伝説の軽井沢蒸留所の系譜を継ぐ静岡蒸留所より、BAR新海向けプライベートボトル『シングルカスク静岡 for BAR新海』が2種類リリース。2025年6月20日(金)から数量限定で販売開始
東京港区で3店舗のBARを展開するBAR新海は、所有する静岡オーナーズカスクが十分な熟成に到達した為、2025年5月にボトリングし、『シングルカスク静岡 ポットスチルK × 日本産大麦 for BAR新海』と『シングルカスク静岡 ポットスチルW × 日本産大麦 for BAR新海』をリリースしました。
どちらも、ノンピートの日本産大麦を使用し、2021年にポットスチルK、ポットスチルWのそれぞれで蒸留され、オクタヴサイズのバーボン樽で約3年6ヵ月の熟成を経てボトリング致しました。
2025年6月20日より数量限定で当サイト「ジャパニーズウイスキーディクショナリー」の読者へ向けて販売を開始致します。
1.シングルカスク静岡 for BAR新海について
BAR新海は、2020年発売された「静岡プライベートカスク2021」を2樽購入し、2021年の樽入れ以降約3年半ほど熟成を見守って参りました。
購入当時は最長5年まで貯蔵可能との事でしたが、静岡の環境と、オクタヴという50Lの小さい樽である事から、想定以上に熟成が進むスピードが速かった為、3年6ヵ月でのボトリングを決定致しました。
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2.商品情報
- 今回の製品は、2種類のボトルとなります。
『シングルカスク静岡 ポットスチルK × 日本産大麦 for BAR新海』
『シングルカスク静岡 ポットスチルW × 日本産大麦 for BAR新海』静岡蒸留所の大きな特徴でもある2種類の蒸留機「ポットスチルK」と「ポットスチルW」それぞれの蒸留機で作られた原酒を別々の樽で熟成し、それぞれアルコール度数55%に調整してボトリングしました。
それぞれの蒸留機の特徴が良く出ていて、異なる味わいに仕上がっております。
2-1. シングルカスク静岡 ポットスチルK × 日本産大麦 for BAR新海
2016年より操業開始した静岡蒸留所と言えば、あの伝説の軽井沢蒸溜所のポットスチルをオークションで落札し、オーバーホールにより「ポットスチルK」として蘇らせたという、まさに軽井沢蒸溜所の系譜を受け継ぐ蒸留所です。
「軽井沢蒸留所」に残された原酒は、皮肉にもイギリスの業者の手に渡りましたが、数年後に発売された「軽井沢1960年」初回200万で販売され、今では5000万以上で取引されていると言われています。
そんな、伝説の軽井沢蒸留器「ポットスチルK」により蒸溜。原材料には「日本産大麦」を使用。2021年の樽詰めから僅か約3年6ヵ月の熟成ですが、オクタヴ(50L)という小さい樽での熟成の為、短期間で十分な熟成に到達しました。
ボトルのラベルは、静岡蒸留所オフィシャルラベルに加え、当店オリジナルラベルも作成。
前回のイチローズモルトPB同様、当店バーテンダー東がデザインを担当。BAR新海が立地する東京港区を象徴する「レインボーブリッジ」をモチーフにしました。 -
※静岡蒸留所のオフィシャルラベルと、BAR新海オリジナルラベルの両面ダブルラベルとなります。
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アルコール度数 55% 酒別 シングルモルトジャパニーズウイスキー(シングルカスク) 原材料 モルト(国内製造・ノンピート) 蒸留機 初溜:ポットスチルK、再溜:ポットスチルS 樽種 バーボン樽(オクタヴサイズ) 蒸留日 2021/11/7 ボトリング日 2025/5/15 内容量 700ml 本数 50本
2-2. シングルカスク静岡 ポットスチルW × 日本産大麦 for BAR新海
静岡蒸留所には「ポットスチルK」とは対照的となるもう一つの蒸留器が配置されています。
世界で唯一の薪を使用した薪木直火加熱の「ポットスチルW」
一般的な間接加熱蒸溜よりもかなり高温での蒸溜となり、厚みのある芳醇な味わいが生まれます。
世界でも類を見ない「ポットスチルW」により蒸溜。原材料には「日本産大麦」を使用。2021年の樽詰めから僅か3年6ヵ月の熟成ですが、オクタヴ(50L)という小さい樽での熟成の為、短期間で十分な熟成に到達しています。
ボトルのラベルは、静岡蒸留所オフィシャルラベルに加え、当店オリジナルラベルも作成。
前回のイチローズモルトPB同様、当店バーテンダー東がデザインを担当。BAR新海が立地する東京港区を象徴する「東京タワー」をモチーフにしました。
アルコール度数 | 55% |
酒別 | シングルモルトジャパニーズウイスキー(シングルカスク) |
原材料 | モルト(国内製造・ノンピート) |
蒸留機 | 初溜:ポットスチルW、再溜:ポットスチルS |
樽種 | バーボン樽(オクタヴサイズ) |
蒸留日 | 2021/11/16 |
ボトリング日 | 2025/5/16 |
内容量 | 700ml |
本数 | 33本 |
3.購入方法
