【新蒸留所】吉田電材蒸留所、2022年4月蒸留開始

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産業機器の設計、製造を手掛ける吉田電材工業(東京都)と、その子会社のヨシデン(新潟県)は、新潟県村上市宿田に「吉田電材蒸留所を設立。今は建設中ですが、2022年3月にはポットスチルの導入を、2022年4月には蒸留を開始する予定です。(2022年2月10日現在)

製造する製品は「グレーンウイスキー」。2~3年の熟成を予定。2021年2月に制定された、「ウイスキーにおけるジャパニーズウイスキーの表示に関する基準」の基準を満たしたブレンデッドウイスキーの需要が高まる可能性から、グレーンウイスキーに特化したクラフト蒸留所として差別化を図ります。

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1.メーカー

1-1.吉田電材工業株式会社

設立1940年(昭和15年)
本社所在地

〒110-0016 東京都台東区台東三丁目43番6号

所有蒸留所

吉田電材蒸留所

1-2.株式会社ヨシデン

設立2017年(平成29年)
本社所在地

〒959-2804 新潟県胎内市塩沢166-1

所有蒸留所吉田電材蒸留所

2.蒸留所

吉田電材蒸留所

所在地〒959-3435 新潟県村上市宿田344−1
創業開始2022年4月(予定)
公式HP吉田電材蒸留所公式HP

電気機器の製造販売・合成樹脂の製造及び加工販売・医療用機器の製造販売を行っている吉田電材工業株式会社と、その子会社の株式会社ヨシデンが設立。以前購入した半導体工場の建物を利用し、床面積は延べ約1090㎡。

 

新潟県村上市は、夏が短く、冬は非常に寒く、通年で湿度の高い地域。旧朝日村域は特別豪雪地帯に、その他は豪雪地帯に指定されています。

また日本海に面しており、山菜の宝庫として知られる日本国をはじめ、葡萄集落、雷集落などの山間部に囲まれ、湧水にも恵まれます。

吉田電材蒸留所は、日本の製造メーカーを下支えしてきた技術力で、正直で上質なこだわりのウイスキーづくりを目指します。

ポットスチルはドイツ製のハイブリッドスチルを使用するほか、原料加工の工程で3種の穀物を自在に混ぜ合わせることができる独自設備も有します。

現在は試験蒸留を繰り返しており、本格的に蒸留を開始するのは2022年4月の予定。(2022年2月10日現在)

生産する製品はグレーンウイスキー。熟成期間は2~3年を予定しており、県内をはじめとしたクラフト蒸留所のモルトウイスキーとブレンドしたブレンデッドウイスキーを生産する予定。

グレーンに特化した、ほかにはないクラフト蒸留所として差別化を図る。原料に県産デントコーンを使用するなど地元との連携も検討していく。

吉田電材蒸留所 松本匡史代表

■中部地方のその他の蒸留所についてはこちらもご覧ください。

4. 中部地方のウイスキー蒸留所
ジャパニーズウィスキー蒸留所一覧の中部エリア。サントリーが二番目に作った「白州蒸留所」、同じくサントリーの「知多蒸留所」、本坊酒造「マルス信州蒸留所」、キリンの「富士御殿場蒸留所」。クラフト蒸留所では「ガイアフロー静岡蒸留所」、「三郎丸蒸留所」、「長濱蒸留所」なども注目。

3.グレーンウイスキーとは?

グレーンウイスキーとは、「とうもろこしや小麦等の発芽させていない穀類を、麦芽の酵素力で糖化し、醗酵させたものを連続式蒸留器で蒸留したもの」が通念とされていて、要はとうもろこし、ライ麦、小麦などの穀類を主原料とし、そこに麦芽(サントリーやキリンは大麦麦芽と明言している)を糖化酵素として加えた後、「連続式蒸留器」で蒸留し、木の樽で熟成させたウイスキーのことです。おだやかでクセのない性質から「サイレントスピリッツ」と呼ばれていますが、ブレンデッドウイスキーを造る際はまず最初にグレーンウイスキーから決めていくそうで、それが味わいのベースとなり、モルトウイスキーの個性を引き出す存在として重要な役割を担っています。
昨今ではシングルグレーンウイスキーなるものも商品化されていて、今まではモルトウイスキーに寄り添ってブレンデッドウイスキーを縁の下で支えている印象が強かったグレーンウイスキーですが、口当たりがなめらかで甘く、すっきりとしたグレーンウイスキーはそれ単体でも充分においしく、ウイスキーとして高いポテンシャルがあり、徐々に注目されてきているのです。

