2000年から始まり、現在数ある酒類コンペの中でも世界的に影響力のあるコンぺティションとなった「The San Francisco World Spirits Competition 2023」が2023年4月にアメリカで開催されました!
今年は約3000種以上のスピリッツがエントリーされた中で、めでたい事に我が国のウイスキーが次々と受賞を果たしています!
しかし、中には初めて見る蒸溜所の名前が散見され、おや?と思うウイスキーもあるようです。
そしてここでは「ジャパニーズウイスキー」部門のみを抜粋していきたいと思います。
公式サイトのリンクはこちらから(英語表記のみ)
- 1.ダブルゴールド受賞
- 2.ゴールド受賞
- 3.シルバー受賞
- あかし7年
- FUJI WHISKY
- 日の丸ウイスキー The 1st Barrels
- MARS 越百マンサニージャ2022
- 三郎丸Ⅱ&三郎丸Ⅱカスクストレングス
- サントリー 季 TOKI
- YUZA First edition 2022 / YUZA Second edition 2022
- 大名乃忍
- 波戸崎ピュアモルト(シルバー) / 波戸崎ファイネスト(ブロンズ)
- World Whiskey Society
- 海岸 KAIGAN
- 神息ウイスキー・BLENDED MALT WHISKY
- ICONIC SPIRITS・春夏秋冬 Autumn
- SUEKICHI・Blended Whisky (40% Malt x 60% Grain)
- 4.まとめ
1.ダブルゴールド受賞
ダブルゴールドはブラインドティスティングで【審査員全員が満点】を獲得した商品のみに得られる栄えある賞を当サイトのレビューと合わせて紹介していきます!
シングルモルト嘉之助 2022 LIMITED EDITION
嘉之助蒸溜所のシングルモルトジャパニーズウイスキーの第三弾。
シングルモルト嘉之助 2022 LIMITED EDITIONはノンピート麦芽を使用、2017年~2019年に蒸留された原酒を使用。キーモルトのシェリー樽熟成原酒に複数の樽をヴァッティング。
カスクストレングスにてボトリングした待望のシェリー樽原酒使用のジャパニーズウイスキーです
シングルモルト津貫2022エディション
津貫蒸溜所から「津貫THE FIRST」と「津貫ピーテッド」に次ぐ
「シングルモルト津貫2022エディション」と3本目のリリース
山桜シングルモルト篠川
海外向け商品での受賞となった、笹の川酒造が運営する安積蒸溜所。
色合い的に、安積THEFIRSTやYAMAZAKURAシングルモルト 安積 2022 EDITION等のバーボンバレル主体のものと思われます。
末吉 SUEKICHI
Pure Malt Whiskyという商品名しか明らかになっていないがダブルゴールドの受賞である。
おそらく日本未流通。
もし当サイトの閲覧者様に知見をお持ちの方がいれば、ぜひ情報提供をお待ちしております。
2.ゴールド受賞
嘉之助シングルモルト
2022リミテッドと並んでの受賞。
嘉之助蒸溜所初となる定番商品。
生産体制を強化したばかりで安定した供給までは、まだ時間がかかるそうですが、我々の手に届く日もそう遠くは無いでしょう。
シングルモルト駒ヶ岳2022エディション
2018年から毎年リリースされてきた駒ヶ岳リミテッドエディション。
生産数は60,000本と非常に多く、ネットや通販サイトで目にする機会も多かったのでは。
2020年まではリミテッドエディションという商品名でしたが、2021年発売の前作から大幅に限定数が増えたこともあり、リミテッド(限られた、特別の、わずかな)という文言が無くなって「エディション」という商品名になっています。
MARS The Y.A.#01
「屋久島熟成のモルトウイスキー」に特化した新しいウイスキーブランドとして「MARS The Y. A.」が誕生。
マルス信州蒸溜所とマルス津貫蒸溜所で蒸留したモルト原酒を使用。
鹿児島本土より南南西約60kmの海上にある九州最高峰宮之浦岳がそびえ、海上に浮かぶアルプスと言われる島であり世界自然遺産の島・屋久島に2016年6月に新設された「屋久島エージングセラー」で熟成させたブレンデッドモルトウイスキー。
その「屋久島エージングセラー」は、本坊酒造が屋久島に所有する焼酎蔵「屋久島伝承館」に併設。ウイスキー原酒を貯蔵するために建設されました。
ちなみにロゴデザインはよく見ると屋久島の形になっている。
シングルモルト長濱 THE FIRST BATCH
