【レビュー】嘉之助シングルモルト Artist Edition #004『金』

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嘉之助蒸溜所

鹿児島県の嘉之助蒸溜所より、シングルモルト嘉之助Artist Edition #004をレビュー。五行思想の『金』をイメージしたシリーズ最新作。

「Artist Edition」は、五節句の祝いや大相撲の四房、正月のおせち料理、五色豆など、日本人の暮らしに深く根ざす「五行思想」『木・火・土・金・水』に着想を得てブレンドされた、嘉之助蒸溜所の限定ウイスキーです。

ラベルデザインは、さまざまな分野で活躍するアーティストが、「五行」の各要素をテーマにオリジナル作品として制作。五つのボトルそれぞれに、異なるエレメントの個性が表現されています。

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1.ボトルの写真とラベル

シングルモルト嘉之助 Artist Edition#004『金』
Single Malt Kanosuke Artist Edition#004 GON

2.シングルモルト嘉之助 Artist Edition#004『金』

眠れる金(ごん)を探して。重なるアロマ、ふたつの潮風

五行思想に着想を得た限定シリーズ「Artist Edition」の第4作。
「Artist Edition」は、日本文化に根付く「木・火・土・金・水」の五行をテーマに、ウイスキーの世界観をアートの力で表現した特別なシリーズです。

今作「金(ごん)」では、アーティスト・湯浅景子氏を迎え、「金」というエレメントを、独自の視点で描き下ろしていただきました。
湯浅氏ならではの繊細な筆致と静謐な世界観がラベルに表現されています。

「Artist Edition#004」は、「金(ごん)」にインスピレーションを受け、KANOSUKEの象徴でもある3基のポットスチルを駆使し、ノンピート麦芽を使用した多彩な原酒をヴァッティング。 
スピリッツスチル2(SS2)由来の艶やかでフルーティーな原酒に、日本の蒸留所では希少な3回蒸留によるバーボン樽原酒を加え、深い奥行きを与えました。
さらに、鹿児島・日置で熟成したアイラ樽が、アイラ島と日置、ふたつの潮風が重なるような余韻を生み出しています。
重なるアロマ、フレーバー、余韻を、土中に眠る「金」を探すように、じっくりとお楽しみください。

 

重なるアロマ。艶やかな果実味に、日置とアイラの潮風寄り添う。ローズヒップのような甘酸っぱいアロマにライチの味わい。しっとりとした、ふたつの潮風の余韻が特徴のウイスキー。

COLOUR:明るいゴールド
AROMA:カットウッド、ローズヒップ、いちごジャム、ニッキ、潮風
PALATE:ピート(ヨード)、はちみつ、塩飴、ライチ、白コショウ、ライチ、スイートスプリングFINISH:オレンジマーマレードの優しい甘さ、しっとりした潮風のような余韻

今回の作品は、「五行」の相乗の関係性に共鳴し、頭の中に浮かんだ抽象的な景色(形)をイメージして描いたものです。
『土の中から生まれる金』を意味する五行思想の『土生金(どしょうきん)』というテーマから着想を得て、「土を纏いながらも揺るぎない光を放つ金」というキーワードを、作品の核に据えました。
私は普段から、色を幾重にも重ねた紙や木を削る『スクラッチ』という技法で制作しています。塗り重ねた表面を引っ掻き、下の色を浮かび上がらせていく「削る」行為は、まるで「土を掘る」感覚にも近く、手を動かしながら、少しずつ奥に眠るものを掘り起こしていくような時間でもあります。
また、光の表現として金箔や冥銭を使うことが多いのですが、今回は、その「掘り進める」という過程そのものが、金属や鉱物としての「金」に重なり、 「金」から放たれる光の力強さや美しさを深く感じながら『五行の金』が持つ世界観にじっくりと向き合う、非常に貴重で豊かな制作時間となりました。

引用:NEWS | 嘉之助蒸溜所 (kanosuke.com)

2-1.テイスティングノート

香り 八つ橋、塩飴、ゴールデンキウイ、削ったえんぴつ、アップルジュース
味わい 塩豆だいふく、シリアル、塩気を含んだ煙、はちみつ、焼けた金属
余韻 潮を含む甘さと煙を纏ったスパイシーな木のニュアンスが長く残る

