プロローグが終わり、ついに本章がスタート!静岡蒸溜所のファーストリリース「プロローグK」の流れを汲む、蒸留機Kからの原酒で構成された『K』シリーズ。
2022年6月中旬『静岡 ポットスティルK 純日本大麦 初版』が発売されました。蒸留機Kの原酒のみを使用し原料の大麦麦芽は日本産100%、奥静岡の豊かな自然の中で3年から最長5年熟成という特別なウイスキーです。
今回のリリースは国内販売数量2,500本限定。希望小売価格は18,150円(税込)とプロローグK・プロローグWと比べると販売本数は半数に、価格は倍以上となります。
1.メーカー
ガイアフローディスティリング株式会社
設立 | 2014年10月8日 |
本社所在地 | 〒421-2223 静岡県静岡市葵区落合555番地 |
所有蒸留所 | ガイアフロー静岡蒸溜所 |
2.蒸留所
ガイアフロー静岡蒸溜所
所在地 | 〒421-2223 静岡県静岡市葵区落合555番地 |
操業開始 | 2016年 |
2014年10月8日ガイアフローディスティリング株式会社設立。
2016年8月9日ガイアフロー静岡蒸溜所竣工。
同年、10月28日ウイスキー製造開始。
静岡県静岡市のオクシズ(奥静岡エリア)の玉川地区にあり、一級河川安倍川の支流である、安倍中河内川のほとりに建っている。
標高は200m前後、周囲は400m級の美しい山々に囲まれ、市街地より気温は常に2〜3度低く、まさに好立地と言える。
建物は、日本の美と西洋文化の融合をテーマにデザインされており、静岡在住のアメリカ人建築家デレック・バストン氏とのコラボレーションにより内外装に静岡の木材を多用した、見た目にも美しいウイスキー蒸留所です。
静岡蒸溜所には「K」と「W」という呼び名の2基の初留用蒸留機が稼働しています。Kは、1950年代に日本で製造された歴史ある軽井沢蒸留所の蒸留機。2011年11月に惜しまれつつ閉鎖した軽井沢蒸留所から静岡蒸溜所に移設され、修理・改修し伝説の蒸留機は復活しました。そのしなやかに伸びた優美なシルエットと、蒸気の間接加熱により、軽やかで華やかな味わいの原酒を生み出しています。
下の写真の左手前がスコットランド・フォーサイス社製のおそらく世界で唯一の「薪直火蒸留機」で、この蒸留機がW。
今回のプロローグWはこの蒸留機で蒸留した原酒を使用しています。直火蒸留の特徴はまさに温度です。一般的な間接加熱蒸留の場合の温度は150℃前後ですが、静岡蒸溜所の薪直火蒸留は800℃とのことで、香ばしく力強いタイプのモルト原酒を作り出すことができます。
発酵槽には地元静岡産の杉を使った木桶を採用。静岡市は林業の街であり、その特色を生かし、静岡らしいウイスキーを造れたらとの思いを込めて、あえて地元静岡産の杉を選んでいるのだそうです。
ウイスキーの原料となるモルト(大麦麦芽)を粉砕する為のモルトミルも、蒸留機”K”と同様に軽井沢蒸留所で使用されていた歴史ある機械を移設して使用しています。
メルシャンが当時販売していたウイスキーには、「軽井沢 貯蔵8年 100%モルト ウイスキー」や「メルシャン 軽井沢15年 シェリー樽 モルトマスターズ」などがありました。
静岡は、スコットランドよりも温かい気候であることと、貯蔵庫の天井に採光用の窓を設置して敢えて寒暖差を作る設計にしています。その為、貯蔵庫で熟成中の原酒は、エンジェルズシェアで年間5%以上蒸発する見込みだそうです。
蒸留所には、試飲コーナーが設けられていて静岡蒸溜所の原酒や、第一弾の「シングルモルトプロローグK」を試飲する事ができます(有料)。また、静岡蒸溜所では、ウイスキーの輸入販売を行っており、インドのウイスキー「アムルット」、スコットランドのボトラーズ「ブラックアダー」「アスタモリス」なども試飲する事が出来ます。
