「日本のウイスキーの父」と呼ばれるニッカ創業者・竹鶴政孝が、ウイスキーへの情熱の集大成として渾身の技と誇りを込めてつくり上げ、遺作として自らの名を冠したブレンデッドウイスキー「鶴」。北の大地にたたずむ、一羽の鶴。優美で柔らかな中にも凜として気高さを持つその姿を、しなやかなボトルシェイプであらわしました。まさにニッカのブレンデッドの最高峰。余市蒸溜所、宮城峡蒸溜所のみの限定販売。
1.メーカー
ニッカウヰスキー株式会社
設立 | 1934年(昭和9年) |
本社所在地 | 〒107-8616 東京都港区南青山5丁目4番31号 |
所有蒸留所 | 余市蒸溜所、宮城峡蒸溜所、ベンネヴィス蒸留所 |
2.蒸留所
余市蒸溜所
所在地 | 〒046-0003 北海道余市郡余市町黒川町7丁目6 |
操業開始 | 1936年 |
日本のスコットランドと称されている北海道の「余市蒸溜所」。マッサンこと竹鶴政孝により前身の大日本果汁株式会社が1934年に設立。 竹鶴政孝はスコットランドに似た冷涼で湿潤な気候、豊かな水源と凛と澄んだ空気がそろった場所こそが理想のウイスキーづくりには欠かせないと考え、様々な候補地の中から小樽の西、積丹半島の付根に位置する余市を選びました。 竹鶴政孝が最初の蒸留所で目指したのは、重厚で力強いモルトウイスキーづくりでした。本場スコットランドの蒸留所で学んだウイスキーづくりの手法を、一切の妥協を許さずそのまま再現することにこだわりました。そのこだわりの象徴が「ストレートヘッド型ポットスチル」と「石炭直火蒸留」です。それにより重厚で香ばしいヘビーピートの原酒が出来上がり、ピートの香りとソルティさを感じる個性的なシングルモルトが出来上がります。 竹鶴自らが学んだロングモーン蒸留所の方式にならい、この蒸留方法を採用。本物のウイスキーをつくるために必要なことであれば、たとえ非効率的であっても守り抜いていく。そんなニッカウヰスキーの原点とも言える情熱と竹鶴政孝の夢への思いが今もなお受け継がれています。
余市蒸溜所公式HPはこちら
余市蒸溜所の詳細情報は、こちらの記事もご覧ください。
宮城峡蒸溜所
所在地 | 〒989-3433 宮城県仙台市青葉区ニッカ1番地 |
操業開始 | 1969年 |
北海道・余市で第一の蒸留所をスタートさせてから約30年。 「異なる蒸留所で生まれた複数の原酒をブレンドすることで、ウイスキーはより味わい深く豊かになる」という信念を抱く竹鶴政孝にとって、第二の蒸留所はどうしても必要でした。 竹鶴が選んだ地は仙台・宮城峡。広瀬川と新川というふたつの清流に恵まれた緑豊かな峡谷。竹鶴は初めてこの地を訪れた時、新川の清流で持っていたブラックニッカを割って飲み、味わいを確認。その場で蒸留所建設を決定したと言われています。 宮城峡蒸溜所が誇るのが「カフェ式連続式蒸留機」。 導入当時、すでに旧式とされていた蒸留機です。旧式だからこそ雑味となる成分が残りやすいのですが、技術によってそれを原料本来の香りや甘みに変えることができるため、竹鶴はあえてこの旧式蒸留機を選びました。宮城峡蒸溜所では、今なお竹鶴の情熱を受け継ぐ人々がウイスキーのおいしさを求め、さまざまな試みを続けています。
画像出展:宮城峡蒸溜所|NIKKA WHISKY
宮城峡蒸溜所の詳細情報は、こちらの記事もご覧ください。
3.商品名と写真
鶴
TSURU
4.特徴
原酒、熟成樽や販売本数などの詳細は不明。
ブレンダーが異なるため、終売してしまった「鶴17年」とはブレンドが異なることがわかります。原酒の若い印象があり、熟成感やスモーキーフレーバーは抑えめ。少量の若い余市原酒、熟成された宮城峡原酒とおそらくカフェグレーンの甘みが特徴です。
最高のニッカのブレンデッドと言われる鶴17年とは異なる味わいですが、鶴ノンエイジも非常にバランスの取れた一本であることに間違いはありません。
4-1.テイスティングノート
香り | 柔らかなピート香、ドライで華やかな香り立ち。甘いフルーツ感とウッディネス。 |
味わい | スパイシーな樽香と林檎、オレンジのような甘さ。原酒の若さとグレーンの甘さが共存。 |
余韻 | スモーキー、スイーティ。カラメルの甘みと樽香が長く続く。 |
4-2.商品スペック
アルコール度数 | 43% |
酒別 | ブレンデッドウイスキー |
内容量 | 700ml |
販売本数 | 余市蒸溜所、宮城峡蒸溜所限定 少量販売 |
希望小売価格 | 13,200円(税込) |
発売日 | 2016年 |
5.受賞歴
現時点では受賞歴はありません。
6.価格
6-1.メーカー希望小売価格
商品名 | ニッカ 鶴 |
容量 | 700ml |
希望小売価格 | 税込:13,200円 |
6-2.メルカリでの転売価格
メルカリでの転売価格は、12,500円~18,000円前後となっています。(※2021/12/23時点)
