【レビュー】静岡 ポットスティルW 純外国産大麦 初版

ウィスキーレビュー
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ガイアフロー静岡蒸溜所

静岡蒸溜所の最新作、2021年に発売された「プロローグW」の後継で薪直火蒸留機Wの原酒で構成されたWシリーズの第2弾です。外国産大麦を100%使用。

使用したモルトの7割はスコットランド産のピーテッド麦芽を使い、静岡蒸溜所としては初めてのスモーキーなタイプのシングルモルトとなります。残りの2割はスコットランド産ノンピート麦芽、1割がドイツ産ビール(ピルスナー)用麦芽を使用して、味わいにさらなる深みと広がりが愉しめます。

プロローグWや日本産大麦100%のポットスティルKとの飲み比べもしてみたいですね。

今回のリリースは国内販売数量5,000本限定。希望小売価格は9,845円(税込)とポットスティルKと比べると原料の大麦の違いからでしょうか、価格はかなり安くなった印象です。

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1.メーカー

ガイアフローディスティリング株式会社

設立 2014年10月8日
本社所在地 〒421-2223 静岡県静岡市葵区落合555番地
所有蒸留所 ガイアフロー静岡蒸溜所

2.蒸留所

ガイアフロー静岡蒸溜所

所在地 〒421-2223 静岡県静岡市葵区落合555番地
操業開始 2016年

2014年10月8日ガイアフローディスティリング株式会社設立。
2016年8月9日ガイアフロー静岡蒸溜所竣工。
同年、10月28日ウイスキー製造開始。
静岡県静岡市のオクシズ(奥静岡エリア)の玉川地区にあり、一級河川安倍川の支流である、安倍中河内川のほとりに建っている。
標高は200m前後、周囲は400m級の美しい山々に囲まれ、市街地より気温は常に2〜3度低く、まさに好立地と言える。
建物は、日本の美と西洋文化の融合をテーマにデザインされており、静岡在住のアメリカ人建築家デレック・バストン氏とのコラボレーションにより内外装に静岡の木材を多用した、見た目にも美しいウイスキー蒸留所です。

静岡蒸溜所には「K」と「W」という呼び名の2基の初留用蒸留機が稼働しています。Kは、1950年代に日本で製造された歴史ある軽井沢蒸留所の蒸留機。2011年11月に惜しまれつつ閉鎖した軽井沢蒸留所から静岡蒸溜所に移設され、修理・改修し伝説の蒸留機は復活しました。そのしなやかに伸びた優美なシルエットと、蒸気の間接加熱により、軽やかで華やかな味わいの原酒を生み出しています。

下の写真の左手前がスコットランド・フォーサイス社製のおそらく世界で唯一の「薪直火蒸留機」で、この蒸留機がW。
今回のプロローグWはこの蒸留機で蒸留した原酒を使用しています。直火蒸留の特徴はまさに温度です。一般的な間接加熱蒸留の場合の温度は150℃前後ですが、静岡蒸溜所の薪直火蒸留は800℃とのことで、香ばしく力強いタイプのモルト原酒を作り出すことができます。

発酵槽には地元静岡産の杉を使った木桶を採用。静岡市は林業の街であり、その特色を生かし、静岡らしいウイスキーを造れたらとの思いを込めて、あえて地元静岡産の杉を選んでいるのだそうです。
ウイスキーの原料となるモルト(大麦麦芽)を粉砕する為のモルトミルも、蒸留機”K”と同様に軽井沢蒸留所で使用されていた歴史ある機械を移設して使用しています。

因みに、メルシャン軽井沢蒸留所で造られ、商品化されずに貯蔵庫に眠っていた幻のウイスキー原酒は、あるイギリスの企業が買取った後、2013年にボトリングされ「軽井沢1960」として200万円で販売されました。その後、2017年のスコットランドのオークションでは約1400万円で落札日本のウイスキーが世界中のウイスキーコレクターにとってターゲットリストのトップにある事が明らかになりました。 メルシャンが当時販売していたウイスキーには、「軽井沢 貯蔵8年 100%モルト ウイスキー」や「メルシャン 軽井沢15年 シェリー樽 モルトマスターズ」などがありました。

静岡は、スコットランドよりも温かい気候であることと、貯蔵庫の天井に採光用の窓を設置して敢えて寒暖差を作る設計にしています。その為、貯蔵庫で熟成中の原酒は、エンジェルズシェアで年間5%以上蒸発する見込みだそうです。

蒸留所には、試飲コーナーが設けられていて静岡蒸溜所の原酒などを試飲する事ができます(有料)。また、静岡蒸溜所では、ウイスキーの輸入販売を行っており、インドのウイスキー「アムルット」、スコットランドのボトラーズ「ブラックアダー」「アスタモリス」なども試飲する事が出来ます。

