現在日本にはクーパーと呼ばれる樽職人は50人ほどしかいないと言われています。
クラフトウイスキー戦国時代とも言える昨今においてウイスキー樽は、なくてはならない三種の神器の一つ。
増えた需要に手作業で作られるウイスキー樽は供給が間に合わず、樽不足に喘ぐ企業は多いです。
この状況を打破すべく島田木材と若鶴酒造と佐藤鉄工所の三社が自動でウイスキー樽の表面を削る機会
「バレルロール」を開発した。
1. 島田木材
主に森林経営、丸田製造、ウイスキー樽製造を行っている。
会社名 | 株式会社島田木材 |
所在地 | 〒932-0231 富⼭県南砺市⼭⾒1755 |
創業 | 昭和23年(会社設立 平成20年) |
代表取締役会長 | 島田勝由 |
社長 | 島田優平 |
2. 佐藤鉄工所
産業機械、部品の修理製造を行う。
会社名 | 有限会社佐藤鉄工所 |
所在地 | 〒939-1337 富山県砺波市神島735 |
創業 | 1985年1月16日 |
代表者 | 佐藤 清州 |
3. 若鶴酒造
三郎丸蒸留所を運営する若鶴酒造㈱は、1862年に富山県砺波郡三郎丸村で清酒製造を始めた、北陸では非常に歴史のある酒造です。
第二次世界大戦の終結後、行きづまった局面を打開すべく、独自に蒸留酒製造の研究を行い、1952年にウイスキー製造免許を取得しました。1953年から「サンシャインウイスキー」を富山県内で販売をはじめました。
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4.バレルロール
これまで手作業で樽の内側を削っていたので従来であれば半日を要していたが
なんと作業時間は15分に大幅な短縮に成功。
生産本数の大幅増が可能になり、国産ウイスキー人気で深刻化している樽不足の解消につなげていく。
島田木材は2017年、山崎工務店(南砺市山見・井波)と共同運営する樽工房で、古いウイスキー樽を再利用する取り組みを始めた。
古樽、いわゆるファーストフィル、セカンド、サードフィルと呼ばれる樽材はウイスキーの味わいや風味に与える影響が徐々に弱くなっていく。
こうした古樽の表面を削り、もう一度焼き直すことで味を再生させ、使用または再販売される。
新品より安価で人気を集めるが、手作業のため1日2本の加工が限界だった
需要の高まりに対応するため、親交のある若鶴酒造、佐藤鉄工所と機械化に着手。
2年かけてバレルロールを開発した。
バレルロールは高さ2・7メートル、幅1・6メートル、奥行き2・2メートル。
アタッチメントで樽を固定し、電動工具が表面を自動で削る。
樽を斜めに設置することも可能で、削りかすが残らず、出来栄えの確認も容易になるという。
現在特許を出願しており、アメリカやイギリスなど海外への輸出も目指す。
島田木材の島田優平社長は「高まるウイスキー樽の需要に応えたい」と話した。
引用:北日本新聞社
5. まとめ
これまで使用したバレルを再加工するには、一度加工業者に送って、そこから加工業者が手作業でリチャ―し送り返すという手間が必要でしたが、もしかしたらこれからは一定のレクチャーを受ければ自社で樽を再加工できる事が可能になるかも知れませんね。
しかし樽を削るのもリチャ―加工も職人の仕事である事も確か。
大量生産が可能になるのは良い反面、どういった影響があるのかもまた気になるところです。
本場スコットランド「スペイサイド・クーパレッジ・アロア」には2013年に先駆けてオートメーション化されたリチャ―専用の最新機器の数々が運用されている
環境に配慮された地産地消のウイスキーは地方再生を促し雇用に繋がり活性化してきます。
今、世界では脱炭素を目指し水素を使用した蒸留機の開発も進んでいます。
こうした動きが世界に広がり地球にやさしいウイスキーが出来るのは喜ばしい事ですね。