2025年6月20日(金)より、下記のオンラインストアにて販売開始。
新海ドリンクスストア(https://store.shinkaidrinks.com/)
3-1.販売ページのご案内
今回販売する2種類のボトルは、販売開始日以降に、下記に各ボトルの販売ページURLを掲載いたします。
シングルカスク静岡 ポットスチルK × 日本産大麦 for BAR新海
下記ページよりご注文下さい。
※販売開始日以降にURLを掲載いたします。
シングルカスク静岡 ポットスチルW × 日本産大麦 for BAR新海
下記ページよりご注文下さい。
※販売開始日以降にURLを掲載いたします。
4.ガイアフローディスティリング株式会社
ガイアフローディスティリング㈱は、2015年3月にメルシャン軽井沢蒸留所からウイスキー製造設備を購入・取得しました。モルト粉砕に利用する粉砕機や蒸留器などの再利用可能な設備は修繕・改良を経て静岡蒸溜所へ移設され、ウイスキー製造の準備がすすめられました。
2015年、静岡県静岡市のオクシズ(奥静岡エリア)の、玉川と呼ばれる地区に静岡蒸溜所の建設を開始し、2016年9月にウイスキー製造免許を取得。2016年10月よりウイスキー製造を開始しました。
軽井沢蒸留所から移設した蒸留機(K)とスコットランド製の蒸留機(W)2基の初溜機と、1基の再溜機の計3基の蒸留器で製造を行っています。
静岡蒸溜所には「K」と「W」という呼び名の2基の初留用蒸留機が稼働しています。
「K」は、1950年代に日本で製造された歴史ある軽井沢蒸留所の蒸留機。
2011年11月に惜しまれつつ閉鎖した軽井沢蒸留所が競売にかけられていた所を、2015年にガイアフローディスティリングが製造設備一式を505万円で落札する事に成功。
その後、移設され修理・改修し伝説の蒸留機は復活しました。
そのしなやかに伸びた優美なシルエットと、蒸気の間接加熱により、軽やかで華やかな味わいの原酒を生み出しています。
薪に使用する材料も地元の間伐材を用い山林保護に一役買っています。

標高は200m前後、周囲は400m級の美しい山々に囲まれ市街地より気温は常に2〜3度は低く、天候もいわゆる山の天気です。
夏の日中は30度を超え、冬の早朝には-10度近くに下がるときもありますが、雪が降ることはないようです。
夏も冬も湿度が高く、雨の日には山々にモヤがかかります。
比較的温暖な環境の為、エンジェルズシェアは大きいようでバレルサイズは平均5~6%
樽の配置によってもエンジェルスシェアに大きく差があるようです。

静岡蒸留所のオフィシャル商品としては、2020年に発売された『シングルモルト静岡プロローグK』を皮切りに、蒸留機Kで蒸溜された「Kシリーズ」、蒸留機Wで蒸留された「Wシリーズ」、そして、KとWのブレンデッドモルト「Sシリーズ」の3つの商品ラインを定期的に発売しています。
また、地元静岡産の大麦を使用した製造にも取り組んでおり、静岡産大麦を使用した『オール静岡ウイスキー』のリリースも待ち遠しいところです。
5.最後に
ガイアフローディスティリングの代表である中村大航氏は、静岡蒸溜所を操業する前に家業の精密部品製造会社を父親から引き継いで経営していましたが、スコットランド・アイラ島の蒸留所巡りで「キルホーマン蒸留所」を訪れた際に、小さな蒸留所が持つスピリットや仕事の様子、地域を大切にする考えに感銘を受けます。
自分でもウイスキー造りが出来るのではないかと、ウイスキー造りへの思いが強くなり、遂に2025年から蒸留所の建設を開始し、ウイスキー製造業へ参入しました。
2016年頃の新興蒸溜所の中では、厚岸蒸溜所と並んで静岡蒸留所も異業種からのウイスキー製造への参入を果たし、これまでのジャパニーズウイスキーの歴史に新しい風を吹き込みました。
異業種からの新規参入は、事業計画、資金調達、ノウハウの取得、設備の調達などなど全て0から作り上げていく必要があり、操業開始までにも相当な苦労を経験されてきたのではないかと思います。
また、操業開始してからも、ウイスキーとして商品化されるまでには最低でも3年かかる為、その間の資金繰りや製造の継続など蒸留所を運営していく事自体が非常に大変な事だと思います。
ガイアフローディスティリングを設立してから今日までの約10年間、静岡蒸留所は並々ならぬ努力と苦労をされてきたものと思います。
まさに、今回リリースした「シングルカスク静岡 for BAR新海」は、汗と涙の結晶といっても過言ではない無いでしょう。
是非、ご賞味いただけると幸いです。
最後に:ジャパニーズウイスキーのおすすめ書籍
世界的なトレンドを巻き起こしている「ジャパニーズウイスキー」の事をもっと知りたい、もっと勉強したいという方は、是非こちらの書籍をおすすめいたします。
(1).Whisky Galore(ウイスキーガロア)Vol.50 2025年6月号
『ウイスキーガロア』6月号、巻頭特集はシングルモルトを世界に知らしめたディアジオ特集・後編。
メーカー別に蒸留所を集成・徹底解説する新シリーズ「スコッチ蒸留所名鑑」を始動。
第1弾ではスコットランドに30の蒸留所を擁するディアジオ社が登場!
