サントリーのウイスキーと言えば「山崎」と思い描く人は多いと思いますが、山崎に並んで人気があるのが「白州」です。 「白州12年」は白州蒸溜所で育まれた12年以上熟成されたモルト原酒をヴァッティングして作られたウイスキーです。
白州蒸溜所は世界でも珍しいほど高地にあり“森の蒸留所”と呼ばれ、水などの自然環境、発酵槽や蒸留釜など設備の違いから山崎蒸溜所とは個性の異なる原酒を造りだしています。
■白州12年が休売になった経緯とその後
1994年に発売された「白州12年」は2018年6月をもって休売となりました。 日本でのウイスキー需要は1983年をピークに、その後はウイスキーの消費が低迷。90年代のバブルがはじけて以降まったくウイスキーが売れない時期が続き、各メーカーはウイスキーの製造量を縮小または休止しました。
そんな中、再度ウイスキー需要が上昇に転じたのは2009年。きっかけはサントリーが打ち出したハイボールでした。
今まで中高年が飲むお酒だったウイスキーをサントリーが若い人向けにハイボールとして訴求するとこれが大ヒット。更に追い打ちをかけるように世界的な品評会でジャパニーズウイスキーが次々と名誉ある賞を受賞し始めたことや、2014年に放送されたNHKの朝の連続テレビ小説『マッサン』なども話題となり、国内外からジャパニーズウイスキーの需要が一気に上昇しました。
それらの煽りを受けたことと、ウイスキーの原酒は必ず樽熟成が必要で供給までに数年~数十年かかることからも、大幅な原酒不足を招いた結果、白州12年は休売となってしまいました。
各メーカーがウイスキー需要に気付き、フル生産体制に入ったのが2012年ぐらいのことです。蒸留所も設備を増強し原酒をフル生産で造るようになりました。熟成10年以上を実現するには単純に考えても2022年以降になりますし、例え2022年になったからといってすぐに原酒不足問題が解決するとは思えないのでまだ時間はかかるものと思います。
そのような状況下においてサントリーは2021年1月19日、「白州12年」を3月30日に数量限定で再販売する。と発表しました。
再販売される白州12年も休売前同様に「白州蒸溜所」で12年以上熟成された原酒のみで造られ、アルコール度数43%、700mlで希望小売価格税別10,000円(税込み11,000円)と商品の規格・容量の変更は無い。年間販売数量は現時点では非公開です。瓶に貼るラベルは手漉きの越前和紙を採用し、英字ロゴの色を変更するようです。
引用:シングルモルトウイスキー「白州12年」再発売のお知らせ
1.メーカー
サントリースピリッツ株式会社
設立 | 1899年 |
本社所在地 | 〒135-8631 東京都港区台場2-3-3 |
所有蒸留所 | ●日本 山崎蒸溜所、白州蒸溜所、知多蒸溜所 ●スコットランド アードモア蒸留所、グレンギリー蒸留所、オーヘントッシャン蒸留所、ボウモア蒸留所、ラフロイグ蒸留所 ●アイルランド クーリー蒸留所、キルベガン蒸留所 ●アメリカ ジムビーム蒸留所、メーカーズマーク蒸留所 ●カナダ ハイラムウォーカー蒸留所、アルバータ蒸留所 |
2.蒸留所
サントリー白州蒸溜所
所在地 | 〒408-0316 山梨県北杜市白州町鳥原2913-1 |
操業開始 | 1973年 |
日本で初めてウイスキーづくりを始めてからちょうど50年を迎えた1973年、豊かな自然に恵まれた南アルプス甲斐駒ヶ岳のふもとに約82万平方メートルの豊かな森に、白州蒸溜所は完成しました。
仕込み水は森の湿潤な大気に包まれて、白州モルトは花崗岩に磨かれた清らかでやわらかな南アルプスの天然水を使用。日本ならではの四季の変化の中で長い間熟成され、香り立ちがよくすっきりした「白州」の味わいの源となっています。
2014年には10億円をかけてポットスチル4基増設し16基に。サイズや形状が異なるバラエティ豊かなポットスチルで原酒の作り分けをしています。貯蔵庫は天井の高いラック式。温度や湿度などは一切人の手で管理されず、自然に任せた状態で管理されています。
