BAR新海所有の静岡のプライベートカスク。蒸溜機【K】、【W】の2種類が遂にボトリング。
蒸溜機【W】の味わいをレビュー。
以前より行われている静岡のプライベートカスク販売。
2021年11月に蒸溜を行い、2025年5月14日にボトリングが終了。3年6か月ほどの熟成を行いました。
以前紹介したイチローズモルト&グレーン BAR新海15周年記念ボトルと同様に、今回もラベルデザインは、当店バーテンダーの東が担当いたしました。
蒸溜機Wのラベルは「東京タワー」がモチーフになっています。
1.ボトルとラベルの写真
シングルカスク静岡 Potstill W×Japanese Barley for BAR新海
Single Cask SHIZUOKA Potstill K×Japanese Barley for BAR SHINKAI
2.シングルカスク静岡Potstill W×Japanese Barley for BAR新海
2016年より操業開始した静岡蒸留所と言えば、あの伝説の軽井沢蒸溜所のポットスチルをオークションで落札し、オーバーホールにより「ポットスチルK」として蘇らせ、まさに軽井沢蒸溜所の系譜を受け継ぐ蒸留所です。
そんな、静岡蒸留所には「ポットスチルK」とは対照的となるもう一つの蒸留器が配置されています。
世界で唯一の薪を使用した薪木直火加熱の「ポットスチルW」
一般的な間接加熱蒸溜よりもかなり高温での蒸溜となり、厚みのある芳醇な味わいが生まれます。世界でも類を見ない「ポットスチルW」により蒸溜。原材料には「日本産大麦」を使用。2021年の樽詰めから僅か3年の熟成ですが、オクタヴ(50L)という小さい樽での熟成の為、短期間で十分な熟成に到達しています。
ボトルのラベルは、静岡蒸留所オフィシャルラベルに加え、当店オリジナルラベルも作成。
前回のイチローズモルトPB同様、当店バーテンダー東がデザインを担当。BAR新海が立地する東京港区を象徴する「東京タワー」をモチーフにしました。世界で唯一の薪木直火加熱による静岡蒸留所のプライベートボトルを、是非ご賞味ください。
BAR新海 オーナー 新海 博之
2-1.テイスティングノート
香り | カスタード、焼き栗、バタートースト、少しマスタード |
味わい | モンブラン、ほうじ茶、カカオ、ナッツ、グレープフルーツピール |
余韻 | 大麦由来のコクと甘みの後、柑橘の酸味が長く残る |
2-2.商品スペック
アルコール度数 | 55.7% |
酒別 | シングルカスクジャパニーズウイスキー |
樽種 | バーボン樽 |
蒸溜機 | 初留【W】再留【S】 |
熟成年数 | 約3年6ヵ月 |
内容量 | 700ml |
本数 | 33本 |
2-3.BAR新海での提供価格
当サイトが運営する「BAR新海」では、1杯45ml:3,300円、 30ml:2,220円、15ml:1,110円の少量でも提供しております。
4.ガイアフローディスティリング株式会社とは?
「ガイアフローディスティリング株式会社」は、2014年に設立したウイスキー製造を行う会社。グループのガイアフロー株式会社では、ウイスキーの輸入および販売も行っている。
会社名 | ガイアフローディスティリング株式会社 |
設立 | 2014年10月8日 |
本社所在地 | 〒421-2223 静岡県静岡市葵区落合555番地 |
所有蒸留所 | ガイアフロー静岡蒸溜所 |
5.ポットスティル『W』とは
スコットランドのフォーサイス社が製作したウォッシュ・スティル(初留釜)です。
世界でも希有な方式、薪の直火によって蒸留します。これは200年以上前、スコットランドでまだ密造が当たり前で、小さな蒸留機しかなかった時代に行われていたとても古いやり方です。
静岡は、そのスケールを拡大して現代に蘇らせました。蒸留機の下にある大きな竈(かまど)の中で、たくさんの薪を焚き、炎で釜を加熱します。中の熱気は凄まじく、竈の中は800度近くに達します。その非常な高温がウォッシュを焦がし、原酒の味わいをまろやかで力強いものにし、長い余韻とトースト香を与えます。
燃料の薪は、地元の山の間伐材を丸太のまま運び、蒸溜所内で薪割りをした後、数ヶ月間の自然乾燥を経ています。静岡の山の恵みが、唯一無二のウイスキーを創り出します
引用:ガイアフロー静岡蒸溜所公式HP
6.まとめ
高温で蒸溜を行う『W』ならではのコクが感じられ、甘栗や燻したニュアンス、マスタード系の酸味のある香りが面白い香り立ち。加水すると柑橘の要素が強く感じられます。
甘さとコクを残してお楽しみいただけるようにストレートやロックでお楽しみいただければと思います。
同時に蒸溜機【K】バージョンのノンピート日本産大麦もリリースしておりますので、そちらもご覧ください。

最後に:ジャパニーズウイスキーのおすすめ書籍
世界的なトレンドを巻き起こしている「ジャパニーズウイスキー」の事をもっと知りたい、もっと勉強したいという方は、是非こちらの書籍をおすすめいたします。
(1).Whisky Galore(ウイスキーガロア)Vol.50 2025年6月号
『ウイスキーガロア』6月号、巻頭特集はシングルモルトを世界に知らしめたディアジオ特集・後編。
メーカー別に蒸留所を集成・徹底解説する新シリーズ「スコッチ蒸留所名鑑」を始動。
第1弾ではスコットランドに30の蒸留所を擁するディアジオ社が登場!