長濱蒸溜所が稼働してから5年が過ぎ、蒸溜所のコンセプトでもある「一醸一樽」の精神のもと、熟成庫に眠る原酒の中から最上級のモルト原酒のみを厳選してブレンドした長濱蒸溜所初のシングルモルトウイスキーとなります。
使用されている樽はバーボン樽、シェリー樽、アイラクォーター樽、ミズナラ樽。これらを「AMAHAGAN」で培った技術と経験を用いてブレンディングした長濱蒸溜所渾身の1本。
響ジャパニーズハーモニー
説明不要の日本が誇る最高級のブレンデッドウイスキー。
酒齢は平均10年以上とされノンエイジ的位置づけの商品である。
ラームス作曲の「交響曲第1番」の第4楽章をイメージテーマに
24面カットされたデキャンタボトルは日本の二十四節気を表している。
ボトル、テーマすべてにおいて芸術性が高く佐治敬三のすべてが詰まっている。
山崎12年
蒸溜所が今年100年を迎えるこちらも、もう説明不要の日本で最初のシングルモルトウイスキー。
もはや殿堂入りでいいのでは・・・
林 HAYASHI Koyo Ryukyu Japanese Whisky
沖縄で作られているウイスキーのようです。
3.シルバー受賞
あかし7年
SFWSCのサイトには7 Year Single Maltという表記のみなのでコンペ用に出品したか、もしくは海外向け商品にカスクストレングスで7年ものがあるのでそちらの方かも知れません。
FUJI WHISKY
今年50周年を迎えるキリン富士御殿場蒸溜所。
海外向けに展開する場合、より分かりやすくキャッチーにする為、蒸溜所名を変える事があるようでSFWSCではFUJI WHISKYとしてエントリー。
キリン富士御殿場蒸溜所の海外向けサイトはこちらから
日の丸ウイスキー The 1st Barrels
2016年に那珂市・額田蒸溜所で最初に蒸溜したモルト原酒と、2020年に石岡市・八郷蒸溜所で最初に蒸留した国産小麦のグレーン原酒をそれぞれシェリー樽で熟成しブレンドしたもの。
それと「Special Barrel-Finished Whiskey」クラスでも「日の丸ウイスキー ポートカスクフィニッシュ」がゴールドを受賞しています。
MARS 越百マンサニージャ2022
英国産麦芽使用したジャパニーズの表記無しのブレンデッドでの入賞。
ジャパニーズウイスキー部門であったかと思いますがSFWSCとしては良いのでしょう!
マンサニージャカスクで追熟した越百
複数のモルト原酒をヴァッティングすることで複雑さと奥行きを表現した「マルスモルテージ 越百(こすも)」を、軽やかでドライなシェリー酒「マンサニージャ」に使用した空樽に入れ追加熟成(フィニッシング)しました。越百本来の柔らかくまろやかな口当たりに、樽由来のドライフルーツ、ブラウンシュガー、メイプルシロップなどの香りが立ちのぼり、ココナッツやチョコレートなどの心地よい風味と、ほのかに感じるビターな味わいがバランス良く調和した限定製造のモルトウイスキーです。
※この商品は、一部輸入原酒を使用しています。
三郎丸Ⅱ&三郎丸Ⅱカスクストレングス
ZEMON(ゼモン)蒸留初のシングルモルト。酒質が洗練され、若い熟成年数のヘヴィリーピーテッドでありながらも、優美さを併せ持つ1本に。このカスクストレングス版はヘビリーピーテッド50PPMでアルコール度数は61%。
2020年に発売の「シングルモルト三郎丸0 THE FOOL」、2021年に発売の「シングルモルト三郎丸ⅠTHE MAGICIAN」に続く第三弾となります。
ラベルデザインは切り絵作家の加野由希絵氏(氷見市出身)が製作。タロットカード(大アルカナ22枚と小アルカナ56枚で構成)がモチーフになっており、大アルカナ22枚の2番「女教皇(THE THE HIGH PRIESTESS)」を“銅と錫。そして初留と再留の2つの組み合わせにより生み出された無垢の器”という意味合いで今回のラベルに採用。
サントリー 季 TOKI
実は2016年にアメリカとカナダ、2018年にイギリスで先行発売されたウイスキー。
サントリーの5代目チーフブレンダーである福與伸二氏が「白州12年」をベースに「山崎」とグレーンタイプの「知多」をブレンド。
グリーンアップルのような爽やかさとモルトとグレーンの独特な組み合わせから来るバニラのような甘さが感じられるウイスキー。
YUZA First edition 2022 / YUZA Second edition 2022
「納得のいくまで熟成をする」「ジャパニーズウイスキーの定義に準じた製品のみを送りだすことに集中する」という
当初より強い信念をもって、株式会社金龍が2018年に山形県遊佐町に開設、東北地方3か所目のウイスキー蒸溜所である「遊佐蒸溜所」がいきなりのダブル受賞です!