ガイアフロー静岡蒸溜所の情報はこちら↓もご覧ください。
3.商品名と写真
シングルモルト日本ウイスキー 静岡 ポットスティルK 純日本大麦 初版
Single Malt Japanese Whisky Shizuoka Pot Still K 100% Japanese Barley First Edition
4.特徴
蒸留機Kのみを使用、原料の大麦麦芽は日本産100%
シングルモルトウイスキー(単一の蒸溜所の原酒のみ)であるだけでなく、単一の初留蒸留機からの原酒のみで構成。日本産大麦の繊細で甘美な味わいを、蒸留機「K」がさらにエレガントに磨き上げている。 この味わいは、静岡蒸溜所だけが生み出せる唯一無二のものだ。
静岡蒸溜所では、常に使用した初留蒸留機ごとに原酒を分け、奥静岡の豊かな自然の中で最低3年から最長5年の熟成期間を設け、美しい淡い琥珀色のウイスキーを製造している。同じ条件(日本産大麦麦芽、蒸留機「K」使用)を満たす様々な樽のブレンドを重ね、当商品が完成した。
原材料は、モルトに日本産大麦麦芽を100%使用。樽はバーボン樽、ワイン樽を使用。原材料から日本国産のみを使用したジャパニーズウイスキーである。
引用:シングルモルト日本ウイスキー 静岡 ポットスティルK 純日本大麦 初版|Shizuoka Distillery | 静岡ウイスキー
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4-1.テイスティングノート
香り 花や果実、柑橘、バニラ、セメダイン香 味わい モルトのコク、レモンや乳酸系の酸味、はちみつ、熟したメロン 余韻 なめらかな甘味と樽香、モルティな甘さが長く続く 4-2.商品スペック
アルコール度数 | 55.5% |
酒別 | シングルモルトジャパニーズウイスキー |
樽種 | バーボン樽、ワイン樽、他 |
内容量 | 700ml |
販売本数 | 限定2,500本 |
希望小売価格 | 18,150円(税込) |
発売日 | 2022年6月中旬 |
5.受賞歴
現時点では、受賞歴はありません。
6.価格
6-1.メーカー希望小売価格
商品名 | シングルモルト日本ウイスキー 静岡 ポットスティルK 純日本大麦 初版 |
容量 | 700ml |
希望小売価格 | 18,150円(税込) |
6-2.メルカリでの転売価格
メルカリでの転売価格は、36,000円~45,000円前後となっています。(※2022/6/23時点)
6-3.ヤフーオークション落札価格
現在、ヤフーオークションでは販売されていないようです。(※2022/6/23時点)
6-4.楽天、ヤフーショッピング、Amazon
通販サイトでは、83,800円で販売されています。(※2022/6/23時点)
6-5.BAR新海での提供価格
当サイトが運営する「BAR新海」では、1杯、45ml:4,950円 30ml:3,300円、15ml:1,650円などの少量でも提供しております。
7.まとめ
ポットスティルKの最大の特徴は、原材料のモルトに日本産大麦麦芽を100%使用しているところです。静岡蒸溜所では、2016年の操業開始当初より日本産大麦麦芽での仕込みを開始し、毎年継続して原酒を仕込んでいます。
現在、多くのジャパニーズウイスキーでは原材料に海外産大麦麦芽を使用しており、日本産大麦麦芽はまだまだ少ないのが現状です。それは、国内の大麦産地は限られており収穫量も少なく海外産に比べ日本産麦芽は高価なのが原因です。
