【レビュー】シングルモルトウイスキー戸河内

ウィスキーレビュー
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桜尾蒸留所

世界遺産・厳島神社のまちとして知られる広島県廿日市市に、誕生したSAKURAO DISTILLERY。 2018年1月操業開始。
桜尾ジン(SAKURAO GIN)で有名な「株式会社サクラオブルワリーアンドディスティラリー(サクラオB&D)」(旧社名:中国醸造株式会社)が創業100周年事業として2015年にプロジェクトを開始。

現在に至るまで販売されてきた「戸河内ウイスキー」は主に海外向けに生産されていて、一部輸入原酒を使用したブレンデッドウイスキーでしたが、今作のシングルモルトウイスキー戸河内は戸河内ウイスキー初のシングルモルトでのリリースとなります。

出荷先はレストラン、ホテル、バーなどの業務店が殆どで、一般の消費者向けに小売店への流通数はかなり少ないそうです。

また、今回の商品では商品名に「JAPANESE WHISKY」と表記されています。これには重要な意味があり、先般、日本洋酒酒造組合が制定したジャパニーズウイスキーの自主基準が4月1日より施行され、それに準拠した商品である事を表示している事となります。

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1.メーカー

株式会社サクラオブルワリーアンドディスティラリー

設立1918年
本社所在地〒738-8602 広島県廿日市市桜尾一丁目12番1号
所有蒸留所桜尾蒸留所

2.蒸留所

桜尾蒸留所(SAKURAO DISTILLERY)

所在地〒738-8602 広島県廿日市市桜尾一丁目12番1号
操業開始2018年1月

広島県の株式会社サクラオブルワリーアンドディスティラリーは、1918年創業の老舗の酒造メーカー。
実はウイスキー造りの歴史は深く、1938年~1989年までモルトウイスキーの製造・販売を行っていました。 当時蒸留された原酒は、戸河内にあるJR西日本の鉄道用試掘トンネルを活用した貯蔵庫に保管されていました。
2008年、戸河内の貯蔵庫に貯蔵されていた原酒と輸入原酒をブレンドして作る「戸河内ウイスキー」を販売開始しました。(9割はヨーロッパへの輸出とのこと。)

操業100周年事業として2017年12月、高品質のシングルモルトウイスキーを生産するために新たに設備を導入し、広島発のクラフト蒸留所「SAKURAO DISTILLERY」を建設。2018年1月から蒸留開始。

2017年12月SAKURAO DISTILLERY 竣工
2018年10月SAKURAO DISTILLERY VISITOR CENTER オープン
2019年SAKURAO DISTILLERY 二期工事(グレーンウイスキー蒸留設備導入・ウイスキー貯蔵庫新設)
2021年3月株式会社サクラオブルワリーアンドディスティラリーに社名変更

3.商品名と写真

シングルモルトウイスキー戸河内
Singlemalt Whisky Togouchi

4.特徴

山奥に佇む冷涼な環境のトンネル内で熟成された清々しい原酒たち

戸河内の最大の特徴は熟成庫。 安芸太田町戸河内にあるかつて鉄道用として使われていたトンネルをそのまま熟成庫として利用しています。 トンネルの長さはおよそ800メートルほどで、一年中冷涼な風が通り抜け年間を通して温度、湿度が一定に保たれる。 薄暗い熟成庫はウイスキーの熟成に最適ともされ、蒸留所新設以前より利用されていました。 SAKURAO DISTILLERYで蒸留されたモルト原酒が新緑の香りをたっぷりと吸い込んだ樽の中で静かに熟成の時を重ね、3年の熟成を経てカスクストレングスにてボトリングされています。

広島の山あいで時を経て深まる味
県下最高峰の恐羅漢山や深入山、国の特別名勝・三段峡など、豊かな森林と清流が織りなす色彩、景観の美しさが際立つ安芸太田町戸河内。
そんな山あいの地にある、かつて鉄道用として使われていたトンネルを生かしているのが戸河内貯蔵庫です。  
四季を通じて冷涼な気温を保つうす暗い貯蔵庫では、SAKURAO DISTILLERYで蒸留されたモルト原酒が、新緑の香りをたっぷりと吸い込んだ樽の中で静かに熟成の時を重ねています。
新鮮なリンゴ、甘いマーマレードや、アプリコットを思わせる香りが広がり、柔らかな甘みとスムースな口当たり、爽快で穏やかな余韻をお楽しみください。
緑豊かな森と清流に囲まれた戸河内貯蔵庫で熟成
一年中冷涼な風が通り抜ける貯蔵庫で、ゆっくりと香りや味わいが磨かれます。

