安積蒸溜所(笹の川酒造)|蒸留所詳細情報

ウィスキー蒸留所
ウィスキー蒸留所
安積蒸溜所

「北のチェリー、東の東亜、西のマルス」の北のチェリーが一度は生産を中止するも、創業250周年を記念して2015年に再開。
イチローズモルトの原酒を守り、ジャパニーズクラフトの未来も守った安積の風が吹く蒸留所。

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1.概要

1710年(宝永7年)に猪苗代湖の南に創業した山桜酒造が1765年に福島県郡山市に移転。
銘酒「笹の川」で知られる東北最古の地ウイスキー蒸留所。
安積という場所は万葉集に登場ほどに古くからある場所で、昔は「安尺」と書いて「あさか」と呼ばれていました。
1765年の創業以来、清酒造りを行ってきましたが、戦後のアメリカ軍占領下で国策的に需要の増えたウイスキーの酒造免許を1946年に取得した事がきっかけでした。
戦中戦後の米不足から清酒の醸造が困難を極めたことや、戦後の欧米文化の流入がウイスキー造りに取り組む後押しにもなります。
昭和50~60年代、高度経済成長期において「北のチェリー、東の東亜、西のマルス」と呼ばれ、東亜酒造、本坊酒造と共に笹の川酒造の「チェリーウイスキー」も人気を博しました。
しかし、ウイスキーの人気が低迷し冬の時代を迎えると2003年には東亜酒造が事業撤退を余儀なくされ、羽生蒸溜所にあった原酒樽を笹の川酒造が預かることになります。
これが後に世界的な人気となり、オークションで約1億円で落札されるなどの伝説となった「イチローズモルト」が発売される大きな助けとなりました。
この縁から安積蒸溜所の設計プランには肥土伊知郎氏のノウハウが色濃く反映されています。
現在、一仕込み400㎏と極小規模ながらスコッチタイプとケンタッキーより輸入したモルト使用の2タイプが使われています。

2.基本情報

2-1.オーナー

笹の川酒造

2-2.所在地

〒963-0108
福島県郡山市笹川1-178

2-3.アクセス

【JR】
安積永盛駅から徒歩約15分
【車】
郡山南ICから15分

2-4.操業開始

1946年開始
2016年再開

2‐5.主力商品

世界のソムリエ、醸造家、ワインジャーナリスト、シェフなど、全て審査員が女性の専門家が厳正なブラインド審査を行う「フェミナリーズ世界ワインコンクール」やTWSCでの受賞も記憶に新しい『YAMAZAKURAワールドブレンデッド 安積蒸溜所&4』は特におすすめ。
積蒸溜所原酒をキーモルトとし、世界5大産地の原酒を使用したワールドブレンデッドウイスキー。
安積蒸溜所の熟成庫内の1万リットル収容マリッジタンク(アメリカンオーク)にて熟成。
メープルシロップを思わせる甘い香りクリーンで優しいハーブ香が心地よく、スムースに口中に広がる厚みのあるモルトの味わいや香ばしさとともに、スパイシーな味わいも感じられ、モルト由来の甘みとやわらかな樽感とほのかに感じるピーティーな余韻をお愉しみいただけます。

YAMAZAKURAワールドブレンデッド 安積蒸溜所&4の受賞歴
◆フェミナリーズ世界ワインコンクール2024
日本産蒸留酒部門 金賞
クー・ド・クール審査員特別賞
◆東京ウイスキー&スピリッツコンペティション(TWSC)2024
金賞(ワールドブレンデッドウイスキー/ブレンデッド部門)
ベストカテゴリー賞(ワールドウイスキー部門)
ベスト・コストパフォーマンス賞(ワールドブレンデッドウイスキー部門)

3.見学・ビジターセンター

※見学可(先着5名) 要事前予約

【無料コース】
毎週水曜日13:30~14:30(祝日を除く/12月は繁忙期のため休止)
内容
①蒸溜所見学
②ショップでのお買い物(ゲストルームには立ち寄りませんので注意が必要です。)

>工場見学「無料コース」申し込みフォーム|笹の川酒造公式ウェブサ...
創業明和2年(西暦1765年)。東北初の蔵元ホームページを開設した「笹の川酒造」です。福島県郡山市笹川において日本酒、清酒、合成酒、甲類焼酎、乙類焼酎、地ウイスキー、スピッツ、リキュールなどを製造している会社です。

【プレミアムコース(有料)】
毎月第2金曜日13:30~15:30(祝日の場合は第3金曜日/12月は繁忙期のため休止)
料金11,000円(税込み)
内容
①ゲストルームへの招待あり
②蒸溜所見学
③セパレーター体験
④ハンドフィル(自分だけのオリジナルブレンドのウイスキーが作れる)
⑤試飲(貴重なウイスキー多数有)
⑥ショップでのお買い物(16:00閉店)

