2018年の酒類輸出金額は約618億円に上り、7年連続で過去最高を更新。
中でもウイスキーは今や世界にもその品質が認められ、ウイスキーの輸出金額は2015年にビールを上回り、清酒に次ぐ地位を占めるようになりました。
1.2018年度 酒類品目別輸出金額
品目 | 輸出金額(単位:千円) | 前年比(単位:%) |
清酒 | 22,231,502 | 119.0 |
ウイスキー | 14,977,532 | 109.8 |
ビール | 12,874,183 | 100.0 |
リキュール | 5,671,642 | 113.9 |
ジン・ウォッカ | 2,208,328 | 320.0 |
焼酎 | 1,529,620 | 99.5 |
ワイン | 280,978 | 55.3 |
その他 | 2,053,236 | 128.4 |
合計 | 61,827,021 | 113.4 |
突出すべき伸びを見せたのは「ジン」。単体での前年比は309.9%。
その急成長の背景には「クラフトジン」の世界的な流行から、サントリーやアサヒビールなどの大手ビールメーカーや焼酎メーカーが相次いで参入したことで生産量および輸出量増に繋がった結果に。
大きく動き出したのは2017年。輸出金額の前年比4258.7%と大きく上回り、2018年においては更に伸びをみせ、前年比309.9%の輸出金額となりました。
2.2018年度 酒類輸出先(国別)金額
順位 | 国 | 輸出金額(単位:百万円) | 前年比(単位:%) |
1位 | アメリカ | 13,110 | 109.1 |
2位 | 韓国 | 11,066 | 102.9 |
3位 | 中国 | 6,541 | 149.3 |
4位 | 台湾 | 5,910 | 111.3 |
5位 | 香港 | 5,821 | 121.4 |
6位 | フランス | 3,333 | 103.3 |
7位 | シンガポール | 3,148 | 113.7 |
8位 | オランダ | 2,479 | 105.6 |
9位 | オーストラリア | 2,407 | 126.7 |
10位 | ベトナム | 1,830 | 210.8 |
3.2018年度 ウイスキー輸出先金額
順位 | 国 | 輸出金額(単位:百万円) | 前年比(単位:%) |
1位 | アメリカ | 4,162 | 120.0 |
2位 | フランス | 2,778 | 101.4 |
3位 | オランダ | 1,481 | 82.3 |
4位 | 台湾 | 1,302 | 107.0 |
5位 | シンガポール | 1,248 | 115.3 |
6位 | 中国 | 1,171 | 274.2 |
7位 | ベトナム | 763 | ー |
8位 | オーストラリア | 474 | 97.0 |
9位 | 香港 | 302 | 134.2 |
10位 | 韓国 | 129 | 157.3 |
4.考察とまとめ
世界の品評会などで日本のウイスキーが数々の賞を獲得したきたことで日本産ウイスキーの世界的な人気が高まり、合わせて急増するインバウンドにより更にファンが増えた結果と推測。
また、海外での日本食レストランの増加に応じ、国産酒類が飲まれる傾向も強まっている。
酒類全般の輸出金額に関しては上位10か国すべてが前年比増という結果に。中でも「中国」(前年比149.3%)と「ベトナム」(前年比210.8%)が飛躍的な伸びを見せました。
ウイスキー輸出金額に関しても「中国」(前年比274.2%)と「ベトナム」(前年比圏外)が大きく伸びてきました。
酒類全般の輸出金額が2位の「韓国」はウイスキー輸出金額は10位となっていて、ウイスキーよりもビールの輸出(7,879百万円)が多い(ビールの輸出金額は圧倒的1位)という結果となりました。
5.国内のウイスキー動向
2018年、国内でリリースされた代表的なウイスキーはサントリーの「響ブレンダーズチョイス」、ニッカの「余市・宮城峡マンサニーリャウッドフィニッシュ」、厚岸蒸溜所の「厚岸ニューボーンファンデーション1・2」、嘉之助蒸溜所の「嘉之助ニューボーン2018」などが代表的な銘柄です。
厚岸蒸溜所や嘉之助蒸溜所など、いわゆる2016年組がリリース開始したのがこの2018年となります。
また、2018年11月に山形県の遊佐蒸溜所が操業を開始。