引用:伝統と革新で広島から世界へ 海と山のシングルモルトウイスキー「桜尾(さくらお)」「戸河内(とごうち)」を同時リリース|prtimes.jp

4-1.テイスティングノート

香り新緑、新鮮なリンゴ、マーマレードの甘い香り、アプリコット
味わい柔らかな甘みとスムースな口当たり
余韻爽快で穏やかな余韻

4-2.商品スペック

アルコール度数52%
酒別シングルモルトジャパニーズウイスキー
樽種
内容量700ml
販売本数数量限定
希望小売価格9,350円(税込)
発売日2021年7月1日

5.受賞歴

現時点での受賞歴はありません。

6.価格

6-1.メーカー希望小売価格

商品名シングルモルトウイスキー戸河内
容量700ml
希望小売価格9,350円(税込)

6-2.メルカリでの転売価格

メルカリでの転売価格は、同時発売されたシングルモルト桜尾とのセットで40,000円~46,000円前後となっています。(※2021/7/2時点)

6-3.ヤフーオークション落札価格

ヤフーオークションでの落札価格は、同時発売されたシングルモルト桜尾とのセットで最安40,000円、最高40,000円、平均40,000円 (※2021/7/2時点より過去120日間の統計情報)

6-4.楽天、ヤフーショッピング、Amazon

現在、各通販サイトでは販売されていないようです。 (※2021/7/2時点)

6-5.BAR新海での提供価格

当サイトが運営する「BAR新海」では、1杯、45ml:3,630円 30ml:2,420円、15ml:1,210円などの少量でも提供しております。

「BAR新海」のご案内
Japanese Whisky Dictionaryが運営する「BAR新海」は、東京都港区に3店舗。当サイトで紹介しているジャパニーズウィスキーをはじめ、国産のジンやビールなども取扱い。オリジナルカクテル、フレッシュフルーツカクテルなども人気。食事も豊富で1件目からも利用可能。

7.まとめ

戸河内の熟成庫は標高800メートルで山あいの土地にあり、山々の清々しい空気をたっぷり含んだウイスキーとなっています。味わいも同時リリースされたシングルモルトウイスキー桜尾とは全く異なっていて、フルーティでエステリー、甘くライトな飲み口になっています。
「シングルモルト桜尾」「シングルモルト戸河内」熟成に使用した樽や熟成庫の場所が違うとはいえ、同じ蒸留所で蒸留されたものとは思えないほど別々の個性がしっかり出ています。

桜尾蒸留所のその他の記事も是非ご覧ください。

【レビュー】シングルモルトウイスキー桜尾
瀬戸内の海と風に磨かれた味南に瀬戸内海、北には中国山地がそびえる廿日市市にあるSAKURAO DISTILLERY。蒸留所内の桜尾貯蔵庫には、海からの暖かい風と山からの冷たい風が届き、一年の中で大きな気温差を生み出します。その気温差が、ウィスキーの熟成を早めます。
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最後に:ジャパニーズウイスキーのおすすめ書籍

世界的なトレンドを巻き起こしている「ジャパニーズウイスキー」の事をもっと知りたい、もっと勉強したいという方は、是非こちらの書籍をおすすめいたします。

(1).Whisky Galore(ウイスキーガロア)Vol.42 2024年2月号

【巻頭特集】ウイスキーの聖地 アイラ島の“現在”を読み解く
アイラ島のウイスキーは、昔から「アイラモルト」という独自のカテゴリーを与えられてきた。現在9ヵ所の蒸留所があり、さらに2つの新蒸留所計画が発表されている、この小さな島を改めて紹介。
また、現在入手可能なウイスキー8種を土屋編集長が飲み比べる。
●掲載蒸留所
ボウモア、アードベッグ、ラガヴーリン、ラフロイグ、カリラ、ブナハーブン、ブルックラディ、キルホーマン、アードナッホー

