【レビュー】シングルモルト余市ノンピーテッド

ウィスキーレビュー
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ニッカウヰスキー余市蒸溜所

今回発売される「シングルモルト余市ノンピーテッド」と「シングルモルト宮城峡ピーテッド」の2商品は、2024年に創業90周年を迎えるニッカウヰスキーが保有する多様な原酒や、原料や発酵などの製造工程によるウイスキーのつくり分けの歴史が生み出す奥深さに焦点を当てた“NIKKA DISCOVERYシリーズ”第1弾商品です。ウイスキーの多様性や奥深さ、意外性を「発見する」シリーズとして展開。業務用を中心とした展開を予定。海外でも欧州を中心とした販売を予定。通年商品のスモーク瓶とは異なり透明瓶を採用し、通年商品では隠されていた“ウイスキーの個性”が現れることを表現したボトルデザインとなっています。
2021年9月28日発売、限定数10,000本、税込22,000円。

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1.メーカー

ニッカウヰスキー株式会社

設立1934年(昭和9年)
本社所在地〒107-8616 東京都港区南青山5丁目4番31号
所有蒸留所余市蒸溜所、宮城峡蒸溜所、ベンネヴィス蒸留所

2.蒸留所

余市蒸溜所

所在地〒046-0003 北海道余市郡余市町黒川町7丁目6
操業開始1936年

日本のスコットランドと称されている北海道の「余市蒸溜所」。マッサンこと竹鶴政孝により前身の大日本果汁株式会社が1934年に設立。 竹鶴政孝はスコットランドに似た冷涼で湿潤な気候、豊かな水源と凛と澄んだ空気がそろった場所こそが理想のウイスキーづくりには欠かせないと考え、様々な候補地の中から小樽の西、積丹半島の付根に位置する余市を選びました。 竹鶴政孝が最初の蒸留所で目指したのは、重厚で力強いモルトウイスキーづくりでした。本場スコットランドの蒸留所で学んだウイスキーづくりの手法を、一切の妥協を許さずそのまま再現することにこだわりました。そのこだわりの象徴が「ストレートヘッド型ポットスチル」と石炭直火蒸留です。それにより重厚で香ばしいヘビーピートの原酒が出来上がり、ピートの香りとソルティさを感じる個性的なシングルモルトが出来上がります。 竹鶴自らが学んだロングモーン蒸留所の方式にならい、この蒸留方法を採用。本物のウイスキーをつくるために必要なことであれば、たとえ非効率的であっても守り抜いていく。そんなニッカウヰスキーの原点とも言える情熱と竹鶴政孝の夢への思いが今もなお受け継がれています。

余市蒸溜所公式HPはこちら

余市蒸溜所の詳細情報は、こちらの記事もご覧ください。

余市蒸溜所 | ジャパニーズウイスキーディクショナリー
Japanese Whisky Dictionary

3.商品名と写真

シングルモルト余市ノンピーテッド
Single Malt Yoichi Nonpeated

4.特徴

フルーティな香りの中にも余市モルトのコクと存在感は健在
余市なのにノンピートとはなんだか不思議な感じ。という先入観はさておき、フルーティな香りのあとにバタートーストのような甘く香ばしい香りも出てきます。
味わいはノンピートとは言え、さすが余市と言わんばかりの石炭直火蒸留のモルトのパワフルな主張を感じながらも全体的にはほんのりと甘く、次第にビターな余韻へと変化していきます。全体をうまくまとめ上げているのが甘さであり、今までの余市とは一味違う感じです。

これまでの限定品は2017年モスカルウッドフィニッシュ、2018年マンサニーリャウッドフィニッシュ、2020年アップルブランデーウッドフィニッシュのように「ウッドフィニッシュで使用した樽種の違い」で個性を変えてきました。
今作はフィニッシュは行わず、「原材料の違い」によって、シングルモルト余市の魅力を活かしつつ、隠れていた意外な個性を引き出したウイスキーです。
ラベルはやわらかな味わいを想起させるペールブルーと上質な白を採用。ボトルは透明瓶を使用することで、隠れていた意外な一面を表現。

