【レビュー】イチローズモルト&グレーン 505

ウィスキーレビュー
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秩父蒸溜所(イチローズモルト)

イチローズモルト&グレーン505(ワールドブレンデッド)は当初は新型コロナウイルスにより苦境にあるBARや居酒屋など飲食店を応援することを目的とした「飲食店専用ボトル」としてリリースされました。業界にとってはとても嬉しい限りですね。当初505は一般販売はされない予定でした。しかし今年に入ってからか在庫が捌けない酒屋さんなどでは一般販売しているところが出てきた様子です。

ワールドブレンデッドとはスコットランド、アイルランド、アメリカ、カナダ、日本の「世界五大ウイスキー」がブレンドされたものです。現行品として定価3,500円(税込3,850円)の「ホワイトラベル」と9,000円(税込9,900円)の「リミテッドエディション(ブルーラベル)」があり、今回この「505(シルバーラベル)」が新しくラインナップ。限定品ではなく通年商品としてのリリースとなるようです。2021年3月で終売となりました。

秩父の環境で熟成を深めた世界五大ウイスキーのワールドブレンデット。 アルコール度数高めのイチローズモルト原酒の使用比率を高めたスペシャルブレンドです 。ホワイトラベルよりモルト原酒の使用率が高い為、より強く原酒の香りや味わいが感じられます。
「505」の由来はアルコール度数50.5%から取ったものでありますが、505がSOSに見える、、、などとも言われているようです。

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1.メーカー

株式会社ベンチャーウイスキー

設立2004年
本社所在地〒368-0067 埼玉県秩父市みどりが丘49
所有蒸留所秩父蒸溜所、秩父第二蒸溜所

2.蒸留所

ベンチャーウイスキー秩父蒸溜所

所在地〒368-0067 埼玉県秩父市みどりが丘49
操業開始2007年

秩父の風土に根ざしたシングルモルトウイスキー造りが行われています。
創業者の肥土伊知郎氏はジャパニーズウイスキーであることに誇りを持ち、小さなミル、マッシュタン、ミズナラ製の発酵槽、スコットランド・フォーサイス社製のポットスチルで手づくりに拘りモルトウイスキーを生産しています。

秩父蒸溜所周辺は自然豊かで空気がきれいで質の良い水、夏は高温多湿で朝晩が氷点下にいたる寒さの厳しい環境です。その厳しい気候が織りなす寒暖差がウイスキーの熟成に多大な影響を与え、短い熟成期間にも関わらずフルーティでバランスの取れたウイスキーに仕上がります。

2004年9月創業。
2007年に秩父蒸溜所が完成。
2008年2月、ウイスキー作りの免許が交付され秩父蒸溜所でウイスキー作りを開始。
2019年10月、第2蒸留所の稼働開始。

1973年設立のサントリー白州蒸溜所・キリン富士御殿場蒸溜所の次に設立された蒸留所。まさにウイスキー低迷期の終焉とも言えるこの時期に実に日本国内35年ぶりの蒸留所設立となる。
年間のウイスキー生産量はスコットランド・グレンリベット蒸留所のわずか2日分。

2019年秋から稼働している第2蒸留所の生産量は第1蒸留所のなんと5倍。一度に仕込む麦芽は2t。ポットスチルは5倍の量を蒸留できるよう形は同じストレート型だがかなり大きなポットスチルになっている。フォーサイス社製でガス直火蒸留機を使用。

秩父蒸溜所の情報はこちら↓もご覧ください。

秩父蒸溜所(イチローズモルト) | ジャパニーズウイスキーディ...
Japanese Whisky Dictionary

3.商品名と写真

イチローズモルト&グレーン 505 ワールドブレンデッド
Ichiro’s Malt&Grain 505

4.特徴

モルト感強めのワールドブレンデッドウイスキー
505はイチローズモルトらしいジンジャーのようなスパイシーさとお香(かすかに白檀のような)のようなオリエンタルな香り、50.5%のアルコール感はあるもののビター&スイートでオレンジやバナナのようなフルーツの甘味がふんわりときて、はちみつような濃厚に溶けていく感じはとてもバランスが取れていて美味しいです。
現行のホワイトラベルよりもモルト比率を上げている為、しっかりとモルト感も味わうことができるウイスキーです。ほのかにシェリー感もあって飲みごたえある一本です。

