厚岸蒸溜所(堅展実業)|北海道地方|蒸留所詳細情報

ウィスキー蒸留所
ウィスキー蒸留所
厚岸蒸溜所

北の大地が生み出したカリスマ的人気を誇る、次世代のクラフトディスティラリーを牽引する蒸留所。

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1.概要

牡蛎の名産地として知られる北海道の東部、厚岸町に位置し「堅展実業株式会社」が運営する蒸留所です。
東京都千代田区に本社を置く「堅展実業」は樋田耕作氏により1964年に創業、主に食品原材料や酒類の輸出入を取り扱っています。
二代目社長の樋田恵一氏によりアイラモルトのようなジャパニーズウイスキーを作りたいと思い、ウイスキー事業を展開クラフトウイスキーの製造を行っています。
湿原地帯の上に蒸留所を建てる為「コロンブス工法」を採用、地下50メートル付近まで続く軟弱な地盤を取り除き、代わりに発泡スチロールを敷き詰めてから基礎の杭を打ち、地盤を調整しています。
蒸留所を立ち上げる初期段階から、フォーサイス社からの協力を全面的に受け、フォーサイス社の技術者自らが厚岸に数カ月滞在しそのノウハウを徹底的に教え込んだそう。
工場内は非常に清潔に保たれ、2021年には国内のウイスキー蒸留所として初のHACCP(ハサップ)認証を受けています。
テロワールを意識したウイスキー造りを目指しており、将来的には全て厚岸産のみで構成された【厚岸オールスター】を掲げる。
実は厚岸蒸溜所のスタッフは今までに一度もウイスキー造りに従事した経験が無いスタッフで構成されています。

2.基本情報

2-1.オーナー

堅展実業株式会社

2-2.所在地

〒088-1124
北海道厚岸郡厚岸町宮園4丁目109-2

2-3.アクセス

【電車】
JR厚岸駅よりタクシーで約15分
JR釧路駅からJR厚岸駅までJR根室本線で約50分
【バス】
釧路空港からJR釧路駅まで阿寒バスで約50分

一般の見学は受け付けていません
道の駅コンキリエ主催の蒸留所外周の見学は可(ガイド付き)※あくまで屋外からの見学になります

当サイトスタッフが特別に蒸溜所見学へ!特集記事はこちらから!↓

厚岸蒸溜所:見学訪問レポート(2023年5月)
北海道の道東厚岸町で2016年よりウイスキー製造を行っている堅展実業㈱「厚岸蒸溜所」。2023年5月に厚岸蒸溜所へ訪問した時の蒸溜所見学レポートを紹介。また、厚岸周辺の観光スポットや見どころ、宿泊情報、グルメ情報も併せて紹介。

2-4.操業開始

2016年(平成28年)

2‐5.主力商品

全てのラインナップが限定販売かつ、毎コンセプトごとに特徴が大きく違う為、現在通年商品はありません。
しかし、リリース当初から話題を呼び数々の賞を現在もコンスタントに受賞し続けています。

受賞歴
WSC『サンフランシスコワールドスピリッツコンペティション』
2020
【最優秀金賞受賞】
「厚岸ウイスキーサロルンカムイ(国内版)」

2021
【最優秀金賞受賞】
ウイスキー部門アザーシングルモルトウイスキーカテゴリー
「厚岸ウイスキー サロルンカムイ(海外版)」
「厚岸シングルモルトウイスキー寒露
【金賞受賞】
ウイスキー部門アザーウイスキーカテゴリー
「厚岸ブレンデッドウイスキー雨水

WWAワールドウイスキーアワード
2021
WWAカテゴリーウィナー(最優秀賞)】
ジャパニーズシングルモルト/ノンエイジカテゴリー
「厚岸シングルモルトウイスキー寒露

ISC『インターナショナルスピリッツコンペティション』
2021
【金賞受賞】
ジャパニーズウイスキー部門
「厚岸ウイスキー サロルンカムイ(海外版)」
【銀賞受賞】
ジャパニーズウイスキー部門
「厚岸ウイスキー サロルンカムイ」
「厚岸シングルモルトウイスキー寒露
ワールドウイスキー部門
「厚岸ブレンデッドウイスキー雨水
etc..

