札幌酒精工業から道産コーンウイスキープロジェクトの第一歩となるニューボーンが数量限定408本発売。
以前当サイトでも取り上げさせて頂いたプロジェクトですが、進捗もかなり進んでいるようですので、改めてご紹介したいと思います。
北海道でこれだけ収穫できるのに、コーンウイスキーは今まで発売されてきませんでした。
昨年より、北海道コーンウイスキープロジェクトで開発されるウイスキーの名称を「ゴールドキビス」という名前に決定。この名称を使用するにあたって定義を決め、実際に作成された第一弾が今回のウイスキーです。
1.サッポロコーンウイスキーニューボーン
製品名 | サッポロコーンウイスキーニューボーン |
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酒 別 | ニューボーンスピリッツ |
原材料 | トウモロコシ、麦芽 |
樽 種 | 不明 |
詰本数 | 408本 |
度 数 | 60% |
価 格 | 300ml 3,300円(税込) |
製造所 | 札幌酒精工業 |
少な目の限定本数なので入手は難しそうです。
2.道産コーンウイスキープロジェクト
プロジェクトの背景などは当サイトのコチラの記事を参照してください。
進捗としては北海道コーンウイスキー「ゴールドキビス」という名称が決定し、名称を使用するにあたっての定義が決定されました。
〈北海道コーンウイスキー「Gold Quibis」の要件〉
- 原材料は、北海道産とうもろこしを主原料とし、北海道で採水された水に限ること
- 麦芽は必ず使用しなければならない
- 糖化、発酵、蒸留は、北海道内の蒸留所で行うこと
- 木製樽に詰め、3年以上北海道内において貯蔵すること
- 北海道内において容器詰めし、充填時のアルコール分は40度以上であること
この内容を見る限りに考えられるものは、
- 北海道産トウモロコシを一番多く使用し、麦芽も必ず使用するが量や産地に関しての指定はない。
- 他の原料についても言及がなく、使用可能である。
- バーボンと違い、樽に指定はないが、糖化~瓶詰までの工程をすべて北海道内で行う。
北海道のものを大多数使用して、北海道で蒸溜などをすべて行うことを徹底しながらも、ある程度自由があってメーカーも違いを出しやすい定義となっています。
プロジェクトでは「コーンウイスキー蒸留に関するノウハウ」、「道産ミズナラ以外の材木の研究」、「道内の大麦生産の選定、供給の確立」が行われています。
ミズナラ樽は材木の加工が非常に難しく、安定して供給ができる他の道産木材での試験熟成が行われています。
候補としては「アカエゾマツ」。木含まれる油分にはいわゆる「森の香り」といわれるボルニルアセテートが含まれており、熟成によってウイスキーにどのような香味をもたらすのか非常に興味深いです。
3.まとめ
道産コーンウイスキー「ゴールドキビス」が飲めるようになるには、最短でも2026年の予定となっています。参画蒸留所も札幌酒精工業以外に、すでにコーンウイスキーのニューポットを発売している「馬追蒸溜所」、蒸溜から3年以上熟成させたウイスキーもあるが、未だに一切のウイスキーは発売していない「ニセコ蒸溜所」も参画してます。
研究所も様々な試験を行っており、海外でも唯一無二の美味しいウイスキーが出来上がることを期待しましょう。
最後に:ジャパニーズウイスキーのおすすめ書籍
世界的なトレンドを巻き起こしている「ジャパニーズウイスキー」の事をもっと知りたい、もっと勉強したいという方は、是非こちらの書籍をおすすめいたします。
(1).Whisky Galore(ウイスキーガロア)Vol.46 2024年10月号
【巻頭特集】
「新アイリッシュ・ルネッサンス[第1弾]」
【第2特集】
「ガロア的 東京のバー、パブ巡り」
【連載】
「ジャパニーズクラフトの開拓者たち」
前号からスタートしたこの連載。第2回では厚岸蒸溜所の樋田恵一氏を編集長がインタビューします。
(2).ビジネスに効く教養としてのジャパニーズウイスキー
世界的にも有名なウイスキー評論家で、ウイスキー文化研究所代表 土屋守先生の著書「ビジネスに効く教養としてのジャパニーズウイスキー」です。
ウイスキーの基礎知識、日本へのウイスキーの伝来、ジャパニーズウイスキーの誕生、広告戦略とジャパニーズウイスキーの盛隆、そして、現在のクラフト蒸留所の勃興まで。日本のウイスキーの事が非常にわかりやすくまとめられた一冊。
(3).ウイスキーと私(竹鶴政孝)
日本でのウイスキー醸造に人生を捧げた、ニッカウヰスキー創業者・竹鶴政孝。ただひたすらにウイスキーを愛した男が自らを語った自伝の改訂復刻版。若き日、単身スコットランドに留学し、幾多の苦難を乗り越えてジャパニーズ・ウイスキーを完成させるまでの日々や、伴侶となるリタのことなどが鮮やかに描かれる。
(4).新世代蒸留所からの挑戦状
2019年発売。世界に空前のウイスキーブームが到来しているいま、クラフト蒸留所の経営者たちは何を考え、どんな想いでウイスキー造りに挑んだのか。日本でクラフト蒸留所が誕生するきっかけを作った、イチローズ・モルトで有名なベンチャーウイスキーの肥土伊知郎氏をはじめとする、13人のクラフト蒸留所の経営者たちが世界に挑む姿を綴った1冊。
(5).ウイスキーライジング
2016年にアメリカで出版された『Whisky Risng』の日本語版であり、内容も大幅にアップデート。ジャパニーズ・ウイスキーの歴史が詳細に記述されているだけでなく、近年、創設がつづくクラフト蒸溜所を含む、日本の全蒸溜所に関するデータも掲載。そのほかにも、今まで発売された伝説的なボトルの解説や、ジャパニーズ・ウイスキーが飲めるバーなども掲載されています。
(6).ウイスキーと風の味
1969年にニッカウヰスキーに入社した、三代目マスターブレンダーの佐藤茂夫氏の著書。
『ピュアモルト』『ブラックニッカクリア』『フロム・ザ・バレル』の生みの親でもあり、なかでも『シングルモルト余市1987』はウイスキーの国際的コンペティションWWA(ワールド・ウイスキー・アワード)にて「ワールド・ベスト・シングルモルト」を受賞。
竹鶴政孝、竹鶴威の意志を引き継いだブレンダー界のレジェンドが語る今昔。