>工場見学「プレミアムコース(有料)」申し込みフォーム|笹の川酒...
創業明和2年(西暦1765年)。東北初の蔵元ホームページを開設した「笹の川酒造」です。福島県郡山市笹川において日本酒、清酒、合成酒、甲類焼酎、乙類焼酎、地ウイスキー、スピッツ、リキュールなどを製造している会社です。

どちらのコースも一週間前から予約可能。
しかし、先着予約かつ2024年度は予約を早々に締め切ったという盛況ぶり。
ぜひ、早めのご予約をおすすめします。

3‐1.周辺グルメ情報

大正末期頃に屋台で売られていた支那そばがルーツとされる喜多方ラーメンは福島が発祥。
安積永盛駅から歩いて12分ほどの日本調理技術専門学校に隣接する「食」のプラットフォーム
THE RESTAURANT」は元KIHACHI総料理長鈴木眞雄シェフをエグゼクティブシェフに迎えお昼はカフェ、ディナーは季節ごとの色とりどりのコース料理が楽しめる複合型レストラン。
イベントも豊富に行われており、腕利きのゲストシェフが手掛けたコース料理が楽しめるので何度も足を運びたくなります。
時には安積蒸溜所のウイスキーを使ったコラボデザートも食べられるようですので、行く前には要チェック。
その他、酪王カフェオレやクリームボックスもおすすめ。

3‐2.観光宿泊

安積永盛駅から電車で約30分のところに郡山市があるので福島観光の拠点にオススメ。

4.製造スペック

元は笹の川酒造内のお酒の保管蔵である、3番蔵を改装したのが安積蒸溜所。
安積蒸溜所のポットスチルは高さ3mと国内最小で、モロミと銅の接触面積が大きい。
このポットスチルの大きさには実は理由があり、初溜釜の大きさは秩父蒸溜所第一蒸溜所のものと同じサイズになっています。
肥土氏が技術指導するにあたり、自社のものより大きなものについては責任をもって伝えられない、と述べられた為、秩父第一蒸溜所のものと同じサイズとなっているのです。
蒸留器のある場所をはじめ、安積蒸溜所では多くのものが木造になっています。
理由は、建物の中を回る際に足場となる作業台をステンレスで作ってしまうと動かせませんが、木造であれば移動や取り付けが簡単にでき、解体して再度必要な形式に組み立て直すこともできるためとのことです。
蒸溜所内の配管にも工夫が施され、全て地元業者の特注品。
配管周りで緊急時や問題発生時に、近隣の工場で素早くメンテナンス、時には自分たちでホームセンター等で修理出来るようにしているそうです。

生産量 4万3000リットル
仕込み水 磐梯山系の伏流水(軟水)
仕込み量 400㎏
モルトミル ビューラー社製ローラーミル
糖化槽 三宅製作所製ステンレス・セミロイタータン
麦汁量 2000リットル
使用酵母 ウイスキー用ドライ酵母を2㎏使用
発酵槽 日本木槽木管製ダグラスファー5基/3000リットル(発酵時間90~120時間)
ポットスチル 初留
三宅製作所社製ストレート型1基/2000リットル
再留
三宅製作所社製ストレート型1基/1000リットル

加熱方式
初留、再留共にスチーム加熱(6時間/ミドルカット75%~66%平均71%)
加熱時間
初留 約7時間 再留 約6時間

冷却装置 初留再留共にシェル&チューブ
ボトリング設備 有り
熟成庫 第1熟成庫 固定ラック式 約1000樽
第2熟成庫 移動ラック式 約600樽
その他 樽詰め度数63.5%

5.熟成環境について

安積蒸溜所は郡山盆地にあり、1日の間、1年の間で気温の変化が大きく、磐梯山から吹き下ろす強風にもさらされるまさに風のウイスキーです。
1年間のエンジェルスシェアは約4~5%。
第1貯蔵庫は密閉性が低く、隙間風が吹くそうです。
夏は庫内上段は40-50℃程度にまで気温が上がります。
第1貯蔵庫内は奥まった所はウイスキーに樽の色が付きにくく、ラックの上層や入り口付近は熟成が早いそうです。
逆に第2熟成庫は、ひんやりと涼しく断熱材が施されており、外気より15℃ほど低く保たれ、夏場でも25℃は超える事はありません。
樽の種類は約8割がバーボン樽との事。

