【レビュー】イチローズ モルト&グレーン ブレンデッド ジャパニーズウイスキー リミテッドエディション 2022

ウィスキーレビュー
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秩父蒸溜所(イチローズモルト)

長期熟成を重ねた秩父蒸溜所の原酒と、超希少な羽生蒸溜所、川崎蒸溜所の原酒を使用しているイチローズモルト「ブレンデッドジャパニーズウイスキー リミテッドエディション」シリーズ。「ワールド・ウイスキー・アワード」で過去数回にわたり世界最高賞に輝いた逸品です。

「リミテッドエディション2022」は「リミテッドエディション2021」と同じく、500本限定での販売となっています。長期熟成の秩父蒸溜所のモルトを中心に、羽生蒸溜所のモルト原酒、川崎蒸溜所のグレーン原酒をバランス良くブレンド。ギフトボックスは2022年もこだわりのミズナラ製。

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1.メーカー

株式会社ベンチャーウイスキー

設立2004年
本社所在地〒368-0067 埼玉県秩父市みどりが丘49
所有蒸留所秩父蒸溜所、秩父第二蒸溜所

2.蒸溜所

秩父蒸溜所羽生蒸溜所のモルト原酒、かつて存在していた川崎蒸溜所のグレーン原酒のみがブレンドされている。

ベンチャーウイスキー秩父蒸溜所

所在地〒368-0067 埼玉県秩父市みどりが丘49
操業開始2007年

秩父の風土に根ざしたシングルモルトウイスキー造りが行われています。
創業者の肥土伊知郎氏はジャパニーズウイスキーであることに誇りを持ち、小さなミル、マッシュタン、ミズナラ製の発酵槽、スコットランド・フォーサイス社製のポットスチルで手づくりに拘りモルトウイスキーを生産しています。

秩父蒸溜所周辺は自然豊かで空気がきれいで質の良い水、夏は高温多湿で朝晩が氷点下にいたる寒さの厳しい環境です。その厳しい気候が織りなす寒暖差がウイスキーの熟成に多大な影響を与え、短い熟成期間にも関わらずフルーティでバランスの取れたウイスキーに仕上がります。

2004年9月創業。
2007年に秩父蒸溜所が完成。
2008年2月、ウイスキー作りの免許が交付され秩父蒸溜所でウイスキー作りを開始。
2019年10月、第2蒸溜所の稼働開始。

1973年設立のサントリー白州蒸溜所・キリン富士御殿場蒸溜所の次に設立された蒸溜所。まさにウイスキー低迷期の終焉とも言えるこの時期に実に日本国内35年ぶりの蒸溜所設立となる。
年間のウイスキー生産量はスコットランド・グレンリベット蒸溜所のわずか2日分。

2019年秋から稼働している第2蒸溜所の生産量は第1蒸溜所のなんと5倍。一度に仕込む麦芽は2t。ポットスチルは5倍の量を蒸溜できるよう形は同じストレート型だがかなり大きなポットスチルになっている。フォーサイス社製でガス直火蒸溜機を使用。

秩父蒸溜所の情報はこちら↓もご覧ください。

秩父蒸溜所(イチローズモルト) | ジャパニーズウイスキーディ...
Japanese Whisky Dictionary

羽生蒸溜所

所在地埼玉県羽生市西4-1-11
操業開始1946年~2004年10月(稼働は2000年まで)

1946年東亜酒造が現在の埼玉県秩父市に当たる地で肥土(あくと)酒造本家として創業。
日本酒の製造を開始。
1941年現在の埼玉県羽生市に当たる地に拠点を移し会社設立。
1946年ウイスキー製造免許を取得。
1948年ウイスキー「ゴールデンホース」の製造開始
2000年羽生蒸溜所の稼働停止(ウイスキー原酒の製造停止)

2000年を最後に蒸溜を停止し、熟成中の樽はベンチャーウイスキーの肥土伊知郎氏に引き継がれた。羽生蒸溜所の原酒は、引き継がれた肥土氏によって『イチローズモルト』というブランド名を与えられ、限定品ながらも辛うじて入手できる閉鎖蒸溜所原酒のひとつとなった。

