【レビュー】厚岸シングルモルトジャパニーズウイスキー立冬(りっとう)

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厚岸蒸溜所

厚岸ウイスキー「二十四節気シリーズ」第五弾「厚岸シングルモルトジャパニーズウイスキー立冬(りっとう)」
前回のブレンデッドウイスキー処暑が発売されて以来、3か月ぶりのリリースとなります。

この二十四節季シリーズはシングルモルトとブレンデッドを交互に発売していく予定となっていて、今回はシングルモルトでの発売となります。
「二十四節気」とは1年を24等分して季節を表す名称を付けたもので、よく耳にする「立春」や「夏至」などもこれにあたります。
「立冬」とは秋分と冬至の中間でもありまだまだ秋の気配が色濃く残ってるが、着実に冬へと変化していく時期。今年初めて冬の気配を感じ、いよいよ寒くなって行く時期。
二十四節気の中では19番目に当たる日で立春、立夏、立秋と合わせて「四立」と呼ばれ、季節の区切り目として重要な日です。この日から立春の前日までが暦の上では冬とされています。2021年の立冬は11月7日。また、11月7日から次の二十四節気の次の第20節、小雪の11月22日までの15日間ぐらいを指します。
今までの厚岸ウイスキーのパッケージ・ラベルデザインは落ち着いた渋めなデザインのものばかりでしたが、今作はとてもカラフルでポップなデザインになりました。立冬期間中の主な行事といえば「七五三」ということで、千歳飴がデザインのモチーフになっているそうです。
キーモルトは「北海道産モルト」これは非常に楽しみですね。

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1.メーカー

堅展実業株式会社

設立1982年
本社所在地〒100-0011 東京都千代田区内幸町1丁目1-1 帝国ホテル東京内
所有蒸留所厚岸蒸溜所

2.蒸留所

厚岸蒸溜所

所在地〒088-1124 北海道厚岸郡厚岸町宮園4丁目109-2
操業開始2016年10月

2015年 蒸留所建設を開始
2016年 10月蒸留開始
2017年 第2熟成庫完成
2018年 2月厚岸蒸溜所として初商品リリース。第3熟成庫完成
2020年 2月初のシングルモルトウイスキーをリリース。
          4月第4熟成庫完成。
     10月二十四節季シリーズ第一弾リリース。

潮気を含んだ深い霧、清澄な空気、豊富な泥炭。北海道・厚岸の風土こそ、私たちの求める未知なるジャパニーズウイスキーの風味をつくり出してくれると信じ、2016年に蒸留を開始しました。
アイラ島のウイスキー造りと同様、泥炭(ピート)層を通った水を仕込み水に用い、冷涼で湿潤、そして海風が当たる場所「厚岸」で日々熟成が進んでいます。
厚岸周辺はウイスキーの風味づけに欠かせないピートが豊富に埋蔵されており、海・山・湿原などの変化に富んだ地形によって、ピートを採取する場所ごとに異なるフレーバーが期待できます。

「スコットランドの伝統的な製法で、アイラモルトのようなウイスキーを造りたい」という強い想いのもと、設備はスコットランドのフォーサイス社製のものを導入。施工はすべてフォーサイス社の職人が来日して実施。ポットスチルの形状はストレートヘッドのオニオンシェイプで、アイラ島のいくつかの蒸留所のものと似ています。加熱はラジエーター方式、付属するコンデンサーはシェル&チューブ式でマッシュタンはセミロイター式です。
発酵槽(ウォッシュバック)はステンレスで、あえて温度調整はできないタイプに。自然に任せながら、クラフトマンが発酵のタイミングを見極めます。

2つのダンネージ式の熟成庫に加え、2018年2月厚岸湾のすぐ側に革新的なラック式の第3熟成庫が完成。2020年4月には厚岸湾を望む丘の上にラック式の第4熟成庫が完成。空気中を漂う海の香りがウイスキーの特性に良い影響を与えることが期待できます。

熟成樽はバーボン、シェリーに加え、入手困難な「ミズナラ」も使用。さらにワインやラム樽とのマッチングなど、あらゆる可能性に挑戦しています。
また、ウイスキーの原料となる大麦を厚岸内で栽培し、ピートや熟成のための木樽も含めてすべて厚岸産でおこない、将来的には「厚岸オールスター」のウイスキー造りを目指しています。新たな取組みで2021年8月、厚岸蒸溜所で蒸留した原酒を試験的に富良野で熟成させるという取組みも始まりました。富良野で熟成された原酒はどのような変化をもたらしてくれるのか。地元の厚岸のみならず「北海道」という偉大な個性を活かす、これこそまさにテロワール。ワイン通の人は良く耳にしてきたであろう「テロワール」の考えをウイスキーに取り入れ、「厚岸という個性」と「北海道という個性」を融合し、それらの土地のテロワールを活かしたウイスキー造りは魅力的であり期待値は無限大です。

