【2024年4月1日より値上げ】サントリー「響」「山崎」「白州」など5ブランド。背景や市場価格、今後の影響

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サントリー山崎蒸溜所白州蒸溜所知多蒸溜所

サントリーは、本日2023年11月21日のニュースリリースで、「国産プレミアムウイスキー 一部商品の価格改定」を発表。対象商品は、「響」、「山崎」、「白州」など5ブランド19品目で、2024年4月1日より値上げとなる。
また、海外からの輸入ウイスキーについても同様に価格改定を発表。「マッカラン」、「ボウモア」、「バランタイン」、「メーカーズマーク」など、いずれも人気の銘柄が値上げの対象。

値上げの内容や、背景(理由)、市場価格の動向、そして今後の影響について考えてみました。

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1.国産プレミアムウイスキーの主な価格改定内容

今回、サントリーより「国産プレミアムウイスキー 一部商品の価格改定」というタイトルでリリース発表されましたが、サントリーが”国産プレミアムウイスキー”と位置付ける5ブランドは、「響」「山崎」「白州」「知多」「碧Ao」。今回の価格改定では特に長期熟成が大幅な値上がりとなる模様です。

1-1.価格改定の主な内容

▼主な価格改定実施品目(700mlボトル)

商品名 現行価格(税別) 新価格(税別)
響 30年 160,000円 360,000円
響 JAPANESE HARMONY 5,500円 7,500円
山崎 25年 160,000円 360,000円
山崎 12年 10,000円 15,000円
山崎 4,500円 7,000円
白州 25年 160,000円 360,000円
白州 12年 10,000円 15,000円
白州 4,500円 7,000円
知多 4,000円 6,000円
碧Ao 5,000円 6,000円

1-2.価格改定実施日

価格改定後の新価格は、2024年4月1日出荷分より適用されます。

1-3.値上がりの理由

サントリーはプレスリリースの中で、国産プレミアムウイスキーの値上げに対して下記の通り説明しています。

当社は、これまで蒸溜釜や貯蔵庫増設をはじめとした生産設備を強化するとともに、山崎・白州両蒸溜所において魅力的なものづくり施設への刷新など、さまざまな企業努力を行ってきました。
 今後はこれまでの取り組みに加えて、さらなるブランド価値向上を目的とした、中味品質の向上、生産設備の強化や環境に配慮したものづくりなどを行うため、今回価格改定を実施させていただきます。

 当社は、これからも「美味品質の追求」「お客様体験の進化」に挑戦し、世界最高水準のウイスキーづくりを目指していきます。

(引用:国産プレミアムウイスキー 一部商品の価格改定について

確かに今年、サントリーはウイスキー造り100周年を迎え、100憶円を投資して山崎蒸留所、白州蒸溜所の設備強化を行う事を発表していました。

更に、「響」「山崎」「白州」は、世界的に高く評価され、国内のみならず世界中で需要が高騰しています。しかしながら、生産量が追い付かず供給が間に合わない状況が続いている為、大規模な設備投資を実施し、需要に応えられるようにしなければならない事は言うまでもありません。

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2.海外ウイスキーの主な価格改定内容

国産プレミアムウイスキーに加え、海外の輸入ウイスキーの値上げも同日発表されました。
サントリーが輸入する「マッカラン」、「ボウモア」、「バランタイン」、「メーカーズマーク」などが主な銘柄。

2-1.価格改定の主な内容

▼主な価格改定実施品目(700mlボトル)

商品名 現行価格(税別) 新価格(税別)
ザ・マッカラン 30年 351,360円 550,000円
ザ・マッカラン 12年 9,990円 12,500円
ボウモア 12年 5,060円 6,600円
バランタイン ファイネスト(1L) 2,310円 2,400円
メーカーズマーク 3,080円 3,400円

1-2.価格改定実施日

価格改定後の新価格は、2024年4月1日出荷分より適用されます。

1-3.値上がりの理由

サントリーはプレスリリースの中で、海外からの輸入ウイスキーの値上げに対して下記の通り説明しています。

当社は、高品質な商品を安定的に提供するため、これまで生産性の向上、物流合理化、諸費用の削減等、さまざまな企業努力を行ってきました。
 しかしながら、穀物原料等の原材料、資材、輸送費、およびFOB価格※等のコストアップの影響を企業努力だけで吸収することは極めて厳しい状況となっており、今回、やむを得ず一部商品の価格改定を実施します。
(※「Free On Board(本船渡し)」の略。現地の製品価格に積出港までの運賃を含んだ価格。)

(引用:ウイスキー・リキュール・ワイン等 一部商品の価格改定について

確かに、原材料である大麦や、資材の瓶、キャップ、ラベル、輸送費などの価格高騰によるコスト増は、日本国内のウイスキー蒸溜所からも価格改定の大きな理由として挙げられており、上記のサントリーの説明は仕方ない内容だと捉えられます。

また、昨今の世界的なウイスキーブームが到来し、特にプレミアムウイスキーが高値で取引されるようになっている事から、「マッカラン30年」のようなヴィンテージウイスキーの事実上の価値はかなり高騰している為、メーカーとして市場価格に合わせていく事はごく自然な流れであると言えるのではないでしょうか。

