【レビュー】厚岸ニューボーン ファンデーション3

ウィスキーレビュー
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厚岸蒸溜所

世界的にも評価され、日増しに知名度も高まっている「厚岸蒸溜所」 今回は今年3月5日に発売された「厚岸NEW BORN FOUNDATIONS 3」を紹介いたします。

来るべき正式商品化の時期に先立ち、ウイスキー愛好家の方々へ『厚岸蒸溜所の現在』を伝えるNEW BORNシリーズは、全4弾を予定しており、既に第1弾、第2弾、第3弾まで発売されました。 今年、8月予定で第4弾が発売されることとなっています。

  • 厚岸NEW BORN FOUNDATIONS 1バーボン樽ノンピート(2018/2/27発売)
  • 厚岸NEW BORN FOUNDATIONS 2バーボン樽ピーテッド(2018/8/28発売)
  • 厚岸NEW BORN FOUNDATIONS 3ミズナラ(2019/3/5発売)
  • 厚岸NEW BORN FOUNDATIONS 4ブレンデッド(2019/8/XX発売予定)

ウイスキーの風味は熟成させる樽によって大きく変わり、一般的にバーボンやシェリー酒の製造に使われた外国製の中古樽を使うことが多いですが、今回紹介する第3弾は貴重な道内産ミズナラ樽で熟成させたのが特徴です。ミズナラ樽はお香のような独特の香りがつくとされ、ウイスキー愛好家に人気があります。

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1.メーカー

堅展実業株式会社

設立1982年
本社所在地〒100-0011 東京都千代田区内幸町1丁目1-1 帝国ホテル東京内
所有蒸留所厚岸蒸溜所

2.蒸留所

厚岸蒸溜所

所在地〒088-1124 北海道厚岸郡厚岸町宮園4丁目109-2
操業開始2016年10月

2015年 蒸留所建設を開始
2016年 10月から蒸留開始
2017年 第2熟成庫完成
2018年 2月厚岸蒸溜所として初商品リリース。第3熟成庫完成
2020年 初のシングルモルトウイスキーをリリース。二十四節季シリーズ第一弾リリース。第4熟成庫完成

潮気を含んだ深い霧、清澄な空気、豊富な泥炭。北海道・厚岸の風土こそ、私たちの求める未知なるジャパニーズウイスキーの風味をつくり出してくれると信じ、2016年に蒸留を開始しました。
アイラ島のウイスキー造りと同様、泥炭(ピート)層を通った水を仕込み水に用い、冷涼で湿潤、そして海風が当たる場所「厚岸」で日々熟成が進んでいます。
厚岸周辺はウイスキーの風味づけに欠かせないピートが豊富に埋蔵されており、海・山・湿原などの変化に富んだ地形によって、ピートを採取する場所ごとに異なるフレーバーが期待できます。

「スコットランドの伝統的な製法で、アイラモルトのようなウイスキーを造りたい」という強い想いのもと、設備はスコットランドのフォーサイス社製のものを導入。施工はすべてフォーサイス社の職人が来日して実施。
ポットスチルの形状はストレートヘッドのオニオンシェイプで、アイラ島のいくつかの蒸留所のものと似ています。
加熱はラジエーター方式、付属するコンデンサーはシェル&チューブ式でマッシュタンはセミロイター式です。
発酵槽(ウォッシュバック)はステンレスで、あえて温度調整はできないタイプに。自然に任せながら、クラフトマンが発酵のタイミングを見極めます。

2つのダンネージ式の熟成庫に加え、2018年2月に革新的なラック式の熟成庫が完成しました。その熟成庫は厚岸湾のすぐ側にあります。空気中を漂う海の香りがウイスキーの特性に良い影響を与えることが期待できます。
熟成樽はバーボン、シェリーに加え、入手困難な「ミズナラ」も使用。さらにワインやラム樽とのマッチングなど、あらゆる可能性に挑戦しています。

厚岸湖と別寒辺牛湿原はラムサール条約の登録湿地です。ラムサール条約とは、1971年2月2日にイランのラムサールで採択された湿地に関する条約で、水鳥をはじめとする野生動物の生息地となっている湿地を、国際的な協力のもと保全および賢明に利用することを目的としています。
当社もこの豊かな自然を守り、共存していく蒸留所を目指しています。
ウイスキーに使用する上水の取水口は、蒸留所のそばを流れる尾幌川上流のホマカイ川。その周辺は湿原地帯で、清流にしか生息しないといわれるバイカモの生息地です。夏季に咲く小さな白い花は豊かな水のシンボル。この水が厚岸のウイスキーを育みます。

引用元:厚岸蒸溜所公式HP

厚岸蒸溜所の情報はこちら↓もご覧ください。

厚岸蒸溜所:見学訪問レポート(2023年5月)
北海道の道東厚岸町で2016年よりウイスキー製造を行っている堅展実業㈱「厚岸蒸溜所」2023年5月の見学訪問レポートを紹介。

