ごく少数限定で販売される「シングルカスク駒ヶ岳」。本記事でご紹介する『シングルカスク駒ヶ岳屋久島エージングCask No.2026』は、マルス信州蒸溜所で2015年2月に蒸留したノンピーテッド原酒をシェリーバットで7年10ヶ月熟成した、シングルカスクウイスキーです。限定602本。
1.メーカー
本坊酒造株式会社
設立 | 1872年 |
本社所在地 | 〒891-0122 鹿児島県鹿児島市南栄三丁目27番地 |
所有蒸留所 | マルス信州蒸溜所、マルス津貫蒸溜所 |
2.蒸留所
マルス信州蒸溜所
所在地 | 〒399-4301 長野県上伊那郡宮田村4752−31 |
操業開始 | 1985年 |
鹿児島の地で日本の蒸留酒「焼酎」造りに邁進していた本坊酒造が、ウイスキー製造免許を取得したのが1949年。それ以来、「いつか日本の風土を活かした本物のウイスキーを造りたい」と夢を抱き続けていました。
鹿児島でのウイスキー製造から数年経た後、1960年に山梨にワインとウイスキー製造のための工場「マルス山梨ワイナリー」を設立。そして、本格的にウイスキー造りに取り組むために、さらなる理想の地を探し求めました。
澄んだ空気の寒冷地であり、しかも適度な湿度と良質な水に恵まれていることなど、ウイスキー造りのための自然条件は大変厳しいものがあります。
こうした条件を満たす土地を探し求め、1985年ウイスキー造りに最適な環境を求めて長野県中央アルプス駒ヶ岳山麓標高798mの地にマルス信州蒸溜所を開設致しました。
1992年にウイスキー需要低迷により蒸留を休止。その後、世界的にジャパニーズウイスキーが評価されはじめる中、ウイスキー需要が回復傾向にあった2009年に蒸留再開を決意し2011年2月より再スタート。
2020年9月、35年ぶりの全面リニューアル。投資額は約12億円。
2019年5月から、老朽化した設備の改修とウイスキー増産を見据えた樽貯蔵庫施設の整備やウイスキー造りの見学を目的にしたウイスキー蒸留棟(樽貯蔵庫を含む)と、オリジナルウイスキーやグッズ販売などを目的にビジター棟を新設、既存の設備及び施設を改修。
新設したウイスキー蒸留棟は1,996㎡(延床面積、約2,500樽収容予定の樽貯蔵庫含む)、ビジター棟は746㎡。
引用:本坊酒造公式HP
■製造能力:原料麦芽1.1t/日
■原酒製造量:約700L/日、約185KL/年(2020年度予定)
■主要な設備:麦芽粉砕機1基、マッシュタンロイテル(糖化槽)6KL×1基、ステンレス発酵タンク6KL×3基、ダグラスファー木槽発酵タンク(移設)6KL×3基、初溜釜(移設)
マルス信州蒸溜所の情報はこちら↓もご覧ください。
3.商品名と写真
シングルカスク駒ヶ岳 屋久島エージングCask No.2026
Single Cask Komagatake Yakushima Aging Cask No.2026
4.特徴
鹿児島本土より南南西約60kmの海上にある世界自然遺産の島・屋久島。急峻な山々が連なり、豊かな水に恵まれたこの島に、マルス屋久島エージングセラーはあります。
「シングルカスク駒ヶ岳 屋久島エージング Cask No.2026」は、この唯一無二の環境で熟成されたモルトウイスキーの中から、マルス信州蒸溜所で蒸留されシェリーバットで熟成された1樽を厳選して瓶詰した、シングルカスクウイスキーの逸品です。
※日本洋酒酒造組合「ジャパニーズウイスキーの表示に関する基準」に合致する商品です。
引用:ジャパニーズウイスキー|シングルカスク駒ヶ岳屋久島エージング Cask No.2026
4-1.テイスティングノート
香り | ラムレーズン、熟したパイン、ほのかにウッディ |
味わい | 砂糖のようなシンプルな甘さとカラメルのほろ苦さ、洋梨系のフルーツ味 |
余韻 | 短く立消える甘みと舌先に続くビターの余韻 |
4-2.商品スペック
アルコール度数 | 53% |
酒別 | シングルカスク |
樽種 | シェリーバット |
内容量 | 700ml |
販売本数 | 602本限定 |
希望小売価格 | 16,500円(税込) |
発売日 | 2023年 |
5.受賞歴
ワールド・ウイスキー・アワード(WWA2023)シングルカスク部門 日本最高賞
東京ウイスキー&スピリッツコンペティション(TWSC 2023) 最高金賞
<ワールド・ウイスキー・アワード(WWA)>とは?