3.市場価格の動向

現状のサントリーの国産プレミアムウイスキーの動向について触れておきたいと思います。

3-1.ネット販売

代表的なネット販売モール「楽天市場」や、「Amazon」では、現状「響」「山崎」「白州」を定価で購入する事はほぼ難しい状況となっているどころか、改定後の新価格よりも高い価格で販売されています。

3-2.量販店やコンビニ等のでの小売り販売

「イオン」や「コストコ」などの大手量販店や、「セブンイレブン」などのコンビニ、小売りをメインとするリカーショップ(酒屋)では、安定的に供給されている事はほぼ無く、入荷され店頭に並ぶとすぐに売り切れとなる状況が続いているようです。販売価格は、定価で販売される場合もあれば、プレミア価格として販売される場合もあるようです。

3-3.業務店(飲食店)等への販売

業務用卸からBAR業態、レストラン・居酒屋業態への販売についても、仕入れ困難な状況が続いており、月に1~2本仕入が出来るかどうか・・・という状況のようです。

4.価格改定に伴う影響

では、4月の価格改定が私達の生活に与える影響について考察してみました。

4-1.4月までの買い込み

現在でも、買えるなら喉から手が出る程欲しい「響」「山崎」「白州」であり、店頭に並べばすぐに売り切れる状況です。4月の価格改定までに買い込みたくても入手困難というのが、ウイスキー愛好家の悩みでしょう。

4-2.転売やプレ値販売の抑制

既にネット上では、改定後の価格よりも高い価格で取引されています。
今回の改定により、市場の購買意欲が少し下がる可能性があります。その場合は、「転売」や「プレ値販売」等によって得られる利益が減少する為、抑制に繋がってくるかもしれません。

但し、価格改定によるプレミアム化が進んでいった場合、「転売価格」や「プレ値」も更に上昇し、抑制には繋がらないという可能性も大いにあるかと思います。

サントリーウイスキーは、外国人観光客からの需要も非常に高い為、日本人が買わなくなっても、外国人は喜んで購入されるはずなので、この辺りはなかなか予測が難しいところです。

4-3.BARや飲食店での価格改定

当メディアが運営する「BAR新海」でも今回の価格改定は大きな影響を受けます。山崎NVが4500円→7000円と2500円の値上げになると、現在の提供価格では適正な利益を得る事が難しく、4月1日より店内での価格も改定せざるを得ないと考えています。

「BAR新海」のご案内
Japanese Whisky Dictionaryが運営する「BAR新海」は、東京都港区に3店舗。当サイトで紹介しているジャパニーズウィスキーをはじめ、国産のジンやビールなども取扱い。オリジナルカクテル、フレッシュフルーツカクテルなども人気。食事も豊富で1件目からも利用可能。

恐らく、他のBARや飲食店でも同様に、4月1日からサントリーウイスキーの一斉値上げが起きるのではないかと予想されます。
特に、12年、18年のヴィンテージはかなり値段が高くなると思いますので、今のうちに、BARや飲食店で「響」「山崎」「白州」を嗜まれてはいかがでしょうか?

4-4.他メーカーの追随

今回のサントリーの大胆な価格改定は、今後他メーカーにお大きな影響を及ぼすのではないかと予想されます。
恐らく、各ウイスキーメーカーは、サントリーと同様で「投資コスト」や「原材料のコスト増」に悩まされているはずです。「大手サントリーが値上げしたのだから、当社も値上げしよう。」というように、各社が値上げしやすい状況になっていくのではないでしょうか。

5.まとめ

ウイスキーは、少なくとも私が飲食業界に入った14年前から1度も値下げすることなく、むしろ何度も値上がりが繰り返されてきました。スコッチウイスキーやバーボンウイスキーに関しても同様です。

世界中がウイスキーの美味しさに気付き、ウイスキーがより多くの国々で飲まれるようになりました。その需要は今後も上昇していくと予想されています。スコットランド産にしろ、アメリカ産にしろ、世界中の需要に対して十分な量の供給が出来ていない状況です。
「ウイスキー」の価格上昇は、このような需給バランスにより引き起こされています。

日本のウイスキーも、生産量はまだまだ不足しており、稀少性の高さは薄まる事はありません。今後、世界中の需要に応え、輸出量を増やしていくとなれば更に国内での稀少性は高まります。
ウイスキーの値段が”下がる”もしくは”落着く”時代は、いつになったらやってくるのでしょうか。

この記事を書いた人
新海 博之

1981年7月17日 北海道北広島市出身
大学卒業後、NTTデータカスタマサービス㈱へ新卒入社。
2010年「麻布十番BAR新海」を開業 → 2016年、名物「薬膳カレー」を開発 → 2018年「虎ノ門BAR新海」、2019年には「芝大門BAR新海」を開業 → 2020年 ウェブメディア「Japanese Whisky Dictionary」をスタート。
バーテンダーの私達だから出来る事として、ジャパニーズウイスキーの魅力を日々発信する。

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