【レビュー】シングルモルト山崎NV(ノンヴィンテージ)

ウィスキーレビュー
ウィスキーレビュー
山崎蒸溜所
2022/6/16 【メーカー希望小売価格】等変更

1984年に発売された「シングルモルトウイスキー山崎」ですが、1980年代はブレンデッドウイスキーが主流の時代でモルト原酒100%のウイスキーは限られた愛好家だけが嗜むお酒でした。そんな中、二代目マスターブレンダーの佐治敬三は「日本を代表するシングルモルトウイスキーをつくりたい」と新たな挑戦を決意しました。
シングルモルトウイスキーは、ひとつの蒸留所で生まれたウイスキー原酒だけを組み合わせてつくられるウイスキーです。その蒸留所のつくり手のこだわりや気候風土などに影響を受け、蒸留所の個性が色濃く反映されます。ジャパニーズウイスキーの未来を見据えた敬三は今後、価値観が多様化する時代には個性の強いシングルモルトがきっと求められると、新しい時代に求められるウイスキーづくりに挑みます。
当時のチーフブレンダー 佐藤乾とともに、数え切れないほどの原酒をテイスティングし、理想の味わいを追求しました。そしてついに、ひとつの個性が突出することなく多彩な原酒が混ざり合い、高めあうような調和、という答えに辿り着きます。
こうして1984年3月14日、約2年もの歳月をかけて作られた至極の一本といえるシングルモルトウイスキー「山崎」が誕生しました。
その後、30年以上経過した今現在もジャパニーズシングルモルトウイスキーの代表として君臨しています。
引用:サントリー山崎蒸溜所便り

山崎の「崎」は「山」と「奇」を組み合わせた漢字ですが、ラベルに書かれた「崎」の文字は実は少し違っていて、「山」にかつてのサントリーの社名である寿屋の「寿」をくずした文字を組み合わせたものになっています。この文字は生みの親である当時のサントリーのマスターブレンダー佐治敬三の直筆であり誇りとこだわりを感じます。

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1.メーカー

サントリースピリッツ株式会社

設立1899年
本社所在地〒135-8631 東京都港区台場2-3-3
所有蒸留所●日本
山崎蒸溜所、白州蒸溜所、知多蒸溜所
●スコットランド
アードモア蒸留所、グレンギリー蒸留所、オーヘントッシャン蒸留所、ボウモア蒸留所、ラフロイグ蒸留所
●アイルランド
クーリー蒸留所キルベガン蒸留所
●アメリカ
ジムビーム蒸留所、メーカーズマーク蒸留所
●カナダ
ハイラムウォーカー蒸留所、アルバータ蒸留所

2.蒸留所

サントリー山崎蒸溜所

所在地〒618-0001 大阪府三島郡島本町山崎5丁目2−1
操業開始1923年

山崎蒸溜所は、日本で最初のモルトウイスキー蒸留所として1923(大正12)年に開設。時代はまだウイスキーが一般の人には珍しいお酒だった頃。「日本人の繊細な味覚にあった、日本のウイスキーをつくりたい」。その熱い想いを胸に、鳥井信治郎はウイスキーづくりに乗り出した。
信治郎は、あくまでも日本的な風土にこだわった。特に重要だったのが、「水」と「環境」。山崎は万葉の歌にも詠まれた水生野(みなせの)と言われる名水の里
茶人・千利休も愛したこの地の水はウイスキーづくりに最適であった。さらに自然環境も申し分なかった。
京都の南西、天王山の麓の竹林が生い茂る山崎は、四季折々の変化が感じられる自然豊かな地。桂川、宇治川、木津川が合流する地点にあり、辺り一帯を山に囲まれているため、濃い霧がたちこめやすく温暖かつ湿潤な気候は、ウイスキーの熟成にとってまさに好条件でした。

「いいウイスキーをつくるには、この水とこの気候を持つ、山崎しかない」と、信治郎はこの場所をウイスキーのふるさとと決めました。
引用:YAMAZAKI MOMENTS

【サントリー山崎蒸溜所】
1923年 山崎蒸溜所建設。国内初のウイスキー蒸留所
1929年 国産ウイスキー第1号「白札」発売
1937年 「角瓶」発売
1984年 シングルモルトウイスキー「山崎」発売
1992年 シングルモルトウイスキー「山崎18年」発売
1998年 シングルモルトウイスキー「山崎25年」発売

画像出展:山崎倶楽部

山崎蒸溜所の詳細はこちらの記事もご覧ください。

山崎蒸溜所 | ジャパニーズウイスキーディクショナリー
Japanese Whisky Dictionary

3.商品名と写真

山崎NV(ノンヴィンテージ)
Yamazaki

4.特徴

4-1.テイスティングノート

香り華やかでやわらかいバニラ香の中にミズナラ樽の香り。後からわずかにワイン樽由来の果実の香り
味わい麦芽のコクと甘み、ウッディさやワイン樽由来のタンニン、後から来るベリー系のフルーティーな味わい
余韻スパイシーで若干のアルコール感から渋くウッディな余韻が続く