3.商品名と写真

厚岸ニューボーン ファンデーション 3
AKKESHI NEW BORN FOUNDATIONS 3

4.特徴

北海道産ミズナラの新樽で8〜23ヶ月熟成させたノンピート原酒をブレンド

2016年11月に生産を始めた厚岸蒸溜所がファンの要望に応えて世に送るニューボーン第3弾は、海外モルトファンからジャパニーズオークとも呼ばれる北海道産ミズナラの新樽で8〜23ヶ月熟成させたノンピート原酒をブレンド。国内法ではウイスキー表記となりますが、ヨーロッパでは熟成期間が3年未満だとウイスキーを名乗れないため「ニューボーン」と題してのリリースとなります。 厚岸蒸溜所の「ニューボーン」シリーズは全4部作。第3弾となる今回はシリーズ初のミズナラ樽熟成原酒。北海道産ミズナラ樽で8~23ヶ月熟成した原酒のなかから十数樽を選び、昨年2018年12月5日にブレンディングを行ないました。柑橘のアロマを含んだ複雑な香りの中に、ミズナラ由来のオリエンタルな風味をもつ、これまでにないニューボーンです。 柑橘類などが混じった濃厚な風味に、ミズナラ特有の濃密な香りに酔いしれる至極の逸品。第1弾、第2弾を味わった人なら、その違いも併せて堪能できますね。

メーカーHPに掲載のテイスティングノートは以下です。

4-1.テイスティングノート

香り黒糖、バニラ、フレッシュメロン様の甘い香りに、ナツメグ様のスパイシーな香りが加わる
味わいビターチョコレート、シュガーシロップにみかん様のテイストが重なる
余韻ホワイトペッパーペッパー、ビターチョコレート様の甘さ、僅かに香木調の香り

4-2.商品スペック

アルコール度数55%
酒別シングルモルト(ノンピーテッド)
樽種シェリー樽ほか
内容量200ml
販売本数
希望小売価格6,380円(税込)
発売日2019年3月5日

5.受賞歴

現時点では受賞歴はありません。

6.価格

6-1.メーカー希望小売価格

商品名厚岸ニューボーン ファンデーション3
容量200ml
希望小売価格税込:6,380円

6-2.メルカリでの転売価格

メルカリでの転売価格は、6,000円~12,000円前後となっています。(※2021/4/16時点)

6-3.ヤフーオークション落札価格

ヤフーオークションでの現在出品中の価格は、最安5,250円、最高10,000円、平均7,269円(※2021/4/16時点) 

6-4.楽天、ヤフーショッピング、Amazon

通販サイトでも、11,000円~15,000円前後で販売されています。 (※2021/4/16時点)

6-5.BAR新海での提供価格

当サイトが運営する「BAR新海」では、1、45ml:4,950円30ml:3,300円、15ml:1,650円などの少量でも提供しております。

「BAR新海」のご案内
Japanese Whisky Dictionaryが運営する「BAR新海」は、東京都港区に3店舗。当サイトで紹介しているジャパニーズウィスキーをはじめ、国産のジンやビールなども取扱い。オリジナルカクテル、フレッシュフルーツカクテルなども人気。食事も豊富で1件目からも利用可能。

7.まとめ

「厚岸 NEW BORN FOUNDATIONS」は、ピートを用いずに大麦麦芽を乾燥させた「ノンピートモルト」をバーボン樽で熟成させたもの。厚岸町名産の牡蠣と相性がよく、殻つきの生牡蠣に数滴垂らすと、双方の旨味が調和して潮の香りを堪能できるのだとか。 こうした牡蠣のたのしみ方もまた、アイラ島ではおなじみの習慣です。スコッチの聖地さながらの贅沢を、一度、試してみてはいかがでしょうか?

厚岸蒸溜所が理想としているのは、ウイスキーの原料になる大麦からピート、熟成樽に至るまで、すべて厚岸産のウイスキーなのだとか。 2020年にはいよいよ本格的なシングルモルトウイスキーがデビューする予定です。今後の「厚岸ウイスキー」の展開に、期待はふくらむばかりです。

■厚岸蒸溜所に関するその他の記事も是非ご覧ください。

【レビュー】厚岸ニューボーン ファンデーション2
厚岸ウイスキーニューボーンシリーズ第2弾。バーボン樽で8~17ヶ月熟成したピーテッドモルト原酒をバッティング。厚岸蒸留所 初となるピーテッドタイプ。アルコール度数は58度。ピーティーさと相まって、海霧と風によってもたらされた塩味、柑橘類などの風味も。
【レビュー】厚岸ニューボーン ファンデーション1
厚岸ニューボーンファンデーション1は、熟成段階のウィスキーとしては前代未聞の快挙。ジム・マレー氏の「ウイスキーバイブル2019」で、100点満点中88.5点という高得点を獲得。バーボン樽で5~14ヵ月熟成したノンピートモルト原酒をバッティング。アルコール度数は60度。
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最後に:ジャパニーズウイスキーのおすすめ書籍

