【レビュー】イチローズモルト ミズナラウッドリザーブ(MWR)

ウィスキーレビュー
ウィスキーレビュー
秩父蒸溜所(イチローズモルト)
2022/6/20 【メーカー希望小売価格】等変更

MWR」とはミズナラ・ウッド・リザーブの頭文字をとったもの。
ミズナラはジャパニーズオークと呼ばれ、ブナ科コナラ属の落葉広葉樹です。北は北海道から南は鹿児島県まで山地に自生しています。
特に北海道産のミズナラは良質なものが多く、国産ウイスキーの熟成に使用されていてイチローズモルトはその北海道産のミズナラを使用。どことなくお香を思わせるオリエンタルな香りや繊細で複雑な味わいに仕上がっています。

イチローズモルト」は店頭に並べば即日売り切れてしまうほどの人気で入手困難なウイスキーですが、定番品といえるリーフシリーズミズナラウッドリザーブ・ワインウッドリザーブ・ダブルディスティラリーズ)が絶大な人気でウイスキーファンを虜にしています。なかでもこのミズナラウッドリザーブはリーフシリーズの看板商品といえるウイスキーです。

スポンサーリンク

1.メーカー

株式会社ベンチャーウイスキー

設立 2004年
本社所在地 〒368-0067 埼玉県秩父市みどりが丘49
所有蒸留所 秩父蒸溜所、秩父第二蒸溜所

2.蒸留所

ベンチャーウイスキー秩父蒸溜所

所在地 〒368-0067 埼玉県秩父市みどりが丘49
操業開始 2007年

秩父の風土に根ざしたシングルモルトウイスキー造りが行われています。
創業者の肥土伊知郎氏はジャパニーズウイスキーであることに誇りを持ち、小さなミル、マッシュタン、ミズナラ製の発酵槽、スコットランド・フォーサイス社製のポットスチルで手づくりに拘りモルトウイスキーを生産しています。

秩父蒸溜所周辺は自然豊かで空気がきれいで質の良い水、夏は高温多湿で朝晩が氷点下にいたる寒さの厳しい環境です。その厳しい気候が織りなす寒暖差がウイスキーの熟成に多大な影響を与え、短い熟成期間にも関わらずフルーティでバランスの取れたウイスキーに仕上がります。

2004年9月創業。
2007年に秩父蒸溜所が完成。
2008年2月、ウイスキー作りの免許が交付され秩父蒸溜所でウイスキー作りを開始。
2019年10月、第2蒸留所の稼働開始。

1973年設立のサントリー白州蒸溜所・キリン富士御殿場蒸溜所の次に設立された蒸留所。まさにウイスキー低迷期の終焉とも言えるこの時期に実に日本国内35年ぶりの蒸留所設立となる。
年間のウイスキー生産量はスコットランド・グレンリベット蒸留所のわずか2日分。

2019年秋から稼働している第2蒸留所の生産量は第1蒸留所のなんと5倍。一度に仕込む麦芽は2t。ポットスチルは5倍の量を蒸留できるよう形は同じストレート型だがかなり大きなポットスチルになっている。フォーサイス社製でガス直火蒸留機を使用。

秩父蒸溜所の情報はこちら↓もご覧ください。

秩父蒸溜所(イチローズモルト) | ジャパニーズウイスキーディ...
Japanese Whisky Dictionary

3.商品名と写真

イチローズモルト ミズナラウッドリザーブ(MWR)
Ichiro’s Malt Mizunara Wood Reserve

4.特徴

キーモルトは羽生蒸留所のモルト原酒
ミズナラウッドリザーブ(MWR)の原酒は羽生蒸留所のモルト原酒をキーモルトにし、数種のモルトウイスキーをバッティング。
その後ミズナラリザーブヴァットで再熟成させたもの。
バッティングされた原酒の蒸留所名は定かではありませんが、ピートの強いタイプを選定し秩父蒸溜所でブレンドされています。

口に含むと最初は干しぶどうのような渋みとややスパイシーな味わいが広がり、徐々にチョコレートのような甘みとスモーキーな味わいに変化していきます。ボディもしっかりと厚く飲みごたえがあります。
フィニッシュではミズナラ特有の 白檀のような香りもバランスよく押し寄せ複雑で繊細、スパイシーでスイート、ウッディな中にもピーティな要素が複雑に絡み合って独特なフレーバーが漂ってきます。