本品は、原酒そのままの個性を楽しんでいただくために、ノンチルフィルター※1、ナチュラルカラーでボトリング。

※1ノンチルフィルター:樽で熟成したウイスキー原酒は、温度が低くなると溶け込んでいる香味成分が析出※2し白濁してきてしまいます。通常のウイスキーはこれを防ぐために、原酒や製品を敢えて約0~5度まで冷却して濾過してしまいます。冷えると析出してくる成分には麦芽由来のものと樽由来のものがあり、どちらもウイスキーの持つ味わい成分と考えられています。冷却濾過をしていないということは麦芽や樽の香味成分そのままで瓶詰されているということで、より複雑で豊かな味わいのウイスキーに仕上がっていると言えます。

※2析出:液状の物質から結晶または個体状成分が分離して出てくること。

4-1.テイスティングノート

香りスパイシーな香りから甘いバニラを伴う樽香、次第にチョコレートのような甘い香りに変化
味わいスパイシー、ミント、ビターな甘さの中に塩っぽさとしっかりとしたモルト感
余韻スムースでビター、ほんのりシェリー感を漂わせる余韻

4-2.商品スペック

アルコール度数50.5%
酒別ブレンデッド
樽種非公開
内容量700ml
販売本数
希望小売価格8,250円(税込)
発売日2020年6月26日

5.受賞歴

現時点では受賞歴はありません。

6.価格

6-1.メーカー希望小売価格

商品名イチローズモルト&グレーン 505 ワールドブレンデッド
容量700ml
希望小売価格7,500円(税込:8,250円)

6-2.メルカリでの転売価格

メルカリでの転売価格は、12,000円前後となっています。(※2021/2/24時点)

6-3.ヤフーオークション落札価格

ヤフーオークションでの落札価格は、最安8,000円、最高160,000円、平均23,486円(※2021/2/24時点より過去120日間の統計情報) 
最高の160,000円は12本セットでの販売でした。複数本まとめての出品が多いようです。

6-4.楽天、ヤフーショッピング、Amazon

通販サイトでも、14,000円前後で販売されています。(※2021/2/24時点)

6-5.BAR新海での提供価格

当サイトが運営する「BAR新海」では、1杯、45ml:2,640円30ml:1,760円、15ml:880円などの少量でも提供しております。

「BAR新海」のご案内
Japanese Whisky Dictionaryが運営する「BAR新海」は、東京都港区に3店舗。当サイトで紹介しているジャパニーズウィスキーをはじめ、国産のジンやビールなども取扱い。オリジナルカクテル、フレッシュフルーツカクテルなども人気。食事も豊富で1件目からも利用可能。

7.まとめ

イチローズモルト&グレーン505はボトルを開けた瞬間から甘い香りが漂います。口当たりはまろやかで甘い樽香が特長。
少し加水するとより滑らかになり、フルーツ系の甘い香りが強調されてきます。味わいもバニラの甘さというよりか、フルーツの爽やかな酸味と甘みが表に出てきて最後にはうっすらとシェリー感もあり複雑さを感じ取れるウイスキーです。
ソーダで割ると香り・味わい共に更に甘さが強調されて飲みやすくなるので、アルコール感が苦手な方は是非ハイボールで。

イチローズモルトのリーフシリーズ全体に言えることですが、「超入手困難」なウイスキーで、ネットでは定価の2~3倍のプレ値で出品されています。この505も例外ではなく中々定価で見ることはないウイスキーですが、発売当初は30,000円くらいでネットで流通してました。価格的には少し落ち着いてきたのかなと思いますが、今現在それでも12,000円~14,000円と定価の2倍近い価格で流通しています。イチローズモルトの宿命とでも言いましょうか、なんとも言えない思いです。

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最後に:ジャパニーズウイスキーのおすすめ書籍

世界的なトレンドを巻き起こしている「ジャパニーズウイスキー」の事をもっと知りたい、もっと勉強したいという方は、是非こちらの書籍をおすすめいたします。

(1).Whisky Galore(ウイスキーガロア)Vol.42 2024年2月号

【巻頭特集】ウイスキーの聖地 アイラ島の“現在”を読み解く
アイラ島のウイスキーは、昔から「アイラモルト」という独自のカテゴリーを与えられてきた。現在9ヵ所の蒸留所があり、さらに2つの新蒸留所計画が発表されている、この小さな島を改めて紹介。
また、現在入手可能なウイスキー8種を土屋編集長が飲み比べる。
●掲載蒸留所
ボウモア、アードベッグ、ラガヴーリン、ラフロイグ、カリラ、ブナハーブン、ブルックラディ、キルホーマン、アードナッホー

