【レビュー】嘉之助ニューボーン2019

ウィスキーレビュー
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嘉之助蒸溜所

小正醸造の創業は明治16年ととても歴史ある焼酎メーカーで、樽熟成米焼酎「メローコヅル」が代表銘柄です。焼酎メーカーではありながら、樽熟成での焼酎開発を実施していたノウハウがウイスキー造りにも活かされているようです。
2018年に操業を開始した嘉之助蒸溜所のニューボーンシリーズ第二弾。「嘉之助」の命名は1957年、メローコヅルの生みの親である2代目の小正嘉之助氏からきています。
嘉之助ニューボーン2019WWA(ワールド・ウイスキー・アワード)2020にて「ベストジャパニーズニューメイク」を受賞。
いまや、国内はもちろんですが海外でも注目されている蒸留所になっています。

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1.メーカー

小正醸造株式会社

設立1883年(明治16年)
本社所在地〒899-3101 鹿児島県日置市日吉町日置3309
所有蒸留所嘉之助蒸溜所

2.蒸留所

嘉之助蒸溜所

所在地〒899-2421 鹿児島県日置市日吉町神之川845-3
操業開始2018年

嘉之助蒸溜所は鹿児島県の西岸、吹上浜沿いの約9,000㎡の敷地に建っています。
コの字形で2階建ての本棟には蒸留設備のほかに、眺めのいいBARやオリジナルグッズを販売するショップなどがあります。
蒸留所の大きな特徴はポットスチル(蒸留器)が大・中・小と3基備えてあること。それぞれの容量は6000ℓ・3000ℓ・1600ℓです。
世界的にみてもクラフト・ディスティラリー(小規模蒸留所)は2基が一般的。ウイスキーは通常蒸留は2回行うが、2回目の蒸留(再留)の際にネックの形状や上部のラインアームの角度の異なるポットスチルを使用することで原酒の香りや味わいをより豊かに変化させることができるのです。
蒸留所の建つ吹上浜は”日本三大砂丘”の一つに数えられ、”日本の渚百選”にも選ばれています。砂浜の長さは南北約47kmにも及び海面から強い風が巻き上がり、蒸留所一帯は海からの細かな飛沫で真白な霧に包まれます。夏は暑く冬には0℃近辺まで冷え込んで雪が舞うことも珍しくない寒暖差のある土地柄です。

画像出展:嘉之助蒸溜所公式Facebook

嘉之助蒸溜所の詳細情報は、こちらの記事もご覧ください。

嘉之助蒸溜所 | ジャパニーズウイスキーディクショナリー
Japanese Whisky Dictionary

3.商品名と写真

嘉之助ニューボーン2019
KANOSUKE NEW BORN 2019

4.特徴

バーボン樽で16か月間貯蔵した嘉之助ニューボーン第二弾
原料にはイギリス産ノンピート麦芽を使用。ディスティラリー酵母で発酵をさせた後、初留釜で蒸留、その後、嘉之助蒸溜所が所有している構造の違う2 基の再留釜のうち、ボディのある酒質を造ることができる構造の再留釜で蒸留を行いました。2018年5月に蒸留したウイスキー原酒をバーボンウイスキーが貯蔵されていた樽に貯蔵。潮風が香る嘉之助蒸溜所の貯蔵庫にて16 か月間貯蔵後、カスクストレングスでボトリング。

4-1.テイスティングノート

香りバニラ・潮・ミント・キャラメル
味わいスパイシー・梨・ウッディ・ビター
余韻芳醇で柔らかい味わい・余韻長くつづく

4-2.商品スペック

アルコール度数57%
酒別※ニューボーンウイスキー
樽種バーボン樽
内容量200ml
販売本数非公開
希望小売価格3,520円(税込)
発売日2019年10月下旬

※一般的に世界で流通しているいわゆる「ウイスキー」と言われるものは3年以上熟成されたものを指しますが、ニューボーンとは原酒を樽詰めしてからまだ日が浅い(3年未満)熟成途中の若いウイスキーのこと。

