「日本酒造りの技術と哲学」を込めたジャパニーズウイスキー。クラウドファンディング達成し、特別な樽で仕上げる熟成3年目ファーストリリースを準備。
1872年創業、栃木県小山市で150年以上日本酒造りに向き合ってきた西堀酒造株式会社は、日本酒蔵ならではの発酵技術・酒造哲学を活かし、2022年よりウイスキー造りに挑戦しています。
このたび、「日光街道小山蒸溜所」より、クラウドファンディング限定で特別な樽での仕上げで個性を付与(カスクフィニッシュ)した、「3年熟成ウイスキー」をリリースいたします。(2025年10月以降出荷予定)
1. 150年の伝統が生み出す、新たな蒸留への挑戦
1872年創業の西堀酒造は、150年以上にわたり日本酒蔵として酒造りの伝統を守りながら革新を続けてきました。「酒は嗜好品であり文化である」という信念のもと、日本の気候風土、発酵技術、熟成の妙を活かして、伝統と革新を融合させた酒造りを追求しています。
2022年より挑戦をスタートしたジャパニーズウイスキーやスピリッツの製造において、私たちは単に「海外と同じ蒸留酒を造る」ことを目的とはしていません。私たちが目指すのは、「日本の酒造文化から生まれた酒」として、本流では生まれ得ない固有のジャパニーズウイスキー・スピリッツを造ること。
それは単なる独自性の追求ではなく、多様な表現があるからこそ本流の価値が際立ち、世界のウイスキー文化全体を豊かにすることにも繋がります。嗜好品であるからこそ、多様であることが面白い。その多様性の一端を、日本の酒蔵として切り拓いていきたいと考えています。
現在、日本各地に次々と新たな蒸留所が作られ「ジャパニーズウイスキー」は世界のウイスキー市場でも高く評価されています。一方で、その製造基準(レギュレーション)が法令で規定・規制されていません。
市場には「日本で瓶詰めされただけ」のウイスキーも存在し、いまその本質が揺らいでいます。日本で作られてきた蒸留酒は、日本の風土・文化・職人技が融合した文化的産物です。焼酎、泡盛、さらには清酒の製造過程の副産物で生まれる粕取焼酎など、世界に類を見ない独自の「酒造文化」が日本国内では脈々と受け継がれています。
いま求められているのは「日本産の原料・技術・哲学で創られる、真のジャパニーズウイスキー&スピリッツ」。文化継承の軸として、伝統という核を根幹に置きつつも、変化を恐れないことが「日本産蒸留酒の未来」を創るためには重要であると考えています。和洋折衷、融合、メタモルフォーゼによって開かれる新天地です。
要素|その1
日本の風土・素材を活かす
原料には二条大麦のモルト(麦芽)、グレーン(穀類)はトウモロコシではなく、日本酒蔵ならではの酒米(吟醸粉)を使用しています。さらに、日本の四季の移ろいが生む熟成の妙を活かし、寒暖差の激しい関東平野(栃木県小山市)の他、地下石窟(栃木県宇都宮市大谷町)や冷涼地(栃木県日光市)など、熟成樽の貯蔵環境の変化によって生まれる日本独自の熟成プロセスと向き合います。また、「和樽」熟成という新たな挑戦で、日本独自の樽文化を融合を目指します。
要素|その2
日本の酒造技術を活かす
日本酒造りで培った発酵技術と蒸留技術を応用します。 清酒酵母100%による発酵、減圧蒸留と常圧蒸留の組み合わせを、独自の工夫で実現しています。 酒母の概念や段仕込みなどを考慮すると手間と時間が倍以上かかりますが、この日本酒造りの知見や発想をウイスキー造りに応用します。 酒米を精米した際に生まれる米粉(吟醸粉)をグレーン・ウイスキーやウォッカ等の原料に使用して、日本固有の蒸留酒に昇華させていきます。
要素|その3
日本の酒造精神を映す
日本酒は、世界でもトップクラスに繊細な管理と複雑なプロセスを持つ醸造酒であり、その管理の煩雑さや手間から、簡単に真似ができない世界に誇るべき酒造技術です。重要なのは、スペックや素材より、酒造りの工程における姿勢や精神であり、それこそが最も大事にしているものです。 西堀酒造のウイスキー造りに携わるメンバーは、冬季の日本酒造りを経験することを基本としており、丁寧な酒造りの姿勢を身に付けています。 単なる飲料ではなく、哲学や文化を宿した酒造りがあってこそ「日本から生まれた蒸留酒」。 これこそが、日本酒蔵が創る、真のジャパニーズウイスキー&スピリッツの姿です。
和樽熟成への挑戦
ジャパニーズウイスキー、未開の境地へ
日本固有のウイスキー文化をさらに進化させるため、ウイスキー熟成といえば、いわゆる「洋樽」とされてきた常識を覆し、私たちは「和樽熟成」にも挑戦を開始しています。
私たちが長い視点で目指すのは、いまだ確立されていない「和樽熟成ウイスキー」という新たな境地。その第一歩として、2024年、日光東照宮様のご厚意のもと、御神木である日光杉を使用した「日光杉和樽熟成ウイスキー」のプロジェクトも始動しました。
日本唯一、国の特別史跡・特別天然記念物の二重指定を受ける日光杉並木。その樹齢400年にも及ぶ特別な杉の香りを活かすため、カスクフィニッシュやチャーリング・トースティングなど、和樽熟成の新たな試みを重ねています。
