ブレンデッドウイスキー戸河内シリーズが日本洋酒酒造組合が制定した「ジャパニーズウイスキー」の定義に準じた形でリニューアル。特徴や価格、リニューアルの内容を解説。
ブレンデッドウイスキー戸河内シリーズが9月1日より内容を一新してのリニューアル発売となりました。このリニューアルに伴いブレンデッドウイスキー戸河内シリーズは全て「ジャパニーズウイスキー」の定義に適合するものとなり、名実ともにジャパニーズウイスキーを名乗れる逸品となりました。
1.変更点
今まで販売されてきた「ブレンデッドウイスキー戸河内」は過去に製造し貯蔵していた原酒と輸入原酒をブレンドした内容となっていましたが、2021年2月16日に日本洋酒酒造組合がジャパニーズウイスキーの自主基準を制定し、その基準内において輸入原酒を使用するブレンデッドウイスキー戸河内はジャパニーズウイスキーの定義からは外れるものとなっていました。
リニューアルされた戸河内シリーズは使用されるモルトウイスキー、グレーンウイスキーともに「SAKURAO DISTILLERY」で蒸留、貯蔵したもののみをブレンド、ボトリングしており上記の基準に適合、名実ともに「ジャパニーズウイスキー」と名乗れる商品として生まれ変わりました。
また、このリニューアルに伴い今までラインナップされていた「戸河内ウイスキー 8年」が終売となり、それと入れ替わる形で「ブレンデッドジャパニーズウイスキー戸河内 PEATED CASK FINISH」がラインナップされることとなりました。
ジャパニーズウイスキー自主基準について更に詳しく知りたい方はこちらも参照下さい↓
2.メーカー
株式会社サクラオブルワリーアンドディスティラリー
設立 | 1918年 |
本社所在地 | 〒738-8602 広島県廿日市市桜尾一丁目12番1号 |
所有蒸留所 | 桜尾蒸留所 |
3.蒸留所
桜尾蒸留所(SAKURAO DISTILLERY)
所在地 | 〒738-8602 広島県廿日市市桜尾一丁目12番1号 |
操業開始 | 2018年1月 |
広島県の株式会社サクラオブルワリーアンドディスティラリーは、1918年創業の老舗の酒造メーカー。
実はウイスキー造りの歴史は深く、1938年~1989年までモルトウイスキーの製造・販売を行っていました。当時蒸留された原酒は、戸河内にあるJR西日本の鉄道用試掘トンネルを活用した貯蔵庫に保管されていました。
2008年、戸河内の貯蔵庫に貯蔵されていた原酒と輸入原酒をブレンドして作る「戸河内ウイスキー」を販売開始しました。(9割はヨーロッパへの輸出とのこと。)
操業100周年事業として2017年12月、高品質のシングルモルトウイスキーを生産するために新たに設備を導入し、広島発のクラフト蒸留所「SAKURAO DISTILLERY」を建設。2018年1月から蒸留開始。
2017年12月 | SAKURAO DISTILLERY 竣工 |
2018年10月 | SAKURAO DISTILLERY VISITOR CENTER オープン |
2019年 | SAKURAO DISTILLERY 二期工事(グレーンウイスキー蒸留設備導入・ウイスキー貯蔵庫新設) |
2021年3月 | 株式会社サクラオブルワリーアンドディスティラリーに社名変更 |
画像出展:SAKURAO DISTILLERY|広島が世界に贈る、クラフト蒸留所
4.ラインナップ
