【開催レポート】厚岸蒸溜所×BAR新海 セミナー&ペアリングディナー&ファンミーティング

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堅展実業厚岸蒸溜所
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2026/3/22にBAR新海芝大門店で開催された厚岸蒸溜所ファンミーティングイベントをレポート。

昨今では、さまざまなウイスキーイベントが開催されており、試飲の機会にも恵まれています。

BAR新海でもジャパニーズウイスキーを数多く取り扱っていますが、当店はBARでありながら食事も提供しており、同社にはイタリアンレストランもあります。そこで、BARとしてのウイスキーの飲み方の提案に加え、食事とのペアリングにも取り組めるのではないかと考え、本イベントを企画しました。

今回のイベントでは、厚岸ウイスキーのファン17名様という限られた方々にご参加いただき、3部構成・5時間にわたるセミナー〜フードペアリング〜交流会をご体験いただきました。

第一部:厚岸蒸溜所セミナー

厚岸蒸溜所 立崎本部長をお招きし、セミナーを行っていただきました。
資料写真は公開できませんが、内容を簡単にご紹介いたします。

左:立崎本部長 右:新海

① 国内のウイスキーの動向

国税庁の酒税に関する資料や、ジャパニーズウイスキーのロゴ制定についてご説明いただきました。
ロゴの使用申請は厚岸「春分」が第一号となったそうです。

② 厚岸蒸溜所 製造理念「一本の線の品質」について

創造者の思い → 原材料の選定 → 製造プロセス → 品質管理

この一連の流れは、創業者・樋田恵一氏のアイラモルトへの憧れを原点とし、「再現性」を重視する考え方に基づくものです。
厚岸蒸溜所の価値観と品質哲学について解説いただきました。

③ 品質管理と製造について

厚岸町で採掘したピートによる精麦や、現在では6割以上に使用している国産麦芽への変遷、熟成樽の考え方など、再現性を重視した原酒設計についてご説明いただきました。そうした管理を徹底し、10年にわたり積み重ねてきたことで、厚岸という「ブランド」を築き上げることができた、と語られました。

④ 厚岸製品5種類のテイスティング

テイスティング方法の説明から始まり、「厚岸蒸溜所2026年製造ニューメイク」、二十四節気シリーズ「春分・小寒・立夏・立秋」のテイスティングを行っていただきました。

最後には、現在建設が予定されている「富良野蒸溜所」についてのお話もあり、アッケシストの皆様からは歓声が上がりました。

第二部:厚岸ウイスキー × 北海道食材のテロワール・フードペアリングセミナー

第二部ではバー新海主催の厚岸蒸溜所のウイスキーを使ったフードペアリング。
前菜から甘味までの五品を、厚岸及び北海道食材を中心に構成し、厚岸二十四節気シリーズの中から5点のウイスキーを料理に合わせて様々な飲み方でマリアージュを提案させていただきました。

道産ミズダコと富良野メロンゼリージュレのカルパッチョ×小満ハイボール

一皿目は、道産ミズダコと富良野メロンゼリージュレのカルパッチョ。

北海道産のミズダコは実は世界最大級を誇るタコです。今回は一般的に流通する【足】ではなく、道内で親しまれている【頭】の部位を使用。足に比べて繊維がやわらかく、ほのかな甘みとしっとりとした食感が特徴。
タコはオリーブオイル、ニンニク、アンチョビ、ハーブで軽くマリネ。そこに赤玉ねぎの辛味、さっとソテーしたアスパラと、糸三つ葉の香りを重ねています。

