三郎丸蒸留所の原酒交換第2弾。今回は「三郎丸蒸留所×江井ヶ嶋蒸溜所」の歴史ある蒸留所同士のコラボです。
今回のコラボの販売も2本同時販売。THIRD BATCHは限定600本。FOURTH BATCHは限定5,000本。
2022年2月22日に三郎丸蒸留所見学者限定で販売された他、抽選での販売を行いました。
ちなみにですが、ラベル文字と外枠の青い方がTHIRD BATCH、赤い方がFOURTH BATCHです。
1.メーカー
1-1.若鶴酒造株式会社
設立 | 1862年 |
本社所在地 | 〒939-1308 富山県砺波市三郎丸208 |
所有蒸留所 | 三郎丸蒸留所 |
1-2.江井ヶ嶋酒造
設立 | 1888年5月 |
本社所在地 | 〒674-0065 兵庫県明石市大久保町西島919 |
所有蒸留所 |
江井ヶ嶋蒸溜所(旧ホワイトオーク蒸溜所) |
2.蒸留所
2-1.三郎丸蒸留所
所在地 | 〒939-1308 富山県砺波市三郎丸208 |
操業開始 | 1953年(2016年改修) |
1952年創業の北陸で唯一の蒸留所。
戦後の米不足のなか1952年にウイスキー製造免許を取得。以来、冬は日本酒を仕込み夏の間のみウイスキーを蒸留。年間200仕込み。今後は300仕込みを計画中。
操業当初からスモーキーなウイスキーにこだわりアイラピーテッド麦芽と最近では富山県産ピーテッド麦芽で仕込んでいます。 自然の風味を生かすため、冷却濾過や着色は一切していないのが特徴です。
2018年、三宅製作所の最新のマッシュタンを導入。
2019年、地元企業の老子(おいご)製作所と協業して鋳造製のポッドスチル「ZEMON(ゼモン)」を開発。
2020年、木桶の発酵槽を1基導入。
他の蒸留所との大きな違いは世界初の鋳造製のポッドスチル「ZEMON(ゼモン)」を採用。
大きな特徴は3つ。
①鋳物工法により型による成形が可能になり短納期での製造が可能。また、低コストで十分な肉厚をもたせることができ、本体の高寿命化を期待できます。
②鋳造による自由な造形により様々な酒質を実現。また、パーツごとのユニット化により消耗した部品のみの交換や機能の拡張に対応します。
③銅が約90%、錫が約8%含まれる銅錫合金によりつくられています。錫は銅の約3倍の価格で取引される高級な金属です。
錫は古来より酒の味をまろやかにするといわれており、酒器や焼酎の冷却器に用いられてきました。ZEMONは銅と錫の2つの効果により高品質な蒸留酒の製造に貢献します。
引用:若鶴酒造公式HP
三郎丸蒸留所の情報はこちら↓もご覧ください。
2-2.江井ヶ嶋蒸溜所
所在地 | 〒674-0065 兵庫県明石市大久保町西島919 |
操業開始 | 1919年 |
1891年 焼酎貯蔵庫「二番蔵」完成 ※後にウイスキー貯蔵庫となる
1919年 ウイスキー免許取得、蒸溜所設立
同年 地ウイスキー「ホワイトオーク発売」
1984年 新蒸溜所竣工
2007年 初のシングルモルトウイスキー「あかし」8年発売
2019年 ホワイトオーク蒸留所から江井ヶ嶋蒸溜所に名称変更
ポットスチル2基を三宅製作所製のものに新調
2020年 高価格帯の「江井ヶ嶋」ブランドをリリース
あかしが作られているのは兵庫県明石市の江井ヶ嶋にあるホワイトオーク蒸溜所。
現在は江井ヶ嶋蒸溜所と改名しており、その理由は外国人観光客に分かりやすくする為だそう。
小さな漁村である江井ヶ嶋は1年を通して心地よい気候にあり、内海の明石海峡のすぐそばで、温暖な海洋性の気候の恩恵を受けています。
ウイスキーとワインの製造免許を取得したのが1919年。
日本で初めてウイスキーの蒸留が行われたのは1923年山崎蒸溜所ですが、日本で初めてウイスキー蒸留の特許を取得したのは1919年江井ヶ嶋蒸溜所(旧 ホワイトオーク蒸留所)でした。
1919年といえばジャパニーズウイスキーの父、竹鶴政孝氏がスコットランドへウイスキー蒸留を学びに行っていた頃。
早い段階でホワイトオーク蒸留所が存在していたことに驚かされます。
しかし特許は取得したものの、正しいウイスキー造りの製法は伝わってきていなかったため、当時作られていたのはウイスキーを模倣したイミテーション・ウイスキーだったといわれています。