4-1.ブレンデッドジャパニーズウイスキー戸河内 PREMIUM
広島の豊かな自然を映し出すブレンデッドジャパニーズウイスキー戸河内 PREMIUM。
ゆっくりと立ち上がる香りが、次第にフルーティーなアロマへとひらき、ウッディーな味わいの余韻が続きます。
アルコール度数 | 40% |
酒別 | ブレンデッドジャパニーズウイスキー |
樽種 | ー |
内容量 | 700ml(この他350ml、50mlも有) |
販売本数 | ー |
希望小売価格 | 2,970円(税込) |
発売日 | 2023年9月1日 |
4-2.ブレンデッドジャパニーズウイスキー戸河内 SAKE CASK FINISH
当社で醸造した純米酒を熟成した樽で、ウイスキーをフィニッシングさせたブレンデッドジャパニーズウイスキー戸河内 SAKE CASK FINISH。
純米酒由来のまろやかな甘みと酸味が、ウイスキーをエステリーなアロマに彩ります。
アルコール度数 | 40% |
酒別 | ブレンデッドジャパニーズウイスキー |
樽種 | 純米酒樽(フィニッシュ) |
内容量 | 700ml |
販売本数 | ー |
希望小売価格 | 3,300円(税込) |
発売日 | 2023年9月1日 |
4-3.ブレンデッドジャパニーズウイスキー戸河内 BEER CASK FINISH
香り豊かで味わい深いIPAが熟成された樽で、ウイスキーをフィニッシングさせた
ブレンデッドジャパニーズウイスキー戸河内 BEER CASK FINISH。
ホップの軽やかな苦みと若草のような香りが、ウイスキーに程よい苦みとアクセントを加えます。
アルコール度数 | 40% |
酒別 | ブレンデッドジャパニーズウイスキー |
樽種 | IPA樽(フィニッシュ) |
内容量 | 700ml |
販売本数 | ー |
希望小売価格 | 3,300円(税込) |
発売日 | 2023年9月1日 |
4-4.ブレンデッドジャパニーズウイスキー戸河内 PEATED CASK FINISH
スモーキーな燻煙香をもつウイスキーが熟成された樽で、ウイスキーをフィニッシングさせた
ブレンデッドジャパニーズウイスキー戸河内 PEATED CASK FINISH。
煙をくゆらせたような特有の風味と香りが、ウイスキーにコクのある甘みをもたらします。
アルコール度数 | 40% |
酒別 | ブレンデッドジャパニーズウイスキー |
樽種 | ピーテッドウイスキー樽(フィニッシュ) |
内容量 | 700ml |
販売本数 | ー |
希望小売価格 | 3,300円(税込) |
発売日 | 2023年9月1日 |
5.まとめ
モルト、グレーンともに自社生産のものを使用し真の「ジャパニーズウイスキー」として生まれ変わったブレンデッドウイスキー戸河内シリーズ。旧ラインナップにあった長期熟成の「ブレンデッドウイスキー戸河内8年」が終売となってしまったのは寂しいですが、その代わりに「PEATED CASK FINISH」が新たに加わり引き続き様々なテイストでウイスキーファンを楽しませてくれるでしょう。ウイスキーの価格高騰が続く昨今、お手頃な価格でジャパニーズウイスキーの基準を満たした逸品が楽しめるのも嬉しい限りですね。
量販店の店頭で販売している在庫も順次リニューアル品に入れ替わっていくと思われますので買い物にお出かけの際には是非チェックしてみて下さい!
