ウイスキー輸出金額に関する統計(2025年)

統計情報
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2025年の酒類輸出金額は約1,495億円
(前年比111.7%)
、なんと過去最高額を更新。

ウイスキーの輸出金額は約490億円(前年比112.2%)となり、過去最高の2022年(560億)、第2位の2023年(500億)に次ぎ、第3位の輸出金額となった。

1.2025年度 酒類品目別輸出金額

出展:財務省ウェブサイト

品目 輸出金額(百万円)

前年比(%)

ウイスキー 48,979 +12.8%
清酒 45,879 +5.6%
ビール 26,265 +24.8%
リキュール 14,471 +2.0%
ジン・ウォッカ 4,750 +21.4%
焼酎 1,960 +13.9%
ワイン 603 ▲6.2%
その他 6,571 +28.6%
合計 149,477 +11.8%

品目別ではウイスキーが全体の輸出金額の32.7%。(前年度32.6%)

ワイン以外の酒類がすべて伸長しており、特にビール、蒸溜酒が大きく伸長している。

2.2025年度 酒類輸出先上位10か国(国別)金額

順位 昨年順位

輸出金額(百万円)

前年比(%)

1位 2位↑ 中国 29,230 +19.4%
2位 1位↓ アメリカ 27,700 +4.7%
3位 3位→ 韓国 19,384 +14.4%
4位 4位→ 台湾 17,414 +9.2%
5位 7位↑ シンガポール 9,999 +28.9%
6位 5位↓ 香港 9,295 ▲9.9%
7位 6位↓ オランダ 7,476 ▲3.9%
8位 8位→ オーストラリア 5,897 +34.9%
9位 9位→ フランス 4,876 +31.4%
10位 圏外↑ カナダ 2,871 +22.6%

 

農林水産省コメント
○ 2025年の輸出金額は1,495億円(対前年比+11.8%)となり、過去最高額を更新。
○ほぼすべての品目で前年比増となったほか、ビール、リキュールについては品目別でも過去最高額を更新。単月ベースでは、2024年8月から17か月連続で前年同月比増を達成
シンガポール向けが認知度の向上による需要の高まり等により増加。

3.考察とまとめ

2025年は世界的に経済活動が再活発化し、インバウンド回復、飲食店の稼働率向上が進んだ年でした。
これにより高価格帯酒類の海外需要が戻り、ウイスキー輸出も回復基調に転じたことが考えられます。

 中国市場は波があります。
2024年は中国向け輸出が大きく落ち込みました。
しかし2025年には回復傾向に転換。これは中国国内での消費回復や富裕層の購買意欲回復が一因と考えられます。ただし香港向けは減少するなど、地域差のある回復が見られます。

 ウイスキー市場の競争環境としては、世界的にウイスキーの消費は伸び悩む地域もあり、特にスコッチやバーボンなど他国産ウイスキーとの競争は激化しています。
スコッチウイスキーの輸出減少例などからも分かるように、グローバル市場は依然として熾烈な競争が行われています。

日本のウイスキーは、品質とブランド力が強く求められるカテゴリーです。
そのため、今後も世界で競争力を保つためには、マーケティングや認知度向上の取り組みをさらに強化していく必要があります。

近年は、「ジャパニーズウイスキーとは何か」を明確にする動きも進んできました。
製品の自主基準や表示ルールが整備され、2026年春頃からは、日本洋酒酒造組合が定めるロゴマークが店頭で使用される予定です。
これにより、一定の基準を満たした製品であることが一目で分かるようになります。

さらに、日本洋酒酒造組合は「ジャパニーズウイスキー(JW)」の地理的表示(GI)について、2026年早期に国税庁へ登録申請を行う方針を示しています。
GIが認められれば、法律の面からも「日本で造られたウイスキー」であることが守られることになります。

こうした取り組みは、単なるルール作りではありません。
海外のプレミアム市場では、「なぜこの価格なのか」「本当に日本で造られているのか」といった信頼が非常に重要です。基準やGIの整備は、その信頼を裏付ける土台となります。

4.国内のウイスキー動向

2026年現在、日本では約100に迫る蒸溜所が稼働しており、今も新設計画が続いています。中には第2・第3蒸溜所を計画するクラフト蒸溜所もあり、日本のウイスキー産業は依然として拡大傾向にあります。

供給量も増え、以前のような品薄状態は徐々に緩和されつつあります。転売目的ではなく純粋に楽しみたい愛好家にとっては、国産ウイスキーが手に取りやすい環境になってきました。

蒸溜所の増加により、スタイルや熟成方法、土地の個性を活かした多様なウイスキーが生まれています。地域に根差した蒸溜所は観光資源としても機能し、地方活性化にも貢献しています。

一方で、新規参入のハードルは決して低くありません。原酒の確保、設備投資、ブランドづくり、流通網の構築など、多くの課題があります。

市場は過熱期を経て、いまは調整局面に入りつつあります。
投機的な需要や一時的なブームで押し上げられた価格や流通量は、徐々に実際の需要に近い水準へと落ち着いていく段階に入るのではないでしょうか。

しかし、過熱期に高価格帯ウイスキーを体験した消費者は確実に存在します。
この層は品質や熟成期間はもちろん、ストーリー性を重視する傾向があり、今後の市場を支える存在になるでしょう。

これからは蒸溜所間の差もより明確になると考えられます。

  • 品質設計やブランド構築、ファンづくりを戦略的に進めてきた蒸溜所

  • 需要拡大を優先してきた蒸溜所

中長期的には、価格の維持力やリピート率といった面で差が出てくる可能性があります。

しかし、新規参入や短期的な話題性、限定商法のみでは、需要が安定化した局面で価値を維持することは困難になるかもしれません。
今後は、長期熟成ストックの使用、品質の一貫性、ブランドストーリー、そして国内外での基盤を確保できる蒸溜所が、安定的な売上とブランド価値の維持を実現していく構造へと移行していくと考えられます。