6.蒸留所ストーリー

6-1.歴史

1710年
(宝永7年)
福島県猪苗代湖の南湖畔、舟津に山口家の酒札が記録される
1765年
(明和2年)
山口家が郡山で酒造り、販売を開始。笹の川酒造の設立年
1920年
(大正9年)
山口酒造店、設立
1932年
(昭和7年)
山桜酒造設立。清酒「笹の川」製造販売
1946年
(昭和21年)
ウイスキー製造免許を取得
1957年
(昭和32年)
工場を移転
1966年
(昭和41年)
笹の川酒造を設立
1982年
(昭和57年)
この頃、地ウイスキーブームで笹の川の「チェリーウィスキー」が人気を博す
「チェリーウィスキーVVX」発売
1983年
(昭和58年)
ウイスキー貯蔵庫落成
1989年
(平成元年)
ウイスキー製造を休止
1998年
(平成10年)
山桜酒造と笹の川酒造が合併、笹の川酒造を存続会社とする
2003年
(平成15年)
東亜酒造(羽生蒸留所)の原酒、樽の保管を引受ける
乙類焼酎用にポットスチルを導入
2005年
(平成17年)
イチローズモルトの初期製造を行う(販売:ベンチャーウイスキー)。
2007年
(平成19年)
2基目の焼酎ポットスチルを増設
2014年
(平成26年)
笹の川酒造の貯蔵ウイスキーを「YAMAZAKURA」ブランドでリリース
2015年
(平成27年)
創業250周年を記念しウイスキーの蒸留事業を再開
2016年
(平成28年)
安積蒸溜所が生産開始。福島屋商店との提携でウイスキー樽のオーナー募集
2017年
(平成29年)
「安積蒸溜所山桜ニューボーン」発売
2019年
(令和元年)
日本酒用のホーロー発酵槽を木製発酵槽に切り替え
初の3年熟成「山桜シングルモルト安積ザ・ファースト」発売
2020年
(令和2年)
フェノール値50ppmのヘビリーピーテッド麦芽を使用した「安積ザ・ファーストピーテッド」「ピュアモルト山桜(リミテッドエディション 桜カスクフィニッシュ)」発売
2021年
(令和3年)
第2熟成庫を竣工「YAMAZAKURAブレンデッドモルト安積 シェリーウッドリザーブ」発売
2022年
(令和4年)

「安積2017 5年 ダブルバレル 秩父ウイスキー祭2022記念ボトル」「YAMAZAKURAシングルモルト安積2022 EDITION」
「ピュアモルトYAMAZAKURAモルトセレクション2022」「シングルモルト安積カベルネ・ソーヴィニヨンカスクリザーブ」「ブレンデッドウイスキー山桜 プレシャス」「ブレンデッドウイスキー山桜 スモーキーエディション」
ふくしまものまっぷ「BEAMS JAPAN 山桜 ピュアモルト 」「同 ブレンデッド ウイスキー 山桜 プレシャス」「同 山桜 シングルカスク ウイスキー安積 DAIDAI EDITION 〜橙〜」発売

2023年
(令和5年)
「YAMAZAKURA 安積蒸溜所&4」「YAMAZAKURA 安積 卯ラベル 干支ボトル」「金谷ホテル 150周記念オリジナルウイスキー 安積蒸溜所」
「安積シングルカスク リカマンウイスキーメッセ2023限定」
「YAMAZAKURAシングルモルト安積2023 EDITION」
LOTTE とのコラボレーションYOIYOチョコレート第12弾
安積シングルモルト原酒を使用した「YAMAZAKURAシングルモルト安積 YOIYOエディション」発売
2024年
(令和6年)
「YAMAZAKURA シングルモルト安積 2024 エディション」「YAMAZAKURA シングルカスク安積 2019 5年 for Whisky Festival 2024 in Osaka」発売
2025年
(令和7年)
「金谷ホテルオリジナルウイスキー」(第2弾)発売

6-2.製造部

ウイスキー課 黒羽祥平氏

7.その他の蒸留所一覧

日本のウイスキー蒸留所一覧(2024年5月更新・全106ヶ所)
2024年5月更新、最新のジャパニーズウィスキー蒸留所一覧、山崎蒸留所、白州蒸留所、余市蒸留所、宮城峡蒸留所、クラフト蒸留所の秩父蒸留所、厚岸蒸留所、ガイアフロー静岡蒸留所、マルス信州蒸留所、マルス津貫蒸留所、三郎丸蒸留所、安積蒸留所など全103ヵ所を一覧で総まとめ!
この記事を書いた人
万代 竜一

福岡県福岡市出身
福岡にある中洲のBARで14年間修行後、俳優業での活動の拡大も兼ねて2018年上京。俳優佐藤二朗氏作の舞台にて東京初舞台を踏む。特技はギターとビール好きが高じてビール銘柄をブラインドで当てられる事。
最初はウイスキーを飲み慣れておらず苦手だったものの、深く知るにつれて作っている人達の想いが強い事に感銘を受けて、作り手の方達を知ってもらえる一助になれば、と思いJWDに参加。現在はウイスキーが大好き。
今年、念願の本多劇場に進出。

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