【レビュー】厚岸シングルモルトジャパニーズウイスキー芒種(ぼうしゅ)

ウィスキーレビュー
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厚岸蒸溜所

厚岸ウイスキー「二十四節気シリーズ」第三弾です。

・第一弾 シングルモルトウイスキー寒露       2020年10月28日発売
・第二弾 ブレンデッドウイスキー雨水        2021年2月28日発売
第三弾 シングルモルトジャパニーズウイスキー芒種 2021年5月28日発売

前回のブレンデッドウイスキー雨水が発売されて以来、3か月ぶりのリリースとなります。
この二十四節季シリーズはシングルモルトとブレンデッドを交互に発売していく予定となっていて、今回はシングルモルトでの発売となります。
「二十四節気」とは1年を24等分して季節を表す名称を付けたもので、よく耳にする「立春」や「夏至」などもこれにあたります。
「芒種」は、「稲・麦など芒(のぎ)をもつ穀物の種をまく時期」とされていて、毎年6月6日頃を指します。もしくは「芒種」から次の節気である「夏至」までの期間を指します。気象的にみると、梅雨入りになりかかりのころにあたります。
二十四節気は日付固定ではないので年により日付は若干変わりますが、2021年の芒種は6月5日になります。また、6月21日の夏至までの16日間ぐらいを指します。

今回の「芒種」は商品名に「ジャパニーズウイスキーとの表記が入りました。
これは4月1日に施行された「ジャパニーズウイスキーに関する自主基準」に基づいて作られたことを示していて、正真正銘のジャパニーズウイスキーである証となります。

芒種のラベルデザインは深い緑をベースに、蛍が描かれております。厚岸を含めた道東では湿地帯が多く、「ヘイケボタル」が生息しているようです。6月~8月頃まで見る事ができるようで、まさにこの蛍のデザインは芒種のラベルにぴったりと言えます。

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1.メーカー

堅展実業株式会社

設立 1982年
本社所在地 〒100-0011 東京都千代田区内幸町1丁目1-1 帝国ホテル東京内
所有蒸留所 厚岸蒸溜所

2.蒸留所

厚岸蒸溜所

所在地 〒088-1124 北海道厚岸郡厚岸町宮園4丁目109-2
操業開始 2016年10月

2015年 蒸留所建設を開始
2016年 10月から蒸留開始
2017年 第2熟成庫完成
2018年 2月厚岸蒸溜所として初商品リリース。第3熟成庫完成
2020年 初のシングルモルトウイスキーをリリース。二十四節季シリーズ第一弾リリース。第4熟成庫完成

潮気を含んだ深い霧、清澄な空気、豊富な泥炭。北海道・厚岸の風土こそ、私たちの求める未知なるジャパニーズウイスキーの風味をつくり出してくれると信じ、2016年に蒸留を開始しました。
アイラ島のウイスキー造りと同様、泥炭(ピート)層を通った水を仕込み水に用い、冷涼で湿潤、そして海風が当たる場所「厚岸」で日々熟成が進んでいます。
厚岸周辺はウイスキーの風味づけに欠かせないピートが豊富に埋蔵されており、海・山・湿原などの変化に富んだ地形によって、ピートを採取する場所ごとに異なるフレーバーが期待できます。

「スコットランドの伝統的な製法で、アイラモルトのようなウイスキーを造りたい」という強い想いのもと、設備はスコットランドのフォーサイス社製のものを導入。施工はすべてフォーサイス社の職人が来日して実施。
ポットスチルの形状はストレートヘッドのオニオンシェイプで、アイラ島のいくつかの蒸留所のものと似ています。
加熱はラジエーター方式、付属するコンデンサーはシェル&チューブ式でマッシュタンはセミロイター式です。
発酵槽(ウォッシュバック)はステンレスで、あえて温度調整はできないタイプに。自然に任せながら、クラフトマンが発酵のタイミングを見極めます。

