WWA(ワールドウイスキーアワード)で世界一に輝くなど、日本のみならず世界的にも人気のあるイチローズモルト。
サントリーとニッカの2大ブランドに匹敵するほどのウイスキーファンの間で人気が高い「イチローズモルト」は、店頭に並べば即日売り切れてしまう人気で入手困難なウイスキーですが、定番品といえるリーフシリーズ(ミズナラウッドリザーブ・ワインウッドリザーブ・ダブルディスティラリーズ)が絶大な人気でウイスキーファンを虜にしていますが、今回はイチローズモルトのリリースされているウイスキーの中で、最も飲まれているであろうベンチャーウイスキー主力商品、ホワイトラベルのレビューをしていきたいと思います。
1.メーカー
株式会社ベンチャーウイスキー
設立 | 2004年 |
本社所在地 | 〒368-0067 埼玉県秩父市みどりが丘49 |
所有蒸留所 | 秩父蒸溜所、秩父第二蒸溜所 |
2.蒸留所
ベンチャーウイスキー秩父蒸溜所
所在地 | 〒368-0067 埼玉県秩父市みどりが丘49 |
操業開始 | 2007年 |
秩父の風土に根ざしたシングルモルトウイスキー造りが行われています。
創業者の肥土伊知郎氏はジャパニーズウイスキーであることに誇りを持ち、小さなミル、マッシュタン、ミズナラ製の発酵槽、スコットランド・フォーサイス社製のポットスチルで手づくりに拘りモルトウイスキーを生産しています。
秩父蒸溜所周辺は自然豊かで空気がきれいで質の良い水、夏は高温多湿で朝晩が氷点下にいたる寒さの厳しい環境です。その厳しい気候が織りなす寒暖差がウイスキーの熟成に多大な影響を与え、短い熟成期間にも関わらずフルーティでバランスの取れたウイスキーに仕上がります。
2004年9月創業。
2007年に秩父蒸溜所が完成。
2008年2月、ウイスキー作りの免許が交付され秩父蒸溜所でウイスキー作りを開始。
2019年10月、第2蒸留所の稼働開始。
1973年設立のサントリー白州蒸溜所・キリン富士御殿場蒸溜所の次に設立された蒸留所。まさにウイスキー低迷期の終焉とも言えるこの時期に実に日本国内35年ぶりの蒸留所設立となる。
年間のウイスキー生産量はスコットランド・グレンリベット蒸留所のわずか2日分。
2019年秋から稼働している第2蒸留所の生産量は第1蒸留所のなんと5倍。一度に仕込む麦芽は2t。ポットスチルは5倍の量を蒸留できるよう形は同じストレート型だがかなり大きなポットスチルになっている。フォーサイス社製でガス直火蒸留機を使用。
秩父蒸溜所の情報はこちら↓もご覧ください。
3.商品名
イチローズモルト モルト&グレーン ワールド・ブレンデッド・ウイスキー ホワイトラベル
Ichiro’s Malt&Grain World Blended Whisky whitelabel
4.特徴
世界中から選りすぐられた9つの蒸留所のモルト原酒と、2つの蒸留所のグレーン原酒を使用
2008年に製造を開始した秩父蒸溜所では、伝統的なダンネージスタイル※1の貯蔵庫でウイスキーの熟成を行っています。それらの中からブレンドで力を発揮する原酒をキーモルトとして、秩父で熟成された個性豊かなモルトやグレーン原酒をバランスよくブレンドしました。
熟したプラムのまろやかな酸味、それを包む甘みは軽やかな綿菓子のようで、熟成を重ねたグレーン原酒の心地よい樽香にのって、口の中でいつまでも続きます。本品は、原酒そのままの個性を楽しんでいただくために、ノンチルフィルター※2、ナチュラルカラーでボトリングしました。原酒との対話で生まれた複雑なフレーバーを、是非おたのしみください。(参照:ボトル背面ラベル表記より)
※1ダンネージスタイルとはウイスキー樽を置いておく保存方法の事。