最新の厚岸ウイスキーのレビューはこちら↓

【レビュー】厚岸 シングルモルトジャパニーズウイスキー 小暑
厚岸蒸溜所より二十四節季シリーズ最新作『小暑』が発売開始。商品のレビューと特徴や価格、購入方法を解説。

3.見学・ビジターセンター

一般の見学受け入れは受け付けておりません。

3‐1.周辺グルメ情報

道の駅コンキリエがメジャーな観光名所と言えそうですが、厚岸ウイスキーが作られる土壌をダイレクトに感じられる、厚岸観光十景に選定され2005年にラムサール条約の登録湿地に選ばれた別寒辺牛湿原(べかんべうししつげん)とピートを含んだ茶褐色の川を見るのも面白いでしょう。
その他有名な牡蠣小屋など、多少の移動がネックになりますが、その魚介の鮮度には驚きを与えてくれ、足を伸ばす価値は十二分にあります。
コンキリエ内のレストランで厚岸町内限定の「牡蠣の子守唄」は必ず飲んでおきましょう。

3‐2.観光宿泊

厚岸に泊まるなら『ホテル五味』がおすすめ。
夜はバー営業も行われており、厚岸ウイスキーはもちろんモルトラバーなら垂涎ものの貴重なウイスキーが、豊富に取り揃えてあります。
ホテル五味より徒歩5分にある『さくみ鮨』もおすすめ。
ちなみに映画釣りバカ日誌のロケ地にもなっておりホテル五味内で記念撮影されたものが飾られています。

4.製造スペック

基本に忠実に。をモットーとしたスコットランド伝統の作りを行っています。
仕込みはワンバッチ麦芽1トン。
ポットスチル2基はいずれもストレートヘッドのオニオンシェイプで、ステンレス製の発酵槽が6基。
前述の通り湿地帯の上に立つ為、広い施設を建設する事が難しく、限られたスペースで機材を配置する必要があり、そのアイディアの一つにポットスチルを下からのぞき込めるような形になっているのは、ポットスチルを3次元的に配置し省スペース化する事に成功しています。
ちなみにこの省スペースの案はフォーサイス社が提案したものです。
糖化槽はセミロイター式。
熟成庫はダンネージ式とラック式がそれぞれ2棟ずつ(現在第4熟成庫まで完成)
仕込水は蒸留所のそばを流れる尾幌川のピートを含んだ軟水を使用する。
麦芽はイギリス産麦芽と地元厚岸産の二条大麦「りょうふう」使用。
2021年ドラム式モルティング設備導入

生産量 17万リットル(LPA)
仕込み水 ホマカイ川 尾幌川上流(硬度50)
原料 英国産クリスプ社製ロリエット種 厚岸産りょうふう
仕込み量 1トン
モルトミル アランドラック社製ローラーミル
糖化槽 フォーサイス社ステンレス製セミロイタータン
麦汁量 5000リットル
発酵槽 フォーサイス社製ステンレス(5000リットル)
発酵約5日間
ポットスチル 初留
フォーサイス社製ストレート型1基(5000リットル)約6時間
再留
フォーサイス社製ストレート型1基(3600リットル)
その他
マウリ製ドライイースト 厚岸ラズベリーイースト
冷却装置 シェル&チューブ
 ボトリング設備 有り
熟成庫 ダンネージ式4段2棟
ラック式2棟3300樽

5.熟成環境について

厚岸湾から2キロほど入った場所に蒸留所があり、夏は涼しく7月~8月の間に最盛期を迎える海霧が立ち込めます。
この海霧が発生した際に、潮や磯の香りに加え、海霧の中に含まれる塩分も、樽に付与される事もあるようです。
冬の積雪は北海道内では少ないほうで、アイラ島のウイスキー造りを手本とする厚岸蒸溜所にとってはまさに理想的な環境と言えます。
最高気温22℃から最低気温-12℃と本場のアイラより寒暖差が大きくよりダイレクトに熟成が進むと思われます。