引用元:江井ヶ嶋蒸溜所公式HP
江井ヶ嶋蒸溜所の情報はこちら↓もご覧ください。
3.商品名と写真
3-1.FAR EAST OF PEAT THIRD BATCH
FAR EAST OF PEAT THIRD BATCH
3-2.FAR EAST OF PEAT FOURTH BATCH
FAR EAST OF PEAT FOURTH BATCH
4.特徴
2018年蒸留の三郎丸蒸留所へビリーピーテッドモルトと江井ヶ嶋酒造のバーボンカスク熟成ライトリーピーテッドモルトをセレクトしブレンドしました。
江井ヶ嶋モルトの爽やかな中に複雑さを持つフルーティーさをどっしりとした三郎丸モルトが押し上げるしなやかで骨のある、日本のクラフト蒸留所同士の共演です。
2018年蒸留の三郎丸蒸留所のへビリーピーテッドモルトと江井ヶ嶋酒造のバーボンカスク熟成ライトリーピーテッドモルトに加え、スコッチモルトを吟味してブレンド。
モルト原酒のみを使い、華やかで多層的な味わいを目指しました。
4-1.テイスティングノート
商品名 |
FAR EAST OF PEAT THIRD BATCH | FAR EAST OF PEAT FOURTH BATCH |
香り | モルトの香り、ほのかにスモーキー。柑橘の香り。 | やや強めのピート香。除光液のような独特な香り。 |
味わい | 最初に来る圧倒的なバニラ、シロップ様の甘さ。柑橘、ミントの爽やかさ。オイリー。 | 日本酒を思わせる独特でクセのある味わい。ややオイリー。甘みは強くなく、複雑な味わい。 |
余韻 | 甘い余韻が長めに続く。 | 苦みを伴う余韻がすっと消えていく。 |
4-2.商品スペック
商品名 | FAR EAST OF PEAT THIRD BATCH | FAR EAST OF PEAT FOURTH BATCH |
アルコール度数 | 50% | 50% |
酒別 | ブレンデッドモルトジャパニーズウイスキー | ブレンデッドモルトウイスキー |
樽種 | バーボン樽、他 | バーボン樽、他 |
内容量 | 700ml | 700ml |
販売本数 | 限定600本 | 限定5,000本 |
希望小売価格 | 16,500円(税込) | 6,985円(税込) |
発売日 | 2022年2月22日 | 2022年2月22日 |
5.受賞歴
現時点では受賞歴はありません。
6.価格
6-1.メーカー希望小売価格
商品名 |
FAR EAST OF PEAT THIRD BATCH | FAR EAST OF PEAT FOURTH BATCH |
内容量 | 700ml | 700ml |
希望小売価格 | 16,500円(税込) |
6,985円(税込) |
6-2.メルカリでの転売価格
メルカリでの転売価格は、THIRD BATCHはFOURTH BATCHとセット販売のみで34,444円~44,000円となっています。(※2022年2月28日時点)
FOURTH BATCHのメルカリでの転売価格は、8,900円~20,000円となっております。(※2022年2月28日時点)
6-3.ヤフーオークション落札価格
THIRD BATCHの落札価格は、FOURTH BATCHとのセットで44,500円です。(※2022年2月28日時点)
FOURTH BATCHの落札価格は、最安7,800円、最高9,000円、平均8,233円です。(※2022年2月28日時点)
6-4.楽天、ヤフーショッピング、Amazon
通販サイトでもFOURTH BATCHのみですが、11,000円~16,800円前後で販売されています。(※2022年2月28日時点)
6-5.BAR新海での提供価格
当サイトが運営する「BAR新海」では、THIRD BATCHは1杯、45ml:4,950円 、30ml:3,300円、15ml:1,650円。FOURTH BATCHは1杯、45ml:2,310円 、30ml:1,540円、15ml:770円にて提供しております。
7.まとめ
三郎丸蒸留所の原酒交換第2弾。どちらもかなり個性のある一本に仕上がっていると感じます。