4-2.商品スペック

アルコール度数43%
酒別シングルモルトウイスキー
樽酒ワイン樽、ミズナラ樽、パンチョン樽ほか
内容量700ml
販売本数
希望小売価格4,950円(税込)
発売日1984年3月14日(新山崎、いわゆる現在の山崎は2012年5月29日にラインナップ)

5.受賞歴

現時点での受賞歴はありません。

6.価格

6-1.メーカー希望小売価格

商品名サントリーシングルモルトウイスキー「山崎」
容量700ml
希望小売価格4,500円(税込:4,950円)

6-2.メルカリでの転売価格

メルカリでの転売価格は、10,000円~13,000円前後となっています。(※2022/6/16時点)  

6-3.ヤフーオークション落札価格

ヤフーオークションでの落札価格は、最安7,230円、最高11,800円、平均9,538(※2022/6/16時点より過去180日間の統計情報) 

6-4.楽天、ヤフーショッピング、Amazon

通販サイトでも、13,500円~16,000円前後で販売されています。 (※2022/6/16時点)
ごく稀に酒屋さんで定価で置いあるのを見かけますがほぼ即日完売、ネットではプレ値で販売されているなど相変わらず人気の高いウイスキーです。

6-5.BAR新海での提供価格

当サイトが運営する「BAR新海」では、1杯、45ml:1,540円で提供しております。

「BAR新海」のご案内
Japanese Whisky Dictionaryが運営する「BAR新海」は、東京都港区に3店舗。当サイトで紹介しているジャパニーズウィスキーをはじめ、国産のジンやビールなども取扱い。オリジナルカクテル、フレッシュフルーツカクテルなども人気。食事も豊富で1件目からも利用可能。

7.まとめ

フルーツのような甘くやわらかい香りと、なめらかな口当たりで数種類の樽由来の複雑なフレーバーが特徴のウイスキーです。
飲み方はロック・ハイボールがおすすめ。華やかで甘みが広がります。

2021年1月8日サントリーがウイスキーの出荷制限を11年ぶりに緩和する。とニュースリリースがありウイスキー業界は一瞬ざわつきました。
対象となるのは「知多」と「碧Ao」で、知多の販売数量前年比116%、碧Aoの販売数量前年比249%の目標。
自宅で気軽に楽しめるようにと、知多・碧Aoともにハーフボトル(350ml)を3月23日から発売
ただ残念だったのは「山崎」「白州」「響」については引き続き出荷制限を継続していくということです。
不動の人気の山崎を気軽に買える日はいつやってくるのでしょうか。今後のサントリーの動きに注目です。

■ウイスキー「山崎」| 種類や味、価格高騰の理由などを徹底解説。も是非ご覧ください。

ウイスキー「山崎」| 種類や味、価格高騰の理由などを徹底解説
「山崎について、どんな種類があるのか知りたい」 「価格が高騰していると聞くけれど、なぜか理由を知りたい」 調べれば調べるほど情報が出てくる「シングルモルトウイスキー 山崎(以下、山崎とする)」のウイス

■「山崎」に関するその他の記事も是非ご覧ください。

【2021年5月25日数量限定発売】山崎 LIMITED EDI...
「山崎」ブランドとして初めてミズナラ新樽熟成のモルト原酒を使用。厳選した酒齢12年以上のミズナラ新樽原酒を贅沢にブレンドし、なめらかで厚みのある甘みと、いきいきとした果実味を擁する、飲みごたえのある香味が特長です。
【レビュー】シングルモルト 山崎12年
日本のウイスキー発祥の地、山崎蒸溜所の竣工60年目の1984年に発売。熟成12年を超えた「パンチョン樽」「シェリー樽」「ミズナラ樽」の原酒を使用。2003年の初受賞から、ISC金賞、SWSC最優秀金賞を何度も受賞するなど、世界中が認めるジャパニーズウィスキーの代表格。
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最後に:ジャパニーズウイスキーのおすすめ書籍

世界的なトレンドを巻き起こしている「ジャパニーズウイスキー」の事をもっと知りたい、もっと勉強したいという方は、是非こちらの書籍をおすすめいたします。

(1).Whisky Galore(ウイスキーガロア)Vol.42 2024年2月号

【巻頭特集】ウイスキーの聖地 アイラ島の“現在”を読み解く
アイラ島のウイスキーは、昔から「アイラモルト」という独自のカテゴリーを与えられてきた。現在9ヵ所の蒸留所があり、さらに2つの新蒸留所計画が発表されている、この小さな島を改めて紹介。
また、現在入手可能なウイスキー8種を土屋編集長が飲み比べる。
●掲載蒸留所
ボウモア、アードベッグ、ラガヴーリン、ラフロイグ、カリラ、ブナハーブン、ブルックラディ、キルホーマン、アードナッホー

