昭和50~60年頃「北のチェリー、東の東亜、西のマルス」と称され地ウイスキーブームの一翼を担い「チェリーウイスキー」で有名な笹の川酒造。
2004年当時、東亜酒造の社長を務めていた肥土伊知郎氏より、東亜酒造の経営不振を理由に羽生蒸留所に貯蔵されていたウイスキーを笹の川酒造にて預かることに。これが後の「イチローズモルト」として発売されることとなります。
2004年と言えばウイスキー需要低迷時、いわば氷河期。東亜酒造が原酒保管を断っていたらと思うとゾッとしてしまいますね。
その後も現在に至るまで関係は続いているようで、秩父蒸溜所で蒸留された原酒のうち数樽は現在も笹の川酒造で熟成されているようです、、、ということは、今回ブレンデッドモルト表記という事は、、、と色々と想像してしまいますね。
1.メーカー
笹の川酒造株式会社
設立 | 1765年(明和2年) |
本社所在地 | 〒963-0108 福島県郡山市笹川1-178 |
所有蒸留所 | 安積蒸溜所 |
2.蒸留所
所在地 | 福島県郡山市笹川1-178 |
操業開始 | 1946年(旧設備)、 2016年4月(新設備)蒸留再開 |
1765年(明和2年)操業開始
1920年(大正9年)株式会社山口酒造店設立
1932年(昭和7年)山桜酒造合資会社設立
1946年(昭和21年)ウイスキー製造免許取得
1966年(昭和41年)笹の川酒造株式会社設立
1983年(昭和58年)ウイスキーモルト貯蔵庫竣工
1998年(平成10年)山桜酒造と笹の川酒造を合併、笹の川酒造株式会社を存続会社とする
2004年(平成16年)東亜酒造より貯蔵されていたウイスキーを預かる。
2005年(平成17年)ベンチャーウイスキーが企画した「イチローズモルト」を発売。(ボトル裏ラベルの製造者欄は笹の川酒造)
2016年(平成26年)安積蒸溜所が本格稼働。
1710年(宝永7年)に猪苗代湖の南に創業した山桜酒造が1765年に郡山に移転。
この山桜酒造が、戦後のアメリカ軍占領下で国策的に需要の増えたウイスキーの酒造免許を1946年に取得した事がきっかけでした。
戦中戦後の米不足から清酒の醸造が困難を極めたこともあり、戦後の欧米文化の流入がウイスキー造りに取り組む要因ともなりました。
昭和50~60年代、高度経済成長期において「北のチェリー、東の東亜、西のマルス」と呼ばれ、東亜酒造、本坊酒造と共に笹の川酒造の「チェリーウイスキー」も人気を博しました。
しかし、低成長や嗜好の変化もあり不遇の時代を迎えると2003年には東亜も事業撤退を余儀なくされ、羽生の蒸留所にあった原酒樽を笹の川で預かることになります。
これが後に世界的な人気となる「イチローズモルト」が発売される大きな助けとなりました。
戦後より少量ながらウイスキー製造を続け、現在はスコッチタイプとケンタッキーより輸入したモルト使用の2タイプが使われています。
安積蒸溜所は江戸時代から続く日本酒の酒蔵「笹の川酒造」内にあり、2016年10月末に生産設備を整え秩父蒸溜所・肥土伊知郎氏の協力のもと稼働開始。
昔ながらの漆喰の白壁にポットスチルがよく映えます
画像出展:安積蒸溜所公式Facebook
安積蒸溜所の情報はこちら↓もご覧ください。
3.商品名と写真
山桜ブレンデッドモルトジャパニーズウイスキー シェリーウッドリザーブ
Yamazakura Blended Malt Japanese Whisky Sherry Wood Reserve
4.特徴
安積蒸溜所と国内蒸留所のブレンデッドモルト
かねてから弊社が貯蔵熟成していた国産原酒と安積蒸溜所の原酒を厳選しブレンド。
シェリーカスクにて更に約18ヶ月熟成した
ブレンデッドモルトジャパニーズウイスキー
重厚感とシェリー由来の美しい甘さがバランス良く感じられ余韻も長め。
ストレート、ロック、トワイスアップが
おすすめ。ノンチルフィルター、ナチュラルカラー仕上げ。
引用:ラベル背面より
4-1.テイスティングノート
香り | イチゴジャム、香ばしいクッキー、バナナの甘い香り |
味わい | ぶどうの渋み、スパイシー、ウッディでコクがある味わい |
余韻 |
紅茶、タンニンの渋みからシナモンのような甘くもスパイシーな余韻に変化していく |
4-2.商品スペック
アルコール度数 | 50% |
酒別 | ブレンデッドモルトジャパニーズウイスキー |
樽種 | バーボン樽、シェリー樽ほか |
内容量 | 700ml |
販売本数 | 440本限定 |