グレーンウイスキーの代表的な商品として、サントリー「知多」・ニッカ「カフェグレーン」などがある。

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最後に:ジャパニーズウイスキーのおすすめ書籍

世界的なトレンドを巻き起こしている「ジャパニーズウイスキー」の事をもっと知りたい、もっと勉強したいという方は、是非こちらの書籍をおすすめいたします。

(1).Whisky Galore(ウイスキーガロア)Vol.42 2024年2月号

【巻頭特集】ウイスキーの聖地 アイラ島の“現在”を読み解く
アイラ島のウイスキーは、昔から「アイラモルト」という独自のカテゴリーを与えられてきた。現在9ヵ所の蒸留所があり、さらに2つの新蒸留所計画が発表されている、この小さな島を改めて紹介。
また、現在入手可能なウイスキー8種を土屋編集長が飲み比べる。
●掲載蒸留所
ボウモア、アードベッグ、ラガヴーリン、ラフロイグ、カリラ、ブナハーブン、ブルックラディ、キルホーマン、アードナッホー

【第2特集】北アイルランドのウイスキー
世界の五大ウイスキーのなかで、いまもっとも伸びているのがアイリッシュ。ブームを牽引する北アイルランドの最新情報をリポート。
●紹介ウイスキー
ブッシュミルズ、エクリンヴィル、グレンズ・オブ・アントリム、ヒンチ、キルオーウェン、マコーネルズ、ショートクロス、タイタニック・ディスティラーズ、トゥー・スタックス

【蒸留所リポート】
2023年に100周年を迎えたジャパニーズウイスキー。その第一歩が踏み出され、昨年リニューアルしたばかりのサントリー山崎蒸溜所を取材。そのほか月光川蒸留所や、個性的なツアーを行っている八郷蒸溜所&安積蒸溜所も紹介。

【インタビュー】
ワイルドターキーのマスターディスティラーであるエディー・ラッセル氏と、その息子ブルース・ラッセル氏を編集長がインタビュー。またフィンランドで自国ライ麦にこだわったウイスキーを造るキュロ蒸留所のミイカ氏にも話を聞いた。

【特集】
ウイスキーフェスティバル2023 in TOKYO、ウイスキーコニサークラブ新潟蒸留所ツアー、下田ウイスキーフェスリポート。

(2).ビジネスに効く教養としてのジャパニーズウイスキー

世界的にも有名なウイスキー評論家で、ウイスキー文化研究所代表 土屋守先生の著書「ビジネスに効く教養としてのジャパニーズウイスキー」です。
ウイスキーの基礎知識、日本へのウイスキーの伝来、ジャパニーズウイスキーの誕生、広告戦略とジャパニーズウイスキーの盛隆、そして、現在のクラフト蒸留所の勃興まで。日本のウイスキーの事が非常にわかりやすくまとめられた一冊。

(3).ウイスキーと私(竹鶴政孝)

日本でのウイスキー醸造に人生を捧げた、ニッカウヰスキー創業者・竹鶴政孝。ただひたすらにウイスキーを愛した男が自らを語った自伝の改訂復刻版。若き日、単身スコットランドに留学し、幾多の苦難を乗り越えてジャパニーズ・ウイスキーを完成させるまでの日々や、伴侶となるリタのことなどが鮮やかに描かれる。

(4).新世代蒸留所からの挑戦状

2019年発売。世界に空前のウイスキーブームが到来しているいま、クラフト蒸留所の経営者たちは何を考え、どんな想いでウイスキー造りに挑んだのか。日本でクラフト蒸留所が誕生するきっかけを作った、イチローズ・モルトで有名なベンチャーウイスキーの肥土伊知郎氏をはじめとする、13人のクラフト蒸留所の経営者たちが世界に挑む姿を綴った1冊。

(5).ウイスキーライジング

2016年にアメリカで出版された『Whisky Risng』の日本語版であり、内容も大幅にアップデート。ジャパニーズ・ウイスキーの歴史が詳細に記述されているだけでなく、近年、創設がつづくクラフト蒸溜所を含む、日本の全蒸溜所に関するデータも掲載。そのほかにも、今まで発売された伝説的なボトルの解説や、ジャパニーズ・ウイスキーが飲めるバーなども掲載されています。

(6).ウイスキーと風の味

1969年にニッカウヰスキーに入社した、三代目マスターブレンダーの佐藤茂夫氏の著書。
『ピュアモルト』『ブラックニッカクリア』『フロム・ザ・バレル』の生みの親でもあり、なかでも『シングルモルト余市1987』はウイスキーの国際的コンペティションWWA(ワールド・ウイスキー・アワード)にて「ワールド・ベスト・シングルモルト」を受賞。
竹鶴政孝竹鶴威の意志を引き継いだブレンダー界のレジェンドが語る今昔。

この記事を書いた人
新海 博之

1981年7月17日 北海道北広島市出身
大学卒業後、NTTデータカスタマサービス㈱へ新卒入社。
2010年「麻布十番BAR新海」を開業 → 2016年、名物「薬膳カレー」を開発 → 2018年「虎ノ門BAR新海」、2019年には「芝大門BAR新海」を開業 → 2020年 ウェブメディア「Japanese Whisky Dictionary」をスタート。
バーテンダーの私達だから出来る事として、ジャパニーズウイスキーの魅力を日々発信する。

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ジャパニーズウイスキーディクショナリー
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