【第2特集】北アイルランドのウイスキー
世界の五大ウイスキーのなかで、いまもっとも伸びているのがアイリッシュ。ブームを牽引する北アイルランドの最新情報をリポート。
●紹介ウイスキー
ブッシュミルズ、エクリンヴィル、グレンズ・オブ・アントリム、ヒンチ、キルオーウェン、マコーネルズ、ショートクロス、タイタニック・ディスティラーズ、トゥー・スタックス

【蒸留所リポート】
2023年に100周年を迎えたジャパニーズウイスキー。その第一歩が踏み出され、昨年リニューアルしたばかりのサントリー山崎蒸溜所を取材。そのほか月光川蒸留所や、個性的なツアーを行っている八郷蒸溜所&安積蒸溜所も紹介。

【インタビュー】
ワイルドターキーのマスターディスティラーであるエディー・ラッセル氏と、その息子ブルース・ラッセル氏を編集長がインタビュー。またフィンランドで自国ライ麦にこだわったウイスキーを造るキュロ蒸留所のミイカ氏にも話を聞いた。

【特集】
ウイスキーフェスティバル2023 in TOKYO、ウイスキーコニサークラブ新潟蒸留所ツアー、下田ウイスキーフェスリポート。

(2).ビジネスに効く教養としてのジャパニーズウイスキー

世界的にも有名なウイスキー評論家で、ウイスキー文化研究所代表 土屋守先生の著書「ビジネスに効く教養としてのジャパニーズウイスキー」です。
ウイスキーの基礎知識、日本へのウイスキーの伝来、ジャパニーズウイスキーの誕生、広告戦略とジャパニーズウイスキーの盛隆、そして、現在のクラフト蒸留所の勃興まで。日本のウイスキーの事が非常にわかりやすくまとめられた一冊。

(3).ウイスキーと私(竹鶴政孝)

日本でのウイスキー醸造に人生を捧げた、ニッカウヰスキー創業者・竹鶴政孝。ただひたすらにウイスキーを愛した男が自らを語った自伝の改訂復刻版。若き日、単身スコットランドに留学し、幾多の苦難を乗り越えてジャパニーズ・ウイスキーを完成させるまでの日々や、伴侶となるリタのことなどが鮮やかに描かれる。

(4).新世代蒸留所からの挑戦状

2019年発売。世界に空前のウイスキーブームが到来しているいま、クラフト蒸留所の経営者たちは何を考え、どんな想いでウイスキー造りに挑んだのか。日本でクラフト蒸留所が誕生するきっかけを作った、イチローズ・モルトで有名なベンチャーウイスキーの肥土伊知郎氏をはじめとする、13人のクラフト蒸留所の経営者たちが世界に挑む姿を綴った1冊。

(5).ウイスキーライジング

2016年にアメリカで出版された『Whisky Risng』の日本語版であり、内容も大幅にアップデート。ジャパニーズ・ウイスキーの歴史が詳細に記述されているだけでなく、近年、創設がつづくクラフト蒸溜所を含む、日本の全蒸溜所に関するデータも掲載。そのほかにも、今まで発売された伝説的なボトルの解説や、ジャパニーズ・ウイスキーが飲めるバーなども掲載されています。

(6).ウイスキーと風の味

1969年にニッカウヰスキーに入社した、三代目マスターブレンダーの佐藤茂夫氏の著書。
『ピュアモルト』『ブラックニッカクリア』『フロム・ザ・バレル』の生みの親でもあり、なかでも『シングルモルト余市1987』はウイスキーの国際的コンペティションWWA(ワールド・ウイスキー・アワード)にて「ワールド・ベスト・シングルモルト」を受賞。
竹鶴政孝竹鶴威の意志を引き継いだブレンダー界のレジェンドが語る今昔。

この記事を書いた人
深瀬 悠二

北海道札幌市出身。
2005年、大手スポーツ用品販売チェーンに就職→2019年1月、BAR新海に就職しウイスキーの魅力に引き込まれ虜となる。初めて飲んだウイスキーはアードベッグ10年。ほぼ毎日ウイスキーを飲む中で更なる知識習得を目指し、ウイスキー検定2級とJC級(ジャパニーズクラフトウイスキー)を取得。
造り手の想いをしっかりと表現し、飲み手の方々に正しい情報を伝えたい。ウイスキーの魅力をたくさんの方に伝えたいという思いでウェブメディア「Japanese Whisky Dictionary」の編集を担当。

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