ウイスキー輸出金額に関する統計(2020年)

統計情報
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2020年の酒類輸出金額は約710億円に上り、9年連続で過去最高を更新。

ウイスキーの輸出金額は271億円となり、ウイスキーが清酒を抜いて初めてトップになりました。

新型コロナウイルスの影響で飲食業界や観光関連業種は窮地に立たされましたが、酒類輸出事業においては前年比107.5%と堅調な伸びをみせました。

1.2020年度 酒類品目別輸出金額

品目輸出金額(千円)

前年比(%)

ウイスキー27,114,790139.4
清酒24,141,070103.1
リキュール8,622,553133.9
ビール5,772,28363.0
ジン・ウォッカ2,018,90059.3
焼酎1,201,30377.0
ワイン347,709196.3

その他

1,811,37173.2
合計71,029,979107.5

ウイスキーが清酒を抜いてトップになりました。輸出数量は前年比127.9%なので、昨年に引き続き1点単価が上がってきている状況が伺えます。

2.2020年度 酒類輸出先(国別)金額

順位昨年順位

輸出金額(百万円)

前年比(%)

1位

2位↑

中国

17,292170.9
2位1位↓アメリカ13,84088.4
3位3位→香港9,975159.5
4位4位→台湾6,541105.5
5位7位↑シンガポール3,829111.2
6位8位↑フランス3,18592.6
7位6位↓オランダ3,06284.9
8位9位↑オーストラリア2,617114.2
9位5位↓韓国1,91931.2
10位16位↑ロシア1,282337.4

中国がアメリカを抜いて1位に浮上、前年比170.9%。

アメリカは前年比88.4%と大幅下落。アメリカの主な下落要因はビールが前年比54.3%、ジン・ウォッカが前年比41.2%と鈍化したのが大きな原因となりました。

 

韓国は前年比31.2%と大幅下落。韓国への酒類輸出の大半を「ビール」が占めていた影響が大きく、韓国へ輸出した日本ビールの輸出額は2018年がピークで約79億円。2019年は不買運動の煽りを受けて約40億円に急減し、2020年は更に下落し5億円にまで落ち込みました。

要因は日本政府が2019年8月に韓国に対する輸出管理を強化したことで、韓国で「ビール」など日本製品に対する不買運動が起こった影響が大きく、2020年は更にその煽りを受ける結果となりました。

不買運動は酒類業界のみならず、2020年12月上旬、韓国の「ユニクロ明洞中央店」が閉店したのは大きなニュースとなりました。

3.2020年度 ウイスキー輸出先金額

順位昨年順位輸出金額(百万円)前年比(%)
1位3位↑中国7,942314.2
2位1位↓アメリカ6,354117.7
3位2位↓フランス2,769101.0
4位4位→オランダ2,36197.1
5位5位→シンガポール1,737122.4
6位6位→台湾1,02579.8
7位ロシア954
8位8位→オーストラリア726127.6
9位9位→香港672186.7
10位10位→韓国281137.7

4.考察とまとめ

輸出金額はウイスキーが清酒を抜きトップに躍り出ました。

その背景には中国の飛躍的な躍進があり、中国人富裕層への人気拡大や日本食ブームによる日本料理店の出店や日本食材を使用するレストランが増えています。また、中国国内でのジャパニーズウイスキーの転売価格高騰も理由の一つで2017年にウイスキー輸入関税が10%から5%へ減税となったのも要因となってます。

日本産のウイスキーは中国のみならず、中国以外のアジア圏や世界的にも年々人気の広がりをみせ、特にビンテージ品や限定品などの高価格帯の商品が好まれている傾向です。

5.国内のウイスキー動向

2020年のリリースされた代表的なウイスキーといえばサントリーの山崎55年」ですね。

税込330万円、限定100本での抽選販売は記憶に新しいです。

秩父蒸留所からは初の10年ものとして「秩父10年 ザ・ファーストテン」がリリースや、厚岸蒸溜所の二十四節季シリーズ第一弾「寒露」など、各クラフト蒸溜所の初リリースが相次いだ一年となりました。

【2020年にリリースされた主なジャパニーズウイスキー

メーカー・蒸溜所銘柄発売日
サントリー

山崎55年

・山崎2020EDITION 5種

6月

11月

ニッカ余市宮城峡アップルブランデーウッドフィニッシュ3月

本坊酒造

・津貫ザファースト4月

ベンチャーウイスキー

秩父蒸溜所

・秩父10年 ザ・ファーストテン11月
厚岸蒸溜所

厚岸ウイスキー サロルンカムイ

・厚岸シングルモルトウイスキー寒露

2月

10月

ガイアフロー静岡蒸溜所・プロローグK12月
嘉之助蒸溜所嘉之助ニューボーン2020ピーテッド9月
三郎丸蒸留所・三郎丸0 THE FOOL11月
ヘリオス酒造・許田カスクストレングス202012月

各蒸溜所からリリースが相次いだ一方で、ニッカは2020年3月をもって竹鶴17年・21年・25年のヴィンテージの終売を発表。これをもってニッカから発売されているウイスキーのレギュラー商品でヴィンテージものが無くなりました。