まずTHIRD BATCHですが、特筆すべきはその甘み。香りからは想像できない甘みが口の中を侵食します。オイリーさも相まって、かなり強めに甘みを感じることが出来ます。ピートはあまり感じられず、甘みの後に柑橘の爽やかさと針葉樹、ミントのようなウッディが広がります。加水しても大きく味わいが変わることはなく、オイリーさは薄まりますが飲みやすさに一役買ってくれます。ゆっくり楽しみたい一本です。
FOURTH BATCHはさらに個性の強い味わいだと感じました。香りから味わいまでクセがあり、三郎丸、江井ヶ島、スコッチモルトの複雑な味わいが特徴。こちらはややピートの存在を感じることが出来ます。ライトな飲み口で加水を行うと、THIRD BATCHとは違い、また違った一面を見せてくれます。
出会う原酒同志が個性を出しつつ全く新しい味わいに変化する姿を実際に体感すると、原酒交換の秘めた可能性にワクワクします。次回の原酒交換はどこの蒸留所の原酒が可能性を魅せてくれるのか、非常に楽しみです。
■三郎丸蒸留所、江井ヶ島蒸溜所に関するその他の記事も是非ご覧ください。
最後に:ジャパニーズウイスキーのおすすめ書籍
世界的なトレンドを巻き起こしている「ジャパニーズウイスキー」の事をもっと知りたい、もっと勉強したいという方は、是非こちらの書籍をおすすめいたします。
(1).Whisky Galore(ウイスキーガロア)Vol.47 2024年12月号
【巻頭特集】
「新アイリッシュ・ルネッサンス[第2弾]」
【第2特集】
「日本のクラフト蒸留所最前線」
今号では北海道の厚岸と苫小牧、そしてクラフト蒸留所に麦芽を供給する中標津のクラフトモルティング社についても紹介します。さらに三島のウォータードラゴンと、ZEMONⅡが稼働する飛騨高山蒸溜所も再訪。
【連続ロングインタビュー】
第3回 ガイアフロー静岡蒸溜所 中村大航氏
【特別リポート】
遊佐蒸溜所の挑戦
第二期リニューアルが完了したサントリー白州蒸溜所
(2).ビジネスに効く教養としてのジャパニーズウイスキー
世界的にも有名なウイスキー評論家で、ウイスキー文化研究所代表 土屋守先生の著書「ビジネスに効く教養としてのジャパニーズウイスキー」です。
ウイスキーの基礎知識、日本へのウイスキーの伝来、ジャパニーズウイスキーの誕生、広告戦略とジャパニーズウイスキーの盛隆、そして、現在のクラフト蒸留所の勃興まで。日本のウイスキーの事が非常にわかりやすくまとめられた一冊。
(3).ウイスキーと私(竹鶴政孝)
日本でのウイスキー醸造に人生を捧げた、ニッカウヰスキー創業者・竹鶴政孝。ただひたすらにウイスキーを愛した男が自らを語った自伝の改訂復刻版。若き日、単身スコットランドに留学し、幾多の苦難を乗り越えてジャパニーズ・ウイスキーを完成させるまでの日々や、伴侶となるリタのことなどが鮮やかに描かれる。
(4).新世代蒸留所からの挑戦状
2019年発売。世界に空前のウイスキーブームが到来しているいま、クラフト蒸留所の経営者たちは何を考え、どんな想いでウイスキー造りに挑んだのか。日本でクラフト蒸留所が誕生するきっかけを作った、イチローズ・モルトで有名なベンチャーウイスキーの肥土伊知郎氏をはじめとする、13人のクラフト蒸留所の経営者たちが世界に挑む姿を綴った1冊。
(5).ウイスキーライジング
2016年にアメリカで出版された『Whisky Risng』の日本語版であり、内容も大幅にアップデート。ジャパニーズ・ウイスキーの歴史が詳細に記述されているだけでなく、近年、創設がつづくクラフト蒸溜所を含む、日本の全蒸溜所に関するデータも掲載。そのほかにも、今まで発売された伝説的なボトルの解説や、ジャパニーズ・ウイスキーが飲めるバーなども掲載されています。
(6).ウイスキーと風の味
1969年にニッカウヰスキーに入社した、三代目マスターブレンダーの佐藤茂夫氏の著書。
『ピュアモルト』『ブラックニッカクリア』『フロム・ザ・バレル』の生みの親でもあり、なかでも『シングルモルト余市1987』はウイスキーの国際的コンペティションWWA(ワールド・ウイスキー・アワード)にて「ワールド・ベスト・シングルモルト」を受賞。
竹鶴政孝、竹鶴威の意志を引き継いだブレンダー界のレジェンドが語る今昔。