1973年 白州蒸溜所建設
1994年 白州12年発売
2006年 白州18年発売
2008年 白州25年発売
画像出展:サントリー公式 森の蒸留所
白州蒸溜所の詳細はこちらの記事もご覧ください。
3.商品名と写真
白州12年
Hakushu 12 year
4.特徴
ほのかに感じるスモーキーフレーバー
ややスモーキーな麦芽を上面酵母を用いて、木桶槽で発酵。フルーティーでクリーミーなウォッシュ(発酵終了モロミ)を、直火蒸留釜で蒸留しホワイトオーク樽につめて白州の森の貯蔵庫で12年以上熟成。 名水百選の尾白川でも知られる南アルプスの清冽な天然水で仕込み、木桶発酵、直火蒸留を経て森の貯蔵庫で育まれた原酒はフルーティーで甘く、やわらかなスモーキーフレーバーが漂う軽快な口当たりです。
4-1.テイスティングノート
香り | 甘く爽快な柑橘系の香りから柔らかく軽いピート香と緑溢れるフレッシュな香り |
味わい | ナッツ、バニラアイスの甘く香ばしい香味とスモーキーな味わい |
余韻 | 青りんご、すだちのフレッシュなやや酸味を伴う余韻 |
4-2.商品スペック
アルコール度数 | 43% |
酒別 | シングルモルトウイスキー |
樽種 | ホワイトオーク樽など |
内容量 | 700ml |
販売本数 | 2018年6月販売休止 |
希望小売価格 | 11,000円(税込) |
発売日 | 1994年(再販売:2021年3月30日) |
5.受賞歴
2009年 IWSC金賞
2010年 IWSC金賞
2011年 SWSC最優秀金賞
2012年 SWSC金賞、ISC金賞
2013年 SWSC最優秀金賞
2014年 SWSC金賞
2016年 SWSC最優秀金賞
6.価格
6-1.メーカー希望小売価格
商品名 | サントリーシングルモルトウイスキー「白州12年」 |
容量 | 700ml |
希望小売価格 | 10,000円(税込:11,000円) |
6-2.メルカリでの転売価格
メルカリでの転売価格は、22,500円~27,000円前後となっています。(※2022/6/16時点)
6-3.ヤフーオークション落札価格
ヤフーオークションでの落札価格は、最安22,000円、最高47,000円、平均29,642円(※2022/6/16時点より過去180日間の統計情報)
6-4.楽天、ヤフーショッピング、Amazon
通販サイトでも、66,000円~70,000円前後で販売されています。 (※2022/6/16時点)
6-5.BAR新海での提供価格
当サイトが運営する「BAR新海」では、1杯、45ml:3,850円で提供しております。
7.まとめ
「白州NV」と同じくアルコール度数43%ですが、アルコールの刺激はNVよりも抑えられていて従来のスムースさや爽快さに加え柔らかな甘みとフルーティーさが備わったウイスキーに仕上がっている印象です。加水すると更にアルコールの刺激が薄れ飲みやすくなります。水割りやハイボールにしても白州特有の風味や複雑さは失われることはなく、どんな飲み方でも楽しめるウイスキーです。
ウイスキーファンを語る上では一度は必ず飲んでおきたい「白州12年」。3月30日限定で再販売されるので運が良ければボトル購入もできると思いますが、買えなかった方はBARなどで飲んでみるのも一つの方法です。
2021年1月8日サントリーがウイスキーの出荷制限を11年ぶりに緩和する。 とサントリーが公式リリースしたことでウイスキー業界は一瞬ざわつきました。
実際のところ対象となるのは「知多」と「碧Ao」ということでした。 知多の販売数量前年比116%、碧Aoの販売数量前年比249%の目標。 自宅で気軽に楽しめるようにと、知多・碧Aoともにハーフボトル(350ml)を3月23日から発売。ただ残念だったのは「山崎」「白州」「響」については引き続き出荷制限を継続していくということです。
今年に入って大きな動きを見せているのはサントリーです。対するニッカウヰスキーはなにか秘策はあるのでしょうか。きっとなにか仕掛けてくるのでは!!
