2019年の酒類輸出金額は約660億円に上り、8年連続で過去最高を更新。
特に「ウイスキー」と「ジン・ウォッカ」に関してはとどまる所を知らない勢いで昨年に続き大きく伸びました。
1.2019年度 酒類品目別輸出金額
品目 | 輸出金額(千円) | 前年比(%) |
清酒 | 23,412,129 | 105.3 |
ウイスキー | 19,450,914 | 129.9 |
ビール | 9,165,267 | 71.2 |
リキュール | 6,440,115 | 113.5 |
ジン・ウォッカ | 3,402,355 | 154.1 |
焼酎 | 1,560,092 | 102.0 |
ワイン | 177,151 | 63.0 |
その他 | 2,475,233 | 120.6 |
合計 | 66,083,256 | 106.9 |
ウイスキーが清酒に迫る勢いで上昇。
昨年は大幅上昇した「ジン」は前年比114.8%と少し落ち着きを見せた。「ウォッカ」は分母は少ないものの前年比509.7%と牽引した結果となる。
2.2019年度 酒類輸出先(国別)金額
順位 | 昨年順位 | 国 | 輸出金額(百万円) | 前年比(%) |
1位 | 1位→ | アメリカ | 15,662 | 119.5 |
2位 | 3位↑ | 中国 | 10,117 | 154.7 |
3位 | 5位↑ | 香港 | 6,253 | 107.4 |
4位 | 4位→ | 台湾 | 6,198 | 104.9 |
5位 | 2位↓ | 韓国 | 6,151 | 55.6 |
6位 | 8位↑ | オランダ | 3,607 | 145.5 |
7位 | 7位→ | シンガポール | 3,443 | 109.4 |
8位 | 6位↓ | フランス | 3,440 | 103.2 |
9位 | 9位→ | オーストラリア | 2,292 | 95.2 |
10位 | 10位→ | ベトナム | 1,927 | 105.3 |
中国が2位に浮上、前年比154.7%とアメリカに迫る勢いで伸びをみせる結果となりました。
韓国の前年比55.6%の要因は、日本政府が2019年8月に韓国に対する輸出管理を強化したことで、韓国で「ビール」など日本製品に対する不買運動が起こった影響が大きいと言えます。
韓国への酒類輸出の大半を「ビール」が占めていた影響が大きく、韓国へ輸出した日本ビールの輸出額は昨年2018年がピークで約79億円。2019年は不買運動の煽りを受けて約40億円に急減した。
3.2019年度 ウイスキー輸出先金額
順位 | 昨年順位 | 国 | 輸出金額(百万円) | 前年比(%) |
1位 | 1位→ | アメリカ | 5,398 | 130.0 |
2位 | 2位→ | フランス | 2,746 | 98.8 |
3位 | 6位↑ | 中国 | 2,528 | 215.9 |
4位 | 3位↓ | オランダ | 2,431 | 164.1 |
5位 | 5位→ | シンガポール | 1,419 | 113.7 |
6位 | 4位↓ | 台湾 | 1,284 | 98.6 |
7位 | 7位→ | ベトナム | 1,004 | 131.6 |
8位 | 8位→ | オーストラリア | 569 | 120.0 |
9位 | 9位→ | 香港 | 360 | 119.2 |
10位 | 10位→ | 韓国 | 204 | 158.1 |
4.考察とまとめ
ウイスキーが清酒に迫る勢いで上昇。
日本産のウイスキーは世界的に更に人気が広がりをみせ、特に高価格帯の商品が好まれている傾向。
ウイスキー輸出先TOP10か国が大幅に前年比を上回る結果(フランスと台湾以外)となった。中でも中国(前年比215.9%)とオランダ(前年比164.1%)が大きく躍進。結果的に順位を上げたのは中国のみ。中国は順位を3つ上げ2位のフランスに肉薄する状態となりました。
5.国内のウイスキー動向
2019年、国内でリリースされた代表的なウイスキーはニッカの「余市・宮城峡リミテッドエディション2019」、厚岸蒸溜所の「厚岸ニューボーンファンデーション3・4」、嘉之助蒸溜所の「嘉之助ニューボーン2019」などがある。
10月にはベンチャーウイスキーの秩父第二蒸溜所が操業開始。第一蒸溜所の5倍の生産量で話題になりました。
11月には宮城県の尾鈴山蒸留所がウイスキーの製造を開始。