合わせるのは、北海道富良野産メロンを使ったゼリージュレ。白ワインビネガーで酸を補い、さらに煮詰めたバルサミコ酢で全体を引き締めています。

富良野は、現在新たな蒸溜所建設が予定されている土地。そのストーリーもこの一皿に重ねています。

ペアリングウイスキー

合わせるのは、二十四節気シリーズ第11弾「小満」のハイボール。シリーズの中でも珍しく、ラム樽とブランデー樽を使用。
黄色いトロピカルフルーツやマスカットを思わせる果実味、穏やかなピート、そして柑橘の皮を感じさせる余韻が特徴です。炭酸で割ることで、その果実の甘みと酸が立ち上がり、軽やかな飲み口へと変化します。

ペアリングのポイント

メロンジュレの甘みとビネガーの酸味に、「小満」のハチミツや黄色い果実のニュアンスが重なります。
ミズダコのやわらかな甘みには、ほのかなスモークとホワイトペッパーのスパイスがアクセントとなり、味わいに立体感を与えます。
口の中で広がった甘みと旨味を、小満のハイボールのピートと柑橘感のある爽やかな余韻がすっと整えてくれます。

コンセプトは「北と南の潮風のニュアンス」。前菜としての軽やかさを保ちながら感じていただけるペアリング。

THE 昆布巻 瀬川食品「厚岸産牡蠣昆布巻」×大暑水割り

 

東北海道産の高級な厚葉昆布一等を使用し、厚岸産の新鮮な牡蠣を一本につき6〜7個贅沢に巻き上げた昆布巻。甘さと塩味のバランスを抑え、肉厚ながらもやわらかな食感。牡蠣の旨味と磯の香りがしっかりと感じられる、瀬川食品様の看板商品。

ペアリングウイスキー

合わせる厚岸ウイスキーは、二十四節季シリーズ第8弾ブレンデッドウイスキー「大暑」水割り。

香りには、黒糖やハチミツの柔らかな甘み、ピンクグレープフルーツやオレンジの柑橘。
奥にシリアルの穀物香が感じられます。濃いめの水割りにすることで厚岸の甘みを引き立て、柑橘の酸と潮のニュアンス、そして醤油様の塩味の輪郭が現れます。

ペアリングのポイント

牡蠣の塩味と磯の香りに、ウイスキーの「潮」や「醤油様のニュアンス」が重なります。
大暑の柑橘感のある酸味は、昆布の甘みを引き締め、水割りの柔らかさが、牡蠣の繊細な旨味を壊さずに受け止めます。余韻に現れるホワイトペッパーやライムピールのほのかな苦みが、もう一口を自然に促します。

コンセプトは「旨味と塩味を静かに重ねるペアリング」。厚岸らしい海の表情を、ぜひゆっくりと感じてみてください。

燻製ホッケのカレンスキンク×小暑ストレート

スコットランドの伝統料理「カレンスキンク」を、北海道の食材で構築した温菜。
本来は燻製タラを用いる料理ですが、今回は北海道産ホッケの燻製を使用。香ばしさと旨味を軸に、どこか和のニュアンスを感じる仕立てにしています。

ねっとりとした食感が特徴の道産じゃがいも「とうや」と道産の玉ねぎを、牛乳でゆっくりと煮込み、さらにじゃがいものピューレを加えることで、やさしい甘みとコクを一体化しています。料理にも燻香を1歩プラスするためにピートで燻した胡椒をかけて提供しています。

燻香、乳のまろやかさ、じゃがいもの甘み。それらをバケットとともにお楽しみいただく一皿です。

ペアリングウイスキー

わせる厚岸ウイスキーは、二十四節季シリーズ第16弾ブレンデッドウイスキー「小暑」ストレート。
香りはバナナジュースやクリームあんみつのような、どこか懐かしさを感じる甘いニュアンス。ソルティレモンの爽やかさが重なります。口に含むと、砂糖をまとった柑橘の明るさ。エディブルフラワーを思わせる軽やかな華やかさ。余韻には、ミョウガや出汁醤油のような和の旨味、そしてレモン飴の甘酸っぱさと、ほのかな薄煙が静かに残ります。