そのような状況下においても静岡蒸留所は、日本産大麦のウイスキーの風味におけるポテンシャルや、日本のお酒としてのテロワール(土地の個性)の重要性から、原価の高い日本産大麦麦芽でのウイスキー造りに取り組んでいます。日本産大麦から生まれるこのウイスキーの味わいは、日本らしい繊細さと柔らかでなめらかな甘さがあり、海外産大麦とはひと味もふた味も違う、テロワール豊かなウイスキーといえます。
「静岡蒸溜所」に関するその他の記事も是非ご覧ください。
最後に:ジャパニーズウイスキーのおすすめ書籍
世界的なトレンドを巻き起こしている「ジャパニーズウイスキー」の事をもっと知りたい、もっと勉強したいという方は、是非こちらの書籍をおすすめいたします。
(1).Whisky Galore(ウイスキーガロア)Vol.47 2024年12月号
【巻頭特集】
「新アイリッシュ・ルネッサンス[第2弾]」
【第2特集】
「日本のクラフト蒸留所最前線」
今号では北海道の厚岸と苫小牧、そしてクラフト蒸留所に麦芽を供給する中標津のクラフトモルティング社についても紹介します。さらに三島のウォータードラゴンと、ZEMONⅡが稼働する飛騨高山蒸溜所も再訪。
【連続ロングインタビュー】
第3回 ガイアフロー静岡蒸溜所 中村大航氏
【特別リポート】
遊佐蒸溜所の挑戦
第二期リニューアルが完了したサントリー白州蒸溜所
(2).ビジネスに効く教養としてのジャパニーズウイスキー
世界的にも有名なウイスキー評論家で、ウイスキー文化研究所代表 土屋守先生の著書「ビジネスに効く教養としてのジャパニーズウイスキー」です。
ウイスキーの基礎知識、日本へのウイスキーの伝来、ジャパニーズウイスキーの誕生、広告戦略とジャパニーズウイスキーの盛隆、そして、現在のクラフト蒸留所の勃興まで。日本のウイスキーの事が非常にわかりやすくまとめられた一冊。
(3).ウイスキーと私(竹鶴政孝)
日本でのウイスキー醸造に人生を捧げた、ニッカウヰスキー創業者・竹鶴政孝。ただひたすらにウイスキーを愛した男が自らを語った自伝の改訂復刻版。若き日、単身スコットランドに留学し、幾多の苦難を乗り越えてジャパニーズ・ウイスキーを完成させるまでの日々や、伴侶となるリタのことなどが鮮やかに描かれる。
(4).新世代蒸留所からの挑戦状
2019年発売。世界に空前のウイスキーブームが到来しているいま、クラフト蒸留所の経営者たちは何を考え、どんな想いでウイスキー造りに挑んだのか。日本でクラフト蒸留所が誕生するきっかけを作った、イチローズ・モルトで有名なベンチャーウイスキーの肥土伊知郎氏をはじめとする、13人のクラフト蒸留所の経営者たちが世界に挑む姿を綴った1冊。
(5).ウイスキーライジング
2016年にアメリカで出版された『Whisky Risng』の日本語版であり、内容も大幅にアップデート。ジャパニーズ・ウイスキーの歴史が詳細に記述されているだけでなく、近年、創設がつづくクラフト蒸溜所を含む、日本の全蒸溜所に関するデータも掲載。そのほかにも、今まで発売された伝説的なボトルの解説や、ジャパニーズ・ウイスキーが飲めるバーなども掲載されています。
(6).ウイスキーと風の味
1969年にニッカウヰスキーに入社した、三代目マスターブレンダーの佐藤茂夫氏の著書。
『ピュアモルト』『ブラックニッカクリア』『フロム・ザ・バレル』の生みの親でもあり、なかでも『シングルモルト余市1987』はウイスキーの国際的コンペティションWWA(ワールド・ウイスキー・アワード)にて「ワールド・ベスト・シングルモルト」を受賞。
竹鶴政孝、竹鶴威の意志を引き継いだブレンダー界のレジェンドが語る今昔。