【レビュー】シングルモルト嘉之助

ウィスキーレビュー
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嘉之助蒸溜所

今回発売された「シングルモルト嘉之助」は嘉之助蒸溜所初となる”定番商品”でシングルモルトジャパニーズウイスキーです。とはいえ嘉之助蒸溜所も現時点では安定的に商品を供給することが叶わない旨を公表しており、当面は蒸留所内SHOPやWEBでの販売はしないようです。
原酒は増産(1日2仕込みに追加)しているようなので今後に期待といったところでしょうか。

ラベルデザインは、嘉之助蒸溜所内のメローBARから臨む東シナ海に沈む夕日と水平線をモチーフにしたもの。

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1.メーカー

小正嘉之助蒸溜所株式会社

設立 2021年8月
本社所在地 〒899-2421 鹿児島県日置市日吉町神之川845-3
所有蒸留所 嘉之助蒸溜所

2.蒸留所

嘉之助蒸溜所

所在地 〒899-2421 鹿児島県日置市日吉町神之川845-3
操業開始 2017年

嘉之助蒸溜所は鹿児島県の西岸、吹上浜沿いの約9,000㎡の敷地に建っています。
コの字形で2階建ての本棟には蒸留設備のほかに、眺めのいいBARやオリジナルグッズを販売するショップなどがあります。
蒸留所の大きな特徴はポットスチル(蒸留器)が大・中・小と3基備えてあること。それぞれの容量は6000ℓ・3000ℓ・1600ℓです。
世界的にみてもクラフト・ディスティラリー(小規模蒸留所)は2基が一般的。ウイスキーは通常蒸留は2回行うが、2回目の蒸留(再留)の際にネックの形状や上部のラインアームの角度の異なるポットスチルを使用することで原酒の香りや味わいをより豊かに変化させることができるのです。
蒸留所の建つ吹上浜は”日本三大砂丘”の一つに数えられ、”日本の渚百選”にも選ばれています。砂浜の長さは南北約47kmにも及び海面から強い風が巻き上がり、蒸留所一帯は海からの細かな飛沫で真白な霧に包まれます。夏は暑く冬には0℃近辺まで冷え込んで雪が舞うことも珍しくない寒暖差のある土地柄です。

嘉之助蒸溜所の詳細情報は、こちらの記事もご覧ください。

嘉之助蒸溜所 | ジャパニーズウイスキーディクショナリー
Japanese Whisky Dictionary

3.商品名と写真

シングルモルト嘉之助
Single Malt Kanosuke

4.特徴

「シングルモルト嘉之助」は、”メローコヅル”の製造で培われた小正醸造伝統の「蒸留酒造り」と「樽貯蔵」の技術を生かし、”嘉之助蒸溜所らしさを感じられるメローなウイスキー”をコンセプトに造られました。
ノンピート麦芽を使用し、アメリカンホワイトオークのリチャーカスクで熟成した原酒をキーに、複数の樽をヴァッティング。ノンチルフィルターで48%まで加水し、ボトリングしました。

麦芽:ノンピート麦芽、ピート麦芽
酵母:ディスティラリー酵母
ポットスチル:三宅製作所製 初留釜6,000L、再留釜3,000L、1,600L
貯蔵樽:アメリカンホワイトオークのリチャーカスクをキーに複数樽をヴァッティング

TASTING NOTE

COLOR(色): べっこう飴
NOSE(香り): はちみつ、バナナ、レモンティ、キャラメル
TASTE:(含み) かりん飴、ニッキ、生姜、仄かにスモークナッツ
FINISH(余韻):上品な甘苦さが穏やかに長く続く

引用:シングルモルト嘉之助 | 嘉之助蒸溜所

4-1.テイスティングノート

香り バター、ナッツ、シトラス
味わい 水あめ、バニラ、りんごの甘酸っぱさやウッディさも感じる
余韻 バニラの甘さからハーブの爽やかな余韻に変化していく

4-2.商品スペック

アルコール度数 48%
酒別 シングルモルトジャパニーズウイスキー
樽種 アメリカンホワイトオーク(リチャーカスク)ほか
内容量 700ml
販売本数
希望小売価格 9,900円(税込)
発売日 2023年1月18日

5.受賞歴

現時点では受賞歴はありません。

6.価格

6-1.メーカー希望小売価格

商品名 シングルモルト嘉之助
容量 700ml
希望小売価格 9,900円(税込)

6-2.メルカリでの転売価格

メルカリでの転売価格は、13,000円~15,000円前後となっています。(※2023/1/18時点)

6-3.ヤフーオークション落札価格

現在ヤフーオークションでの出品は無いようです。(※2023/1/18時点) 

6-4.楽天、ヤフーショッピング、Amazon

通販サイトでは、24,000円で販売されています。( ※2023/1/18時点)

6-5.BAR新海での提供価格

当サイトが運営する「BAR新海」では、1杯、45ml:2,310円、30ml:1,540円、15ml:770円にて提供しております。

「BAR新海」のご案内
Japanese Whisky Dictionaryが運営する「BAR新海」は、東京都港区に3店舗。当サイトで紹介しているジャパニーズウィスキーをはじめ、国産のジンやビールなども取扱い。オリジナルカクテル、フレッシュフルーツカクテルなども人気。食事も豊富で1件目からも利用可能。