厚岸町周辺の厚岸湖と別寒辺牛湿原はラムサール条約の登録湿地です。ラムサール条約とは、1971年2月2日にイランのラムサールで採択された湿地に関する条約で、水鳥をはじめとする野生動物の生息地となっている湿地を、国際的な協力のもと保全および賢明に利用することを目的としています。
当社もこの豊かな自然を守り、共存していく蒸留所を目指しています。
ウイスキーに使用する上水の取水口は、蒸留所のそばを流れる尾幌川上流のホマカイ川。その周辺は湿原地帯で、清流にしか生息しないといわれるバイカモの生息地です。夏季に咲く小さな白い花は豊かな水のシンボル。この水が厚岸のウイスキーを育みます。

引用元:厚岸蒸溜所公式HP

厚岸蒸溜所の情報はこちら↓もご覧ください。

厚岸蒸溜所の記事一覧 | ジャパニーズウイスキーディクショナリ...
Japanese Whisky Dictionary

3.商品名と写真

厚岸シングルモルトジャパニーズウイスキー立冬(りっとう)
Akkeshi Shingle Malt Japanese Whisky Ritto

4.特徴

シェリー樽メイン、キーモルトは「北海道産モルト原酒」のミズナラ樽熟成
2018年蒸留の北海道産モルト原酒のミズナラ樽熟成をキーモルトとして、ほかにも同じく北海道産モルト原酒のワイン樽(ピノノワール)熟成を使用していることで、芳醇でリッチな味わいを引き出しています。キーモルト(今回はミズナラ樽)は仮に少量であったとしてもそのウイスキーの個性を生み出す重要な役割をもっています。
華やかな甘さとチョコレートのような、これぞシェリー樽と言わんばかりの甘さが前面にでてきます。フルーツの酸味も感じ取れて次々と口の中で味わいが変化していきます。今回はピートはやや控えめな感じですが、余韻には軸となる厚岸ピートを感じることができます。

4-1.テイスティングノート

香りフローラル、チョコレート、オレンジ
味わいカカオ、黒糖、フレッシュフルーツの酸味、芳醇でふくよか、リッチな味わい
余韻甘さの後から厚岸特有のピートが顔を出しほのかに続く

4-2.商品スペック

アルコール度数55%
酒別シングルモルトウイスキー
樽種ミズナラ樽、シェリー樽、ワイン樽(ピノノワール)ほか
内容量700ml
販売本数数量限定
希望小売価格19,800円(税込)
発売日2021年11月25日

5.受賞歴

現時点では受賞歴はありません。

6.価格

6-1.メーカー希望小売価格

商品名厚岸シングルモルトジャパニーズウイスキー立冬(りっとう)
容量700ml
希望小売価格税込:19,800円

6-2.メルカリでの転売価格

メルカリでの転売価格は、90,000円前後となっています。(※2021/11/26時点)

6-3.ヤフーオークション落札価格

現在ヤフーオークションでの出品は無いようです。 (※2021/11/26時点) 

6-4.楽天、ヤフーショッピング、Amazon

現在通販サイトでの販売は無いようです(※2021/11/26時点)

6-5.BAR新海での提供価格

当サイトが運営する「BAR新海」では、1杯、45ml:5,610円30ml:3,740円、15ml:1,870円などの少量でも提供しております。

「BAR新海」のご案内
Japanese Whisky Dictionaryが運営する「BAR新海」は、東京都港区に3店舗。当サイトで紹介しているジャパニーズウィスキーをはじめ、国産のジンやビールなども取扱い。オリジナルカクテル、フレッシュフルーツカクテルなども人気。食事も豊富で1件目からも利用可能。