大名乃忍
『越ノ忍』シリーズを主に海外を輸出して成功を収めた新潟麦酒の忍蒸留所から「大名乃忍」が受賞。
製造しているうちの多くは欧米に輸出しており、さらなる需要の増加に伴い、増産体制を整えるため、阿賀町にある赤湯温泉の熱を利用した蒸留所を増設。
ポットスチルの写真等、生産する際の情報が乏しく蒸溜しているかどうかは不明。
ちなみに海外への流通網は「SHINグループ」と言われる会社が担っており「あかし」や「まさひろGIN」「笹の川酒造」「ウルフバーン蒸溜所」も業務提携している。
波戸崎ピュアモルト(シルバー) / 波戸崎ファイネスト(ブロンズ)
「あかし」で知られる明石酒類醸造株式会社が持つ「海峡蒸留所」から2本がダブル受賞。
巨大なビジターセンターとしてオープンしたのも記憶に新しい。
World Whiskey Society
ジャパニーズ部門でシルバーを受賞している。
おそらくはボトラーズ会社、受賞したボトルは不明だが、こちらの英語の公式サイトにてジャパニーズウイスキーと
銘打たれた尖ったデザインのウイスキーは確認できた。
海岸 KAIGAN
公式サイトによると3年間熟成させた100%ジャパニーズウイスキーとして海外限定でリリースしている。
よく見るとラベル左側のスモールバッチを意味するであろう「小さなバッチ」と書かれているのが、なんとも言えない気持ちにさせてくれる。
神息ウイスキー・BLENDED MALT WHISKY
海外輸出業の株式会社YOSHINO SPIRITSが手掛ける神息(かみき)ウイスキー。
2022年12月から奈良県曽爾村での小規模クラフト蒸溜所の人員募集が始まった。
それまでの生産は他社に業務委託していたと、CEOのシャカール・ジェム氏は語る。
したがってこの受賞したウイスキーもそういう事である。
曽爾村蒸溜所人員募集ページはこちら
ICONIC SPIRITS・春夏秋冬 Autumn
元プロファイターでありアサヒビールに勤めていた経験もある異色の経歴を持つセキ タイチ氏とJulious Grant氏は経営、マーケティング部門でビーム社、ディアジオ、バカルディ社を渡り歩いた凄まじい経歴を持つ人物のようです。
その二人が共同経営する「ICONIC SPIRITS」が手掛けるジャパニーズ表記のブレンデットウイスキー「Autumn」が受賞。
日本の四季になぞらえた春夏秋冬のそれぞれ4本がリリース中。
SUEKICHI・Blended Whisky (40% Malt x 60% Grain)
彗星のごとく現れたSUEKICHI。
モルトとグレーンの比率を潔く表記している所に好感を持ちますが全くの情報がありません。
情報をお持ちの方いらっしゃったら是非、DMお待ちしております。
4.まとめ
見知ったウイスキーもこれからを期待させる新進気鋭のウイスキーもそれぞれが切磋琢磨した結果が表れていたのではと思います。
しかし、海外向けの記事を読んでいて警鐘を鳴らしている方もいました。
それはやはり「正しくジャパニーズ表記されたウイスキー」を世界が望んでいる事。
海外企業が人知れず参入し、いつの間にか国産と銘打っているものもありました。
ある記事ではこう書いてありました。
「ジャパニーズ表記が自主的なものでは無く、バーボンやスコッチのように厳しく法律が整備される事を強く望む」と。
いつか消費者が安心して国産ウイスキーを手に取れる日が来る事を、世界が正しく国産と認識し正しく評価される事を強く望みます。