【第2特集】北アイルランドのウイスキー
世界の五大ウイスキーのなかで、いまもっとも伸びているのがアイリッシュ。ブームを牽引する北アイルランドの最新情報をリポート。
●紹介ウイスキー
ブッシュミルズ、エクリンヴィル、グレンズ・オブ・アントリム、ヒンチ、キルオーウェン、マコーネルズ、ショートクロス、タイタニック・ディスティラーズ、トゥー・スタックス

【蒸留所リポート】
2023年に100周年を迎えたジャパニーズウイスキー。その第一歩が踏み出され、昨年リニューアルしたばかりのサントリー山崎蒸溜所を取材。そのほか月光川蒸留所や、個性的なツアーを行っている八郷蒸溜所&安積蒸溜所も紹介。

【インタビュー】
ワイルドターキーのマスターディスティラーであるエディー・ラッセル氏と、その息子ブルース・ラッセル氏を編集長がインタビュー。またフィンランドで自国ライ麦にこだわったウイスキーを造るキュロ蒸留所のミイカ氏にも話を聞いた。

【特集】
ウイスキーフェスティバル2023 in TOKYO、ウイスキーコニサークラブ新潟蒸留所ツアー、下田ウイスキーフェスリポート。

(2).ビジネスに効く教養としてのジャパニーズウイスキー

世界的にも有名なウイスキー評論家で、ウイスキー文化研究所代表 土屋守先生の著書「ビジネスに効く教養としてのジャパニーズウイスキー」です。
ウイスキーの基礎知識、日本へのウイスキーの伝来、ジャパニーズウイスキーの誕生、広告戦略とジャパニーズウイスキーの盛隆、そして、現在のクラフト蒸留所の勃興まで。日本のウイスキーの事が非常にわかりやすくまとめられた一冊。

(3).ウイスキーと私(竹鶴政孝)

日本でのウイスキー醸造に人生を捧げた、ニッカウヰスキー創業者・竹鶴政孝。ただひたすらにウイスキーを愛した男が自らを語った自伝の改訂復刻版。若き日、単身スコットランドに留学し、幾多の苦難を乗り越えてジャパニーズ・ウイスキーを完成させるまでの日々や、伴侶となるリタのことなどが鮮やかに描かれる。

(4).新世代蒸留所からの挑戦状

2019年発売。世界に空前のウイスキーブームが到来しているいま、クラフト蒸留所の経営者たちは何を考え、どんな想いでウイスキー造りに挑んだのか。日本でクラフト蒸留所が誕生するきっかけを作った、イチローズ・モルトで有名なベンチャーウイスキーの肥土伊知郎氏をはじめとする、13人のクラフト蒸留所の経営者たちが世界に挑む姿を綴った1冊。

(5).ウイスキーライジング

2016年にアメリカで出版された『Whisky Risng』の日本語版であり、内容も大幅にアップデート。ジャパニーズ・ウイスキーの歴史が詳細に記述されているだけでなく、近年、創設がつづくクラフト蒸溜所を含む、日本の全蒸溜所に関するデータも掲載。そのほかにも、今まで発売された伝説的なボトルの解説や、ジャパニーズ・ウイスキーが飲めるバーなども掲載されています。

(6).ウイスキーと風の味

1969年にニッカウヰスキーに入社した、三代目マスターブレンダーの佐藤茂夫氏の著書。
『ピュアモルト』『ブラックニッカクリア』『フロム・ザ・バレル』の生みの親でもあり、なかでも『シングルモルト余市1987』はウイスキーの国際的コンペティションWWA(ワールド・ウイスキー・アワード)にて「ワールド・ベスト・シングルモルト」を受賞。
竹鶴政孝竹鶴威の意志を引き継いだブレンダー界のレジェンドが語る今昔。

この記事を書いた人
新海 博之

1981年7月17日 北海道北広島市出身
大学卒業後、NTTデータカスタマサービス㈱へ新卒入社。
2010年「麻布十番BAR新海」を開業 → 2016年、名物「薬膳カレー」を開発 → 2018年「虎ノ門BAR新海」、2019年には「芝大門BAR新海」を開業 → 2020年 ウェブメディア「Japanese Whisky Dictionary」をスタート。
バーテンダーの私達だから出来る事として、ジャパニーズウイスキーの魅力を日々発信する。

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