樽の保存方法は二つあり、ダンネージ式とラック式の二種類。ダンネージ式は伝統的な保存方法で樽を四段以上重ねて置くことはありません。
ラック式はその名の通り枠を作り12段程の高さまで積む効率重視の保存方法です。
二つの保存方法の大きな違いは保存している樽の高さによって生まれる温度差で、屋根に近いラック式の方が蒸発のスピードは速くなる。
もう一つ大きく違うのがダンネージスタイルの多くは地面に直接置かれており、そこからの湿気もウイスキー樽に影響を及ぼしています。
対してラック式の多くは床がコンクリートの為、湿度が大きく変わる事はありません。
※2ノンチルフィルター:樽で熟成したウイスキー原酒は、温度が低くなると溶け込んでいる香味成分が析出※3し白濁してきてしまいます。通常のウイスキーはこれを防ぐために、原酒や製品を敢えて約0~5度まで冷却して濾過してしまいます。冷えると析出してくる成分には麦芽由来のものと樽由来のものがあり、どちらもウイスキーの持つ味わい成分と考えられています。冷却濾過をしていないということは麦芽や樽の香味成分そのままで瓶詰されているということで、より複雑で豊かな味わいのウイスキーに仕上がっていると言えます。
※3析出:液状の物質から結晶または個体状成分が分離して出てくること。
4-1.テイスティングノート
香り | レモンピールやオレンジピールなど爽やかな柑橘系の果物を感じるトップノート |
味わい | スイートで軽やかな中に複雑で奥深い原酒のバランスの良い味わい |
余韻 | 甘くビターな香りが続く |
4-2.商品スペック
アルコール度数 | 46% |
酒別 | ブレンデッドウイスキー |
樽種 | ー |
内容量 | 700ml |
販売本数 | ー |
希望小売価格 | 4,235円(税込) |
発売日 | ー |
5.受賞歴
現在のところ受賞歴はありません
6.価格
6-1.メーカー希望小売価格
商品名 | イチローズモルト&グレーン ワールドブレンデッドウイスキー ホワイトラベル |
容量 | 700ml |
希望小売価格 | 4,235円(税込:3,850円) |
6-2.メルカリでの転売価格 ※2024年8月23日更新
最新のメルカリでの転売価格は、4,800円〜5,200円前後の価格帯を中心に取引が行われている印象です(※2024/8/21時点、当社調べ)。メーカーからの供給が安定しているので、ほぼ定価での取引が続いているようです。私たち消費者にとっては嬉しい限りです。
現在、酒屋さんやネットショップでも定価で購入しやすくなっている為、メルカリでもほぼ定価で取引されているようです。
6-3.ヤフーオークション落札価格 ※2024年8月23日更新
最新のヤフーオークションでの落札価格は、本体価格のみ4,400円〜5,500円前後の価格帯が中心となって取引されいる印象です。ちなみに、ご参考程度なりますが、この日は即決価格の最安値を4,680円で見つけることができました(※2024/8/21時点)
6-4.楽天、ヤフーショッピング、Amazon
通販サイトでも、5,000円~6,000円前後で販売されています。 (※2024/8/23時点)
6-5.BAR新海での提供価格
当サイトが運営する「BAR新海」では、1杯、45ml:1,100円にて提供しております。
7.まとめ
味良し、ソーダで割って良し、コスパ良しと、ここ最近では入手しやすくなった為、ウイスキー初心者の方にはぜひ飲んで頂きたい一本です。
サントリーから東亜酒造、笹の川酒造、そして肥土伊知郎氏が数多く通っていたとされる2000軒のバー、それぞれの縁が今日のイチローズモルトに繋がっていると思うと感慨深いものがありますね。