ペアリングのポイント

ホッケの燻香と、小暑のシェリー樽が多い構成のヘビリーピーテッド。まずは同系統の香りのレイヤーが穏やかに重なります。ミルクとじゃがいもの甘みには、バナナやクリームを思わせる柔らかな香りが、全体に丸みを与えます。そして、余韻に現れる出汁醤油のニュアンスが、ホッケならではの油分を纏ったスープの旨味と自然につながります。
またその口内の油分は、高いアルコールによって切れ、食事もウイスキーも常に新鮮な感覚で味わっていただけます。

コンセプトは「スコットランドと北海道の土地と文化の共鳴スコットランドの伝統料理を、北海道の食材で再構築し、スコットランドの伝統的な製法でつくられる厚岸のウイスキーと合わせました。

鹿肉のローストハスカップとラズベリーのソース×寒露ストレート

今回の鹿肉で使用しているのは、厚岸町で“伝説のハンター”とも称される岩松氏が営む「岩松ファーム」より届いたエゾシカ肉のウチモモ。岩松氏は酪農家として、日々鹿による農業被害と向き合いながら牧草地を守っています。その一方で、狩猟によって得た命を決して無駄にしないことを信条とし、角や皮は工芸品へ、内臓や骨はドッグフードへと活用。すべてを迅速かつ丁寧に処理し、「命を全うさせる」ことを何よりも大切にしています。

今回の一皿は、そうした想いを受け取った鹿肉をご用意させていただきました。
火入れ前の状態でもジビエ特有の臭みは全くなく、赤身の旨味が力強く、クセは少ない。火入れに細心の注意を払い、やわらかく、しっとりと仕上げました。
ソースには北海道ならではのハスカップとラズベリー。果実の鮮やかな酸味とコクが、鹿肉の肉汁の旨味吸い取り、引き立てます。

さらに、厚岸酵母で使用される「ARY(厚岸ラズベリーイースト)」と同じベリーの系譜を重ねることで、冷涼な大地の空気感を『酸味』という形で表現しています。

ペアリングウイスキー

合わせるのは、二十四節気シリーズ第一弾の「寒露をストレートで。
香りは、ドライフルーツを思わせる重厚で甘やかなニュアンス。熟した果実と穀物の奥行きを感じさせます。口に含むと、いちごやオレンジ、リンゴ。そこにレモンの酸味が輪郭を与え、ミルクのような柔らかな甘みが広がる。余韻にはホワイトペッパー様のスパイス、そしてチョコレートを思わせる甘みが長く続きます。

ペアリングのポイント

鹿肉の赤身の旨味と、寒露の持つドライフルーツ様のコク。このどっしりとした味わい、つまり「味覚の重心」が調和を生みます。ハスカップとラズベリーの酸味には、寒露のいちごや柑橘のニュアンスが重なり、果実同士が共鳴する様な構図。
そして余韻に現れるチョコレート様の甘みが、肉の旨味とソースを包み込み、全体を深く、温かくまとめ上げます。
ストレートにすることで寒露の持つ甘みを前面に出し、パワフルな鹿の旨味に合わせました。

コンセプトは命の背景と冷涼な土地の果実。その両方を受け止める、厚岸らしい重厚な一本でペアリングしました。

栗最中と極みるくの牡蠣塩アイス×立秋ストレート

道産小豆を使用した栗最中、栗の甘みと、小豆のやわらかなコク。そこに厚岸産「極みるく」を使った自家製ミルクアイスに牡蠣塩をかけて。

極みるくは、厚岸の海風を受け、ミネラルを豊富に含んだ牧草を食べて育った乳牛の生乳。ミネラルを含んだ濃厚な味わいが特徴。牡蠣塩が甘みを引き締め、牛乳からも感じられる海のミネラルを立体的に感じさせます。
和菓子の繊細さと、極みるくの濃厚なニュアンスをお楽しみください。