川崎蒸溜所

所在地神奈川県川崎市川崎区鈴木町3-1
操業開始1935年~2003年

1934年 昭和酒造株式会社設立
1935年 川崎工場操業開始
1942年 昭和農産化工株式会社に改称
1947年 川崎工場でウイスキーの製造開始「サンラック・ウイスキー(Sun Luck Whisky)」販売
当時はまだ原酒製造は行っていなかったため原酒を購入してブレンドしたものを販売していた。

1949年 三楽酒造株式会社と改称
1958年 ウイスキー生産増強を図りモルトウイスキーの原酒の製造を開始
1962年 オーシャン株式会社と合併し三楽オーシャン株式会社となる
1969年 川崎工場でグレーンウイスキーの原酒の製造を開始
1980年 川崎工場にグレーンウイスキーの貯蔵庫建設
1985年 三楽株式会社に社名変更
1990年 メルシャン株式会社に社名変更
2003年 川崎工場の生産機能が終了。工場閉鎖となる
2007年 キリンホールディングスの事業会社となり、キリングループとなる

現在は埼玉県にあるベンチャーウイスキーの秩父蒸溜所で当時の川崎工場の原酒を保管。2009年に三楽オーシャン時代の川崎工場で蒸溜した原酒を使ったウイスキーで、シングルグレーン川崎の「1982カワサキ」「1981カワサキ」「1976カワサキ」を発売していた。
今現在でどれほどの原酒が残っているのかは不明。

3.商品名と写真

イチローズモルト&グレーン ブレンデッドジャパニーズウイスキー リミテッドエディション2022
Ichiro’s Malt&Grain Blended Japanese Whisky Limited Edition 2022

4.特徴

秩父蒸溜所と羽生蒸溜所のモルト原酒、かつて存在していた川崎蒸溜所のグレーン原酒のみがブレンドされている。
2008年設立の秩父蒸溜所と、前身の旧羽生蒸溜所で造られたモルトウイスキー、さらに川崎市にあった蒸溜所で約40年前にとうもろこしなどを原料に造られたグレーンウイスキーと、それぞれ個性の強い原酒を使用。熟成に使用した樽もバーボン樽やシェリー樽などを使い分けた。

2008年に製造を開始した秩父蒸溜所では、伝統的なダンネージスタイルの貯蔵庫でウイスキーの熟成を行っています。それらの中からブレンドで力を発揮する原酒をキーモルトとして、秩父で熟成された個性豊かな国産の原酒のみをバランスよくブレンドし、ノンチルフィルター、ナチュラルカラーでボトリング。

4-1.テイスティングノート

香り複数の原酒を感じる複雑な香り。樽香、ピート香、ドライフルーツ、蜂蜜のような甘い香りが一斉に押し寄せる。
味わい

ウッディだがスムーズな飲み口。スパイスやハーブ様のスパイシー。熟成感を感じる樽の風味。黒蜜やバニラのような甘み。後から酸味やビターを感じる。

余韻

穏やかな熟成感と樽香が長く続く。樽を感じるウッディネスと甘み。スパイシーさはハーブや若葉を連想させる清涼感に。

4-2.商品スペック

アルコール度数48%
酒別ブレンデッドジャパニーズウイスキー
樽種バーボン樽、シェリー樽ほか
内容量700ml
販売本数限定500本
希望小売価格198,000円(税込)
発売日2022年4月

5.受賞歴

現時点での受賞歴はありません。(2022年4月8日現在)

6.価格

6-1.メーカー希望小売価格

 

商品名イチローズモルト&グレーン ブレンデッドジャパニーズウイスキー リミテッドエディション2022
容量700ml
希望小売価格198,000円(税込)

6-2.メルカリでの転売価格

現時点でメルカリでの出品は無いようです。(※2022/4/12時点)

