ハイランドピート | 半世紀前糖化漕 | エールのみ | ホーロー | 旧 | |
2017 | エール+ウイスキー | 旧改造 | ||||
2018 | 三宅製作所 | |||||
2019 | ZEMON | |||||
2020 |
ハイランドピート |
ホーロー 木桶 |
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2021 | 成熟エール +ウイスキー |
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2022 | ホーロー 木桶×2 |
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2023 | 三宅製作所三番麦汁 | プレス酵母+エール+ウイスキー | ||||
2024 | ブレンダー室完成予定 | |||||
2025 | バリンチ・ブレンダー体験フロアモルティング設備導入予定 |
引用:若鶴酒造公式HP
三郎丸蒸留所の情報はこちら↓もご覧ください。