2つのダンネージ式の熟成庫に加え、2018年2月に革新的なラック式の熟成庫が完成しました。その熟成庫は厚岸湾のすぐ側にあります。空気中を漂う海の香りがウイスキーの特性に良い影響を与えることが期待できます。
熟成樽はバーボン、シェリーに加え、入手困難な「ミズナラ」も使用。さらにワインやラム樽とのマッチングなど、あらゆる可能性に挑戦しています。

厚岸湖と別寒辺牛湿原はラムサール条約の登録湿地です。ラムサール条約とは、1971年2月2日にイランのラムサールで採択された湿地に関する条約で、水鳥をはじめとする野生動物の生息地となっている湿地を、国際的な協力のもと保全および賢明に利用することを目的としています。
当社もこの豊かな自然を守り、共存していく蒸留所を目指しています。
ウイスキーに使用する上水の取水口は、蒸留所のそばを流れる尾幌川上流のホマカイ川。その周辺は湿原地帯で、清流にしか生息しないといわれるバイカモの生息地です。夏季に咲く小さな白い花は豊かな水のシンボル。この水が厚岸のウイスキーを育みます。

引用元:厚岸蒸溜所公式HP

厚岸蒸溜所の情報はこちら↓もご覧ください。

厚岸蒸溜所の記事一覧
アイラモルトのようなスモーキーでピーティーなウイスキー造りを目指して北海道厚岸町で2016年より操業開始。堅展実業株式会社が運営する厚岸蒸溜所。

3.商品名と写真

厚岸シングルモルトジャパニーズウイスキー芒種(ぼうしゅ)
AKKESHI Single Malt Japanese Whisky Boushu

4.特徴

キーモルトにミズナラ樽ピーテッド原酒

厚岸モルトのコクのある甘味に誘われて、蛍もやってくるかもしれません。
厚岸湾の潮騒を聞きながら育ったモルトで、初夏のひとときをお楽しみください。
引用:堅展実業株式会社 厚岸蒸溜所 Facebookページ

4-1.テイスティングノート

香り ミルクチョコレート、ドライフルーツ、カシューナッツ様のナッティーで甘い香り、焚火、ピート様の煙
味わい 柑橘様の酸味、シュガーシロップ様の甘さ
余韻 潮(塩味)、カカオバター(苦味)、柑橘様の甘さが続く

4-2.商品スペック

アルコール度数 55%
酒別 シングルモルトジャパニーズウイスキー
樽種 ミズナラ樽ほか
内容量 700ml
販売本数 10,000本
希望小売価格 16,500円(税込)
発売日 2021年5月28日

5.受賞歴

現時点では受賞歴はありません。

6.価格

6-1.メーカー希望小売価格

商品名 厚岸シングルモルトジャパニーズウイスキー芒種(ぼうしゅ)
容量 700ml
希望小売価格 税込:16,500円

6-2.メルカリでの転売価格 ※2024年8月29日更新

メルカリでの転売価格は、39,930円〜60,000円前後の価格帯が中心となり入手が可能となっています。(※2024/8/29時点)

第二弾の雨水からちょうど三ヶ月後に発売された「芒種」。生産本数もこれまでより5,000本少なくはなりましたが、それ以上にウイスキーとしてのクオリティーの高さが揺るぎない逸品。振り返れば、ただでさえ前作から三ヶ月後に新作を出すということが並大抵なことではないと我々は感じていました。ハイペースな新作発表において、クオリティーを下げることなく芒種を発表した時の衝撃は今も忘れません。最新の(2024/8/29)リサーチにおいて、まだ芒種が入手できるなら、あの当時の衝撃を再び味わいたいと、つい高ぶってしまう逸品。それが「芒種」です。

メルカリでの転売価格は、60,000円~80,000円前後となっています。(※2021/5/28時点)

6-3.ヤフーオークション落札価格 ※2024年8月29日更新

ヤフーオークションにて現在出品中の本体価格は、34,999円〜50,000円前後となっているようです(※2024/8/29時点)