7.まとめ

先日、厚岸蒸溜所Facebookページの公式コメントにて厚岸ウイスキーの値上げが発表されました。
シングルモルトは3,300円、ブレンデッドは2,200円の値上げです。「春分」「夏至」「秋分」「冬至」のリリース時においてはプレミアムな原酒を使用する予定との事で、金額も更に上がると予想されています。
賛否あるとは思いますが、厚岸蒸溜所のウイスキー造りへの想い、われわれ消費者への想い、こだわり抜いた味わいの追及や苦労を考えると、やむを得ないのかなと感じます。味わいはリリースの度に驚かされる仕上がりになっていて、今作の立冬においては厚岸蒸溜所のシェリー樽をフルで使用してまでの商品化とのことで、今後2~3年は今回のようなシェリー樽メインでの組み立てはできないようです。昨今のクラフト蒸留所がリリースするウイスキーでここまでシェリー樽メインのものは無い、、、ということです。

次回作は2月か3月頃でしょうか。だとするとネーミングは「立春」や「啓蟄」、もしくは早速プレミアムな「春分」がくるかもしれませんね。次回はブレンデッドウイスキーとなりますが、果たして「春分」がくるのかどうか待ち遠しいばかりです。

厚岸蒸溜所の今後の取り組みで注目されているのは、ウイスキーの原料となる大麦を厚岸内で栽培し、ピートや熟成のための木樽も含めてすべて厚岸産でおこない、将来的には「厚岸オールスター」のウイスキー造りを目指していることです。
今年も5月中旬に厚岸大麦の播種(はしゅ)を無事に終えたようです。「厚岸オールスター」に向け着々と準備が進められているようです。
また、北海道産大麦(ふらの,中標津)を原材料に使用する取り組みも強化していて、2018年にテストとして使用した北海道産大麦はコストはスコットランド産の2倍以上、アルコール収量も80~90%程度とコストはかかるが、その風味は和のテイスト(温州ミカン,焼き栗,焼き芋の密)を持ったジャパニーズウイスキーに相応しい原酒に仕上がり、2019年からは10%程度は北海道産大麦を原料とする原酒を製造しているとのこと。

厚岸蒸溜所についてもっと詳しく知りたいという方は、2020年12月にBSフジのウィスキペディアで特集をしていましたので、そちらの配信を是非ご覧ください。
厚岸ウイスキーの魅力だけでなく、厚岸町の自然や牡蠣漁を中心とした漁業、そしてウイスキーと厚岸産牡蠣のマリアージュなど、厚岸の魅力がたっぷりと詰まった番組となっています。

「ウイスキペディアSP 日本最東端・厚岸蒸溜所の挑戦」がBSフジ...
厚岸蒸溜所は、ウイスキーの聖地とも言われるアイラ島のウイスキーを徹底的に追究し、さらに厚岸独自の風土を生かしたウイスキーが作られている。ピートから、樽の材料・ミズナラまで北海道産にこだわり、製法や設備は本場・アイラの手法を伝承・習得し製造される味わい深いジャパニーズウイスキーです。

■「厚岸蒸溜所・厚岸ウイスキー」に関するその他の記事も是非ご覧ください。

【レビュー】厚岸ブレンデッドウイスキー処暑(しょしょ)
熟成年数4年の原酒をメインに使用。原酒の構成はバーボン樽原酒主体でシェリー樽、ワイン樽原酒にて調整。複雑さと深みを増した熟成感。
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キーモルトにミズナラ樽ピーテッド原酒を使用。厚岸モルトのコクのある甘味に誘われて、蛍もやってくるかもしれません。厚岸湾の潮騒を聞きながら育ったモルトで、初夏のひとときをお楽しみください。芒種のラベルデザインは深い緑をベースに、蛍が描かれております。
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最後に:ジャパニーズウイスキーのおすすめ書籍

世界的なトレンドを巻き起こしている「ジャパニーズウイスキー」の事をもっと知りたい、もっと勉強したいという方は、是非こちらの書籍をおすすめいたします。

(1).Whisky Galore(ウイスキーガロア)Vol.42 2024年2月号

【巻頭特集】ウイスキーの聖地 アイラ島の“現在”を読み解く
アイラ島のウイスキーは、昔から「アイラモルト」という独自のカテゴリーを与えられてきた。現在9ヵ所の蒸留所があり、さらに2つの新蒸留所計画が発表されている、この小さな島を改めて紹介。
また、現在入手可能なウイスキー8種を土屋編集長が飲み比べる。
●掲載蒸留所
ボウモア、アードベッグ、ラガヴーリン、ラフロイグ、カリラ、ブナハーブン、ブルックラディ、キルホーマン、アードナッホー

