【レビュー】FAR EAST OF PEAT 5TH BATCH

ウィスキーレビュー
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三郎丸蒸留所

三郎丸蒸留所の原酒交換第3弾となるFAR EAST OF PEAT シリーズの5TH BATCH。

ですが今回は国内蒸留所との原酒交換は行わず、2019年製造の三郎丸へビリーピーテッドモルトに厳選されたスコッチモルトをブレンドした、ブレンデッドモルトウイスキーとしてのリリースです。

今までは2種同時販売でしたが、今回は5TH BATCH 1種での販売で、限定数は7,000本。

2023年3月30日より三郎丸蒸留所見学者限定で販売された他、一般の酒販店にも流通し販売されました。

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1.メーカー

若鶴酒造株式会社

設立1862年
本社所在地〒939-1308 富山県砺波市三郎丸208
所有蒸留所三郎丸蒸留所

2.蒸留所

三郎丸蒸留所

所在地〒939-1308 富山県砺波市三郎丸208
操業開始1953年(2016年改修)

1952年創業の北陸で唯一の蒸留所。
戦後の米不足のなか1952年にウイスキー製造免許を取得。以来、冬は日本酒を仕込み夏の間のみウイスキーを蒸留。年間200仕込み。今後は300仕込みを計画中。
操業当初からスモーキーなウイスキーにこだわりアイラピーテッド麦芽と最近では富山県産ピーテッド麦芽で仕込んでいます。 自然の風味を生かすため、冷却濾過や着色は一切していないのが特徴です。

2018年、三宅製作所の最新のマッシュタンを導入。
2019年、地元企業の老子(おいご)製作所と協業して鋳造製のポッドスチル「ZEMON(ゼモン)」を開発。
2020年、木桶の発酵槽を1基導入。

他の蒸留所との大きな違いは世界初の鋳造製のポッドスチル「ZEMON(ゼモン)」を採用。


大きな特徴は3つ。
①鋳物工法により型による成形が可能になり短納期での製造が可能。また、低コストで十分な肉厚をもたせることができ、本体の高寿命化を期待できます。
②鋳造による自由な造形により様々な酒質を実現。また、パーツごとのユニット化により消耗した部品のみの交換や機能の拡張に対応します。
③銅が約90%、錫が約8%含まれる銅錫合金によりつくられています。錫は銅の約3倍の価格で取引される高級な金属です。
錫は古来より酒の味をまろやかにするといわれており、酒器や焼酎の冷却器に用いられてきました。ZEMONは銅と錫の2つの効果により高品質な蒸留酒の製造に貢献します。
引用:若鶴酒造公式HP

三郎丸蒸留所の情報はこちら↓もご覧ください。

三郎丸蒸留所 | ジャパニーズウイスキーディクショナリー
Japanese Whisky Dictionary

3.商品名と写真

FAR EAST OF PEAT 5TH BATCH

FAR EAST OF PEAT 5TH BATCH

4.特徴

鋳造製ポットスチル「ZEMON」にて蒸留された2019年製造の三郎丸へビリーピーテッドモルトに厳選されたスコッチモルトをブレンド。モルト原酒のみを用い、三郎丸蒸留所の力強くスモーキーな魅力を主役にバランスの取れた心地よい飲み口を目指しました。

引用:FAR EAST OF PEAT 5TH BATCH Blended Malt Whisky

4-1.テイスティングノート

香り穏やかなピート香、レーズンや蜂蜜を思わせる甘い香り。
味わい控えめな甘さと塩味、苦みが織りなす複雑な味わい。ややオイリー。
余韻鼻へ抜けるピート香と長く続く苦みを伴う余韻。

4-2.商品スペック

アルコール度数50%
酒別ブレンデッドモルトウイスキー
樽種
内容量700ml
販売本数限定7,000本
希望小売価格7,260円(税込)
発売日2023年3月30日

5.受賞歴

現時点では受賞歴はありません。

6.価格

     

6-1.メーカー希望小売価格

商品名

FAR EAST OF PEAT 5TH BATCH 
内容量700ml 
希望小売価格7,260円(税込) 