5.受賞歴

2020年 WWA「ベストジャパニーズニューメイク」受賞

6.価格

6-1.メーカー希望小売価格

商品名嘉之助ニューボーン2019
容量200ml
希望小売価格3,200円(税込:3,520円)

6-2.メルカリでの転売価格

メルカリでの転売価格は、1本5,000円前後となっています。(※2021/2/4時点)

6-3.ヤフーオークション落札価格

ヤフーオークションでの落札価格は、最安4,500円、最高4,500円、平均4,500円(※2021/2/3時点より過去120日間の統計情報)

6-4.楽天、ヤフーショッピング、Amazon

通販サイトは嘉之助ニューボーン2019の在庫は見当たりません。嘉之助ニューボーン2020は若干在庫が残っているようです。 (※2021/2/4時点)

6-5.BAR新海での提供価格

当サイトが運営する「BAR新海」では、1杯、45ml:3,960円、30ml:2,640円、15ml:1,320円にて提供しております。

「BAR新海」のご案内
Japanese Whisky Dictionaryが運営する「BAR新海」は、東京都港区に3店舗。当サイトで紹介しているジャパニーズウィスキーをはじめ、国産のジンやビールなども取扱い。オリジナルカクテル、フレッシュフルーツカクテルなども人気。食事も豊富で1件目からも利用可能。

7.まとめ

16ヶ月貯蔵後、カスクストレングスでボトリング。前回のニューボーンから更に進化し芳醇で柔らかな味わいになっています。
どことなく潮っぽい香りから甘い香りに変化していく。味わいも16か月熟成とは思えない落ち着きのあるスパイシーさとビターで柔らかい甘みが余韻に残ります。加水するとバニラの甘さがよりはっきり出てきてまろやかになります。

現在のニューボーンシリーズは200mlのボトルでのリリースですが、いよいよ2021年春には3年熟成のフルボトルがリリースされる予定とのことです。

■嘉之助ニューボーンに関するその他の記事も是非ご覧ください。

【レビュー】嘉之助ニューボーン2020ピーテッド
鹿児島県の小正酒造が運営する嘉之助蒸留所より2020年9月16日発売。嘉之助ニューボーン2020ピーテッド。イギリス産ピーテッド麦芽を使用し蒸留。2018年8月に蒸留したウイスキー原酒ホワイトオーク樽で24ヵ月間熟成させ、カスクストレングスでボトリングした嘉之助ニューボーンの第3弾。
【レビュー】嘉之助ニューボーン2018
ホワイトオーク樽で8ヶ月間貯蔵したカノスケ ニューボーン!2018年2月に蒸溜したウイスキー原酒を樽詰めしてできたシングルモルトニューボーンです。嘉之助蒸溜所の貯蔵庫にて8ヶ月間貯蔵後、カスクストレングスでボトリングし、甘く華やかなニューボーンに仕上げました。
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最後に:ジャパニーズウイスキーのおすすめ書籍

世界的なトレンドを巻き起こしている「ジャパニーズウイスキー」の事をもっと知りたい、もっと勉強したいという方は、是非こちらの書籍をおすすめいたします。

(1).Whisky Galore(ウイスキーガロア)Vol.42 2024年2月号

【巻頭特集】ウイスキーの聖地 アイラ島の“現在”を読み解く
アイラ島のウイスキーは、昔から「アイラモルト」という独自のカテゴリーを与えられてきた。現在9ヵ所の蒸留所があり、さらに2つの新蒸留所計画が発表されている、この小さな島を改めて紹介。
また、現在入手可能なウイスキー8種を土屋編集長が飲み比べる。
●掲載蒸留所
ボウモア、アードベッグ、ラガヴーリン、ラフロイグ、カリラ、ブナハーブン、ブルックラディ、キルホーマン、アードナッホー

【第2特集】北アイルランドのウイスキー
世界の五大ウイスキーのなかで、いまもっとも伸びているのがアイリッシュ。ブームを牽引する北アイルランドの最新情報をリポート。
●紹介ウイスキー
ブッシュミルズ、エクリンヴィル、グレンズ・オブ・アントリム、ヒンチ、キルオーウェン、マコーネルズ、ショートクロス、タイタニック・ディスティラーズ、トゥー・スタックス