2-2.商品スペック

アルコール度数 50%
酒別 シングルモルトジャパニーズウイスキー
樽種 バーボン樽、日置熟成のアイラ樽、アメリカンホワイトオークの焼酎リチャー樽
内容量 700ml
販売本数 数量限定
希望小売価格 16,500円(税込)
発売日 2025年6月18日

3.受賞歴

現時点では受賞歴はありません。

4.価格

4-1.メーカー希望小売価格

商品名 シングルモルト嘉之助Artist Edition#004
容量 700ml
希望小売価格 16,500円(税込)

4-2.メルカリでの転売価格

メルカリでの転売価格は、16,300円~21,500円前後となっています。(※2025/7/9時点)

4-3.ヤフーオークション落札価格

ヤフーオークションでの落札価格は、確認できませんでした。16,000円前後での出品は確認できました。 (※2025/7/9時点) 

4-4.楽天、ヤフーショッピング、Amazon

通販サイトでも定価で販売されています。( ※2025/7/9時点)

4-5.BAR新海での提供価格

当サイトが運営する「BAR新海」では、1杯、45ml:4,620円、30ml:3,080円、15ml:1,540円にて提供しております。

「BAR新海」のご案内
Japanese Whisky Dictionaryが運営する「BAR新海」は、東京都港区に3店舗。当サイトで紹介しているジャパニーズウィスキーをはじめ、国産のジンやビールなども取扱い。オリジナルカクテル、フレッシュフルーツカクテルなども人気。食事も豊富で1件目からも利用可能。

5.メーカー

小正嘉之助蒸溜所株式会社

設立 2021年8月
本社所在地 〒899-2421 鹿児島県日置市日吉町神之川845-3
所有蒸留所 嘉之助蒸溜所

6.蒸留所

嘉之助蒸溜所

所在地 〒899-2421 鹿児島県日置市日吉町神之川845-3
操業開始 2017年

嘉之助蒸溜所は鹿児島県の西岸、吹上浜沿いの約9,000㎡の敷地に建っています。
コの字形で2階建ての本棟には蒸留設備のほかに、眺めのいいBARやオリジナルグッズを販売するショップなどがあります。
蒸留所の大きな特徴はポットスチル(蒸留器)が大・中・小と3基備えてあること。それぞれの容量は6000ℓ・3000ℓ・1600ℓです。
世界的にみてもクラフト・ディスティラリー(小規模蒸留所)は2基が一般的。ウイスキーは通常蒸留は2回行うが、2回目の蒸留(再留)の際にネックの形状や上部のラインアームの角度の異なるポットスチルを使用することで原酒の香りや味わいをより豊かに変化させることができるのです。
蒸留所の建つ吹上浜は”日本三大砂丘”の一つに数えられ、”日本の渚百選”にも選ばれています。砂浜の長さは南北約47kmにも及び海面から強い風が巻き上がり、蒸留所一帯は海からの細かな飛沫で真白な霧に包まれます。夏は暑く冬には0℃近辺まで冷え込んで雪が舞うことも珍しくない寒暖差のある土地柄です。