世界的なトレンドを巻き起こしている「ジャパニーズウイスキー」の事をもっと知りたい、もっと勉強したいという方は、是非こちらの書籍をおすすめいたします。

(1).Whisky Galore(ウイスキーガロア)Vol.42 2024年2月号

【巻頭特集】ウイスキーの聖地 アイラ島の“現在”を読み解く
アイラ島のウイスキーは、昔から「アイラモルト」という独自のカテゴリーを与えられてきた。現在9ヵ所の蒸留所があり、さらに2つの新蒸留所計画が発表されている、この小さな島を改めて紹介。
また、現在入手可能なウイスキー8種を土屋編集長が飲み比べる。
●掲載蒸留所
ボウモア、アードベッグ、ラガヴーリン、ラフロイグ、カリラ、ブナハーブン、ブルックラディ、キルホーマン、アードナッホー

【第2特集】北アイルランドのウイスキー
世界の五大ウイスキーのなかで、いまもっとも伸びているのがアイリッシュ。ブームを牽引する北アイルランドの最新情報をリポート。
●紹介ウイスキー
ブッシュミルズ、エクリンヴィル、グレンズ・オブ・アントリム、ヒンチ、キルオーウェン、マコーネルズ、ショートクロス、タイタニック・ディスティラーズ、トゥー・スタックス

【蒸留所リポート】
2023年に100周年を迎えたジャパニーズウイスキー。その第一歩が踏み出され、昨年リニューアルしたばかりのサントリー山崎蒸溜所を取材。そのほか月光川蒸留所や、個性的なツアーを行っている八郷蒸溜所&安積蒸溜所も紹介。

【インタビュー】
ワイルドターキーのマスターディスティラーであるエディー・ラッセル氏と、その息子ブルース・ラッセル氏を編集長がインタビュー。またフィンランドで自国ライ麦にこだわったウイスキーを造るキュロ蒸留所のミイカ氏にも話を聞いた。

【特集】
ウイスキーフェスティバル2023 in TOKYO、ウイスキーコニサークラブ新潟蒸留所ツアー、下田ウイスキーフェスリポート。

(2).ビジネスに効く教養としてのジャパニーズウイスキー

世界的にも有名なウイスキー評論家で、ウイスキー文化研究所代表 土屋守先生の著書「ビジネスに効く教養としてのジャパニーズウイスキー」です。
ウイスキーの基礎知識、日本へのウイスキーの伝来、ジャパニーズウイスキーの誕生、広告戦略とジャパニーズウイスキーの盛隆、そして、現在のクラフト蒸留所の勃興まで。日本のウイスキーの事が非常にわかりやすくまとめられた一冊。

(3).ウイスキーと私(竹鶴政孝)

日本でのウイスキー醸造に人生を捧げた、ニッカウヰスキー創業者・竹鶴政孝。ただひたすらにウイスキーを愛した男が自らを語った自伝の改訂復刻版。若き日、単身スコットランドに留学し、幾多の苦難を乗り越えてジャパニーズ・ウイスキーを完成させるまでの日々や、伴侶となるリタのことなどが鮮やかに描かれる。

(4).新世代蒸留所からの挑戦状

2019年発売。世界に空前のウイスキーブームが到来しているいま、クラフト蒸留所の経営者たちは何を考え、どんな想いでウイスキー造りに挑んだのか。日本でクラフト蒸留所が誕生するきっかけを作った、イチローズ・モルトで有名なベンチャーウイスキーの肥土伊知郎氏をはじめとする、13人のクラフト蒸留所の経営者たちが世界に挑む姿を綴った1冊。

(5).ウイスキーライジング

2016年にアメリカで出版された『Whisky Risng』の日本語版であり、内容も大幅にアップデート。ジャパニーズ・ウイスキーの歴史が詳細に記述されているだけでなく、近年、創設がつづくクラフト蒸溜所を含む、日本の全蒸溜所に関するデータも掲載。そのほかにも、今まで発売された伝説的なボトルの解説や、ジャパニーズ・ウイスキーが飲めるバーなども掲載されています。

(6).ウイスキーと風の味

1969年にニッカウヰスキーに入社した、三代目マスターブレンダーの佐藤茂夫氏の著書。
『ピュアモルト』『ブラックニッカクリア』『フロム・ザ・バレル』の生みの親でもあり、なかでも『シングルモルト余市1987』はウイスキーの国際的コンペティションWWA(ワールド・ウイスキー・アワード)にて「ワールド・ベスト・シングルモルト」を受賞。
竹鶴政孝竹鶴威の意志を引き継いだブレンダー界のレジェンドが語る今昔。

この記事を書いた人
新海 博之

1981年7月17日 北海道北広島市出身
大学卒業後、NTTデータカスタマサービス㈱へ新卒入社。
2010年「麻布十番BAR新海」を開業 → 2016年、名物「薬膳カレー」を開発 → 2018年「虎ノ門BAR新海」、2019年には「芝大門BAR新海」を開業 → 2020年 ウェブメディア「Japanese Whisky Dictionary」をスタート。
バーテンダーの私達だから出来る事として、ジャパニーズウイスキーの魅力を日々発信する。

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ジャパニーズウイスキーディクショナリー
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