ガイアフロー静岡蒸溜所の情報はこちら↓もご覧ください。

メーカー(蒸留所) ガイアフロー静岡蒸溜所 | ジャパニー...
「ガイアフロー静岡蒸溜所」の記事一覧です。

3.商品名と写真

シングルモルト日本ウイスキー 静岡 ポットスティルW 純外国産大麦 初版

Single Malt Japanese Whisky Shizuoka Pot Still W 100% Imported Barley First Edition

 

4.特徴

外国産大麦を100%使用、静岡蒸溜所初のスモーキーフレーバー

当商品は原材料のモルトに、外国産大麦麦芽を100%使用したシングルモルトウイスキーです。日本産大麦麦芽を100%使用した「静岡 ポットスティルK 純日本大麦 初版」とは対照的なコンセプトから生まれました。

現在、日本で造られているジャパニーズウイスキーのほとんどは、外国産大麦100%で造られています。この点をあえて「純外国産大麦」と商品名として称するということは、過去に例のない、本邦初の試みと言えるでしょう。

これは、日本産大麦の比率を高めながらウイスキーづくりをする静岡蒸溜所だからこそできる新しい挑戦です。私たちは大麦の原産地を常に表示し、それぞれの長所を大切にした、テロワール豊かなウイスキーをお届けしたいと考えています。
外国産の原材料を使用していますが、日本洋酒酒造組合が定めるジャパニーズウイスキーの基準を満たした「ジャパニーズウイスキー」です。(基準には、原材料の原産地に関しては規定されていないため)

使用したモルトの7割にスコットランド産のピーテッド麦芽を使い、静岡蒸溜所としては初めてのスモーキーなタイプのシングルモルトとなりました。ピーテッド麦芽は、スコットランド産の泥炭を燃やして燻蒸されたモルトで、独特のスモーキーフレーバーを身にまとった個性の強いウイスキーを生み出します。
原材料の残りの2割にスコットランド産ノンピート麦芽、1割がドイツ産ビール(ピルスナー)用麦芽を使用して、味わいにさらなる深みと広がりを演出しています。

引用:GAIAFLOW BLOG

4-1.テイスティングノート

香り はちみつ、トースト、後から穏やかなピートが香る
味わい モルティ、ビスケット、キャラメル、スモークナッツ
余韻 モルティな甘さと優しいピート香が長く残る余韻

4-2.商品スペック

アルコール度数 55.5%
酒別 シングルモルトジャパニーズウイスキー
樽種 バーボン樽、アメリカンオーク新樽
内容量 700ml
販売本数 限定5,000本
希望小売価格 9,845円(税込)
発売日 2022年8月中旬

5.受賞歴

現時点では、受賞歴はありません。

6.価格

6-1.メーカー希望小売価格

商品名 シングルモルト日本ウイスキー 静岡 ポットスティルW 純外国産大麦 初版
容量 700ml
希望小売価格 9,845円(税込)

6-2.メルカリでの転売価格 ※2024年9月17日更新

メルカリでの転売価格は、14,999円〜20,000円前後の価格帯が中心となり入手が可能となっています。2022年当時の転売価格と比較すると、価格が少し落ち着いた印象です。(※2024/9/17時点)

メルカリでの転売価格は、19,000円~26,000円前後となっています。(※2022/8/26時点)


6-3.ヤフーオークション落札価格 ※2024年9月17日更新

ヤフーオークションにて現在出品中の本体落札価格は、12,800円〜18,000円前後となっているようです。(※2024/9/17時点)

ヤフーオークションでの落札価格は、最安15,600円、最高27,000円、平均21,235円 (※2022/8/26時点より過去180日間の統計情報)


6-4.楽天、ヤフーショッピング、Amazon ※2024年9月17日更新

通販サイトでも、29,800円〜39,000円前後で販売されています。 最新のリサーチでは、ポットスチルWの「初版」が販売されているサイトは、Yahoo!ショッピングのみでした。ちなみに、現時点で主流となっている、『静岡 ポットスティルW 純外国産大麦 2024年版』は、どのサイトでも確認はできました。(※2024/9/17時点)

現在通販サイトでは販売されていないようです。(※2022/8/26時点)

6-5.BAR新海での提供価格

当サイトが運営する「BAR新海」では、1杯、45ml:3,630円 30ml:2,420円、15ml:1,210円などの少量でも提供しております。

「BAR新海」のご案内
Japanese Whisky Dictionaryが運営する「BAR新海」は、東京都港区に3店舗。当サイトで紹介しているジャパニーズウィスキーをはじめ、国産のジンやビールなども取扱い。オリジナルカクテル、フレッシュフルーツカクテルなども人気。食事も豊富で1件目からも利用可能。

