「岩井トラディション」はマルスの生みの親「岩井喜一郎」氏へ尊敬と感謝の念を込めて作られたブレンデッドウイスキーです。
複雑で心地よい香りが特徴、口当たりは優しく、柔らかいがボディーがしっかりしていて熟成感も感じられます。
上品かつ重厚感のある味わいの「岩井トラディション」を、極甘口シェリーのペドロヒメネスを熟成していた樽を使って追加熟成させたブレンデッドウイスキーが岩井トラディションシェリーカスクフィニッシュです。
1.メーカー
本坊酒造株式会社
設立 | 1872年 |
本社所在地 | 〒891-0122; 鹿児島県鹿児島市南栄三丁目27番地 |
所有蒸留所 | マルス信州蒸溜所、マルス津貫蒸溜所 |
2.蒸留所
マルス信州蒸溜所
所在地 | 〒399-4301 長野県上伊那郡宮田村4752-31 |
操業開始 | 1985年 |
鹿児島の地で日本の蒸留酒「焼酎」造りに邁進していた本坊酒造が、ウイスキー製造免許を取得したのが1949年。それ以来、「いつか日本の風土を活かした本物のウイスキーを造りたい」と夢を抱き続けていました。
鹿児島でのウイスキー製造から数年経た後、1960年に山梨にワインとウイスキー製造のための工場「マルス山梨ワイナリー」を設立。そして、本格的にウイスキー造りに取り組むために、さらなる理想の地を探し求めました。
澄んだ空気の寒冷地であり、しかも適度な湿度と良質な水に恵まれていることなど、ウイスキー造りのための自然条件は大変厳しいものがあります。
こうした条件を満たす土地を探し求め、1985年ウイスキー造りに最適な環境を求めて長野県中央アルプス駒ヶ岳山麓標高798mの地にマルス信州蒸溜所を開設致しました。
1992年にウイスキー需要低迷により蒸留を休止。その後、世界的にジャパニーズウイスキーが評価されはじめる中、ウイスキー需要が回復傾向にあった2009年に蒸留再開を決意し2011年2月より再スタート。
2020年9月、35年ぶりの全面リニューアル。投資額は約12億円。
2019年5月から、老朽化した設備の改修とウイスキー増産を見据えた樽貯蔵庫施設の整備やウイスキー造りの見学を目的にしたウイスキー蒸留棟(樽貯蔵庫を含む)と、オリジナルウイスキーやグッズ販売などを目的にビジター棟を新設、既存の設備及び施設を改修。
新設したウイスキー蒸留棟は1,996㎡(延床面積、約2,500樽収容予定の樽貯蔵庫含む)、ビジター棟は746㎡。
引用:本坊酒造公式HP
■製造能力:原料麦芽1.1t/日
■原酒製造量:約700L/日、約185KL/年(2020年度予定)
■主要な設備:麦芽粉砕機1基、マッシュタンロイテル(糖化槽)6KL×1基、ステンレス発酵タンク6KL×3基、ダグラスファー木槽発酵タンク(移設)6KL×3基、初溜釜(移設)
マルス信州蒸溜所の情報はこちら↓もご覧ください。
3.商品名と写真
岩井トラディション シェリーカスクフィニッシュ
Iwai Tradition Sherry Cask Finish
4.特徴
シェリー樽で追加熟成されたブレンデッドウイスキー
「岩井トラディション」を、極甘口のシェリー「ペドロ・ヒメネス」に使用した空き樽に入れ追加熟成(フィニッシュ)したブレンデッドウイスキーです。岩井トラディション本来の豊かな風味に加え、シェリー樽由来のブラウンシュガー、メイプルシロップのような香りと上品な甘さをバランス良く感じることができる逸品に仕上がりました。
4-1.テイスティングノート
香り | シロップのような甘い香り、シェリー樽由来の芳醇な樽香 |
味わい | とろっとした舌触りと蜜のような甘さとペドロヒメネスの極甘な味わい |