6-3.ヤフーオークション落札価格

ヤフーオークションでの落札価格は、最安 300,999円 最高 341,000円 平均 324,625円 (※2022/4/12時点より過去180日間の統計情報)

6-4.楽天、ヤフーショッピング、Amazon

通販サイトでは、過去のジャパニーズブレンデッドリミテッドエディションの出品が確認できました。

それぞれ2021年版が531,837円、2019年版が438,880円になっています。 (※2022/4/12時点)

6-5.BAR新海での提供価格

当サイトが運営する「BAR新海」では、1杯、45ml:66,000円30ml:44,000円、15ml:22,000円などの少量でも提供しております。

「BAR新海」のご案内
Japanese Whisky Dictionaryが運営する「BAR新海」は、東京都港区に3店舗。当サイトで紹介しているジャパニーズウィスキーをはじめ、国産のジンやビールなども取扱い。オリジナルカクテル、フレッシュフルーツカクテルなども人気。食事も豊富で1件目からも利用可能。

7.まとめ

しっかりとした熟成感を感じることのできる一本。ストレートはもちろん、トワイスアップ、オンザロック、ソーダ割り・・・お好きな飲み方でお楽しみいただけることと思います。

羽生蒸溜所、川崎蒸溜所の原酒はもうそこまで残っていないと聞きます。2022年もこのリミテッドエディションが発売されたことを嬉しく思いつつも、来年、再来年も発売されるか不安が過ります。

500本限定と超希少なボトルですが、BAR新海では各店でご用意がございます。秩父、羽生、川崎と、時を超え現代で出会った原酒たちのブレンドを是非お試しください。

昨年2021年の「ジャパニーズブレンデッドウイスキー リミテッドエディション2021」に関する記事も是非ご覧ください。[clink url=https://jpwhisky.net/ichiros-maltgrain-japanese-blended-2021-5193/]

「イチローズモルト」に関するその他の記事も是非ご覧ください。

【レビュー】イチローズモルトダブルディスティラリーズ秩父×駒ヶ岳...
高い志を持つ二つの蒸留所がジャパニーズウィスキーの新たな可能性を追求して立ち上げたこのプロジェクトは、6年前の2015年4月にお互いの原酒(ニューポット)の交換するところから始まりました。二つの異なる環境で熟成を重ねた原酒はそれぞれの地でブレンドされ、新たな個性となって表現されました。
【レビュー】イチローズモルト&グレーン 505
イチローズモルト&グレーン505は現行のホワイトラベルよりもモルト比率を上げている為、モルト感をしっかり味わうことができるウィスキーです。ほのかにシェリー感も感じ取れる一本。505は当初、飲食店を応援することを目的とした「飲食店専用ボトル」としてリリースされました。
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最後に:ジャパニーズウイスキーのおすすめ書籍

世界的なトレンドを巻き起こしている「ジャパニーズウイスキー」の事をもっと知りたい、もっと勉強したいという方は、是非こちらの書籍をおすすめいたします。

(1).Whisky Galore(ウイスキーガロア)Vol.42 2024年2月号

【巻頭特集】ウイスキーの聖地 アイラ島の“現在”を読み解く
アイラ島のウイスキーは、昔から「アイラモルト」という独自のカテゴリーを与えられてきた。現在9ヵ所の蒸留所があり、さらに2つの新蒸留所計画が発表されている、この小さな島を改めて紹介。
また、現在入手可能なウイスキー8種を土屋編集長が飲み比べる。
●掲載蒸留所
ボウモア、アードベッグ、ラガヴーリン、ラフロイグ、カリラ、ブナハーブン、ブルックラディ、キルホーマン、アードナッホー

【第2特集】北アイルランドのウイスキー
世界の五大ウイスキーのなかで、いまもっとも伸びているのがアイリッシュ。ブームを牽引する北アイルランドの最新情報をリポート。
●紹介ウイスキー
ブッシュミルズ、エクリンヴィル、グレンズ・オブ・アントリム、ヒンチ、キルオーウェン、マコーネルズ、ショートクロス、タイタニック・ディスティラーズ、トゥー・スタックス

