【レビュー】厚岸シングルモルトウイスキー寒露(かんろ)

ウィスキーレビュー
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厚岸蒸溜所

待ちに待ったフルボトル。北海道厚岸町でのウイスキー造りは5シーズン目を迎え、念願のフルボトルでの販売となります。
2月に厚岸蒸溜所初となるウイスキーとして「厚岸サロルンカムイ」をリリースしてこの10月に「厚岸ウイスキー寒露」をリリース。2020年10月28日発売。約15,000本。

「寒露」とは二十四節気をシリーズ化した第一作目となっております。今回の寒露は例年10月8日ごろを指しますのでまさに今この時期を指しています。
二十四節気=全24種類のシリーズとなり、シングルモルトとブレンデッドを交互に発売していくようです。
今回の寒露はシングルモルトですので次回作はブレンデッドになるようです。
24種類を年間で3〜4本をリリースしていくとのことです。仮に年間3本のペースだった場合はシリーズすべて揃うのに8年はかかることになります。ぜひともコンプリートしてみたいですね。

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1.メーカー

堅展実業株式会社

設立1982年
本社所在地〒100-0011 東京都千代田区内幸町1丁目1-1 帝国ホテル東京内
所有蒸留所厚岸蒸溜所

2.蒸留所

厚岸蒸溜所

所在地〒088-1124 北海道厚岸郡厚岸町宮園4丁目109-2
操業開始2016年10月

「スコットランドの伝統的な製法で、アイラモルトのようなウイスキーを造りたい」という強い想いで2016年10月に開業した厚岸蒸溜所。モルトウイスキーの製造に使うポットスチル(単式蒸溜器)をはじめ、大麦麦芽を糖化させるマッシュタン(糖化槽)など、ウイスキー造りには多様な設備が必要です。
厚岸蒸溜所は、「本場・スコットランドの伝統的な製法で、アイラモルトのようなウイスキーを」との想いを実現するため、スコットランドのフォーサイス社製の設備を導入。その施工は同社の職人が来日して行ったのだとか。
アイラ島のウイスキー造りと同様、泥炭(ピート)層を通った水を仕込み水に用い、冷涼で湿潤、そして海風が当たる場所「厚岸」で日々、熟成が進んでいます。
厚岸蒸溜所は、ニッカウヰスキー余市蒸溜所(後志管内余市町)に続く道内80年ぶりのウイスキー蒸留所として稼働しております。
蒸留所周辺にはエゾ鹿が出没する大自然にあり、ホマカイ川の水はピート層で濾過されアイラ島の水の様に茶褐色をしています。
海藻を含むピート、植物を含むピートを使用した自家製ピートも製造可能な土地のようです。
又、寒暖の差も激しく夏は20度を超え、冬は-20度を下回りウイスキーの熟成に適した土地です。
ラムサール条約で守られた釧路湿原ですが、沼地に蒸留所を立てると沈んでしまう為に建物の基礎が20mはあるそうです。

〒088-1124 北海道厚岸郡厚岸町宮園4丁目109-2堅展実業株式会社 厚岸蒸溜所
※蒸溜所見学は「味覚ターミナル コンキリエ」が主催しています。

3.商品名

厚岸シングルモルトウイスキー寒露(かんろ)
Akkeshi Single Malt Kanro

4.特徴

ワイン樽・バーボン樽・シェリー樽・ミズナラ樽の3年熟成原酒をブレンド

それぞれの樽でピーテッドとノンピートの組み合わせ。4つの樽でそれぞれピーテッドとノンピーテッドの合計8つの原酒の組み合わせということになります。

4-1.テイスティングノート

香り海の潮の香り、スモーキーな香りからビターな甘い香りに変化。そこそこのピート感
味わいスパイシーかつ心地よく柔らかいピート感。ドライフルーツ、チョコレートのような甘さ

4-2.商品スペック

アルコール度数55%
酒別シングルモルトウイスキー
樽種ワイン樽・バーボン樽・シェリー樽・ミズナラ樽
内容量700ml
販売本数約15,000本
希望小売価格16,500円(税込)
発売日2020年10月28日