【蒸留所リポート】
2023年に100周年を迎えたジャパニーズウイスキー。その第一歩が踏み出され、昨年リニューアルしたばかりのサントリー山崎蒸溜所を取材。そのほか月光川蒸留所や、個性的なツアーを行っている八郷蒸溜所&安積蒸溜所も紹介。

【インタビュー】
ワイルドターキーのマスターディスティラーであるエディー・ラッセル氏と、その息子ブルース・ラッセル氏を編集長がインタビュー。またフィンランドで自国ライ麦にこだわったウイスキーを造るキュロ蒸留所のミイカ氏にも話を聞いた。

【特集】
ウイスキーフェスティバル2023 in TOKYO、ウイスキーコニサークラブ新潟蒸留所ツアー、下田ウイスキーフェスリポート。

(2).ビジネスに効く教養としてのジャパニーズウイスキー

世界的にも有名なウイスキー評論家で、ウイスキー文化研究所代表 土屋守先生の著書「ビジネスに効く教養としてのジャパニーズウイスキー」です。
ウイスキーの基礎知識、日本へのウイスキーの伝来、ジャパニーズウイスキーの誕生、広告戦略とジャパニーズウイスキーの盛隆、そして、現在のクラフト蒸留所の勃興まで。日本のウイスキーの事が非常にわかりやすくまとめられた一冊。

(3).ウイスキーと私(竹鶴政孝)

日本でのウイスキー醸造に人生を捧げた、ニッカウヰスキー創業者・竹鶴政孝。ただひたすらにウイスキーを愛した男が自らを語った自伝の改訂復刻版。若き日、単身スコットランドに留学し、幾多の苦難を乗り越えてジャパニーズ・ウイスキーを完成させるまでの日々や、伴侶となるリタのことなどが鮮やかに描かれる。

(4).新世代蒸留所からの挑戦状

2019年発売。世界に空前のウイスキーブームが到来しているいま、クラフト蒸留所の経営者たちは何を考え、どんな想いでウイスキー造りに挑んだのか。日本でクラフト蒸留所が誕生するきっかけを作った、イチローズ・モルトで有名なベンチャーウイスキーの肥土伊知郎氏をはじめとする、13人のクラフト蒸留所の経営者たちが世界に挑む姿を綴った1冊。

(5).ウイスキーライジング

2016年にアメリカで出版された『Whisky Risng』の日本語版であり、内容も大幅にアップデート。ジャパニーズ・ウイスキーの歴史が詳細に記述されているだけでなく、近年、創設がつづくクラフト蒸溜所を含む、日本の全蒸溜所に関するデータも掲載。そのほかにも、今まで発売された伝説的なボトルの解説や、ジャパニーズ・ウイスキーが飲めるバーなども掲載されています。

(6).ウイスキーと風の味

1969年にニッカウヰスキーに入社した、三代目マスターブレンダーの佐藤茂夫氏の著書。
『ピュアモルト』『ブラックニッカクリア』『フロム・ザ・バレル』の生みの親でもあり、なかでも『シングルモルト余市1987』はウイスキーの国際的コンペティションWWA(ワールド・ウイスキー・アワード)にて「ワールド・ベスト・シングルモルト」を受賞。
竹鶴政孝竹鶴威の意志を引き継いだブレンダー界のレジェンドが語る今昔。

この記事を書いた人
深瀬 悠二

北海道札幌市出身。
2005年、大手スポーツ用品販売チェーンに就職→2019年1月、BAR新海に就職しウイスキーの魅力に引き込まれ虜となる。初めて飲んだウイスキーはアードベッグ10年。ほぼ毎日ウイスキーを飲む中で更なる知識習得を目指し、ウイスキー検定2級とJC級(ジャパニーズクラフトウイスキー)を取得。
造り手の想いをしっかりと表現し、飲み手の方々に正しい情報を伝えたい。ウイスキーの魅力をたくさんの方に伝えたいという思いでウェブメディア「Japanese Whisky Dictionary」の編集を担当。

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