鹿児島県、西酒造の御岳蒸留所が操業を開始したのも2019年となります。
また、国内各地でクラフト蒸溜所の建設予定が続々と出てきたのもこの時期となります。
最後に:ジャパニーズウイスキーのおすすめ書籍
世界的なトレンドを巻き起こしている「ジャパニーズウイスキー」の事をもっと知りたい、もっと勉強したいという方は、是非こちらの書籍をおすすめいたします。
(1).Whisky Galore(ウイスキーガロア)Vol.42 2024年2月号
【巻頭特集】ウイスキーの聖地 アイラ島の“現在”を読み解く
アイラ島のウイスキーは、昔から「アイラモルト」という独自のカテゴリーを与えられてきた。現在9ヵ所の蒸留所があり、さらに2つの新蒸留所計画が発表されている、この小さな島を改めて紹介。
また、現在入手可能なウイスキー8種を土屋編集長が飲み比べる。
●掲載蒸留所
ボウモア、アードベッグ、ラガヴーリン、ラフロイグ、カリラ、ブナハーブン、ブルックラディ、キルホーマン、アードナッホー
【第2特集】北アイルランドのウイスキー
世界の五大ウイスキーのなかで、いまもっとも伸びているのがアイリッシュ。ブームを牽引する北アイルランドの最新情報をリポート。
●紹介ウイスキー
ブッシュミルズ、エクリンヴィル、グレンズ・オブ・アントリム、ヒンチ、キルオーウェン、マコーネルズ、ショートクロス、タイタニック・ディスティラーズ、トゥー・スタックス
【蒸留所リポート】
2023年に100周年を迎えたジャパニーズウイスキー。その第一歩が踏み出され、昨年リニューアルしたばかりのサントリー山崎蒸溜所を取材。そのほか月光川蒸留所や、個性的なツアーを行っている八郷蒸溜所&安積蒸溜所も紹介。
【インタビュー】
ワイルドターキーのマスターディスティラーであるエディー・ラッセル氏と、その息子ブルース・ラッセル氏を編集長がインタビュー。またフィンランドで自国ライ麦にこだわったウイスキーを造るキュロ蒸留所のミイカ氏にも話を聞いた。
【特集】
ウイスキーフェスティバル2023 in TOKYO、ウイスキーコニサークラブ新潟蒸留所ツアー、下田ウイスキーフェスリポート。
(2).ビジネスに効く教養としてのジャパニーズウイスキー
世界的にも有名なウイスキー評論家で、ウイスキー文化研究所代表 土屋守先生の著書「ビジネスに効く教養としてのジャパニーズウイスキー」です。
ウイスキーの基礎知識、日本へのウイスキーの伝来、ジャパニーズウイスキーの誕生、広告戦略とジャパニーズウイスキーの盛隆、そして、現在のクラフト蒸留所の勃興まで。日本のウイスキーの事が非常にわかりやすくまとめられた一冊。
(3).ウイスキーと私(竹鶴政孝)
日本でのウイスキー醸造に人生を捧げた、ニッカウヰスキー創業者・竹鶴政孝。ただひたすらにウイスキーを愛した男が自らを語った自伝の改訂復刻版。若き日、単身スコットランドに留学し、幾多の苦難を乗り越えてジャパニーズ・ウイスキーを完成させるまでの日々や、伴侶となるリタのことなどが鮮やかに描かれる。
(4).新世代蒸留所からの挑戦状
2019年発売。世界に空前のウイスキーブームが到来しているいま、クラフト蒸留所の経営者たちは何を考え、どんな想いでウイスキー造りに挑んだのか。日本でクラフト蒸留所が誕生するきっかけを作った、イチローズ・モルトで有名なベンチャーウイスキーの肥土伊知郎氏をはじめとする、13人のクラフト蒸留所の経営者たちが世界に挑む姿を綴った1冊。
(5).ウイスキーライジング
2016年にアメリカで出版された『Whisky Risng』の日本語版であり、内容も大幅にアップデート。ジャパニーズ・ウイスキーの歴史が詳細に記述されているだけでなく、近年、創設がつづくクラフト蒸溜所を含む、日本の全蒸溜所に関するデータも掲載。そのほかにも、今まで発売された伝説的なボトルの解説や、ジャパニーズ・ウイスキーが飲めるバーなども掲載されています。
(6).ウイスキーと風の味
1969年にニッカウヰスキーに入社した、三代目マスターブレンダーの佐藤茂夫氏の著書。
『ピュアモルト』『ブラックニッカクリア』『フロム・ザ・バレル』の生みの親でもあり、なかでも『シングルモルト余市1987』はウイスキーの国際的コンペティションWWA(ワールド・ウイスキー・アワード)にて「ワールド・ベスト・シングルモルト」を受賞。
竹鶴政孝、竹鶴威の意志を引き継いだブレンダー界のレジェンドが語る今昔。