6-2.メルカリでの転売価格

メルカリでの転売価格は、7,200円~10,999円となっています。(※2023年5月9日時点)

6-3.ヤフーオークション落札価格

ヤフーオークションでの落札価格は、最安4,500円、最高8,350円、平均6,174円となっています。(※2023年5月9日時点)

6-4.楽天、ヤフーショッピング、Amazon

通販サイトでも10,800円~19,800円前後で販売されています。(※2023年5月9日時点)

6-5.BAR新海での提供価格

当サイトが運営する「BAR新海」では、5TH BATCHは1杯、45ml:2,310円 、30ml:1,540円、15ml:770円にて提供しております。

「BAR新海」のご案内
Japanese Whisky Dictionaryが運営する「BAR新海」は、東京都港区に3店舗。当サイトで紹介しているジャパニーズウィスキーをはじめ、国産のジンやビールなども取扱い。オリジナルカクテル、フレッシュフルーツカクテルなども人気。食事も豊富で1件目からも利用可能。

7.まとめ

三郎丸蒸留所のFAR EAST OF PEAT シリーズの5TH BATCH。今回は原酒交換ではなく三郎丸のヘビリーピーテッドモルトに厳選されたスコッチモルトをブレンド、という内容となりましたが非常にバランスのとれた飲みやすい逸品に仕上がっていると感じます。

蒸留器「ZEMON」にて蒸溜した2019年製造のヘビリーピーテッドモルトを使用してるとあって、その味わいの方向性は同じく「ZEMON」製2019年原酒を使用する「三郎丸Ⅱ」に近しいものを感じました。

スコッチモルトをブレンドしている為か「三郎丸Ⅱ」程のピート香の主張は激しくないものの様々な要素の調和が素晴らしく、甘みや塩味、苦みにピート香といった要素が複雑に絡まりあい、様々な表情を楽しむことが出来ます。

ストレートでは三郎丸らしいピート香はやや控えめに感じられ、全体の調和を織りなす要素のひとつとしての印象が強いですが、加水することでピート香、スモーク香といった三郎丸らしさが前面に出てきてまた違った表情を楽しめます。

FAR EAST OF PEAT シリーズの前弾であるTHIRD BATCH、FOURTH BATCH と比較するとそれほど強い個性は感じないものの、三郎丸原酒の強烈なピート香をスコッチモルトが優しく包み込み、とても柔らかで穏やかな味わいとなりピート、スモークといった強烈な要素を楽しみつつも飲み疲れることのない、ゆっくりと長い時間を掛けて楽しめる逸品だと感じました。

今回の5TH BATCHは今までの原酒交換の枠から外れたものの、三郎丸原酒の新たな可能性を我々に示してくれたのではないでしょうか。

果たしてシリーズ次弾は再度原酒交換の道へ戻るのかそれとも…?

どのような内容であってもきっとまた我々に感動と驚きを与えてくれる「FAR EAST OF PEAT」シリーズ、今後の動向に期待していきたいですね。

■三郎丸蒸留所に関するその他の記事も是非ご覧ください。

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最後に:ジャパニーズウイスキーのおすすめ書籍

世界的なトレンドを巻き起こしている「ジャパニーズウイスキー」の事をもっと知りたい、もっと勉強したいという方は、是非こちらの書籍をおすすめいたします。

(1).Whisky Galore(ウイスキーガロア)Vol.42 2024年2月号

【巻頭特集】ウイスキーの聖地 アイラ島の“現在”を読み解く
アイラ島のウイスキーは、昔から「アイラモルト」という独自のカテゴリーを与えられてきた。現在9ヵ所の蒸留所があり、さらに2つの新蒸留所計画が発表されている、この小さな島を改めて紹介。
また、現在入手可能なウイスキー8種を土屋編集長が飲み比べる。
●掲載蒸留所
ボウモア、アードベッグ、ラガヴーリン、ラフロイグ、カリラ、ブナハーブン、ブルックラディ、キルホーマン、アードナッホー