WWA(World Whiskies Awards[ワールド・ウイスキー・アワード])はイギリスで開催される世界有数のウイスキー専門コンペティション。ウイスキー専門誌「ウイスキー・マガジン」の発行元「パラグラフ・パブリッシング社」が主催し、製造者及び発売元の明確なオフィシャルボトルのみが対象とされます。エントリーされるウイスキーは、「シングルモルト、ブレンデッドモルト、ブレンデッドなど」各カテゴリーごとに世界各国の代表が選ばれ、その中から銘柄名を隠したブラインドティスティングによる厳正な最終審査で世界最高峰のウイスキー「ワールド・ベスト」の称号が決定されます。
<東京ウイスキー&スピリッツコンペティション(TWSC)>とは?
TWSC(Tokyo Whisky&Spirits Competition)東京ウイスキー&スピリッツコンペティションはウイスキー文化研究所が企画・運営する、日本発のウイスキーとスピリッツの品評会です。日本のウイスキー愛好家、スピリッツ愛好家の深い知識、情熱をもって世界のウイスキーおよびスピリッツを品評し、高品質なウイスキーとスピリッツを国内外に広く知っていただくことを目的としています。出品カテゴリーごとに、アロマ、フレーバー、フィニッシュ・バランス・総合を審査基準とした採点結果により、金賞・銀賞・銅賞が決定されます。また、金賞の中から顕著な点数を獲得した製品に対し、実行委員会で審議・決定し「最高金賞」が授与されます。
6.価格
6-1.メーカー希望小売価格
商品名 | シングルカスク駒ヶ岳 屋久島エージングCask No.2026 |
容量 | 700ml |
希望小売価格 | 税込:16,500円 |
6-2.メルカリでの転売価格
メルカリでの転売価格は、34,000円~52,222円前後となっています。(※2023/5/9時点)
6-3.ヤフーオークション落札価格
ヤフーオークションでの落札価格は最安、最高、平均とも56,000円となっております。(2023/5/9時点)
6-4.楽天、ヤフーショッピング、Amazon
各通販サイトとも、現在販売はないようです。(※2023/5/9時点)
6-5.BAR新海での提供価格
当サイトが運営する「BAR新海」では、1杯、45ml:4,950円、30ml:3,300円、15ml:1,650円で提供しております。
7.まとめ
上品な甘みとビター感の絶妙なバランスが特徴的です。屋久島の環境下が成せる業か、7年10ヶ月という熟成年数ではありますがそれ以上の熟成感を感じさせ、若いウイスキーにありがちな荒々しさやアルコールのアタック感というものは感じず、53%というハイプルーフを感じさせない優しい味わいに舌鼓を打ちます。
香りはラムレーズンや熟したパインのような重厚さを感じますが、反して味わいは軽やか。シンプルな甘さとビターの共演から洋梨のような果実感が鼻に抜けていきます。
少量加水を行うとビター感が甘さを抑えより前面に主張を始めます。それに樽由来であろうウッディな香りも追従し、また違った表情を楽しむことが出来ます。
おすすめの飲み方はストレート。まずはストレートで本来の味と香りを楽しんで頂き、徐々に加水をしながらお気に入りのバランスを見つけて頂けたらと思います。
『シングルカスク駒ヶ岳』は、現在定期的に販売されています。ですがかなりの少数限定の為、入手はかなり困難なようです。飲むチャンスがあれば、飲み比べをしてみたいものですね。