最新号ではスペイサイド・アイラの20蒸留所を一挙掲載します。
[巻頭特集]
スコッチ蒸留所名鑑 [第1弾 ディアジオ 後編]
ディアジオ社の蒸留所を一挙紹介 <スペイサイド・アイラ編>
カードゥ/モートラック/クラガンモア/グレンエルギン/ローズアイル/カリラ/ラガヴーリン/ポートエレン/オスロスク/ベンリネス/ダルユーイン/ダフタウン/グレンダラン/グレンロッシー/マノックモア/リンクウッド/インチガワー/ストラスミル/グレンスペイ/ノッカンドオ
◆Chinese Whisky ――国家級 中国威士忌 最新事情
叠川(チュアン)蒸留所/沃林(オーリン)クーパレッジ/青島(チンタオ)蒸留所
◆日本のクラフト蒸留所最前線
新道蒸溜所/朝倉蒸溜所
◆ジャパニーズクラフトの開拓者たち[第6回] 小正嘉之助蒸溜所 小正芳嗣氏
(2).ビジネスに効く教養としてのジャパニーズウイスキー
世界的にも有名なウイスキー評論家で、ウイスキー文化研究所代表 土屋守先生の著書「ビジネスに効く教養としてのジャパニーズウイスキー」です。
ウイスキーの基礎知識、日本へのウイスキーの伝来、ジャパニーズウイスキーの誕生、広告戦略とジャパニーズウイスキーの盛隆、そして、現在のクラフト蒸留所の勃興まで。日本のウイスキーの事が非常にわかりやすくまとめられた一冊。
(3).ウイスキーと私(竹鶴政孝)
日本でのウイスキー醸造に人生を捧げた、ニッカウヰスキー創業者・竹鶴政孝。ただひたすらにウイスキーを愛した男が自らを語った自伝の改訂復刻版。若き日、単身スコットランドに留学し、幾多の苦難を乗り越えてジャパニーズ・ウイスキーを完成させるまでの日々や、伴侶となるリタのことなどが鮮やかに描かれる。
(4).新世代蒸留所からの挑戦状
2019年発売。世界に空前のウイスキーブームが到来しているいま、クラフト蒸留所の経営者たちは何を考え、どんな想いでウイスキー造りに挑んだのか。日本でクラフト蒸留所が誕生するきっかけを作った、イチローズ・モルトで有名なベンチャーウイスキーの肥土伊知郎氏をはじめとする、13人のクラフト蒸留所の経営者たちが世界に挑む姿を綴った1冊。
(5).ウイスキーライジング
2016年にアメリカで出版された『Whisky Risng』の日本語版であり、内容も大幅にアップデート。ジャパニーズ・ウイスキーの歴史が詳細に記述されているだけでなく、近年、創設がつづくクラフト蒸溜所を含む、日本の全蒸溜所に関するデータも掲載。そのほかにも、今まで発売された伝説的なボトルの解説や、ジャパニーズ・ウイスキーが飲めるバーなども掲載されています。
(6).ウイスキーと風の味
1969年にニッカウヰスキーに入社した、三代目マスターブレンダーの佐藤茂夫氏の著書。
『ピュアモルト』『ブラックニッカクリア』『フロム・ザ・バレル』の生みの親でもあり、なかでも『シングルモルト余市1987』はウイスキーの国際的コンペティションWWA(ワールド・ウイスキー・アワード)にて「ワールド・ベスト・シングルモルト」を受賞。
竹鶴政孝、竹鶴威の意志を引き継いだブレンダー界のレジェンドが語る今昔。