4-1.テイスティングノート

香り カカオ・チョコレート・アプリコット・マーマレード・ジンジャー
味わい ビターチョコレート・スパイシー・ピーティ
余韻 ウッディかつピーティで複雑なフレーバー

4-2.商品スペック

アルコール度数 46%
酒別 ブレンデッドモルトウイスキー
樽種 ミズナラ樽ほか
内容量 700ml
販売本数
希望小売価格 8,800円(税込)
発売日

5.受賞歴

2010年 WWAワールドウイスキーアワード) 「ベストジャパニーズ・ブレンデッドモルト」受賞

6.価格

6-1.メーカー希望小売価格

商品名 イチローズモルト ミズナラウッドリザーブ
容量 700ml
希望小売価格 8,000円(税込:8,800円)

6-2.メルカリでの転売価格

メルカリでの転売価格は、13,000~15,000円前後となっています。(※2022/6/20時点)

 

6-3.ヤフーオークション落札価格

ヤフーオークションでの落札価格は、最安11,000円、最高15,950円、平均12,682円 (※2022/6/20時点より過去180日間の統計情報) 

6-4.楽天、ヤフーショッピング、Amazon

通販サイトでも、16,800~22,000円前後で販売されています。 (※2022/6/20時点)

6-5.BAR新海での提供価格

当サイトが運営する「BAR新海」では、1杯、45ml:2,310円 30ml:1,540円、15ml:770円などの少量でも提供しております。

「BAR新海」のご案内
Japanese Whisky Dictionaryが運営する「BAR新海」は、東京都港区に3店舗。当サイトで紹介しているジャパニーズウィスキーをはじめ、国産のジンやビールなども取扱い。オリジナルカクテル、フレッシュフルーツカクテルなども人気。食事も豊富で1件目からも利用可能。

7.まとめ

国内外から注目を浴びる樽材でもある「ミズナラ」の独特の香りが熟成感とともに感じられて甘みとスモーキーな味わいが感じられるウイスキーです。
加水するとスウィートな中にも複雑さを感じとることができてとても飲みやすくなります。ロックだとストレートの時のような濃厚な味わいは薄くなるものの、少し甘みが感じとれて上品な味わいに。ハイボールにするとより甘さが強調されます。

イチローズモルトのリーフシリーズ全体に言えることですが、「超入手困難」なウイスキーで、ネットでは定価の2~3倍のプレ値で出品されています。ジャパニーズウイスキーファンならもし酒屋さんなどで定価で見つけたら即買いして損の無いウイスキーです。まだ飲まれたことのない方はBARなどでは比較的良心的な価格で提供しているところもありますので是非一度は飲んでみてください。

「イチローズモルト」に関するその他の記事も是非ご覧ください。

【レビュー】イチローズモルト ダブルディスティラリーズ(DD)
2009年、WWA(ワールドウイスキーアワード)にて「ベストジャパニーズ・ブレンデッドモルト」受賞。羽生蒸留所と秩父蒸留所のモルト原酒をバッティング、羽生蒸留所のモルト原酒はパンチョン樽を主体に「シェリー樽」、秩父蒸留所のモルト原酒は「ミズナラ樽」を使用。
【レビュー】イチローズモルト ワインウッドリザーブ(WWR)
羽生蒸留所のモルト原酒とその他数種類のモルト原酒をヴァッティング。グレーン原酒を含まない100%モルトで構成されているので華やかで芳醇なウィスキー。それらの原酒をフレンチオーク製の赤ワイン樽で後熟。冷却濾過(ノンチルフィルタード製法)や人工的な着色はしていない。
スポンサーリンク