6.蒸留所ストーリー

6-1.歴史

1964年
(昭和39年)
堅展実業、東京都千代田区に設立。食品原材料、酒類の輸出入を取り扱う。
2013年
(平成25年)
ウイスキーの試験熟成開始。
2014年
(平成26年)
北海道厚岸町との事業協定締結、蒸留所創業年。
2015年
(平成27年)
厚岸蒸溜所の建設を開始。
2016年
(平成28年)
ウイスキー製造免許を取得、厚岸蒸溜所開設。蒸留開始。
2017年
(平成29年)
第2熟成庫を建設。地元大麦の委託栽培を開始。
2018年
(平成30年)
「厚岸ニューボーン・ファンデーションズ」(1&2)発売。
第3熟成庫を建設。
2019年
(令和元年)
「厚岸ニューボーン・ファンデーションズ」(3&4)発売。
2020年
(令和2年)
厚岸ウイスキー「サロルンカムイ」
二十四節気シリーズ第1弾シングルモルト「寒露」発売。
第4熟成庫を建設、充填棟を竣工。
2021年
(令和3年)
厚岸ウイスキーブレンデッド「雨水」「処暑
シングルモルト「芒種」「立冬
北海道限定および厚岸町民向け限定「厚岸ブレンデッドウイスキー」
町内飲食店向け限定「牡蠣の子守唄」発売。
ロッテが蒸留所とのコラボレーションで日本のクラフト酒チョコレート
「YOIYO 厚岸-芒種-」「YOIYO 厚岸-立冬-」発売。
製麦棟竣工。
富良野山部熟成庫(北海道富良野市)での試験熟成を開始。
2022年
(令和4年)
厚岸ブレンデッドウイスキー「大寒」「大暑」発売。
厚岸シングルモルトジャパニーズウイスキー「清明」「大雪」発売。
自社モルティング設備の試運転開始。第5熟成庫を建設。
厚岸ヴァッテッドモルト 「カムイウイスキー カムイチカプ」「鹿の通り道」発売。
2023年
(令和5年)
厚岸シングルモルトジャパニーズウイスキー「啓蟄」
厚岸ブレンデッドウイスキー「小満」発売。

6-2.歴代のブレンダー

チーフブレンダー 立崎 勝幸

1968年東京都品川区生まれ。
茨城大学農学部卒。
卒業後、大学院修士課程においてチーズに使用する代替凝乳酵素を研究。
1993年大学院修了と同時に大手乳業メーカーに就職。
研究所や工場において勤務後、異動となった本社資材調達部で、食品原材料輸入専門商社の『堅展実業株式会社』の樋田恵一氏との出会いをきっかけとなり、厚岸蒸溜所のチーフブレンダーとして立ち上げの段階から携わり、蒸留所を牽引する存在です。
立ち上げ当初からウイスキーを作った事の無いスタッフ達と、初めて尽くしながらも試行錯誤の末にたどり着いた境地を、公式サイトから抜粋してご紹介します。

経験を通して辿り着いたひとつのかたちが、ウイスキーの味や香りに“多層なレイヤー”を重ねていく、独特なブレンド法です。
季節ごとにつくり分けた原酒や、いくつもの木種の樽を掛け合わせ、複雑さと奥深さを生み出していく。
スコッチウイスキー特有のピートの世界をただ再現するのではなく、日本の若い女性にも楽しんでいただけるような“フルーティさ”を醸し出していく。
「自分たちのウイスキーが、心地よいピートの世界を一人でも多くの方に知っていただくための入り口になれたら」
そんな想いで今日も、ブレンダーという仕事と向き合っています。

厚岸蒸溜所公式サイトより

7.その他の蒸留所一覧

日本のウイスキー蒸留所一覧(2024年5月更新・全106ヶ所)
2024年5月更新、最新のジャパニーズウィスキー蒸留所一覧、山崎蒸留所、白州蒸留所、余市蒸留所、宮城峡蒸留所、クラフト蒸留所の秩父蒸留所、厚岸蒸留所、ガイアフロー静岡蒸留所、マルス信州蒸留所、マルス津貫蒸留所、三郎丸蒸留所、安積蒸留所など全103ヵ所を一覧で総まとめ!
この記事を書いた人
万代 竜一

福岡県福岡市出身
福岡にある中洲のBARで14年間修行後、俳優業での活動の拡大も兼ねて2018年上京。俳優佐藤二朗氏作の舞台にて東京初舞台を踏む。特技はギターとビール好きが高じてビール銘柄をブラインドで当てられる事。
最初はウイスキーを飲み慣れておらず苦手だったものの、深く知るにつれて作っている人達の想いが強い事に感銘を受けて、作り手の方達を知ってもらえる一助になれば、と思いJWDに参加。現在はウイスキーが大好き。

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