イチローズモルトにも年号付きのものが出始め、日本のクラフトディスティラリーの先駆けとしてこれからも引っ張っていくことでしょう。
秩父蒸溜所の現在は、地元秩父で栽培した大麦を原料に使用した製品や、秩父の素材を使用した樽の製造を検討するなど秩父ならではのウイスキー造りを目指しています。
肥土伊知郎氏の思いはイチローズモルト30年、50年と熟成されたウイスキーを世の中に出していくこと。と夢のあるお言葉に今後の期待が膨らむばかりです。
「イチローズモルト」に関するその他の記事も是非ご覧ください。
最後に:ジャパニーズウイスキーのおすすめ書籍
世界的なトレンドを巻き起こしている「ジャパニーズウイスキー」の事をもっと知りたい、もっと勉強したいという方は、是非こちらの書籍をおすすめいたします。
(1).Whisky Galore(ウイスキーガロア)Vol.47 2024年12月号
【巻頭特集】
「新アイリッシュ・ルネッサンス[第2弾]」
【第2特集】
「日本のクラフト蒸留所最前線」
今号では北海道の厚岸と苫小牧、そしてクラフト蒸留所に麦芽を供給する中標津のクラフトモルティング社についても紹介します。さらに三島のウォータードラゴンと、ZEMONⅡが稼働する飛騨高山蒸溜所も再訪。
【連続ロングインタビュー】
第3回 ガイアフロー静岡蒸溜所 中村大航氏
【特別リポート】
遊佐蒸溜所の挑戦
第二期リニューアルが完了したサントリー白州蒸溜所
(2).ビジネスに効く教養としてのジャパニーズウイスキー
世界的にも有名なウイスキー評論家で、ウイスキー文化研究所代表 土屋守先生の著書「ビジネスに効く教養としてのジャパニーズウイスキー」です。
ウイスキーの基礎知識、日本へのウイスキーの伝来、ジャパニーズウイスキーの誕生、広告戦略とジャパニーズウイスキーの盛隆、そして、現在のクラフト蒸留所の勃興まで。日本のウイスキーの事が非常にわかりやすくまとめられた一冊。
(3).ウイスキーと私(竹鶴政孝)
日本でのウイスキー醸造に人生を捧げた、ニッカウヰスキー創業者・竹鶴政孝。ただひたすらにウイスキーを愛した男が自らを語った自伝の改訂復刻版。若き日、単身スコットランドに留学し、幾多の苦難を乗り越えてジャパニーズ・ウイスキーを完成させるまでの日々や、伴侶となるリタのことなどが鮮やかに描かれる。
(4).新世代蒸留所からの挑戦状
2019年発売。世界に空前のウイスキーブームが到来しているいま、クラフト蒸留所の経営者たちは何を考え、どんな想いでウイスキー造りに挑んだのか。日本でクラフト蒸留所が誕生するきっかけを作った、イチローズ・モルトで有名なベンチャーウイスキーの肥土伊知郎氏をはじめとする、13人のクラフト蒸留所の経営者たちが世界に挑む姿を綴った1冊。
(5).ウイスキーライジング
2016年にアメリカで出版された『Whisky Risng』の日本語版であり、内容も大幅にアップデート。ジャパニーズ・ウイスキーの歴史が詳細に記述されているだけでなく、近年、創設がつづくクラフト蒸溜所を含む、日本の全蒸溜所に関するデータも掲載。そのほかにも、今まで発売された伝説的なボトルの解説や、ジャパニーズ・ウイスキーが飲めるバーなども掲載されています。
(6).ウイスキーと風の味
1969年にニッカウヰスキーに入社した、三代目マスターブレンダーの佐藤茂夫氏の著書。
『ピュアモルト』『ブラックニッカクリア』『フロム・ザ・バレル』の生みの親でもあり、なかでも『シングルモルト余市1987』はウイスキーの国際的コンペティションWWA(ワールド・ウイスキー・アワード)にて「ワールド・ベスト・シングルモルト」を受賞。
竹鶴政孝、竹鶴威の意志を引き継いだブレンダー界のレジェンドが語る今昔。