【レビュー】シングルモルト三郎丸1 THE MAGICIAN カスクストレングス

ウィスキーレビュー
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三郎丸蒸留所

0から1へ。「ひとつの変化と新たなる一歩、変容、技能、新しい段階」が三郎丸1のキーワード。
2018年、三郎丸蒸留所は半世紀前に自作したマッシュタンを三宅製作所の最新鋭のマッシュタンに入れ替え、新たな一歩を踏み出しました。
ラベルデザインはタロットカード(大アルカナ22枚と小アルカナ56枚で構成)がモチーフになっており、大アルカナ22枚の1番「魔術師(THE MAGICIAN)」を“新たなる一歩を踏みだした”という意味合いで今回のラベルに採用。

このカスクストレングス版は、若鶴酒造オンラインショップ「私と、ALC.」で、会員限定にて抽選販売されたのと、11月29日発売当日の三郎丸蒸留所見学者限定にて販売された限定360本のレアなウイスキーです。

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1.メーカー

若鶴酒造株式会社

設立1862年
本社所在地〒939-1308 富山県砺波市三郎丸208
所有蒸留所三郎丸蒸留所

2.蒸留所

三郎丸蒸留所

所在地〒939-1308 富山県砺波市三郎丸208
操業開始1953年(2016年改修)

1952年創業の北陸で唯一の蒸留所。
戦後の米不足のなか1952年にウイスキー製造免許を取得。以来、冬は日本酒を仕込み夏の間のみウイスキーを蒸留。年間200仕込み。今後は300仕込みを計画中。
操業当初からスモーキーなウイスキーにこだわりアイラピーテッド麦芽と最近では富山県産ピーテッド麦芽で仕込んでいます。 自然の風味を生かすため、冷却濾過や着色は一切していないのが特徴です。

2018年、三宅製作所の最新のマッシュタンを導入。
2019年、地元企業の老子(おいご)製作所と協業して鋳造製のポッドスチル「ZEMON(ゼモン)」を開発。
2020年、木桶の発酵槽を1基導入。

他の蒸留所との大きな違いは世界初の鋳造製のポッドスチル「ZEMON(ゼモン)」を採用。


大きな特徴は3つ。
①鋳物工法により型による成形が可能になり短納期での製造が可能。また、低コストで十分な肉厚をもたせることができ、本体の高寿命化を期待できます。
②鋳造による自由な造形により様々な酒質を実現。また、パーツごとのユニット化により消耗した部品のみの交換や機能の拡張に対応します。
③銅が約90%、錫が約8%含まれる銅錫合金によりつくられています。錫は銅の約3倍の価格で取引される高級な金属です。
錫は古来より酒の味をまろやかにするといわれており、酒器や焼酎の冷却器に用いられてきました。ZEMONは銅と錫の2つの効果により高品質な蒸留酒の製造に貢献します。
引用:若鶴酒造公式HP

三郎丸蒸留所の情報はこちら↓もご覧ください。

三郎丸蒸留所 | ジャパニーズウイスキーディクショナリー
Japanese Whisky Dictionary

3.商品名と写真

シングルモルト三郎丸1 THE MAGICIAN カスクストレングス
Single Malt Saburomaru first The Magician Cask Strength

4.特徴

53PPM、ヘビリーピーテッド
三宅製作所製の新たなマッシュタンでの糖化工程により、雑味が少なくまろやかでスムーズな酒質へと進化。
エール酵母とウイスキー酵母の2つの酵母を使用し、ホーロー発酵を3日間。麦芽はへビリーピーテッド麦芽(53ppm)を使用。
これぞスモーキーと言わんばかりの強いピートと麦芽の香ばしさを残しつつ、フルーツの酸味も表現。輪郭がしっかりした味わい。

カスクストレングス版がアルコール度数63%、通常版がアルコール度数48%ということで、通常版よりもモルトの力強さとコクがしっかりと感じられる1本になっています。

※360本限定販売

4-1.テイスティングノート

香り濃厚なバニラ、水飴、強いピート、焚火、フレッシュフルーツ
味わいバニラの甘さの後から来るアーシーかつ煙たいピート、完熟りんご、乳酸系のまろやかさ
余韻樽香から煙たいスモーキーな余韻に変化