最後に:ジャパニーズウイスキーのおすすめ書籍

世界的なトレンドを巻き起こしている「ジャパニーズウイスキー」の事をもっと知りたい、もっと勉強したいという方は、是非こちらの書籍をおすすめいたします。

(1).Whisky Galore(ウイスキーガロア)Vol.45 2024年8月号

<巻頭特集>
いま、再びのブレンデッドウイスキー
データで読み解く ブレンデッドウイスキーの現在
スコッチの人気銘柄 6ブランドを紹介

ハイボール缶大試飲会

定番から発売したての新商品まで ガロアテイスター陣が全20種類を飲んで語る!<新シリーズ始動>

ジャパニーズクラフトの開拓者たち[第1回]
秩父蒸溜所 肥土伊知郎
現在のクラフトウイスキームーブメントの礎を築いた“ジャパニーズクラフトの開拓者たち”に編集長・土屋守がロングインタビューを実施<編集長インタビュー>
◆デュワーズ7代目マスターブレンダー ステファニー・マクラウド氏に聞く
◆スチュアート・ハーヴェイ氏に聞く「オールドプルトニー ポート」の味わい
<特別リポート>
◆アジア最大にして、世界のトップ10 ──快進撃が止まらないカバラン蒸留所
◆天鏡蒸溜所 竣工記念内覧会とトークショー
◆森の京都蒸溜所 京素材や和漢ボタニカルを使ったジン造り
◆ウイスキーコニサークラブ国内蒸留所ツアー第3弾 井川蒸溜所
◆琵琶湖ウイスキークルーズ2024
◆ウイスキー検定合格者限定ツアー第10弾 三郎丸蒸留所/T&T TOYAMA
<特別企画>
◆東京ウイスキー&スピリッツコンペティション2024 受賞結果
<人気連載>
◆The Tasting 話題の30本をテイスティング!

(2).ビジネスに効く教養としてのジャパニーズウイスキー

世界的にも有名なウイスキー評論家で、ウイスキー文化研究所代表 土屋守先生の著書「ビジネスに効く教養としてのジャパニーズウイスキー」です。
ウイスキーの基礎知識、日本へのウイスキーの伝来、ジャパニーズウイスキーの誕生、広告戦略とジャパニーズウイスキーの盛隆、そして、現在のクラフト蒸留所の勃興まで。日本のウイスキーの事が非常にわかりやすくまとめられた一冊。

(3).ウイスキーと私(竹鶴政孝)

日本でのウイスキー醸造に人生を捧げた、ニッカウヰスキー創業者・竹鶴政孝。ただひたすらにウイスキーを愛した男が自らを語った自伝の改訂復刻版。若き日、単身スコットランドに留学し、幾多の苦難を乗り越えてジャパニーズ・ウイスキーを完成させるまでの日々や、伴侶となるリタのことなどが鮮やかに描かれる。

(4).新世代蒸留所からの挑戦状

2019年発売。世界に空前のウイスキーブームが到来しているいま、クラフト蒸留所の経営者たちは何を考え、どんな想いでウイスキー造りに挑んだのか。日本でクラフト蒸留所が誕生するきっかけを作った、イチローズ・モルトで有名なベンチャーウイスキーの肥土伊知郎氏をはじめとする、13人のクラフト蒸留所の経営者たちが世界に挑む姿を綴った1冊。

(5).ウイスキーライジング

2016年にアメリカで出版された『Whisky Risng』の日本語版であり、内容も大幅にアップデート。ジャパニーズ・ウイスキーの歴史が詳細に記述されているだけでなく、近年、創設がつづくクラフト蒸溜所を含む、日本の全蒸溜所に関するデータも掲載。そのほかにも、今まで発売された伝説的なボトルの解説や、ジャパニーズ・ウイスキーが飲めるバーなども掲載されています。

(6).ウイスキーと風の味

1969年にニッカウヰスキーに入社した、三代目マスターブレンダーの佐藤茂夫氏の著書。
『ピュアモルト』『ブラックニッカクリア』『フロム・ザ・バレル』の生みの親でもあり、なかでも『シングルモルト余市1987』はウイスキーの国際的コンペティションWWA(ワールド・ウイスキー・アワード)にて「ワールド・ベスト・シングルモルト」を受賞。
竹鶴政孝竹鶴威の意志を引き継いだブレンダー界のレジェンドが語る今昔。

この記事を書いた人
深瀬 悠二

北海道札幌市出身。
2005年、大手スポーツ用品販売チェーンに就職→2019年1月、BAR新海に就職しウイスキーの魅力に引き込まれ虜となる。初めて飲んだウイスキーはアードベッグ10年。ほぼ毎日ウイスキーを飲む中で更なる知識習得を目指し、ウイスキー検定2級とJC級(ジャパニーズクラフトウイスキー)を取得。
造り手の想いをしっかりと表現し、飲み手の方々に正しい情報を伝えたい。ウイスキーの魅力をたくさんの方に伝えたいという思いでウェブメディア「Japanese Whisky Dictionary」の編集を担当。

深瀬 悠二をフォローする
スポンサーリンク
タイトルとURLをコピーしました