ウイスキー市場が成熟する中で求められるのは、「売れている蒸溜所」から「選ばれ続ける蒸溜所」への転換です。

本JWDでは、こうした新規蒸溜所の製品紹介やレビューを通じて、皆様が新たなお気に入りの蒸溜所と出会い、購入を検討する際の一助となれば幸いです。

 

ここからは筆者の今後の展望としてはありますが、、、

「世界とのウイスキー姉妹都市構想」
地域と地域がウイスキーを軸に結ばれる取り組みは、日本のウイスキーが次の段階へ進むうえで、一つの鍵になるのではないでしょうか。

自治体レベルでの正式な承認にはかなりの時間を要するとは思われます。
しかしその前段階として、民間主導での実績づくりは十分に可能ではないでしょうか?

原酒や樽の交換といった産業交流、年1回のウイスキーフェスティバルの相互開催、若手技術者の研修制度など、具体的な取り組みを積み重ねることで関係性を深めていく。

進化したジャパニーズウイスキーの次の段階として、スコッチの世界的産地と、日本の産地が対等に結ばれる未来も決して遠い話ではないのではないでしょうか?

蒸溜所単体の競争から、産地同士が響き合う時代へ。その積み重ねこそが、日本のウイスキーをさらに国際的なステージへと押し上げていくことも期待できます。

最後に:ジャパニーズウイスキーのおすすめ書籍

世界的なトレンドを巻き起こしている「ジャパニーズウイスキー」の事をもっと知りたい、もっと勉強したいという方は、是非こちらの書籍をおすすめいたします。

(1).Whisky Galore(ウイスキーガロア)Vol.54 2026年2月号

巻頭は「スコッチ蒸留所名鑑」第4弾としてサントリーグローバルスピリッツの7蒸留所を大特集!

[特集]
◆日本のクラフト蒸留所最前線
火の神蒸溜所/マルス津貫蒸溜所/嘉之助蒸溜所
◆沖縄泡盛紀行
八重泉酒造/忠孝酒造/沖縄県酒造協同組合
◆世界でもっとも急成長を遂げるインドの「インドリ」ウイスキー
◆北アイルランドのウイスキー その特徴と10ブランドを紹介

[ブランド解説]
◆「ザ・ニッカ リミテッド」 次の100周年へ向かうニッカの“現在地”を表現

[イベントリポート]
◆初開催! ジャパニーズクラフトウイスキーフェスタ2025
◆Whisky Festival 2025 in Tokyo

(2).ビジネスに効く教養としてのジャパニーズウイスキー

世界的にも有名なウイスキー評論家で、ウイスキー文化研究所代表 土屋守先生の著書「ビジネスに効く教養としてのジャパニーズウイスキー」です。
ウイスキーの基礎知識、日本へのウイスキーの伝来、ジャパニーズウイスキーの誕生、広告戦略とジャパニーズウイスキーの盛隆、そして、現在のクラフト蒸留所の勃興まで。日本のウイスキーの事が非常にわかりやすくまとめられた一冊。

(3).ウイスキーと私(竹鶴政孝)

日本でのウイスキー醸造に人生を捧げた、ニッカウヰスキー創業者・竹鶴政孝。ただひたすらにウイスキーを愛した男が自らを語った自伝の改訂復刻版。若き日、単身スコットランドに留学し、幾多の苦難を乗り越えてジャパニーズ・ウイスキーを完成させるまでの日々や、伴侶となるリタのことなどが鮮やかに描かれる。

(4).新世代蒸留所からの挑戦状

2019年発売。世界に空前のウイスキーブームが到来しているいま、クラフト蒸留所の経営者たちは何を考え、どんな想いでウイスキー造りに挑んだのか。日本でクラフト蒸留所が誕生するきっかけを作った、イチローズ・モルトで有名なベンチャーウイスキーの肥土伊知郎氏をはじめとする、13人のクラフト蒸留所の経営者たちが世界に挑む姿を綴った1冊。

(5).ウイスキーライジング

2016年にアメリカで出版された『Whisky Risng』の日本語版であり、内容も大幅にアップデート。ジャパニーズ・ウイスキーの歴史が詳細に記述されているだけでなく、近年、創設がつづくクラフト蒸溜所を含む、日本の全蒸溜所に関するデータも掲載。そのほかにも、今まで発売された伝説的なボトルの解説や、ジャパニーズ・ウイスキーが飲めるバーなども掲載されています。

(6).ウイスキーと風の味

1969年にニッカウヰスキーに入社した、三代目マスターブレンダーの佐藤茂夫氏の著書。
『ピュアモルト』『ブラックニッカクリア』『フロム・ザ・バレル』の生みの親でもあり、なかでも『シングルモルト余市1987』はウイスキーの国際的コンペティションWWA(ワールド・ウイスキー・アワード)にて「ワールド・ベスト・シングルモルト」を受賞。
竹鶴政孝竹鶴威の意志を引き継いだブレンダー界のレジェンドが語る今昔。

この記事を書いた人
大石 竜平

北海道出身 bar新海虎ノ門店のバーテンダー。
都内のレストランで従事し、日本ソムリエ協会認定ソムリエ資格を取得。
土地それぞれの風土から様々な味わいが作り出される日本のウイスキーに興味を持ち、bar新海に就職。蒸留所へ行き、造り手の方々に話を聞き、その情熱・情報をバーテンダーとして伝搬するべく、JWDに参加。

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