7.まとめ

ポットスティルWの最大の特徴は、原材料のモルトに外国産大麦麦芽を100%使用しているところです。今まで静岡蒸溜所がリリースしてきたウイスキーには日本産大麦の比率が高く、静岡蒸溜所のテロワールへの拘りがありました。
今作は日本産大麦をまったく使わないという静岡蒸溜所として過去に例のない、初の試みというわけです。

「静岡蒸溜所」に関するその他の記事も是非ご覧ください。

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最後に:ジャパニーズウイスキーのおすすめ書籍

世界的なトレンドを巻き起こしている「ジャパニーズウイスキー」の事をもっと知りたい、もっと勉強したいという方は、是非こちらの書籍をおすすめいたします。

(1).Whisky Galore(ウイスキーガロア)Vol.47 2024年12月号

【巻頭特集】
「新アイリッシュ・ルネッサンス[第2弾]」
【第2特集】
「日本のクラフト蒸留所最前線」
今号では北海道の厚岸と苫小牧、そしてクラフト蒸留所に麦芽を供給する中標津のクラフトモルティング社についても紹介します。さらに三島のウォータードラゴンと、ZEMONⅡが稼働する飛騨高山蒸溜所も再訪。
【連続ロングインタビュー】
第3回 ガイアフロー静岡蒸溜所 中村大航氏
【特別リポート】
遊佐蒸溜所の挑戦
第二期リニューアルが完了したサントリー白州蒸溜所

(2).ビジネスに効く教養としてのジャパニーズウイスキー

世界的にも有名なウイスキー評論家で、ウイスキー文化研究所代表 土屋守先生の著書「ビジネスに効く教養としてのジャパニーズウイスキー」です。
ウイスキーの基礎知識、日本へのウイスキーの伝来、ジャパニーズウイスキーの誕生、広告戦略とジャパニーズウイスキーの盛隆、そして、現在のクラフト蒸留所の勃興まで。日本のウイスキーの事が非常にわかりやすくまとめられた一冊。

(3).ウイスキーと私(竹鶴政孝)

日本でのウイスキー醸造に人生を捧げた、ニッカウヰスキー創業者・竹鶴政孝。ただひたすらにウイスキーを愛した男が自らを語った自伝の改訂復刻版。若き日、単身スコットランドに留学し、幾多の苦難を乗り越えてジャパニーズ・ウイスキーを完成させるまでの日々や、伴侶となるリタのことなどが鮮やかに描かれる。

(4).新世代蒸留所からの挑戦状

2019年発売。世界に空前のウイスキーブームが到来しているいま、クラフト蒸留所の経営者たちは何を考え、どんな想いでウイスキー造りに挑んだのか。日本でクラフト蒸留所が誕生するきっかけを作った、イチローズ・モルトで有名なベンチャーウイスキーの肥土伊知郎氏をはじめとする、13人のクラフト蒸留所の経営者たちが世界に挑む姿を綴った1冊。

(5).ウイスキーライジング

2016年にアメリカで出版された『Whisky Risng』の日本語版であり、内容も大幅にアップデート。ジャパニーズ・ウイスキーの歴史が詳細に記述されているだけでなく、近年、創設がつづくクラフト蒸溜所を含む、日本の全蒸溜所に関するデータも掲載。そのほかにも、今まで発売された伝説的なボトルの解説や、ジャパニーズ・ウイスキーが飲めるバーなども掲載されています。

(6).ウイスキーと風の味

1969年にニッカウヰスキーに入社した、三代目マスターブレンダーの佐藤茂夫氏の著書。
『ピュアモルト』『ブラックニッカクリア』『フロム・ザ・バレル』の生みの親でもあり、なかでも『シングルモルト余市1987』はウイスキーの国際的コンペティションWWA(ワールド・ウイスキー・アワード)にて「ワールド・ベスト・シングルモルト」を受賞。
竹鶴政孝竹鶴威の意志を引き継いだブレンダー界のレジェンドが語る今昔。

この記事を書いた人
深瀬 悠二

北海道札幌市出身。
2005年、大手スポーツ用品販売チェーンに就職→2019年1月、BAR新海に就職しウイスキーの魅力に引き込まれ虜となる。初めて飲んだウイスキーはアードベッグ10年。ほぼ毎日ウイスキーを飲む中で更なる知識習得を目指し、ウイスキー検定2級とJC級(ジャパニーズクラフトウイスキー)を取得。
造り手の想いをしっかりと表現し、飲み手の方々に正しい情報を伝えたい。ウイスキーの魅力をたくさんの方に伝えたいという思いでウェブメディア「Japanese Whisky Dictionary」の編集を担当。

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