嘉之助蒸溜所の詳細情報は、こちらの記事もご覧ください。

嘉之助蒸溜所
「嘉之助蒸溜所」の記事一覧です。

7.まとめ

限定品ならではの樽や原酒を使った嘉之助Artistシリーズ。今回の金は嘉之助らしい非常に明るいフルーティーさと塩味を纏った仕上がりとなりました。

シリーズも残すところ最後の「水」のみとなりました。発売は来年になるかと思いますが、嘉之助のファンの皆様にはぜひ、全て召し上がっていただきたいシリーズです。

■嘉之助に関するその他の記事も是非ご覧ください。

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最後に:ジャパニーズウイスキーのおすすめ書籍

世界的なトレンドを巻き起こしている「ジャパニーズウイスキー」の事をもっと知りたい、もっと勉強したいという方は、是非こちらの書籍をおすすめいたします。

(1).Whisky Galore(ウイスキーガロア)Vol.50 2025年6月号

『ウイスキーガロア』6月号、巻頭特集はシングルモルトを世界に知らしめたディアジオ特集・後編。
メーカー別に蒸留所を集成・徹底解説する新シリーズ「スコッチ蒸留所名鑑」を始動。
第1弾ではスコットランドに30の蒸留所を擁するディアジオ社が登場!
最新号ではスペイサイド・アイラの20蒸留所を一挙掲載します。
[巻頭特集]
スコッチ蒸留所名鑑 [第1弾 ディアジオ 後編]
ディアジオ社の蒸留所を一挙紹介 <スペイサイド・アイラ編>
カードゥ/モートラック/クラガンモア/グレンエルギン/ローズアイル/カリラ/ラガヴーリン/ポートエレン/オスロスク/ベンリネス/ダルユーイン/ダフタウン/グレンダラン/グレンロッシー/マノックモア/リンクウッド/インチガワー/ストラスミル/グレンスペイ/ノッカンドオ
◆Chinese Whisky ――国家級 中国威士忌 最新事情
叠川(チュアン)蒸留所/沃林(オーリン)クーパレッジ/青島(チンタオ)蒸留所
◆日本のクラフト蒸留所最前線
新道蒸溜所/朝倉蒸溜所
◆ジャパニーズクラフトの開拓者たち[第6回] 小正嘉之助蒸溜所 小正芳嗣氏

(2).ビジネスに効く教養としてのジャパニーズウイスキー

世界的にも有名なウイスキー評論家で、ウイスキー文化研究所代表 土屋守先生の著書「ビジネスに効く教養としてのジャパニーズウイスキー」です。
ウイスキーの基礎知識、日本へのウイスキーの伝来、ジャパニーズウイスキーの誕生、広告戦略とジャパニーズウイスキーの盛隆、そして、現在のクラフト蒸留所の勃興まで。日本のウイスキーの事が非常にわかりやすくまとめられた一冊。

(3).ウイスキーと私(竹鶴政孝)

日本でのウイスキー醸造に人生を捧げた、ニッカウヰスキー創業者・竹鶴政孝。ただひたすらにウイスキーを愛した男が自らを語った自伝の改訂復刻版。若き日、単身スコットランドに留学し、幾多の苦難を乗り越えてジャパニーズ・ウイスキーを完成させるまでの日々や、伴侶となるリタのことなどが鮮やかに描かれる。

(4).新世代蒸留所からの挑戦状

2019年発売。世界に空前のウイスキーブームが到来しているいま、クラフト蒸留所の経営者たちは何を考え、どんな想いでウイスキー造りに挑んだのか。日本でクラフト蒸留所が誕生するきっかけを作った、イチローズ・モルトで有名なベンチャーウイスキーの肥土伊知郎氏をはじめとする、13人のクラフト蒸留所の経営者たちが世界に挑む姿を綴った1冊。

(5).ウイスキーライジング

2016年にアメリカで出版された『Whisky Risng』の日本語版であり、内容も大幅にアップデート。ジャパニーズ・ウイスキーの歴史が詳細に記述されているだけでなく、近年、創設がつづくクラフト蒸溜所を含む、日本の全蒸溜所に関するデータも掲載。そのほかにも、今まで発売された伝説的なボトルの解説や、ジャパニーズ・ウイスキーが飲めるバーなども掲載されています。

(6).ウイスキーと風の味

1969年にニッカウヰスキーに入社した、三代目マスターブレンダーの佐藤茂夫氏の著書。
『ピュアモルト』『ブラックニッカクリア』『フロム・ザ・バレル』の生みの親でもあり、なかでも『シングルモルト余市1987』はウイスキーの国際的コンペティションWWA(ワールド・ウイスキー・アワード)にて「ワールド・ベスト・シングルモルト」を受賞。
竹鶴政孝竹鶴威の意志を引き継いだブレンダー界のレジェンドが語る今昔。

この記事を書いた人
Ryuhei Oishi

北海道出身 bar新海虎ノ門店のバーテンダー。
都内のレストランで従事し、日本ソムリエ協会認定ソムリエ資格を取得。
土地それぞれの風土から様々な味わいが作り出される日本のウイスキーに興味を持ち、bar新海に就職。蒸留所へ行き、造り手の方々に話を聞き、その情熱・情報をバーテンダーとして伝搬するべく、JWDに参加。

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