ヤフーオークションでの現在出品中の価格は、最安70,000円、最高71,000円、平均70,500円(※2021/5/28時点)

6-4.楽天、ヤフーショッピング、Amazon ※2024年8月29日更新

通販サイトでも、49,750円〜80,000円前後で販売されています。 (※2024/8/29時点)

ただ、最新のリサーチで(2024/8/29時点)、もともと生産本数の少ない希少性から、各通販サイトで「芒種」を取り扱うショップが、以前よりも少なくなってきた印象です。それは同時に「売切れ御免」となり、入手ができなくなることも予想できます。入手をお考えなら早めにお手元へ引き寄せておくことをおすすめします。

通販サイトでも、68,000円前後で販売されています。(※2021/6/2時点)

6-5.BAR新海での提供価格

当サイトが運営する「BAR新海」では、1、45ml:4,950円 30ml:3,300円、15ml:1,650円などの少量でも提供しております。

「BAR新海」のご案内
Japanese Whisky Dictionaryが運営する「BAR新海」は、東京都港区に3店舗。当サイトで紹介しているジャパニーズウィスキーをはじめ、国産のジンやビールなども取扱い。オリジナルカクテル、フレッシュフルーツカクテルなども人気。食事も豊富で1件目からも利用可能。

7.まとめ

この二十四節季シリーズはシングルモルトとブレンデッドを交互にリリースしていくようです。
「二十四節季=24種類のウイスキー」となり、年間で3〜4本をリリースしていくとのことです。仮に年間3本のペースだった場合はシリーズすべて揃うのに8年はかかることになります。ぜひともコンプリートしてみたいですね。

厚岸蒸溜所の今後の取り組みで注目されているのは、ウイスキーの原料となる大麦を厚岸内で栽培し、ピートや熟成のための木樽も含めてすべて厚岸産でおこない、将来的には「厚岸オールスター」のウイスキー造りを目指していることです。
今年も5月中旬に厚岸大麦の播種(はしゅ)を無事に終えたようです。「厚岸オールスター」に向け着々と準備が進められているようです。
また、北海道産大麦(ふらの,中標津)を原材料に使用する取り組みも強化していて、2018年にテストとして使用した北海道産大麦はコストはスコットランド産の2倍以上、アルコール収量も80~90%程度とコストはかかるが、その風味は和のテイスト(温州ミカン,焼き栗,焼き芋の密)を持ったジャパニーズウイスキーに相応しい原酒に仕上がり、2019年からは10%程度は北海道産大麦を原料とする原酒を製造しているとのこと。
二十四節季シリーズの次回作のリリースはいつになるのか、二十四節季の名称は何になるのか、楽しみでとても待ち遠しいですね。

厚岸蒸溜所についてもっと詳しく知りたいという方は、2020年12月にBSフジのウィスキペディアで特集をしていましたので、そちらの配信を是非ご覧ください。
厚岸ウイスキーの魅力だけでなく、厚岸町の自然や牡蠣漁を中心とした漁業、そしてウイスキーと厚岸産牡蠣のマリアージュなど、厚岸の魅力がたっぷりと詰まった番組となっています。

「ウイスキペディアSP 日本最東端・厚岸蒸溜所の挑戦」がBSフジ...
厚岸蒸溜所は、ウイスキーの聖地とも言われるアイラ島のウイスキーを徹底的に追究し、さらに厚岸独自の風土を生かしたウイスキーが作られている。ピートから、樽の材料・ミズナラまで北海道産にこだわり、製法や設備は本場・アイラの手法を伝承・習得し製造される味わい深いジャパニーズウイスキーです。