余韻 | 甘い樽香からやわらかで上品な甘さに変化 |
4-2.商品スペック
アルコール度数 | 40% |
酒別 | ブレンデッド |
樽種 | シェリー(ペドロ・ヒメネス)カスクフィニッシュ |
内容量 | 700ml |
販売本数 | 数量限定 |
希望小売価格 | 2,970円(税込) |
発売日 | 2021年3月26日 |
5.受賞歴
現時点での受賞歴はありません。
6.価格
6-1.メーカー希望小売価格
商品名 | 岩井トラディション シェリーカスクフィニッシュ |
容量 | 700ml |
希望小売価格 | 税込:2,970円 |
6-2.メルカリでの転売価格 ※2024年9月6日更新
メルカリでの転売価格は、6,000円〜7,000円前後の価格帯が中心となり入手が可能となっています。
しかしながら、単品での出品はタイミングによるもので、なかなか出会えない事も多いです。おおよその場合、岩井の他の種類との取り合わせによって、出品されている場合が多い印象です。(※2024/9/6時点)
6-3.ヤフーオークション落札価格 ※2024年9月6日更新
ヤフーオークションにて現在出品中の本体価格は、7,000円前後となっているようです。(※2024/9/6時点)
ちなみに、参考程度になりますが、最新(2024/9/6時点)のリサーチでは、単品での出品は、画像掲載されている1本のみでした。メルカリと同様に、他のウイスキーと取り合わせて出品、もしくは複数本での出品が多い印象です。
6-4.楽天、ヤフーショッピング、Amazon ※2024年9月6日更新
通販サイトでも、7,500円〜10,000円前後で販売されています。 (※2024/9/6時点)
6-5.BAR新海での提供価格
当サイトが運営する「BAR新海」では、1杯、45ml:1,320円で提供しております。
7.まとめ
香りよりも口に含んだ時の甘さにインパクトがありました。ペドロヒメネス由来のまろやかな甘さが一気に押し寄せてきます。よくあるアルコール(舌がヒリヒリやピリピリなど)を感じることはほとんど無く、最初から最後まで甘さで終わるウイスキーです。複雑さはあまり無い印象で少し単調ではありますが、今まであまりウイスキーは得意でないと思っている方や甘いウイスキーを好まれる方には飲みやすくてオススメです。
飲み方はストレートがオススメ。単純にこのウイスキーの特徴である「甘さ」をしっかり感じることができます。加水すると甘さは弱く(薄く)なってしまったので、ストレートで飲むのに抵抗がある方はロックで飲んで甘さの変化を愉しむのもありかなと思います。ハイボールだと1:1でソーダで割って少し濃いめのハイボールが美味しそうな印象です。
スコッチのようなモルト感やピートを好むような方は物足りなく感じてしまうかもしれません。
本坊酒造といえばマルス信州蒸溜所が有名で、ブレンデッドウイスキーの「岩井トラディション」やシングルモルトの「駒ヶ岳」でお馴染みだと思いますが、最近は津貫蒸溜所からも続々とウイスキーがリリースされていて「津貫ザ・ファースト」「津貫ピーテッド」など、高品質なジャパニーズウイスキーを作り上げています。
更に「屋久島」には熟成専用のエージングセラーがあり、信州蒸溜所や津貫蒸溜所で蒸留した原酒を屋久島で熟成させて商品化されたウイスキーもあります。屋久島は平均気温が高い為、その分熟成も早く進むようです。同じタイミングで蒸留された原酒でも信州で熟成するか屋久島で熟成するかで同じ期間熟成させてもウイスキーとしての味わいに違いが出るということです。