2020年に操業開始した新たなクラフト蒸溜所

光酒造・鴻巣蒸溜所

十山株式会社・井川蒸溜所

井出醸造店・富士北麓蒸留所

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最後に:ジャパニーズウイスキーのおすすめ書籍

世界的なトレンドを巻き起こしている「ジャパニーズウイスキー」の事をもっと知りたい、もっと勉強したいという方は、是非こちらの書籍をおすすめいたします。

(1).Whisky Galore(ウイスキーガロア)Vol.42 2024年2月号

【巻頭特集】ウイスキーの聖地 アイラ島の“現在”を読み解く
アイラ島のウイスキーは、昔から「アイラモルト」という独自のカテゴリーを与えられてきた。現在9ヵ所の蒸留所があり、さらに2つの新蒸留所計画が発表されている、この小さな島を改めて紹介。
また、現在入手可能なウイスキー8種を土屋編集長が飲み比べる。
●掲載蒸留所
ボウモア、アードベッグ、ラガヴーリン、ラフロイグ、カリラ、ブナハーブン、ブルックラディ、キルホーマン、アードナッホー

【第2特集】北アイルランドのウイスキー
世界の五大ウイスキーのなかで、いまもっとも伸びているのがアイリッシュ。ブームを牽引する北アイルランドの最新情報をリポート。
●紹介ウイスキー
ブッシュミルズ、エクリンヴィル、グレンズ・オブ・アントリム、ヒンチ、キルオーウェン、マコーネルズ、ショートクロス、タイタニック・ディスティラーズ、トゥー・スタックス

【蒸留所リポート】
2023年に100周年を迎えたジャパニーズウイスキー。その第一歩が踏み出され、昨年リニューアルしたばかりのサントリー山崎蒸溜所を取材。そのほか月光川蒸留所や、個性的なツアーを行っている八郷蒸溜所&安積蒸溜所も紹介。

【インタビュー】
ワイルドターキーのマスターディスティラーであるエディー・ラッセル氏と、その息子ブルース・ラッセル氏を編集長がインタビュー。またフィンランドで自国ライ麦にこだわったウイスキーを造るキュロ蒸留所のミイカ氏にも話を聞いた。

【特集】
ウイスキーフェスティバル2023 in TOKYO、ウイスキーコニサークラブ新潟蒸留所ツアー、下田ウイスキーフェスリポート。

(2).ビジネスに効く教養としてのジャパニーズウイスキー

世界的にも有名なウイスキー評論家で、ウイスキー文化研究所代表 土屋守先生の著書「ビジネスに効く教養としてのジャパニーズウイスキー」です。
ウイスキーの基礎知識、日本へのウイスキーの伝来、ジャパニーズウイスキーの誕生、広告戦略とジャパニーズウイスキーの盛隆、そして、現在のクラフト蒸留所の勃興まで。日本のウイスキーの事が非常にわかりやすくまとめられた一冊。

(3).ウイスキーと私(竹鶴政孝)

日本でのウイスキー醸造に人生を捧げた、ニッカウヰスキー創業者・竹鶴政孝。ただひたすらにウイスキーを愛した男が自らを語った自伝の改訂復刻版。若き日、単身スコットランドに留学し、幾多の苦難を乗り越えてジャパニーズ・ウイスキーを完成させるまでの日々や、伴侶となるリタのことなどが鮮やかに描かれる。

(4).新世代蒸留所からの挑戦状

2019年発売。世界に空前のウイスキーブームが到来しているいま、クラフト蒸留所の経営者たちは何を考え、どんな想いでウイスキー造りに挑んだのか。日本でクラフト蒸留所が誕生するきっかけを作った、イチローズ・モルトで有名なベンチャーウイスキーの肥土伊知郎氏をはじめとする、13人のクラフト蒸留所の経営者たちが世界に挑む姿を綴った1冊。

(5).ウイスキーライジング

2016年にアメリカで出版された『Whisky Risng』の日本語版であり、内容も大幅にアップデート。ジャパニーズ・ウイスキーの歴史が詳細に記述されているだけでなく、近年、創設がつづくクラフト蒸溜所を含む、日本の全蒸溜所に関するデータも掲載。そのほかにも、今まで発売された伝説的なボトルの解説や、ジャパニーズ・ウイスキーが飲めるバーなども掲載されています。

(6).ウイスキーと風の味

1969年にニッカウヰスキーに入社した、三代目マスターブレンダーの佐藤茂夫氏の著書。
『ピュアモルト』『ブラックニッカクリア』『フロム・ザ・バレル』の生みの親でもあり、なかでも『シングルモルト余市1987』はウイスキーの国際的コンペティションWWA(ワールド・ウイスキー・アワード)にて「ワールド・ベスト・シングルモルト」を受賞。
竹鶴政孝竹鶴威の意志を引き継いだブレンダー界のレジェンドが語る今昔。

この記事を書いた人
深瀬 悠二

北海道札幌市出身。
2005年、大手スポーツ用品販売チェーンに就職→2019年1月、BAR新海に就職しウイスキーの魅力に引き込まれ虜となる。初めて飲んだウイスキーはアードベッグ10年。ほぼ毎日ウイスキーを飲む中で更なる知識習得を目指し、ウイスキー検定2級とJC級(ジャパニーズクラフトウイスキー)を取得。
造り手の想いをしっかりと表現し、飲み手の方々に正しい情報を伝えたい。ウイスキーの魅力をたくさんの方に伝えたいという思いでウェブメディア「Japanese Whisky Dictionary」の編集を担当。

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ジャパニーズウイスキーディクショナリー
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