4-1.テイスティングノート

香り華やかでフルーティ。ほのかなミルキーさや蜂蜜の甘さ、ココナッツの香ばしい香り。
味わいベリーや洋ナシ、りんごを思わせる甘酸っぱさと、しっかりとしたモルトのコク。やさしくやわらかな甘さが全体を包み込む。
余韻キャラメルのような滑らかでコクのある余韻がほのかなビターを伴い穏やかに続く。

4-2.商品スペック

アルコール度数47%
酒別シングルモルトウイスキー
樽種
内容量700ml
販売本数10,000本限定
希望小売価格税込22,000円
発売日2021年9月28日

5.受賞歴

現時点では受賞歴はありません。

6.価格

6-1.メーカー希望小売価格

商品名シングルモルト余市ノンピーテッド
容量700ml
希望小売価格税込:22,000円

6-2.メルカリでの転売価格

メルカリでの転売価格は、「シングルモルト余市ノンピーテッド」と「シングルモルト宮城峡ピーテッド」の2本セットで
71,000円~95,000円前後となっています。(※2021/9/29時点)

6-3.ヤフーオークション落札価格

現時点でヤフーオークションでの落札は無いようです。(※2021/9/29時点) 

6-4.楽天、ヤフーショッピング、Amazon

通販サイトでも、45,000円前後で販売されています。 (※2021/9/29時点)

6-5.BAR新海での提供価格

当サイトが運営する「BAR新海」では、1杯、45ml:6,930円 30ml:4,620円 15ml:2,310円で提供しております。

「BAR新海」のご案内
Japanese Whisky Dictionaryが運営する「BAR新海」は、東京都港区に3店舗。当サイトで紹介しているジャパニーズウィスキーをはじめ、国産のジンやビールなども取扱い。オリジナルカクテル、フレッシュフルーツカクテルなども人気。食事も豊富で1件目からも利用可能。

7.まとめ

余市の個性はしっかり活かしつつ、今までの余市に無いフルーティで全体を包み込むような甘さでまとまったウイスキーです。原料の麦芽をノンピーテッド麦芽に変えたことで、ここまで変化を出せるのかと驚きます。
是非、余市NVとの飲み比べをして違いを味わってみてください。
2022年に第2弾、2023年に第3弾が予定されているようです。次回はどのようなDISCOVERYを見せてくれるのか楽しみですね。

■「シングルモルト余市」に関するその他の記事も是非ご覧ください。

【レビュー】シングルモルト余市 アップルブランデーウッドフィニッ...
ニッカウヰスキーの創業者竹鶴政孝と妻リタの結婚100周年、2020年3月24日発売。余市アップルブランデーウッドフィニッシュ。限定6,700本。アップルブランデーを28年以上熟成させていた樽で約6か月間さらに熟成。甘い芳香で豊かな香り。香ばしくも芳醇な甘さと余市のピートのコクが調和した味わい。
【レビュー】シングルモルト余市 マンサニーリャウッドフィニッシュ
シングルモルト余市を50年間熟成させたマンサニーリャ樽でさらに熟成させフルーティーな甘さとコク香ばしいピートが調和した味わいで冷却ろ過を行わずにボトリング。限定4000本のみ販売され。現在オークション等で価格高騰しているが、生産数が少ない為、高値でも見つけること自体が困難となっている
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最後に:ジャパニーズウイスキーのおすすめ書籍

世界的なトレンドを巻き起こしている「ジャパニーズウイスキー」の事をもっと知りたい、もっと勉強したいという方は、是非こちらの書籍をおすすめいたします。

(1).Whisky Galore(ウイスキーガロア)Vol.42 2024年2月号

【巻頭特集】ウイスキーの聖地 アイラ島の“現在”を読み解く
アイラ島のウイスキーは、昔から「アイラモルト」という独自のカテゴリーを与えられてきた。現在9ヵ所の蒸留所があり、さらに2つの新蒸留所計画が発表されている、この小さな島を改めて紹介。
また、現在入手可能なウイスキー8種を土屋編集長が飲み比べる。
●掲載蒸留所
ボウモア、アードベッグ、ラガヴーリン、ラフロイグ、カリラ、ブナハーブン、ブルックラディ、キルホーマン、アードナッホー