■「サクラオブルワリーアンドディスティラリー・桜尾蒸留所」に関するその他の記事も是非ご覧ください。
最後に:ジャパニーズウイスキーのおすすめ書籍
世界的なトレンドを巻き起こしている「ジャパニーズウイスキー」の事をもっと知りたい、もっと勉強したいという方は、是非こちらの書籍をおすすめいたします。
(1).Whisky Galore(ウイスキーガロア)Vol.42 2024年2月号
【巻頭特集】ウイスキーの聖地 アイラ島の“現在”を読み解く
アイラ島のウイスキーは、昔から「アイラモルト」という独自のカテゴリーを与えられてきた。現在9ヵ所の蒸留所があり、さらに2つの新蒸留所計画が発表されている、この小さな島を改めて紹介。
また、現在入手可能なウイスキー8種を土屋編集長が飲み比べる。
●掲載蒸留所
ボウモア、アードベッグ、ラガヴーリン、ラフロイグ、カリラ、ブナハーブン、ブルックラディ、キルホーマン、アードナッホー
【第2特集】北アイルランドのウイスキー
世界の五大ウイスキーのなかで、いまもっとも伸びているのがアイリッシュ。ブームを牽引する北アイルランドの最新情報をリポート。
●紹介ウイスキー
ブッシュミルズ、エクリンヴィル、グレンズ・オブ・アントリム、ヒンチ、キルオーウェン、マコーネルズ、ショートクロス、タイタニック・ディスティラーズ、トゥー・スタックス
【蒸留所リポート】
2023年に100周年を迎えたジャパニーズウイスキー。その第一歩が踏み出され、昨年リニューアルしたばかりのサントリー山崎蒸溜所を取材。そのほか月光川蒸留所や、個性的なツアーを行っている八郷蒸溜所&安積蒸溜所も紹介。
【インタビュー】
ワイルドターキーのマスターディスティラーであるエディー・ラッセル氏と、その息子ブルース・ラッセル氏を編集長がインタビュー。またフィンランドで自国ライ麦にこだわったウイスキーを造るキュロ蒸留所のミイカ氏にも話を聞いた。
【特集】
ウイスキーフェスティバル2023 in TOKYO、ウイスキーコニサークラブ新潟蒸留所ツアー、下田ウイスキーフェスリポート。
(2).ビジネスに効く教養としてのジャパニーズウイスキー
世界的にも有名なウイスキー評論家で、ウイスキー文化研究所代表 土屋守先生の著書「ビジネスに効く教養としてのジャパニーズウイスキー」です。
ウイスキーの基礎知識、日本へのウイスキーの伝来、ジャパニーズウイスキーの誕生、広告戦略とジャパニーズウイスキーの盛隆、そして、現在のクラフト蒸留所の勃興まで。日本のウイスキーの事が非常にわかりやすくまとめられた一冊。
(3).ウイスキーと私(竹鶴政孝)
日本でのウイスキー醸造に人生を捧げた、ニッカウヰスキー創業者・竹鶴政孝。ただひたすらにウイスキーを愛した男が自らを語った自伝の改訂復刻版。若き日、単身スコットランドに留学し、幾多の苦難を乗り越えてジャパニーズ・ウイスキーを完成させるまでの日々や、伴侶となるリタのことなどが鮮やかに描かれる。
(4).新世代蒸留所からの挑戦状
2019年発売。世界に空前のウイスキーブームが到来しているいま、クラフト蒸留所の経営者たちは何を考え、どんな想いでウイスキー造りに挑んだのか。日本でクラフト蒸留所が誕生するきっかけを作った、イチローズ・モルトで有名なベンチャーウイスキーの肥土伊知郎氏をはじめとする、13人のクラフト蒸留所の経営者たちが世界に挑む姿を綴った1冊。
(5).ウイスキーライジング
2016年にアメリカで出版された『Whisky Risng』の日本語版であり、内容も大幅にアップデート。ジャパニーズ・ウイスキーの歴史が詳細に記述されているだけでなく、近年、創設がつづくクラフト蒸溜所を含む、日本の全蒸溜所に関するデータも掲載。そのほかにも、今まで発売された伝説的なボトルの解説や、ジャパニーズ・ウイスキーが飲めるバーなども掲載されています。
(6).ウイスキーと風の味
1969年にニッカウヰスキーに入社した、三代目マスターブレンダーの佐藤茂夫氏の著書。
『ピュアモルト』『ブラックニッカクリア』『フロム・ザ・バレル』の生みの親でもあり、なかでも『シングルモルト余市1987』はウイスキーの国際的コンペティションWWA(ワールド・ウイスキー・アワード)にて「ワールド・ベスト・シングルモルト」を受賞。
竹鶴政孝、竹鶴威の意志を引き継いだブレンダー界のレジェンドが語る今昔。