5.受賞歴

現時点では受賞歴はありません。

6.価格

6-1.メーカー希望小売価格

商品名厚岸シングルモルトウイスキー寒露(かんろ)
容量700ml
希望小売価格税込:16,500円

6-2.メルカリでの転売価格

メルカリでの転売価格は、25,000円~35,000前後となっています。(※2021/3/11時点)

6-3.ヤフーオークション落札価格

ヤフーオークションでの現在出品中の価格は、最安20,500円、最高40,501円、平均25,623円(※2021/3/11時点)

6-4.楽天、ヤフーショッピング、Amazon

通販サイトでも、38,000円~55,000前後で販売されています。 (※2021/3/11時点)

6-5.BAR新海での提供価格

当サイトが運営する「BAR新海」では、1杯、45ml:6,600円、30ml:4,400円、15ml:2,200円で提供しております。

「BAR新海」のご案内
Japanese Whisky Dictionaryが運営する「BAR新海」は、東京都港区に3店舗。当サイトで紹介しているジャパニーズウィスキーをはじめ、国産のジンやビールなども取扱い。オリジナルカクテル、フレッシュフルーツカクテルなども人気。食事も豊富で1件目からも利用可能。

7.まとめ

アルコール度55%と樋田社長曰く30ppmほどのスモーキーさの中にビターな甘さが潜んでいる感じです。
口に含むと最初はスパイシーさはあるものの、アルコール度数の高さを感じさせない甘みも後から出てきます。
加水するとかなりまろやかになり美味しい。

樋田社長からは「次回作は今作よりピートが強め」との情報もいただきました。どんなウイスキーに仕上がってくるのか非常に楽しみですね。
今後は厚岸産のりょうふう・泥炭・ミズナラ樽など”厚岸オールスターの実現”が目標とのことですが、着々と成し遂げられようとしています。
決してアイラのコピーでは無い今後の厚岸蒸溜所の取り組みに注目せざる得ないですね。

■厚岸蒸溜所のその他の記事も是非ご覧ください。

【レビュー】厚岸シングルモルトジャパニーズウイスキー芒種(ぼうし...
キーモルトにミズナラ樽ピーテッド原酒を使用。厚岸モルトのコクのある甘味に誘われて、蛍もやってくるかもしれません。厚岸湾の潮騒を聞きながら育ったモルトで、初夏のひとときをお楽しみください。芒種のラベルデザインは深い緑をベースに、蛍が描かれております。
【レビュー】厚岸シングルモルトウイスキー サロルンカムイ
2020年2月27日発売。3年の熟成を経た厚岸蒸留所初のシングルモルトウイスキー「サロルンカムイ」。2016年に樽詰めしたノンピートのバーボン樽とシェリー樽、赤ワイン樽とピーテッドのミズナラ樽の4原酒をブレンド。「サロルンカムイ」とは、アイヌ語で「タンチョウ=湿地にいる神」を意味する。
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最後に:ジャパニーズウイスキーのおすすめ書籍

世界的なトレンドを巻き起こしている「ジャパニーズウイスキー」の事をもっと知りたい、もっと勉強したいという方は、是非こちらの書籍をおすすめいたします。

(1).Whisky Galore(ウイスキーガロア)Vol.42 2024年2月号

【巻頭特集】ウイスキーの聖地 アイラ島の“現在”を読み解く
アイラ島のウイスキーは、昔から「アイラモルト」という独自のカテゴリーを与えられてきた。現在9ヵ所の蒸留所があり、さらに2つの新蒸留所計画が発表されている、この小さな島を改めて紹介。
また、現在入手可能なウイスキー8種を土屋編集長が飲み比べる。
●掲載蒸留所
ボウモア、アードベッグ、ラガヴーリン、ラフロイグ、カリラ、ブナハーブン、ブルックラディ、キルホーマン、アードナッホー

【第2特集】北アイルランドのウイスキー
世界の五大ウイスキーのなかで、いまもっとも伸びているのがアイリッシュ。ブームを牽引する北アイルランドの最新情報をリポート。
●紹介ウイスキー
ブッシュミルズ、エクリンヴィル、グレンズ・オブ・アントリム、ヒンチ、キルオーウェン、マコーネルズ、ショートクロス、タイタニック・ディスティラーズ、トゥー・スタックス