【第2特集】北アイルランドのウイスキー
世界の五大ウイスキーのなかで、いまもっとも伸びているのがアイリッシュ。ブームを牽引する北アイルランドの最新情報をリポート。
●紹介ウイスキー
ブッシュミルズ、エクリンヴィル、グレンズ・オブ・アントリム、ヒンチ、キルオーウェン、マコーネルズ、ショートクロス、タイタニック・ディスティラーズ、トゥー・スタックス

【蒸留所リポート】
2023年に100周年を迎えたジャパニーズウイスキー。その第一歩が踏み出され、昨年リニューアルしたばかりのサントリー山崎蒸溜所を取材。そのほか月光川蒸留所や、個性的なツアーを行っている八郷蒸溜所&安積蒸溜所も紹介。

【インタビュー】
ワイルドターキーのマスターディスティラーであるエディー・ラッセル氏と、その息子ブルース・ラッセル氏を編集長がインタビュー。またフィンランドで自国ライ麦にこだわったウイスキーを造るキュロ蒸留所のミイカ氏にも話を聞いた。

【特集】
ウイスキーフェスティバル2023 in TOKYO、ウイスキーコニサークラブ新潟蒸留所ツアー、下田ウイスキーフェスリポート。

(2).ビジネスに効く教養としてのジャパニーズウイスキー

世界的にも有名なウイスキー評論家で、ウイスキー文化研究所代表 土屋守先生の著書「ビジネスに効く教養としてのジャパニーズウイスキー」です。
ウイスキーの基礎知識、日本へのウイスキーの伝来、ジャパニーズウイスキーの誕生、広告戦略とジャパニーズウイスキーの盛隆、そして、現在のクラフト蒸留所の勃興まで。日本のウイスキーの事が非常にわかりやすくまとめられた一冊。

(3).ウイスキーと私(竹鶴政孝)

日本でのウイスキー醸造に人生を捧げた、ニッカウヰスキー創業者・竹鶴政孝。ただひたすらにウイスキーを愛した男が自らを語った自伝の改訂復刻版。若き日、単身スコットランドに留学し、幾多の苦難を乗り越えてジャパニーズ・ウイスキーを完成させるまでの日々や、伴侶となるリタのことなどが鮮やかに描かれる。

(4).新世代蒸留所からの挑戦状

2019年発売。世界に空前のウイスキーブームが到来しているいま、クラフト蒸留所の経営者たちは何を考え、どんな想いでウイスキー造りに挑んだのか。日本でクラフト蒸留所が誕生するきっかけを作った、イチローズ・モルトで有名なベンチャーウイスキーの肥土伊知郎氏をはじめとする、13人のクラフト蒸留所の経営者たちが世界に挑む姿を綴った1冊。

(5).ウイスキーライジング

2016年にアメリカで出版された『Whisky Risng』の日本語版であり、内容も大幅にアップデート。ジャパニーズ・ウイスキーの歴史が詳細に記述されているだけでなく、近年、創設がつづくクラフト蒸溜所を含む、日本の全蒸溜所に関するデータも掲載。そのほかにも、今まで発売された伝説的なボトルの解説や、ジャパニーズ・ウイスキーが飲めるバーなども掲載されています。

(6).ウイスキーと風の味

1969年にニッカウヰスキーに入社した、三代目マスターブレンダーの佐藤茂夫氏の著書。
『ピュアモルト』『ブラックニッカクリア』『フロム・ザ・バレル』の生みの親でもあり、なかでも『シングルモルト余市1987』はウイスキーの国際的コンペティションWWA(ワールド・ウイスキー・アワード)にて「ワールド・ベスト・シングルモルト」を受賞。
竹鶴政孝、竹鶴威の意志を引き継いだブレンダー界のレジェンドが語る今昔。

この記事を書いた人
深瀬 悠二

北海道札幌市出身。
2005年、大手スポーツ用品販売チェーンに就職→2019年1月、BAR新海に就職しウイスキーの魅力に引き込まれ虜となる。初めて飲んだウイスキーはアードベッグ10年。ほぼ毎日ウイスキーを飲む中で更なる知識習得を目指し、ウイスキー検定2級とJC級(ジャパニーズクラフトウイスキー)を取得。
造り手の想いをしっかりと表現し、飲み手の方々に正しい情報を伝えたい。ウイスキーの魅力をたくさんの方に伝えたいという思いでウェブメディア「Japanese Whisky Dictionary」の編集を担当。

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