マルス信州蒸溜所・マルス津貫蒸溜所ともに、一部制限はあるものの蒸留所見学を行っているので興味がある方は是非足を運んでみてはいかがでしょうか。
マルス信州蒸溜所見学の申し込みはこちらから↓↓↓
工場見学/マルス信州蒸溜所 (MARS Shinshu Distillery)
マルス津貫蒸溜所見学の申し込みはこちらから↓↓↓
工場見学/マルス津貫蒸溜所 (MARS Tsunuki Distillery)
■「本坊酒造・岩井トラディション」に関するその他の記事も是非ご覧ください。
最後に:ジャパニーズウイスキーのおすすめ書籍
世界的なトレンドを巻き起こしている「ジャパニーズウイスキー」の事をもっと知りたい、もっと勉強したいという方は、是非こちらの書籍をおすすめいたします。
(1).Whisky Galore(ウイスキーガロア)Vol.47 2024年12月号
【巻頭特集】
「新アイリッシュ・ルネッサンス[第2弾]」
【第2特集】
「日本のクラフト蒸留所最前線」
今号では北海道の厚岸と苫小牧、そしてクラフト蒸留所に麦芽を供給する中標津のクラフトモルティング社についても紹介します。さらに三島のウォータードラゴンと、ZEMONⅡが稼働する飛騨高山蒸溜所も再訪。
【連続ロングインタビュー】
第3回 ガイアフロー静岡蒸溜所 中村大航氏
【特別リポート】
遊佐蒸溜所の挑戦
第二期リニューアルが完了したサントリー白州蒸溜所
(2).ビジネスに効く教養としてのジャパニーズウイスキー
世界的にも有名なウイスキー評論家で、ウイスキー文化研究所代表 土屋守先生の著書「ビジネスに効く教養としてのジャパニーズウイスキー」です。
ウイスキーの基礎知識、日本へのウイスキーの伝来、ジャパニーズウイスキーの誕生、広告戦略とジャパニーズウイスキーの盛隆、そして、現在のクラフト蒸留所の勃興まで。日本のウイスキーの事が非常にわかりやすくまとめられた一冊。
(3).ウイスキーと私(竹鶴政孝)
日本でのウイスキー醸造に人生を捧げた、ニッカウヰスキー創業者・竹鶴政孝。ただひたすらにウイスキーを愛した男が自らを語った自伝の改訂復刻版。若き日、単身スコットランドに留学し、幾多の苦難を乗り越えてジャパニーズ・ウイスキーを完成させるまでの日々や、伴侶となるリタのことなどが鮮やかに描かれる。
(4).新世代蒸留所からの挑戦状
2019年発売。世界に空前のウイスキーブームが到来しているいま、クラフト蒸留所の経営者たちは何を考え、どんな想いでウイスキー造りに挑んだのか。日本でクラフト蒸留所が誕生するきっかけを作った、イチローズ・モルトで有名なベンチャーウイスキーの肥土伊知郎氏をはじめとする、13人のクラフト蒸留所の経営者たちが世界に挑む姿を綴った1冊。
(5).ウイスキーライジング
2016年にアメリカで出版された『Whisky Risng』の日本語版であり、内容も大幅にアップデート。ジャパニーズ・ウイスキーの歴史が詳細に記述されているだけでなく、近年、創設がつづくクラフト蒸溜所を含む、日本の全蒸溜所に関するデータも掲載。そのほかにも、今まで発売された伝説的なボトルの解説や、ジャパニーズ・ウイスキーが飲めるバーなども掲載されています。
(6).ウイスキーと風の味
1969年にニッカウヰスキーに入社した、三代目マスターブレンダーの佐藤茂夫氏の著書。
『ピュアモルト』『ブラックニッカクリア』『フロム・ザ・バレル』の生みの親でもあり、なかでも『シングルモルト余市1987』はウイスキーの国際的コンペティションWWA(ワールド・ウイスキー・アワード)にて「ワールド・ベスト・シングルモルト」を受賞。
竹鶴政孝、竹鶴威の意志を引き継いだブレンダー界のレジェンドが語る今昔。