イチローズモルトの世界的な人気に応えるべく、生産数を第1蒸溜所の5倍に伸ばした。
第2蒸溜所のテーマ”ウイスキー造りの原点”を突き詰める姿勢には、寸分の隙も甘えも無い。
1.概要
第1蒸溜所からわずか約600mほどの場所にある、みどりが丘団地内に開設。
名品が多いと言われている『スコッチの1950年代~1960年の味わい』を求め”ウイスキー造りの原点回帰”をテーマにより多くの方に届けられるように、生産数を5倍に。
造りのこだわりはそのままに、生産量、仕込み量、ポットスチルの大きさ、その全てにおいてスケールアップされています。
少量生産ゆえのこだわり抜かれたクオリティを持つ第1蒸溜所と、どのようなシナジーがもたらされるのか、世界中のウイスキーラバー達が注目しています。
ちなみに第2蒸溜所の門のデザインは秩父市在住の鍛鉄工芸家・西田光男氏によるもの。
2.基本情報
2-1.オーナー
ベンチャーウイスキー
2-2.所在地
〒368-0067
埼玉県秩父市みどりが丘79
2-3.アクセス
【電車】
秩父鉄道 皆野駅からタクシーで約15分
西武線 西武秩父駅からタクシーで約20分
【車】
関越自動車道花園インターより秩父方面
皆野寄居有料道路を直進。
料金所を通過して2個目の出口で下り交差点大塚を直進し、次の交差点を右折。
みどりが丘工業団地内。
2-4.操業開始
2004年(会社設立年)
2019年(蒸留開始年)
2‐5.主力商品
赤ワインの熟成に使用していた樽を、ウイスキーの後熟用に使用したものです。
熟成期間中に樽を入れ替えるというひと手間が、通常の熟成とは異なる複雑さをウイスキーに与えます。
モルト100%のウイスキーの華やかさと、芳醇さに、フレンチオークのワイン樽による個性が加わり複雑で長い余韻が特徴です。
「ワールド・ウイスキー・アワード(WWA)」
2017年シングルカスクシングルモルトウイスキー部門 世界最高金賞
2018年ブレンデッド ウイスキー・リミテッドリリース部門 世界最高金賞
3.見学・ビジターセンター
一般見学不可ですが
年に一度の秩父ウイスキー祭の前日に催される秩父蒸溜所オープンデーや、酒育の会主催の見学イベントなどで見学できるようです。
3‐1.周辺グルメ情報
秩父駅に併設された温泉施設やおいしい料理。
イチローズモルトを使ったアイスクリーム等、見学は出来ずともイベントも多く行く価値は十二分にあります。
さらには秩父蒸溜所のアンバサダーである吉川由美氏が共同経営されている『ハイランダーイン秩父』はマストで足を運んで頂きたい場所。
3‐2.観光宿泊
ビジネスホテルはもちろん、一棟貸しのリノベーションされた古民家など、バリエーション豊かなホテルが多く点在し、さらにその多くが駅から徒歩圏内という好立地。
気軽にいけるのが秩父市のいいところ。
さらに秩父神社の近くにある酒屋「麻屋商店」さんは粒ぞろいの品揃えに加え、貴重なウイスキー量り売りもやっているので、観光コースに組み込むのを忘れずに。
4.製造スペック
”ウイスキー造りの原点回帰”をテーマに、複雑で力強い香味が引き出されるガス直火蒸留を採用。
生み出されるニューポットは、プロダクションチーフ第2蒸留所スチルマン 門間麻菜美氏によると、第1よりもぬめっとした重さを感じるそう。
スチルを直火にすることで重さを失わずフルーティーさを保っています。
第1蒸溜所よりも、更にヘビーさを前面に押し出した酒質が作られています。
発酵槽は第1蒸溜所は世界初のミズナラ樽発酵槽に対し、第2蒸溜所はタランソー社製のフレンチオークの巨大な発酵槽。
タランソー社はボルドー地方で名門とされ、世界最高峰の製樽メーカーです。
その他、熟成庫にはタランソー社製の卵型のワインウッドリザーブ用のマリッジタンクと、ホワイトリーフ用のアメリカンオーク製のヴァットがあります。
生産量 | 26万リットル |