4-2.商品スペック

アルコール度数63%
酒別シングルモルトジャパニーズウイスキー
樽種バーボン樽
内容量700ml
販売本数限定360本
希望小売価格16,500円(税込)
発売日2021年11月29日

5.受賞歴

現時点での受賞歴はありません。

6.価格

6-1.メーカー希望小売価格

商品名シングルモルト三郎丸1 THE MAGICIAN カスクストレングス
容量700ml
希望小売価格16,500円(税込)

6-2.メルカリでの転売価格

現在メルカリでの転売は無いようです。(※2021/12/24時点)

6-3.ヤフーオークション落札価格

現在ヤフーオークションへの出品は無いようです。(※2021/12/24時点)

6-4.楽天、ヤフーショッピング、Amazon

現在通販サイトでの販売は無いようです。(※2021/12/24時点)

6-5.BAR新海での提供価格

当サイトが運営する「BAR新海」では、1杯、45ml:4,950円 30ml:3,300円、15ml:1,650円などの少量でも提供しております。

「BAR新海」のご案内
Japanese Whisky Dictionaryが運営する「BAR新海」は、東京都港区に3店舗。当サイトで紹介しているジャパニーズウィスキーをはじめ、国産のジンやビールなども取扱い。オリジナルカクテル、フレッシュフルーツカクテルなども人気。食事も豊富で1件目からも利用可能。

7.まとめ

2016年にクラウドファンディングを実施し、その資金で2017年に改修工事を行い生まれ変わった三郎丸蒸留所。
それ以降も2018年に新しいマッシュタン導入、2019年に新しいポットスチル導入、2020年に木桶発酵槽導入と、年々グレードアップしています。作られた原酒も年々酒質が良くなっているようなので、期待値は計り知れません。
来年リリースされるであろうシングルモルト三郎丸はどのような味わいに仕上がってくるのか楽しみですね。

その他、三郎丸蒸留所のブレンダー&マネージャーの稲垣氏は「T&T TOYAMA」というボトラーズ事業をシングルモルト通販モルトヤマの下野氏とともに開始。世界初のジャパニーズウイスキーのボトラーズ事業ということで大変注目されております。
蒸留所見学の際にお話しをお伺いしましたが、とても活動的な方でモノ造りへの強い思いを感じる方でした。次はなにを仕掛けてくるのか楽しみです。

「三郎丸蒸留所」に関するその他の記事も是非ご覧ください。

【レビュー】シングルモルト三郎丸1 THE MAGICIAN
エール酵母とウィスキー酵母の2つの酵母を使用し、ホーロー発酵を3日間。麦芽はへビリーピーテッド麦芽(53ppm)を使用。これぞスモーキーと言わんばかりの強いピートと麦芽の香ばしさを残しつつ、フルーツの酸味も表現。輪郭がしっかりした味わい。
【レビュー】三郎丸 玉兔 エディション 2021
1952年創業の北陸で唯一の蒸留所、三郎丸蒸留所。三郎丸蒸留所モルトをキーモルトに幅広い年代から原酒を吟味し平均酒齢が10年以上となるようにブレンド。木工の町井波で製造した焙煎樽熟成のスコッチグレーンやシェリーモルトが織り成す多層な香味が特徴です。
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最後に:ジャパニーズウイスキーのおすすめ書籍

世界的なトレンドを巻き起こしている「ジャパニーズウイスキー」の事をもっと知りたい、もっと勉強したいという方は、是非こちらの書籍をおすすめいたします。

(1).Whisky Galore(ウイスキーガロア)Vol.42 2024年2月号

【巻頭特集】ウイスキーの聖地 アイラ島の“現在”を読み解く
アイラ島のウイスキーは、昔から「アイラモルト」という独自のカテゴリーを与えられてきた。現在9ヵ所の蒸留所があり、さらに2つの新蒸留所計画が発表されている、この小さな島を改めて紹介。
また、現在入手可能なウイスキー8種を土屋編集長が飲み比べる。
●掲載蒸留所
ボウモア、アードベッグ、ラガヴーリン、ラフロイグ、カリラ、ブナハーブン、ブルックラディ、キルホーマン、アードナッホー