希望小売価格 | 27,500円(税込) |
発売日 | 2021年11月9日 |
5.受賞歴
WWA2022 ワールドベストブレンデッドモルト
6.価格
6-1.メーカー希望小売価格
商品名 | 山桜ブレンデッドモルトジャパニーズウイスキー シェリーウッドリザーブ |
容量 | 700ml |
希望小売価格 | 税込:27,500円 |
6-2.メルカリでの転売価格
現在メルカリでの出品は無いようです。(※2021/12/20時点)
6-3.ヤフーオークション落札価格
現在ヤフーオークションでの出品は無いようです。 (※2021/12/20時点)
6-4.楽天、ヤフーショッピング、Amazon
通販サイトでは、取り扱いがありません。 (※2021/12/20時点)
6-5.BAR新海での提供価格
当サイトが運営する「BAR新海」では、1杯、45ml:8,910円 30ml:5,940円、15ml:2,970円 などの少量でも提供しております。
7.まとめ
しっかりとした熟成感と追熟したシェリー感がほどよくマッチしています。甘さよりもスパイシー感が前面に出てくるので、強いて言うならシェリー感はやや控えめな感じです。乳酸発酵系のコクも出ているので開栓後、時間が経つともっと良くなるのではという印象です。
■「山桜」に関するその他の記事も是非ご覧ください。
最後に:ジャパニーズウイスキーのおすすめ書籍
世界的なトレンドを巻き起こしている「ジャパニーズウイスキー」の事をもっと知りたい、もっと勉強したいという方は、是非こちらの書籍をおすすめいたします。
(1).Whisky Galore(ウイスキーガロア)Vol.47 2024年12月号
【巻頭特集】
「新アイリッシュ・ルネッサンス[第2弾]」
【第2特集】
「日本のクラフト蒸留所最前線」
今号では北海道の厚岸と苫小牧、そしてクラフト蒸留所に麦芽を供給する中標津のクラフトモルティング社についても紹介します。さらに三島のウォータードラゴンと、ZEMONⅡが稼働する飛騨高山蒸溜所も再訪。
【連続ロングインタビュー】
第3回 ガイアフロー静岡蒸溜所 中村大航氏
【特別リポート】
遊佐蒸溜所の挑戦
第二期リニューアルが完了したサントリー白州蒸溜所
(2).ビジネスに効く教養としてのジャパニーズウイスキー
世界的にも有名なウイスキー評論家で、ウイスキー文化研究所代表 土屋守先生の著書「ビジネスに効く教養としてのジャパニーズウイスキー」です。
ウイスキーの基礎知識、日本へのウイスキーの伝来、ジャパニーズウイスキーの誕生、広告戦略とジャパニーズウイスキーの盛隆、そして、現在のクラフト蒸留所の勃興まで。日本のウイスキーの事が非常にわかりやすくまとめられた一冊。
(3).ウイスキーと私(竹鶴政孝)
日本でのウイスキー醸造に人生を捧げた、ニッカウヰスキー創業者・竹鶴政孝。ただひたすらにウイスキーを愛した男が自らを語った自伝の改訂復刻版。若き日、単身スコットランドに留学し、幾多の苦難を乗り越えてジャパニーズ・ウイスキーを完成させるまでの日々や、伴侶となるリタのことなどが鮮やかに描かれる。
(4).新世代蒸留所からの挑戦状
2019年発売。世界に空前のウイスキーブームが到来しているいま、クラフト蒸留所の経営者たちは何を考え、どんな想いでウイスキー造りに挑んだのか。日本でクラフト蒸留所が誕生するきっかけを作った、イチローズ・モルトで有名なベンチャーウイスキーの肥土伊知郎氏をはじめとする、13人のクラフト蒸留所の経営者たちが世界に挑む姿を綴った1冊。
(5).ウイスキーライジング
2016年にアメリカで出版された『Whisky Risng』の日本語版であり、内容も大幅にアップデート。ジャパニーズ・ウイスキーの歴史が詳細に記述されているだけでなく、近年、創設がつづくクラフト蒸溜所を含む、日本の全蒸溜所に関するデータも掲載。そのほかにも、今まで発売された伝説的なボトルの解説や、ジャパニーズ・ウイスキーが飲めるバーなども掲載されています。
(6).ウイスキーと風の味
1969年にニッカウヰスキーに入社した、三代目マスターブレンダーの佐藤茂夫氏の著書。
『ピュアモルト』『ブラックニッカクリア』『フロム・ザ・バレル』の生みの親でもあり、なかでも『シングルモルト余市1987』はウイスキーの国際的コンペティションWWA(ワールド・ウイスキー・アワード)にて「ワールド・ベスト・シングルモルト」を受賞。
竹鶴政孝、竹鶴威の意志を引き継いだブレンダー界のレジェンドが語る今昔。