仕込み水 | 大血川から取水する市水(軟水) |
仕込み量 | 麦芽2トン(年間約300回仕込み、マッシュレイシオ1:4) |
使用麦芽 | ドイツ、イングランド産ノンピート麦芽 スコットランド産ピーテッド麦芽 埼玉県産の麦芽 |
モルトミル | アランラドック社製ローラーミル1基 ビューラー社製ディストナー1基 |
糖化槽 | フォーサイス社製ステンレス・セミロイタータン(サイトグラス付) |
麦汁量 | 1万リットル(糖度14度) |
使用酵母 | ディスティラリーイースト50㎏ |
発酵槽 | フランス タランソー社製フレンチオーク 5基/1万5000リットル(発酵時間100時間) |
ポットスチル | 初留 フォーサイス社製ストレート型1基/1万リットル 再留 フォーサイス社製ストレート型1基/7000リットル 加熱方式 |
冷却装置 | 初留再留共にシェル&チューブ |
ボトリング 設備 |
有り |
熟成庫 | ダンネージ式6棟ラック式×1棟 第1~4貯蔵庫:各1500樽 第5・6貯蔵庫:各3000樽 第7貯蔵庫:1万8000樽 計3万樽貯蔵可能 ※第一、第二蒸溜所と共通 |
その他 | 樽詰め度数63% 年間樽充填数 約1930丁 |
5.熟成環境について
蒸溜所の周辺は自然に囲まれており、夏は高温多湿、冬には朝晩が氷点下に至るほどの寒さを誇ります。
そのダイナミックな寒暖差がウイスキーの熟成に多大な影響を与え、短い熟成期間にも関わらずフルーティでバランスの取れたウイスキーに仕上がります。
べンチャーウイスキー創業当初、羽生蒸留所には20年近く貯蔵された原酒のストックが400樽あったと肥土氏は語っています。
6.蒸留所ストーリー
6-1.歴史
2004年 (平成16年) |
埼玉県秩父市にベンチャーウイスキー設立。 |
---|---|
2018年 (平成30年) |
秩父蒸溜所の近傍に秩父第2蒸溜所の建設に着工。 |
2019年 (令和元年) |
秩父第2蒸溜所、ウイスキー製造免許取得。稼働開始。 |
6-2.ブレンダー
マスターブレンダー 肥土伊知郎
株式会社ベンチャーウイスキー代表取締役社長。
1965年埼玉県秩父市生まれ。
実家は江戸時代創業の蔵元、肥土本家。
東京農大醸造学科卒業後、サントリー勤務を経て、父が経営する家業の造り酒屋に入社。
しかし、会社が2004年に他社に経営譲渡されたため、廃棄予定のウイスキー原酒を買い受け、ベンチャーウイスキー社を設立。
2008年2月、秩父蒸溜所が完成。
2012年2月、自社で蒸溜した最初のモルトウイスキー「秩父 ザ・ファースト」は米国専門誌『Whisky Advocate』が主催する「Whisky Advocate’s 18th Annual Awards」にて『ジャパニーズウイスキー・オブ・ザ・イヤー』を受賞しました。
英国誌「ウイスキーマガジン」が認定する個人に与えられる称号の中でも、最高位に位置する『Hall of Fame』を受賞、殿堂入りを果たしました。
座右の銘は『時は命なり』
そのほか第1蒸溜所について知りたい方はこちらから↓

アンバサダー 吉川由美
1981年栃木県生まれ。
帝国ホテルにてバーテンダーとして勤務した後、2008 年にNYそして2011 年にスコットランドへ渡ります。
スペイサイドのウイスキーBar「ハイランダーイン」でバーテンダーとして従事し、その間アイラ島の
ブルイックラディ蒸溜所にてウイスキー造りに携わる。
日本帰国後、ベンチャーウイスキーにてブランドアンバサダーとして蒸留所の案内やイベント、ウイスキーのセミナーや講座などのブースに立つ等、イチローズモルトの広報活動を積極的に行っています。
2019 年、ウイスキーマガジン社主催の『アイコンズ・オブ・ウイスキー』にて、『ワールドウイスキー・ブランド・アンバザダー・オブ・ザ・イヤー』を受賞。
7.その他の蒸留所一覧