【第2特集】北アイルランドのウイスキー
世界の五大ウイスキーのなかで、いまもっとも伸びているのがアイリッシュ。ブームを牽引する北アイルランドの最新情報をリポート。
●紹介ウイスキー
ブッシュミルズ、エクリンヴィル、グレンズ・オブ・アントリム、ヒンチ、キルオーウェン、マコーネルズ、ショートクロス、タイタニック・ディスティラーズ、トゥー・スタックス

【蒸留所リポート】
2023年に100周年を迎えたジャパニーズウイスキー。その第一歩が踏み出され、昨年リニューアルしたばかりのサントリー山崎蒸溜所を取材。そのほか月光川蒸留所や、個性的なツアーを行っている八郷蒸溜所&安積蒸溜所も紹介。

【インタビュー】
ワイルドターキーのマスターディスティラーであるエディー・ラッセル氏と、その息子ブルース・ラッセル氏を編集長がインタビュー。またフィンランドで自国ライ麦にこだわったウイスキーを造るキュロ蒸留所のミイカ氏にも話を聞いた。

【特集】
ウイスキーフェスティバル2023 in TOKYO、ウイスキーコニサークラブ新潟蒸留所ツアー、下田ウイスキーフェスリポート。

(2).ビジネスに効く教養としてのジャパニーズウイスキー

世界的にも有名なウイスキー評論家で、ウイスキー文化研究所代表 土屋守先生の著書「ビジネスに効く教養としてのジャパニーズウイスキー」です。
ウイスキーの基礎知識、日本へのウイスキーの伝来、ジャパニーズウイスキーの誕生、広告戦略とジャパニーズウイスキーの盛隆、そして、現在のクラフト蒸留所の勃興まで。日本のウイスキーの事が非常にわかりやすくまとめられた一冊。

(3).ウイスキーと私(竹鶴政孝)

日本でのウイスキー醸造に人生を捧げた、ニッカウヰスキー創業者・竹鶴政孝。ただひたすらにウイスキーを愛した男が自らを語った自伝の改訂復刻版。若き日、単身スコットランドに留学し、幾多の苦難を乗り越えてジャパニーズ・ウイスキーを完成させるまでの日々や、伴侶となるリタのことなどが鮮やかに描かれる。

(4).新世代蒸留所からの挑戦状

2019年発売。世界に空前のウイスキーブームが到来しているいま、クラフト蒸留所の経営者たちは何を考え、どんな想いでウイスキー造りに挑んだのか。日本でクラフト蒸留所が誕生するきっかけを作った、イチローズ・モルトで有名なベンチャーウイスキーの肥土伊知郎氏をはじめとする、13人のクラフト蒸留所の経営者たちが世界に挑む姿を綴った1冊。

(5).ウイスキーライジング

2016年にアメリカで出版された『Whisky Risng』の日本語版であり、内容も大幅にアップデート。ジャパニーズ・ウイスキーの歴史が詳細に記述されているだけでなく、近年、創設がつづくクラフト蒸溜所を含む、日本の全蒸溜所に関するデータも掲載。そのほかにも、今まで発売された伝説的なボトルの解説や、ジャパニーズ・ウイスキーが飲めるバーなども掲載されています。

(6).ウイスキーと風の味

1969年にニッカウヰスキーに入社した、三代目マスターブレンダーの佐藤茂夫氏の著書。
『ピュアモルト』『ブラックニッカクリア』『フロム・ザ・バレル』の生みの親でもあり、なかでも『シングルモルト余市1987』はウイスキーの国際的コンペティションWWA(ワールド・ウイスキー・アワード)にて「ワールド・ベスト・シングルモルト」を受賞。
竹鶴政孝竹鶴威の意志を引き継いだブレンダー界のレジェンドが語る今昔。

この記事を書いた人
深瀬 悠二

北海道札幌市出身。
2005年、大手スポーツ用品販売チェーンに就職→2019年1月、BAR新海に就職しウイスキーの魅力に引き込まれ虜となる。初めて飲んだウイスキーはアードベッグ10年。ほぼ毎日ウイスキーを飲む中で更なる知識習得を目指し、ウイスキー検定2級とJC級(ジャパニーズクラフトウイスキー)を取得。
造り手の想いをしっかりと表現し、飲み手の方々に正しい情報を伝えたい。ウイスキーの魅力をたくさんの方に伝えたいという思いでウェブメディア「Japanese Whisky Dictionary」の編集を担当。

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