【第2特集】北アイルランドのウイスキー
世界の五大ウイスキーのなかで、いまもっとも伸びているのがアイリッシュ。ブームを牽引する北アイルランドの最新情報をリポート。
●紹介ウイスキー
ブッシュミルズ、エクリンヴィル、グレンズ・オブ・アントリム、ヒンチ、キルオーウェン、マコーネルズ、ショートクロス、タイタニック・ディスティラーズ、トゥー・スタックス

【蒸留所リポート】
2023年に100周年を迎えたジャパニーズウイスキー。その第一歩が踏み出され、昨年リニューアルしたばかりのサントリー山崎蒸溜所を取材。そのほか月光川蒸留所や、個性的なツアーを行っている八郷蒸溜所&安積蒸溜所も紹介。

【インタビュー】
ワイルドターキーのマスターディスティラーであるエディー・ラッセル氏と、その息子ブルース・ラッセル氏を編集長がインタビュー。またフィンランドで自国ライ麦にこだわったウイスキーを造るキュロ蒸留所のミイカ氏にも話を聞いた。

【特集】
ウイスキーフェスティバル2023 in TOKYO、ウイスキーコニサークラブ新潟蒸留所ツアー、下田ウイスキーフェスリポート。

(2).ビジネスに効く教養としてのジャパニーズウイスキー

世界的にも有名なウイスキー評論家で、ウイスキー文化研究所代表 土屋守先生の著書「ビジネスに効く教養としてのジャパニーズウイスキー」です。
ウイスキーの基礎知識、日本へのウイスキーの伝来、ジャパニーズウイスキーの誕生、広告戦略とジャパニーズウイスキーの盛隆、そして、現在のクラフト蒸留所の勃興まで。日本のウイスキーの事が非常にわかりやすくまとめられた一冊。

(3).ウイスキーと私(竹鶴政孝)

日本でのウイスキー醸造に人生を捧げた、ニッカウヰスキー創業者・竹鶴政孝。ただひたすらにウイスキーを愛した男が自らを語った自伝の改訂復刻版。若き日、単身スコットランドに留学し、幾多の苦難を乗り越えてジャパニーズ・ウイスキーを完成させるまでの日々や、伴侶となるリタのことなどが鮮やかに描かれる。

(4).新世代蒸留所からの挑戦状

2019年発売。世界に空前のウイスキーブームが到来しているいま、クラフト蒸留所の経営者たちは何を考え、どんな想いでウイスキー造りに挑んだのか。日本でクラフト蒸留所が誕生するきっかけを作った、イチローズ・モルトで有名なベンチャーウイスキーの肥土伊知郎氏をはじめとする、13人のクラフト蒸留所の経営者たちが世界に挑む姿を綴った1冊。

(5).ウイスキーライジング

2016年にアメリカで出版された『Whisky Risng』の日本語版であり、内容も大幅にアップデート。ジャパニーズ・ウイスキーの歴史が詳細に記述されているだけでなく、近年、創設がつづくクラフト蒸溜所を含む、日本の全蒸溜所に関するデータも掲載。そのほかにも、今まで発売された伝説的なボトルの解説や、ジャパニーズ・ウイスキーが飲めるバーなども掲載されています。

(6).ウイスキーと風の味

1969年にニッカウヰスキーに入社した、三代目マスターブレンダーの佐藤茂夫氏の著書。
『ピュアモルト』『ブラックニッカクリア』『フロム・ザ・バレル』の生みの親でもあり、なかでも『シングルモルト余市1987』はウイスキーの国際的コンペティションWWA(ワールド・ウイスキー・アワード)にて「ワールド・ベスト・シングルモルト」を受賞。
竹鶴政孝竹鶴威の意志を引き継いだブレンダー界のレジェンドが語る今昔。

この記事を書いた人
櫻井 和人

茨城県つくば市出身
嗜好品をこよなく愛し、クラフトジンの多様性に感動した勢いのまま30歳にしてバーテンダーへの道へと進む。
バーテンダーとして日々を重ねる中でBAR新海を訪れ、多種多様なジャパニーズクラフトウイスキーに触れより深く勉強をしたいとBAR新海へと入社。
最上の嗜好品に触れる楽しさをより多くの方に感じて貰えるよう、現場でもウェブでも全力投球の日々を送る。

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