最新号ではスペイサイド・アイラの20蒸留所を一挙掲載します。
[巻頭特集]
スコッチ蒸留所名鑑 [第1弾 ディアジオ 後編]
ディアジオ社の蒸留所を一挙紹介 <スペイサイド・アイラ編>
カードゥ/モートラック/クラガンモア/グレンエルギン/ローズアイル/カリラ/ラガヴーリン/ポートエレン/オスロスク/ベンリネス/ダルユーイン/ダフタウン/グレンダラン/グレンロッシー/マノックモア/リンクウッド/インチガワー/ストラスミル/グレンスペイ/ノッカンドオ
◆Chinese Whisky ――国家級 中国威士忌 最新事情
叠川(チュアン)蒸留所/沃林(オーリン)クーパレッジ/青島(チンタオ)蒸留所
◆日本のクラフト蒸留所最前線
新道蒸溜所/朝倉蒸溜所
◆ジャパニーズクラフトの開拓者たち[第6回] 小正嘉之助蒸溜所 小正芳嗣氏
(2).ビジネスに効く教養としてのジャパニーズウイスキー
世界的にも有名なウイスキー評論家で、ウイスキー文化研究所代表 土屋守先生の著書「ビジネスに効く教養としてのジャパニーズウイスキー」です。
ウイスキーの基礎知識、日本へのウイスキーの伝来、ジャパニーズウイスキーの誕生、広告戦略とジャパニーズウイスキーの盛隆、そして、現在のクラフト蒸留所の勃興まで。日本のウイスキーの事が非常にわかりやすくまとめられた一冊。
(3).ウイスキーと私(竹鶴政孝)
日本でのウイスキー醸造に人生を捧げた、ニッカウヰスキー創業者・竹鶴政孝。ただひたすらにウイスキーを愛した男が自らを語った自伝の改訂復刻版。若き日、単身スコットランドに留学し、幾多の苦難を乗り越えてジャパニーズ・ウイスキーを完成させるまでの日々や、伴侶となるリタのことなどが鮮やかに描かれる。
(4).新世代蒸留所からの挑戦状
2019年発売。世界に空前のウイスキーブームが到来しているいま、クラフト蒸留所の経営者たちは何を考え、どんな想いでウイスキー造りに挑んだのか。日本でクラフト蒸留所が誕生するきっかけを作った、イチローズ・モルトで有名なベンチャーウイスキーの肥土伊知郎氏をはじめとする、13人のクラフト蒸留所の経営者たちが世界に挑む姿を綴った1冊。
(5).ウイスキーライジング
2016年にアメリカで出版された『Whisky Risng』の日本語版であり、内容も大幅にアップデート。ジャパニーズ・ウイスキーの歴史が詳細に記述されているだけでなく、近年、創設がつづくクラフト蒸溜所を含む、日本の全蒸溜所に関するデータも掲載。そのほかにも、今まで発売された伝説的なボトルの解説や、ジャパニーズ・ウイスキーが飲めるバーなども掲載されています。
(6).ウイスキーと風の味
1969年にニッカウヰスキーに入社した、三代目マスターブレンダーの佐藤茂夫氏の著書。
『ピュアモルト』『ブラックニッカクリア』『フロム・ザ・バレル』の生みの親でもあり、なかでも『シングルモルト余市1987』はウイスキーの国際的コンペティションWWA(ワールド・ウイスキー・アワード)にて「ワールド・ベスト・シングルモルト」を受賞。
竹鶴政孝、竹鶴威の意志を引き継いだブレンダー界のレジェンドが語る今昔。