この挑戦は単なる商品開発ではなく、急速に減少しつつある和樽職人や桶職人の伝統技術を未来へ繋ぐ取り組みでもあります。※「熟成用和樽」として考案を実用新案登録済(第3250044号)
2025年は、日光杉並木街道が植樹400年を迎える歴史的な節目の年です。私たちは2025年秋、「日光東照宮献上ウイスキー」として限定本数でのリリースも予定しています。
2.クラウドファンディングリターン
クラファンの募集期間は終了しましたがどのようなリターンかご紹介。
Type.A コニャック樽フィニッシュ
フランス・コニャック地方の名門オールド樽を使用。
元々のコニャックが持つ芳醇なスパイスとドライフルーツのエッセンスがウイスキーに移り、重厚でありながらもエレガントな余韻を奏でる仕上がりが期待されます。
Type.B ピノ・デ・シャラント樽フィニッシュ
希少な長期熟成ピノ・デ・シャラント樽。
濃厚な果実ジャムやカラメルのニュアンスが、ウイスキーに華やかさと奥行きを与え、バランスの取れた豊かな味わいが生まれると期待できます。
Type.C シャンパン樽フィニッシュ
フランス・シャンパーニュ地方で造られるシャンパンを熟成させた樽。
樽内に残る柑橘やトーストのような軽やかな香りがウイスキーに移り、口当たりを滑らかに整えながらも上品でエレガントな風味を付与することが期待されます。
まとめ
クラファン形式がAll or Nothingと言う目標額に届かなければ、これまでの集まった資金は全て返金という不退転の心意気はあっぱれとしか言いようがありません。
特許申請されている「和樽」の製法も特許番号を検索するとマニアにはたまらない情報も。
しかしそこから彼らの本気度合いがひしひしと伝わってきて、俄然本リリースが待ち遠しくなってきました。
最後に:ジャパニーズウイスキーのおすすめ書籍
世界的なトレンドを巻き起こしている「ジャパニーズウイスキー」の事をもっと知りたい、もっと勉強したいという方は、是非こちらの書籍をおすすめいたします。
(1).Whisky Galore(ウイスキーガロア)Vol.49 2024年4月号
『ウイスキーガロア』4月号、巻頭特集は「スコッチ蒸留所名鑑」第1弾ディアジオ編。
すべてのモルトファンを魅了する、世界最大のスピリッツメーカーの現在地
[巻頭特集]
スコッチ蒸留所名鑑 [第1弾 ディアジオ 前編]
・ディアジオ社の蒸留所を一挙紹介 <ハイランド・アイランズ・ローランド編>
クライヌリッシュ/ブローラ/グレンオード/ダルウィニー/ブレアアソール/オーバン/ロイヤルロッホナガー/ティーニニック/タリスカー/グレンキンチー
[特集]
◆沖縄泡盛紀行 前編
伊平屋酒造所/恩納酒造所/松藤
◆プラカーン タイに誕生した驚きの蒸留所を緊急リポート!
[編集長インタビュー]
◆ジャパニーズクラフトの開拓者たち[第5回] 本坊酒造 本坊和人氏
(2).ビジネスに効く教養としてのジャパニーズウイスキー
世界的にも有名なウイスキー評論家で、ウイスキー文化研究所代表 土屋守先生の著書「ビジネスに効く教養としてのジャパニーズウイスキー」です。
ウイスキーの基礎知識、日本へのウイスキーの伝来、ジャパニーズウイスキーの誕生、広告戦略とジャパニーズウイスキーの盛隆、そして、現在のクラフト蒸留所の勃興まで。日本のウイスキーの事が非常にわかりやすくまとめられた一冊。
(3).ウイスキーと私(竹鶴政孝)
日本でのウイスキー醸造に人生を捧げた、ニッカウヰスキー創業者・竹鶴政孝。ただひたすらにウイスキーを愛した男が自らを語った自伝の改訂復刻版。若き日、単身スコットランドに留学し、幾多の苦難を乗り越えてジャパニーズ・ウイスキーを完成させるまでの日々や、伴侶となるリタのことなどが鮮やかに描かれる。
(4).新世代蒸留所からの挑戦状
2019年発売。世界に空前のウイスキーブームが到来しているいま、クラフト蒸留所の経営者たちは何を考え、どんな想いでウイスキー造りに挑んだのか。日本でクラフト蒸留所が誕生するきっかけを作った、イチローズ・モルトで有名なベンチャーウイスキーの肥土伊知郎氏をはじめとする、13人のクラフト蒸留所の経営者たちが世界に挑む姿を綴った1冊。
(5).ウイスキーライジング
2016年にアメリカで出版された『Whisky Risng』の日本語版であり、内容も大幅にアップデート。ジャパニーズ・ウイスキーの歴史が詳細に記述されているだけでなく、近年、創設がつづくクラフト蒸溜所を含む、日本の全蒸溜所に関するデータも掲載。そのほかにも、今まで発売された伝説的なボトルの解説や、ジャパニーズ・ウイスキーが飲めるバーなども掲載されています。
(6).ウイスキーと風の味
1969年にニッカウヰスキーに入社した、三代目マスターブレンダーの佐藤茂夫氏の著書。
『ピュアモルト』『ブラックニッカクリア』『フロム・ザ・バレル』の生みの親でもあり、なかでも『シングルモルト余市1987』はウイスキーの国際的コンペティションWWA(ワールド・ウイスキー・アワード)にて「ワールド・ベスト・シングルモルト」を受賞。
竹鶴政孝、竹鶴威の意志を引き継いだブレンダー界のレジェンドが語る今昔。