広島県の中国醸造(現・サクラオブルワリーアンドディスティラリー)が創業100年の記念事業としてSAKURAO DISTILLERYを設立し操業を開始したのも2018年となります。
最後に:ジャパニーズウイスキーのおすすめ書籍
世界的なトレンドを巻き起こしている「ジャパニーズウイスキー」の事をもっと知りたい、もっと勉強したいという方は、是非こちらの書籍をおすすめいたします。
(1).Whisky Galore(ウイスキーガロア)Vol.42 2024年2月号
【巻頭特集】ウイスキーの聖地 アイラ島の“現在”を読み解く
アイラ島のウイスキーは、昔から「アイラモルト」という独自のカテゴリーを与えられてきた。現在9ヵ所の蒸留所があり、さらに2つの新蒸留所計画が発表されている、この小さな島を改めて紹介。
また、現在入手可能なウイスキー8種を土屋編集長が飲み比べる。
●掲載蒸留所
ボウモア、アードベッグ、ラガヴーリン、ラフロイグ、カリラ、ブナハーブン、ブルックラディ、キルホーマン、アードナッホー
【第2特集】北アイルランドのウイスキー
世界の五大ウイスキーのなかで、いまもっとも伸びているのがアイリッシュ。ブームを牽引する北アイルランドの最新情報をリポート。
●紹介ウイスキー
ブッシュミルズ、エクリンヴィル、グレンズ・オブ・アントリム、ヒンチ、キルオーウェン、マコーネルズ、ショートクロス、タイタニック・ディスティラーズ、トゥー・スタックス
【蒸留所リポート】
2023年に100周年を迎えたジャパニーズウイスキー。その第一歩が踏み出され、昨年リニューアルしたばかりのサントリー山崎蒸溜所を取材。そのほか月光川蒸留所や、個性的なツアーを行っている八郷蒸溜所&安積蒸溜所も紹介。
【インタビュー】
ワイルドターキーのマスターディスティラーであるエディー・ラッセル氏と、その息子ブルース・ラッセル氏を編集長がインタビュー。またフィンランドで自国ライ麦にこだわったウイスキーを造るキュロ蒸留所のミイカ氏にも話を聞いた。
【特集】
ウイスキーフェスティバル2023 in TOKYO、ウイスキーコニサークラブ新潟蒸留所ツアー、下田ウイスキーフェスリポート。
(2).ビジネスに効く教養としてのジャパニーズウイスキー
世界的にも有名なウイスキー評論家で、ウイスキー文化研究所代表 土屋守先生の著書「ビジネスに効く教養としてのジャパニーズウイスキー」です。
ウイスキーの基礎知識、日本へのウイスキーの伝来、ジャパニーズウイスキーの誕生、広告戦略とジャパニーズウイスキーの盛隆、そして、現在のクラフト蒸留所の勃興まで。日本のウイスキーの事が非常にわかりやすくまとめられた一冊。
(3).ウイスキーと私(竹鶴政孝)
日本でのウイスキー醸造に人生を捧げた、ニッカウヰスキー創業者・竹鶴政孝。ただひたすらにウイスキーを愛した男が自らを語った自伝の改訂復刻版。若き日、単身スコットランドに留学し、幾多の苦難を乗り越えてジャパニーズ・ウイスキーを完成させるまでの日々や、伴侶となるリタのことなどが鮮やかに描かれる。
(4).新世代蒸留所からの挑戦状
2019年発売。世界に空前のウイスキーブームが到来しているいま、クラフト蒸留所の経営者たちは何を考え、どんな想いでウイスキー造りに挑んだのか。日本でクラフト蒸留所が誕生するきっかけを作った、イチローズ・モルトで有名なベンチャーウイスキーの肥土伊知郎氏をはじめとする、13人のクラフト蒸留所の経営者たちが世界に挑む姿を綴った1冊。
(5).ウイスキーライジング
2016年にアメリカで出版された『Whisky Risng』の日本語版であり、内容も大幅にアップデート。ジャパニーズ・ウイスキーの歴史が詳細に記述されているだけでなく、近年、創設がつづくクラフト蒸溜所を含む、日本の全蒸溜所に関するデータも掲載。そのほかにも、今まで発売された伝説的なボトルの解説や、ジャパニーズ・ウイスキーが飲めるバーなども掲載されています。
(6).ウイスキーと風の味
1969年にニッカウヰスキーに入社した、三代目マスターブレンダーの佐藤茂夫氏の著書。
『ピュアモルト』『ブラックニッカクリア』『フロム・ザ・バレル』の生みの親でもあり、なかでも『シングルモルト余市1987』はウイスキーの国際的コンペティションWWA(ワールド・ウイスキー・アワード)にて「ワールド・ベスト・シングルモルト」を受賞。
竹鶴政孝、竹鶴威の意志を引き継いだブレンダー界のレジェンドが語る今昔。