ペアリングウイスキー

合わせるのは、二十四節気シリーズ第20弾「立秋」ロック
香りは、桃や杏のコンポート。カスタードプリンに添えたバニラ、黒蜜、干し柿。そして焚き火のようなやわらかな煙香が重なります。口に含むと、レモンケーキやオレンジマカロン。ラムネ菓子のような軽やかな酸味が広がります。余韻には、粗挽き黒胡椒のスパイス。生姜醤油を思わせる旨味のある辛味。そして、じんわりとしたレモンキャンディの甘みが静かに続きます。

ペアリングのポイント

最中の小豆と栗の甘みには、黒蜜や干し柿の厚岸ならではの和のニュアンスが自然に寄り添います。極みるくの濃厚な乳の甘みには、カスタードやバニラの香りが重なり、味わいに奥行きを与えます。そして牡蠣塩のミネラル感と、立秋のスパイスと煙。
アイスとウイスキーの温度帯を近づけることで、塩味やウイスキー由来のビターな風味がデザートの甘みをより引き立てる相乗効果を生みます。甘味だけで終わらない、複雑で旨味のある締めの構成となりました。

コンセプトは「厚岸の風土をそのまま閉じ込めたペアリング」。厚岸らしい潮風を感じるピーテッドウイスキーで締めくくる一皿です。

第三部:ファン交流会

最後は厚岸蒸溜所様とアッケシストの皆様、BAR新海のスタッフによる交流会が開催されました。

厚岸蒸溜所の立崎所長や蒸留所スタッフの方々との交流だけでなく、セミナーの中では提供されなかった珍しい厚岸ウイスキーを飲まれる方も多く、終始「厚岸愛」に包まれたファン交流会が続きました。

5時間という長丁場でしたが、途中退席される方は一人もおらず、ご参加の17名全員が最後までこのセミナーを体感して頂けて私達も企画した甲斐がありました。

まとめと今後の取り組み

昨今、「角ハイ」などのハイボールが飲食店でも食中酒として飲まれる事が増えてきましたが、厚岸蒸溜所などのいわゆる「クラフトジャパニーズウイスキー」は、高品質で個性的な香味と、ボトル価格の高さゆえに「ストレートやロックで、ウイスキー単体で楽しむものである。」という既成概念を持つ方も多いかと思います。

しかし、ワインや日本酒などは高品質で高級なものでも料理と一緒に嗜まれています。むしろ、高級なワインや日本酒であるほど、美味しい料理と一緒に飲みたいと思うものです。

日本は、世界でもトップクラスの美味しい料理を楽しめる国です。そんなグルメ大国で育まれた高級ジャパニーズウイスキーですから、料理とのペアリング、マリアージュを楽しむという飲み方は、当たり前に行われるべきですし、今後さらに広がりを見せると思います。
そしてその先で「ウイスキーフードペアリング」が文化として根付いていくものと思います。

今回は、北海道の「厚岸」という、食材の宝庫から直接材料を仕入れ、同じ土地で育まれた厚岸ウイスキーとのペアリングという最高の組み合わせでファンの皆様に楽しんで頂けたことは、私たちの喜びでもあります。
そしてこの感動を今後さらに多くの方々へ届けていきたいと思っています。

近い将来、第二弾の厚岸ウイスキーフードペアリングを企画していきたいと思っていますので、今回参加出来なかった方は是非次回ご参加頂けると嬉しく思います。

最後に、ご協力頂きました堅展実業株式会社 厚岸蒸溜所の皆様には改めて感謝申し上げます。

この記事を書いた人
大石 竜平

北海道出身 bar新海大門店のバーテンダー。
都内のレストランで従事し、日本ソムリエ協会認定ソムリエ資格を取得。
土地それぞれの風土から様々な味わいが作り出される日本のウイスキーに興味を持ち、bar新海に就職。蒸留所へ行き、造り手の方々に話を聞き、その情熱・情報をバーテンダーとして伝搬するべく、JWDに参加。

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