【蒸留所リポート】
2023年に100周年を迎えたジャパニーズウイスキー。その第一歩が踏み出され、昨年リニューアルしたばかりのサントリー山崎蒸溜所を取材。そのほか月光川蒸留所や、個性的なツアーを行っている八郷蒸溜所&安積蒸溜所も紹介。

【インタビュー】
ワイルドターキーのマスターディスティラーであるエディー・ラッセル氏と、その息子ブルース・ラッセル氏を編集長がインタビュー。またフィンランドで自国ライ麦にこだわったウイスキーを造るキュロ蒸留所のミイカ氏にも話を聞いた。

【特集】
ウイスキーフェスティバル2023 in TOKYO、ウイスキーコニサークラブ新潟蒸留所ツアー、下田ウイスキーフェスリポート。

(2).ビジネスに効く教養としてのジャパニーズウイスキー

世界的にも有名なウイスキー評論家で、ウイスキー文化研究所代表 土屋守先生の著書「ビジネスに効く教養としてのジャパニーズウイスキー」です。
ウイスキーの基礎知識、日本へのウイスキーの伝来、ジャパニーズウイスキーの誕生、広告戦略とジャパニーズウイスキーの盛隆、そして、現在のクラフト蒸留所の勃興まで。日本のウイスキーの事が非常にわかりやすくまとめられた一冊。

(3).ウイスキーと私(竹鶴政孝)

日本でのウイスキー醸造に人生を捧げた、ニッカウヰスキー創業者・竹鶴政孝。ただひたすらにウイスキーを愛した男が自らを語った自伝の改訂復刻版。若き日、単身スコットランドに留学し、幾多の苦難を乗り越えてジャパニーズ・ウイスキーを完成させるまでの日々や、伴侶となるリタのことなどが鮮やかに描かれる。

(4).新世代蒸留所からの挑戦状

2019年発売。世界に空前のウイスキーブームが到来しているいま、クラフト蒸留所の経営者たちは何を考え、どんな想いでウイスキー造りに挑んだのか。日本でクラフト蒸留所が誕生するきっかけを作った、イチローズ・モルトで有名なベンチャーウイスキーの肥土伊知郎氏をはじめとする、13人のクラフト蒸留所の経営者たちが世界に挑む姿を綴った1冊。

(5).ウイスキーライジング

2016年にアメリカで出版された『Whisky Risng』の日本語版であり、内容も大幅にアップデート。ジャパニーズ・ウイスキーの歴史が詳細に記述されているだけでなく、近年、創設がつづくクラフト蒸溜所を含む、日本の全蒸溜所に関するデータも掲載。そのほかにも、今まで発売された伝説的なボトルの解説や、ジャパニーズ・ウイスキーが飲めるバーなども掲載されています。

(6).ウイスキーと風の味

1969年にニッカウヰスキーに入社した、三代目マスターブレンダーの佐藤茂夫氏の著書。
『ピュアモルト』『ブラックニッカクリア』『フロム・ザ・バレル』の生みの親でもあり、なかでも『シングルモルト余市1987』はウイスキーの国際的コンペティションWWA(ワールド・ウイスキー・アワード)にて「ワールド・ベスト・シングルモルト」を受賞。
竹鶴政孝竹鶴威の意志を引き継いだブレンダー界のレジェンドが語る今昔。

この記事を書いた人
新海 博之

1981年7月17日 北海道北広島市出身
大学卒業後、NTTデータカスタマサービス㈱へ新卒入社。
2010年「麻布十番BAR新海」を開業 → 2016年、名物「薬膳カレー」を開発 → 2018年「虎ノ門BAR新海」、2019年には「芝大門BAR新海」を開業 → 2020年 ウェブメディア「Japanese Whisky Dictionary」をスタート。
バーテンダーの私達だから出来る事として、ジャパニーズウイスキーの魅力を日々発信する。

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