【第2特集】北アイルランドのウイスキー
世界の五大ウイスキーのなかで、いまもっとも伸びているのがアイリッシュ。ブームを牽引する北アイルランドの最新情報をリポート。
●紹介ウイスキー
ブッシュミルズ、エクリンヴィル、グレンズ・オブ・アントリム、ヒンチ、キルオーウェン、マコーネルズ、ショートクロス、タイタニック・ディスティラーズ、トゥー・スタックス

【蒸留所リポート】
2023年に100周年を迎えたジャパニーズウイスキー。その第一歩が踏み出され、昨年リニューアルしたばかりのサントリー山崎蒸溜所を取材。そのほか月光川蒸留所や、個性的なツアーを行っている八郷蒸溜所&安積蒸溜所も紹介。

【インタビュー】
ワイルドターキーのマスターディスティラーであるエディー・ラッセル氏と、その息子ブルース・ラッセル氏を編集長がインタビュー。またフィンランドで自国ライ麦にこだわったウイスキーを造るキュロ蒸留所のミイカ氏にも話を聞いた。

【特集】
ウイスキーフェスティバル2023 in TOKYO、ウイスキーコニサークラブ新潟蒸留所ツアー、下田ウイスキーフェスリポート。

(2).ビジネスに効く教養としてのジャパニーズウイスキー

世界的にも有名なウイスキー評論家で、ウイスキー文化研究所代表 土屋守先生の著書「ビジネスに効く教養としてのジャパニーズウイスキー」です。
ウイスキーの基礎知識、日本へのウイスキーの伝来、ジャパニーズウイスキーの誕生、広告戦略とジャパニーズウイスキーの盛隆、そして、現在のクラフト蒸留所の勃興まで。日本のウイスキーの事が非常にわかりやすくまとめられた一冊。

(3).ウイスキーと私(竹鶴政孝)

日本でのウイスキー醸造に人生を捧げた、ニッカウヰスキー創業者・竹鶴政孝。ただひたすらにウイスキーを愛した男が自らを語った自伝の改訂復刻版。若き日、単身スコットランドに留学し、幾多の苦難を乗り越えてジャパニーズ・ウイスキーを完成させるまでの日々や、伴侶となるリタのことなどが鮮やかに描かれる。

(4).新世代蒸留所からの挑戦状

2019年発売。世界に空前のウイスキーブームが到来しているいま、クラフト蒸留所の経営者たちは何を考え、どんな想いでウイスキー造りに挑んだのか。日本でクラフト蒸留所が誕生するきっかけを作った、イチローズ・モルトで有名なベンチャーウイスキーの肥土伊知郎氏をはじめとする、13人のクラフト蒸留所の経営者たちが世界に挑む姿を綴った1冊。

(5).ウイスキーライジング

2016年にアメリカで出版された『Whisky Risng』の日本語版であり、内容も大幅にアップデート。ジャパニーズ・ウイスキーの歴史が詳細に記述されているだけでなく、近年、創設がつづくクラフト蒸溜所を含む、日本の全蒸溜所に関するデータも掲載。そのほかにも、今まで発売された伝説的なボトルの解説や、ジャパニーズ・ウイスキーが飲めるバーなども掲載されています。

(6).ウイスキーと風の味

1969年にニッカウヰスキーに入社した、三代目マスターブレンダーの佐藤茂夫氏の著書。
『ピュアモルト』『ブラックニッカクリア』『フロム・ザ・バレル』の生みの親でもあり、なかでも『シングルモルト余市1987』はウイスキーの国際的コンペティションWWA(ワールド・ウイスキー・アワード)にて「ワールド・ベスト・シングルモルト」を受賞。
竹鶴政孝竹鶴威の意志を引き継いだブレンダー界のレジェンドが語る今昔。

この記事を書いた人
深瀬 悠二

北海道札幌市出身。
2005年、大手スポーツ用品販売チェーンに就職→2019年1月、BAR新海に就職しウイスキーの魅力に引き込まれ虜となる。初めて飲んだウイスキーはアードベッグ10年。ほぼ毎日ウイスキーを飲む中で更なる知識習得を目指し、ウイスキー検定2級とJC級(ジャパニーズクラフトウイスキー)を取得。
造り手の想いをしっかりと表現し、飲み手の方々に正しい情報を伝えたい。ウイスキーの魅力をたくさんの方に伝えたいという思いでウェブメディア「Japanese Whisky Dictionary」の編集を担当。

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