定価よりやや高い販売価格となっておりますが、宮城峡蒸溜所、余市蒸溜所へ行く交通費を考えると、お得かもしれません。
6-3.ヤフーオークション落札価格
ヤフーオークションでの落札価格は、最安11,000円、最高20,000円、平均15,671円(※2021/12/23時点)
6-4.楽天、ヤフーショッピング、Amazon
通販サイトでは、23,000円~27,000円前後で販売されています。 (※2021/12/23時点)
6-5.BAR新海での提供価格
当サイトが運営する「BAR新海」では、1杯、45ml:3,960円、30ml:2,640円、15ml:1,320円で提供しております。
7.まとめ
現在、余市蒸溜所、宮城峡蒸溜所のみの少量限定販売となっております。終売になってしまった「鶴17年」とはブレンドや原酒が異なっていると思われますが、どちらもニッカ最高峰のブレンデッドと言うにふさわしい味わいなのは間違いありません。
上にも記載しましたが、使用している原酒や樽などの詳細は不明。おそらく若い余市、熟成された宮城峡、そしてカフェグレーンではないかと推測しています。余市の若さ、宮城峡、カフェグレーンの熟成感が見事にマッチしている印象でした。
「鶴」と検索すると「竹鶴」がヒットしてしまい、なかなか知られることのない一本。入手方法も蒸溜所限定になっているため、目にしたことのある方は少ないのではないでしょうか。
とても完成度の高いウイスキーなので、是非多くの方に知っていただき、試してほしいと思います。
■ニッカウヰスキー最高傑作「鶴」とは?【惜しまれつつ製造終了したボトル】も是非ご覧ください。
■その他の「ニッカ」に関する記事も是非ご覧ください。
最後に:ジャパニーズウイスキーのおすすめ書籍
世界的なトレンドを巻き起こしている「ジャパニーズウイスキー」の事をもっと知りたい、もっと勉強したいという方は、是非こちらの書籍をおすすめいたします。
(1).Whisky Galore(ウイスキーガロア)Vol.47 2024年12月号
【巻頭特集】
「新アイリッシュ・ルネッサンス[第2弾]」
【第2特集】
「日本のクラフト蒸留所最前線」
今号では北海道の厚岸と苫小牧、そしてクラフト蒸留所に麦芽を供給する中標津のクラフトモルティング社についても紹介します。さらに三島のウォータードラゴンと、ZEMONⅡが稼働する飛騨高山蒸溜所も再訪。
【連続ロングインタビュー】
第3回 ガイアフロー静岡蒸溜所 中村大航氏
【特別リポート】
遊佐蒸溜所の挑戦
第二期リニューアルが完了したサントリー白州蒸溜所
(2).ビジネスに効く教養としてのジャパニーズウイスキー
世界的にも有名なウイスキー評論家で、ウイスキー文化研究所代表 土屋守先生の著書「ビジネスに効く教養としてのジャパニーズウイスキー」です。
ウイスキーの基礎知識、日本へのウイスキーの伝来、ジャパニーズウイスキーの誕生、広告戦略とジャパニーズウイスキーの盛隆、そして、現在のクラフト蒸留所の勃興まで。日本のウイスキーの事が非常にわかりやすくまとめられた一冊。
(3).ウイスキーと私(竹鶴政孝)
日本でのウイスキー醸造に人生を捧げた、ニッカウヰスキー創業者・竹鶴政孝。ただひたすらにウイスキーを愛した男が自らを語った自伝の改訂復刻版。若き日、単身スコットランドに留学し、幾多の苦難を乗り越えてジャパニーズ・ウイスキーを完成させるまでの日々や、伴侶となるリタのことなどが鮮やかに描かれる。
(4).新世代蒸留所からの挑戦状
2019年発売。世界に空前のウイスキーブームが到来しているいま、クラフト蒸留所の経営者たちは何を考え、どんな想いでウイスキー造りに挑んだのか。日本でクラフト蒸留所が誕生するきっかけを作った、イチローズ・モルトで有名なベンチャーウイスキーの肥土伊知郎氏をはじめとする、13人のクラフト蒸留所の経営者たちが世界に挑む姿を綴った1冊。
(5).ウイスキーライジング
2016年にアメリカで出版された『Whisky Risng』の日本語版であり、内容も大幅にアップデート。ジャパニーズ・ウイスキーの歴史が詳細に記述されているだけでなく、近年、創設がつづくクラフト蒸溜所を含む、日本の全蒸溜所に関するデータも掲載。そのほかにも、今まで発売された伝説的なボトルの解説や、ジャパニーズ・ウイスキーが飲めるバーなども掲載されています。
(6).ウイスキーと風の味
1969年にニッカウヰスキーに入社した、三代目マスターブレンダーの佐藤茂夫氏の著書。
『ピュアモルト』『ブラックニッカクリア』『フロム・ザ・バレル』の生みの親でもあり、なかでも『シングルモルト余市1987』はウイスキーの国際的コンペティションWWA(ワールド・ウイスキー・アワード)にて「ワールド・ベスト・シングルモルト」を受賞。
竹鶴政孝、竹鶴威の意志を引き継いだブレンダー界のレジェンドが語る今昔。