【蒸留所リポート】
2023年に100周年を迎えたジャパニーズウイスキー。その第一歩が踏み出され、昨年リニューアルしたばかりのサントリー山崎蒸溜所を取材。そのほか月光川蒸留所や、個性的なツアーを行っている八郷蒸溜所&安積蒸溜所も紹介。

【インタビュー】
ワイルドターキーのマスターディスティラーであるエディー・ラッセル氏と、その息子ブルース・ラッセル氏を編集長がインタビュー。またフィンランドで自国ライ麦にこだわったウイスキーを造るキュロ蒸留所のミイカ氏にも話を聞いた。

【特集】
ウイスキーフェスティバル2023 in TOKYO、ウイスキーコニサークラブ新潟蒸留所ツアー、下田ウイスキーフェスリポート。

(2).ビジネスに効く教養としてのジャパニーズウイスキー

世界的にも有名なウイスキー評論家で、ウイスキー文化研究所代表 土屋守先生の著書「ビジネスに効く教養としてのジャパニーズウイスキー」です。
ウイスキーの基礎知識、日本へのウイスキーの伝来、ジャパニーズウイスキーの誕生、広告戦略とジャパニーズウイスキーの盛隆、そして、現在のクラフト蒸留所の勃興まで。日本のウイスキーの事が非常にわかりやすくまとめられた一冊。

(3).ウイスキーと私(竹鶴政孝)

日本でのウイスキー醸造に人生を捧げた、ニッカウヰスキー創業者・竹鶴政孝。ただひたすらにウイスキーを愛した男が自らを語った自伝の改訂復刻版。若き日、単身スコットランドに留学し、幾多の苦難を乗り越えてジャパニーズ・ウイスキーを完成させるまでの日々や、伴侶となるリタのことなどが鮮やかに描かれる。

(4).新世代蒸留所からの挑戦状

2019年発売。世界に空前のウイスキーブームが到来しているいま、クラフト蒸留所の経営者たちは何を考え、どんな想いでウイスキー造りに挑んだのか。日本でクラフト蒸留所が誕生するきっかけを作った、イチローズ・モルトで有名なベンチャーウイスキーの肥土伊知郎氏をはじめとする、13人のクラフト蒸留所の経営者たちが世界に挑む姿を綴った1冊。

(5).ウイスキーライジング

2016年にアメリカで出版された『Whisky Risng』の日本語版であり、内容も大幅にアップデート。ジャパニーズ・ウイスキーの歴史が詳細に記述されているだけでなく、近年、創設がつづくクラフト蒸溜所を含む、日本の全蒸溜所に関するデータも掲載。そのほかにも、今まで発売された伝説的なボトルの解説や、ジャパニーズ・ウイスキーが飲めるバーなども掲載されています。

(6).ウイスキーと風の味

1969年にニッカウヰスキーに入社した、三代目マスターブレンダーの佐藤茂夫氏の著書。
『ピュアモルト』『ブラックニッカクリア』『フロム・ザ・バレル』の生みの親でもあり、なかでも『シングルモルト余市1987』はウイスキーの国際的コンペティションWWA(ワールド・ウイスキー・アワード)にて「ワールド・ベスト・シングルモルト」を受賞。
竹鶴政孝竹鶴威の意志を引き継いだブレンダー界のレジェンドが語る今昔。

この記事を書いた人
新海 博之

1981年7月17日 北海道北広島市出身
大学卒業後、NTTデータカスタマサービス㈱へ新卒入社。
2010年「麻布十番BAR新海」を開業 → 2016年、名物「薬膳カレー」を開発 → 2018年「虎ノ門BAR新海」、2019年には「芝大門BAR新海」を開業 → 2020年 ウェブメディア「Japanese Whisky Dictionary」をスタート。
バーテンダーの私達だから出来る事として、ジャパニーズウイスキーの魅力を日々発信する。

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