毎年出ている余市と宮城峡の限定品はどうなるのか?昨年のアップルブランデーは3月末発売でしたのでそろそろ情報がでてくるのかな?と気になる毎日ですね。
「白州」に関するその他の記事も是非ご覧ください。
最後に:ジャパニーズウイスキーのおすすめ書籍
世界的なトレンドを巻き起こしている「ジャパニーズウイスキー」の事をもっと知りたい、もっと勉強したいという方は、是非こちらの書籍をおすすめいたします。
(1).Whisky Galore(ウイスキーガロア)Vol.42 2024年2月号
【巻頭特集】ウイスキーの聖地 アイラ島の“現在”を読み解く
アイラ島のウイスキーは、昔から「アイラモルト」という独自のカテゴリーを与えられてきた。現在9ヵ所の蒸留所があり、さらに2つの新蒸留所計画が発表されている、この小さな島を改めて紹介。
また、現在入手可能なウイスキー8種を土屋編集長が飲み比べる。
●掲載蒸留所
ボウモア、アードベッグ、ラガヴーリン、ラフロイグ、カリラ、ブナハーブン、ブルックラディ、キルホーマン、アードナッホー
【第2特集】北アイルランドのウイスキー
世界の五大ウイスキーのなかで、いまもっとも伸びているのがアイリッシュ。ブームを牽引する北アイルランドの最新情報をリポート。
●紹介ウイスキー
ブッシュミルズ、エクリンヴィル、グレンズ・オブ・アントリム、ヒンチ、キルオーウェン、マコーネルズ、ショートクロス、タイタニック・ディスティラーズ、トゥー・スタックス
【蒸留所リポート】
2023年に100周年を迎えたジャパニーズウイスキー。その第一歩が踏み出され、昨年リニューアルしたばかりのサントリー山崎蒸溜所を取材。そのほか月光川蒸留所や、個性的なツアーを行っている八郷蒸溜所&安積蒸溜所も紹介。
【インタビュー】
ワイルドターキーのマスターディスティラーであるエディー・ラッセル氏と、その息子ブルース・ラッセル氏を編集長がインタビュー。またフィンランドで自国ライ麦にこだわったウイスキーを造るキュロ蒸留所のミイカ氏にも話を聞いた。
【特集】
ウイスキーフェスティバル2023 in TOKYO、ウイスキーコニサークラブ新潟蒸留所ツアー、下田ウイスキーフェスリポート。
(2).ビジネスに効く教養としてのジャパニーズウイスキー
世界的にも有名なウイスキー評論家で、ウイスキー文化研究所代表 土屋守先生の著書「ビジネスに効く教養としてのジャパニーズウイスキー」です。
ウイスキーの基礎知識、日本へのウイスキーの伝来、ジャパニーズウイスキーの誕生、広告戦略とジャパニーズウイスキーの盛隆、そして、現在のクラフト蒸留所の勃興まで。日本のウイスキーの事が非常にわかりやすくまとめられた一冊。
(3).ウイスキーと私(竹鶴政孝)
日本でのウイスキー醸造に人生を捧げた、ニッカウヰスキー創業者・竹鶴政孝。ただひたすらにウイスキーを愛した男が自らを語った自伝の改訂復刻版。若き日、単身スコットランドに留学し、幾多の苦難を乗り越えてジャパニーズ・ウイスキーを完成させるまでの日々や、伴侶となるリタのことなどが鮮やかに描かれる。
(4).新世代蒸留所からの挑戦状
2019年発売。世界に空前のウイスキーブームが到来しているいま、クラフト蒸留所の経営者たちは何を考え、どんな想いでウイスキー造りに挑んだのか。日本でクラフト蒸留所が誕生するきっかけを作った、イチローズ・モルトで有名なベンチャーウイスキーの肥土伊知郎氏をはじめとする、13人のクラフト蒸留所の経営者たちが世界に挑む姿を綴った1冊。
(5).ウイスキーライジング
2016年にアメリカで出版された『Whisky Risng』の日本語版であり、内容も大幅にアップデート。ジャパニーズ・ウイスキーの歴史が詳細に記述されているだけでなく、近年、創設がつづくクラフト蒸溜所を含む、日本の全蒸溜所に関するデータも掲載。そのほかにも、今まで発売された伝説的なボトルの解説や、ジャパニーズ・ウイスキーが飲めるバーなども掲載されています。
(6).ウイスキーと風の味
1969年にニッカウヰスキーに入社した、三代目マスターブレンダーの佐藤茂夫氏の著書。
『ピュアモルト』『ブラックニッカクリア』『フロム・ザ・バレル』の生みの親でもあり、なかでも『シングルモルト余市1987』はウイスキーの国際的コンペティションWWA(ワールド・ウイスキー・アワード)にて「ワールド・ベスト・シングルモルト」を受賞。
竹鶴政孝、竹鶴威の意志を引き継いだブレンダー界のレジェンドが語る今昔。