7.まとめ

今作は定番品としてのリリースなので、今すぐ手に入らないという方もおそらく今後お近くの酒屋さんなどで買える機会はありそうです。リリース前はかなり初期出荷本数は少ないと聞いておりましたが、案外出回っているのかなという印象です。

味わいは嘉之助ファーストエディションを思わせる、メローコヅルのリチャーカスクが効いている印象です。加水調整しながらも嘉之助らしさは残っていて、飲み疲れしない、もう一口もう一口と飲みたくなる味わいです。

それぞれの蒸溜所が少しずつ「定番商品」をリリースしてきてるのは大変嬉しいことです。限られた原酒の中で定番品をリリースし、それを造り続けるというのはどこの蒸溜所でもすぐにできるということではありません。これこそ企業努力の賜物だと思います。2023年の嘉之助蒸溜所も応援したい一心ですね。

 

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最後に:ジャパニーズウイスキーのおすすめ書籍

世界的なトレンドを巻き起こしている「ジャパニーズウイスキー」の事をもっと知りたい、もっと勉強したいという方は、是非こちらの書籍をおすすめいたします。

(1).Whisky Galore(ウイスキーガロア)Vol.47 2024年12月号

【巻頭特集】
「新アイリッシュ・ルネッサンス[第2弾]」
【第2特集】
「日本のクラフト蒸留所最前線」
今号では北海道の厚岸と苫小牧、そしてクラフト蒸留所に麦芽を供給する中標津のクラフトモルティング社についても紹介します。さらに三島のウォータードラゴンと、ZEMONⅡが稼働する飛騨高山蒸溜所も再訪。
【連続ロングインタビュー】
第3回 ガイアフロー静岡蒸溜所 中村大航氏
【特別リポート】
遊佐蒸溜所の挑戦
第二期リニューアルが完了したサントリー白州蒸溜所

(2).ビジネスに効く教養としてのジャパニーズウイスキー

世界的にも有名なウイスキー評論家で、ウイスキー文化研究所代表 土屋守先生の著書「ビジネスに効く教養としてのジャパニーズウイスキー」です。
ウイスキーの基礎知識、日本へのウイスキーの伝来、ジャパニーズウイスキーの誕生、広告戦略とジャパニーズウイスキーの盛隆、そして、現在のクラフト蒸留所の勃興まで。日本のウイスキーの事が非常にわかりやすくまとめられた一冊。

(3).ウイスキーと私(竹鶴政孝)

日本でのウイスキー醸造に人生を捧げた、ニッカウヰスキー創業者・竹鶴政孝。ただひたすらにウイスキーを愛した男が自らを語った自伝の改訂復刻版。若き日、単身スコットランドに留学し、幾多の苦難を乗り越えてジャパニーズ・ウイスキーを完成させるまでの日々や、伴侶となるリタのことなどが鮮やかに描かれる。

(4).新世代蒸留所からの挑戦状

2019年発売。世界に空前のウイスキーブームが到来しているいま、クラフト蒸留所の経営者たちは何を考え、どんな想いでウイスキー造りに挑んだのか。日本でクラフト蒸留所が誕生するきっかけを作った、イチローズ・モルトで有名なベンチャーウイスキーの肥土伊知郎氏をはじめとする、13人のクラフト蒸留所の経営者たちが世界に挑む姿を綴った1冊。

(5).ウイスキーライジング

2016年にアメリカで出版された『Whisky Risng』の日本語版であり、内容も大幅にアップデート。ジャパニーズ・ウイスキーの歴史が詳細に記述されているだけでなく、近年、創設がつづくクラフト蒸溜所を含む、日本の全蒸溜所に関するデータも掲載。そのほかにも、今まで発売された伝説的なボトルの解説や、ジャパニーズ・ウイスキーが飲めるバーなども掲載されています。

(6).ウイスキーと風の味

1969年にニッカウヰスキーに入社した、三代目マスターブレンダーの佐藤茂夫氏の著書。
『ピュアモルト』『ブラックニッカクリア』『フロム・ザ・バレル』の生みの親でもあり、なかでも『シングルモルト余市1987』はウイスキーの国際的コンペティションWWA(ワールド・ウイスキー・アワード)にて「ワールド・ベスト・シングルモルト」を受賞。
竹鶴政孝竹鶴威の意志を引き継いだブレンダー界のレジェンドが語る今昔。

この記事を書いた人
深瀬 悠二

北海道札幌市出身。
2005年、大手スポーツ用品販売チェーンに就職→2019年1月、BAR新海に就職しウイスキーの魅力に引き込まれ虜となる。初めて飲んだウイスキーはアードベッグ10年。ほぼ毎日ウイスキーを飲む中で更なる知識習得を目指し、ウイスキー検定2級とJC級(ジャパニーズクラフトウイスキー)を取得。
造り手の想いをしっかりと表現し、飲み手の方々に正しい情報を伝えたい。ウイスキーの魅力をたくさんの方に伝えたいという思いでウェブメディア「Japanese Whisky Dictionary」の編集を担当。

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