■「厚岸蒸溜所・厚岸ウイスキー」に関するその他の記事も是非ご覧ください。

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最後に:ジャパニーズウイスキーのおすすめ書籍

世界的なトレンドを巻き起こしている「ジャパニーズウイスキー」の事をもっと知りたい、もっと勉強したいという方は、是非こちらの書籍をおすすめいたします。

(1).Whisky Galore(ウイスキーガロア)Vol.47 2024年12月号

【巻頭特集】
「新アイリッシュ・ルネッサンス[第2弾]」
【第2特集】
「日本のクラフト蒸留所最前線」
今号では北海道の厚岸と苫小牧、そしてクラフト蒸留所に麦芽を供給する中標津のクラフトモルティング社についても紹介します。さらに三島のウォータードラゴンと、ZEMONⅡが稼働する飛騨高山蒸溜所も再訪。
【連続ロングインタビュー】
第3回 ガイアフロー静岡蒸溜所 中村大航氏
【特別リポート】
遊佐蒸溜所の挑戦
第二期リニューアルが完了したサントリー白州蒸溜所

(2).ビジネスに効く教養としてのジャパニーズウイスキー

世界的にも有名なウイスキー評論家で、ウイスキー文化研究所代表 土屋守先生の著書「ビジネスに効く教養としてのジャパニーズウイスキー」です。
ウイスキーの基礎知識、日本へのウイスキーの伝来、ジャパニーズウイスキーの誕生、広告戦略とジャパニーズウイスキーの盛隆、そして、現在のクラフト蒸留所の勃興まで。日本のウイスキーの事が非常にわかりやすくまとめられた一冊。

(3).ウイスキーと私(竹鶴政孝)

日本でのウイスキー醸造に人生を捧げた、ニッカウヰスキー創業者・竹鶴政孝。ただひたすらにウイスキーを愛した男が自らを語った自伝の改訂復刻版。若き日、単身スコットランドに留学し、幾多の苦難を乗り越えてジャパニーズ・ウイスキーを完成させるまでの日々や、伴侶となるリタのことなどが鮮やかに描かれる。

(4).新世代蒸留所からの挑戦状

2019年発売。世界に空前のウイスキーブームが到来しているいま、クラフト蒸留所の経営者たちは何を考え、どんな想いでウイスキー造りに挑んだのか。日本でクラフト蒸留所が誕生するきっかけを作った、イチローズ・モルトで有名なベンチャーウイスキーの肥土伊知郎氏をはじめとする、13人のクラフト蒸留所の経営者たちが世界に挑む姿を綴った1冊。

(5).ウイスキーライジング

2016年にアメリカで出版された『Whisky Risng』の日本語版であり、内容も大幅にアップデート。ジャパニーズ・ウイスキーの歴史が詳細に記述されているだけでなく、近年、創設がつづくクラフト蒸溜所を含む、日本の全蒸溜所に関するデータも掲載。そのほかにも、今まで発売された伝説的なボトルの解説や、ジャパニーズ・ウイスキーが飲めるバーなども掲載されています。

(6).ウイスキーと風の味

1969年にニッカウヰスキーに入社した、三代目マスターブレンダーの佐藤茂夫氏の著書。
『ピュアモルト』『ブラックニッカクリア』『フロム・ザ・バレル』の生みの親でもあり、なかでも『シングルモルト余市1987』はウイスキーの国際的コンペティションWWA(ワールド・ウイスキー・アワード)にて「ワールド・ベスト・シングルモルト」を受賞。
竹鶴政孝竹鶴威の意志を引き継いだブレンダー界のレジェンドが語る今昔。

この記事を書いた人
深瀬 悠二

北海道札幌市出身。
2005年、大手スポーツ用品販売チェーンに就職→2019年1月、BAR新海に就職しウイスキーの魅力に引き込まれ虜となる。初めて飲んだウイスキーはアードベッグ10年。ほぼ毎日ウイスキーを飲む中で更なる知識習得を目指し、ウイスキー検定2級とJC級(ジャパニーズクラフトウイスキー)を取得。
造り手の想いをしっかりと表現し、飲み手の方々に正しい情報を伝えたい。ウイスキーの魅力をたくさんの方に伝えたいという思いでウェブメディア「Japanese Whisky Dictionary」の編集を担当。

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