BAR新海では、「シングルカスク駒ヶ岳 2014 No.1834 AGED 6 YEARS」「シングルカスク駒ヶ岳 2013 No.1663 AGED 7 YEARS」もご用意しております。是非こちらのレビューもご覧ください。
最後に:ジャパニーズウイスキーのおすすめ書籍
世界的なトレンドを巻き起こしている「ジャパニーズウイスキー」の事をもっと知りたい、もっと勉強したいという方は、是非こちらの書籍をおすすめいたします。
(1).Whisky Galore(ウイスキーガロア)Vol.47 2024年12月号
【巻頭特集】
「新アイリッシュ・ルネッサンス[第2弾]」
【第2特集】
「日本のクラフト蒸留所最前線」
今号では北海道の厚岸と苫小牧、そしてクラフト蒸留所に麦芽を供給する中標津のクラフトモルティング社についても紹介します。さらに三島のウォータードラゴンと、ZEMONⅡが稼働する飛騨高山蒸溜所も再訪。
【連続ロングインタビュー】
第3回 ガイアフロー静岡蒸溜所 中村大航氏
【特別リポート】
遊佐蒸溜所の挑戦
第二期リニューアルが完了したサントリー白州蒸溜所
(2).ビジネスに効く教養としてのジャパニーズウイスキー
世界的にも有名なウイスキー評論家で、ウイスキー文化研究所代表 土屋守先生の著書「ビジネスに効く教養としてのジャパニーズウイスキー」です。
ウイスキーの基礎知識、日本へのウイスキーの伝来、ジャパニーズウイスキーの誕生、広告戦略とジャパニーズウイスキーの盛隆、そして、現在のクラフト蒸留所の勃興まで。日本のウイスキーの事が非常にわかりやすくまとめられた一冊。
(3).ウイスキーと私(竹鶴政孝)
日本でのウイスキー醸造に人生を捧げた、ニッカウヰスキー創業者・竹鶴政孝。ただひたすらにウイスキーを愛した男が自らを語った自伝の改訂復刻版。若き日、単身スコットランドに留学し、幾多の苦難を乗り越えてジャパニーズ・ウイスキーを完成させるまでの日々や、伴侶となるリタのことなどが鮮やかに描かれる。
(4).新世代蒸留所からの挑戦状
2019年発売。世界に空前のウイスキーブームが到来しているいま、クラフト蒸留所の経営者たちは何を考え、どんな想いでウイスキー造りに挑んだのか。日本でクラフト蒸留所が誕生するきっかけを作った、イチローズ・モルトで有名なベンチャーウイスキーの肥土伊知郎氏をはじめとする、13人のクラフト蒸留所の経営者たちが世界に挑む姿を綴った1冊。
(5).ウイスキーライジング
2016年にアメリカで出版された『Whisky Risng』の日本語版であり、内容も大幅にアップデート。ジャパニーズ・ウイスキーの歴史が詳細に記述されているだけでなく、近年、創設がつづくクラフト蒸溜所を含む、日本の全蒸溜所に関するデータも掲載。そのほかにも、今まで発売された伝説的なボトルの解説や、ジャパニーズ・ウイスキーが飲めるバーなども掲載されています。
(6).ウイスキーと風の味
1969年にニッカウヰスキーに入社した、三代目マスターブレンダーの佐藤茂夫氏の著書。
『ピュアモルト』『ブラックニッカクリア』『フロム・ザ・バレル』の生みの親でもあり、なかでも『シングルモルト余市1987』はウイスキーの国際的コンペティションWWA(ワールド・ウイスキー・アワード)にて「ワールド・ベスト・シングルモルト」を受賞。
竹鶴政孝、竹鶴威の意志を引き継いだブレンダー界のレジェンドが語る今昔。