【第2特集】北アイルランドのウイスキー
世界の五大ウイスキーのなかで、いまもっとも伸びているのがアイリッシュ。ブームを牽引する北アイルランドの最新情報をリポート。
●紹介ウイスキー
ブッシュミルズ、エクリンヴィル、グレンズ・オブ・アントリム、ヒンチ、キルオーウェン、マコーネルズ、ショートクロス、タイタニック・ディスティラーズ、トゥー・スタックス

【蒸留所リポート】
2023年に100周年を迎えたジャパニーズウイスキー。その第一歩が踏み出され、昨年リニューアルしたばかりのサントリー山崎蒸溜所を取材。そのほか月光川蒸留所や、個性的なツアーを行っている八郷蒸溜所&安積蒸溜所も紹介。

【インタビュー】
ワイルドターキーのマスターディスティラーであるエディー・ラッセル氏と、その息子ブルース・ラッセル氏を編集長がインタビュー。またフィンランドで自国ライ麦にこだわったウイスキーを造るキュロ蒸留所のミイカ氏にも話を聞いた。

【特集】
ウイスキーフェスティバル2023 in TOKYO、ウイスキーコニサークラブ新潟蒸留所ツアー、下田ウイスキーフェスリポート。

(2).ビジネスに効く教養としてのジャパニーズウイスキー

世界的にも有名なウイスキー評論家で、ウイスキー文化研究所代表 土屋守先生の著書「ビジネスに効く教養としてのジャパニーズウイスキー」です。
ウイスキーの基礎知識、日本へのウイスキーの伝来、ジャパニーズウイスキーの誕生、広告戦略とジャパニーズウイスキーの盛隆、そして、現在のクラフト蒸留所の勃興まで。日本のウイスキーの事が非常にわかりやすくまとめられた一冊。

(3).ウイスキーと私(竹鶴政孝)

日本でのウイスキー醸造に人生を捧げた、ニッカウヰスキー創業者・竹鶴政孝。ただひたすらにウイスキーを愛した男が自らを語った自伝の改訂復刻版。若き日、単身スコットランドに留学し、幾多の苦難を乗り越えてジャパニーズ・ウイスキーを完成させるまでの日々や、伴侶となるリタのことなどが鮮やかに描かれる。

(4).新世代蒸留所からの挑戦状

2019年発売。世界に空前のウイスキーブームが到来しているいま、クラフト蒸留所の経営者たちは何を考え、どんな想いでウイスキー造りに挑んだのか。日本でクラフト蒸留所が誕生するきっかけを作った、イチローズ・モルトで有名なベンチャーウイスキーの肥土伊知郎氏をはじめとする、13人のクラフト蒸留所の経営者たちが世界に挑む姿を綴った1冊。

(5).ウイスキーライジング

2016年にアメリカで出版された『Whisky Risng』の日本語版であり、内容も大幅にアップデート。ジャパニーズ・ウイスキーの歴史が詳細に記述されているだけでなく、近年、創設がつづくクラフト蒸溜所を含む、日本の全蒸溜所に関するデータも掲載。そのほかにも、今まで発売された伝説的なボトルの解説や、ジャパニーズ・ウイスキーが飲めるバーなども掲載されています。

(6).ウイスキーと風の味

1969年にニッカウヰスキーに入社した、三代目マスターブレンダーの佐藤茂夫氏の著書。
『ピュアモルト』『ブラックニッカクリア』『フロム・ザ・バレル』の生みの親でもあり、なかでも『シングルモルト余市1987』はウイスキーの国際的コンペティションWWA(ワールド・ウイスキー・アワード)にて「ワールド・ベスト・シングルモルト」を受賞。
竹鶴政孝竹鶴威の意志を引き継いだブレンダー界のレジェンドが語る今昔。

この記事を書いた人
深瀬 悠二

北海道札幌市出身。
2005年、大手スポーツ用品販売チェーンに就職→2019年1月、BAR新海に就職しウイスキーの魅力に引き込まれ虜となる。初めて飲んだウイスキーはアードベッグ10年。ほぼ毎日ウイスキーを飲む中で更なる知識習得を目指し、ウイスキー検定2級とJC級(ジャパニーズクラフトウイスキー)を取得。
造り手の想いをしっかりと表現し、飲み手の方々に正しい情報を伝えたい。ウイスキーの魅力をたくさんの方に伝えたいという思いでウェブメディア「Japanese Whisky Dictionary」の編集を担当。

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