本坊酒造のマルス信州蒸溜所は、1992年にウイスキー需要低迷により蒸留を休止。その後、世界的にジャパニーズウイスキーが評価されはじめる中、ウイスキー需要が回復傾向にあった2009年に蒸留再開を決意し2011年2月より再スタート。
2020年9月、35年ぶりの全面リニューアル。投資額は約12億円。
2019年5月から、老朽化した設備の改修とウイスキー増産を見据えた樽貯蔵庫施設の整備やウイスキー造りの見学を目的にしたウイスキー蒸留棟(樽貯蔵庫を含む)と、オリジナルウイスキーやグッズ販売などを目的にビジター棟を新設、既存の設備及び施設を改修。
新設したウイスキー蒸留棟は1,996㎡(延床面積、約2,500樽収容予定の樽貯蔵庫含む)、ビジター棟は746㎡。
1.メーカー
本坊酒造株式会社
設立 | 1872年 |
本社所在地 | 〒891-0122; 鹿児島県鹿児島市南栄三丁目27番地 |
所有蒸留所 | マルス信州蒸溜所、マルス津貫蒸溜所 |
2.蒸留所
マルス信州蒸溜所
所在地 | 〒399-4301 長野県上伊那郡宮田村4752-31 |
操業開始 | 1985年 |
鹿児島の地で日本の蒸留酒「焼酎」造りに邁進していた本坊酒造が、ウイスキー製造免許を取得したのが1949年。それ以来、「いつか日本の風土を活かした本物のウイスキーを造りたい」と夢を抱き続けていました。
鹿児島でのウイスキー製造から数年経た後、1960年に山梨にワインとウイスキー製造のための工場「マルス山梨ワイナリー」を設立。そして、本格的にウイスキー造りに取り組むために、さらなる理想の地を探し求めました。
澄んだ空気の寒冷地であり、しかも適度な湿度と良質な水に恵まれていることなど、ウイスキー造りのための自然条件は、たいへん厳しいものがあります。
こうした条件を満たす土地を探し求め、1985年ウイスキー造りに最適な環境を求めて、長野県中央アルプス駒ヶ岳山麓標高798mの地にマルス信州蒸溜所を開設致しました。
引用:本坊酒造公式HP
■製造能力:原料麦芽1.1t/日
■原酒製造量:約700L/日、約185KL/年(2020年度予定)
■主要な設備:麦芽粉砕機1基、マッシュタンロイテル(糖化槽)6KL×1基、ステンレス発酵タンク6KL×3基、ダグラスファー木槽発酵タンク(移設)6KL×3基、初溜釜(移設)
マルス信州蒸溜所の情報はこちら↓もご覧ください。
3.商品名と写真
シングルモルト駒ヶ岳IPAカスクフィニッシュ Bottled in 2020
KOMAGATAKE IPA CASK FINISH
4.特徴
爽やかホップと後味に苦み感じる、まるでビールのような風味。南信州ビールIPAの空き樽でフィニッシュ
「シングルモルト駒ヶ岳 IPAカスクフィニッシュ」は、 南信州ビール駒ヶ岳醸造所でホップをふんだんに使用して醸造した中濃色ビール、 インディア・ペールエール(IPA)を寝かせた空き樽でフィニッシングしたシングルモルトウイスキーです。 軽やかで爽やかなシトラスの香り、グレープフルーツやオレンジを思わせるクリアな甘み、 IPA由来のキレの良いビターな余韻があり、ハイボールとの相性が抜群の1本に仕上がりました。
引用:本坊酒造公式HP
4-1.テイスティングノート
香り | IPAビールの麦の爽快感を思わす爽やかな香り。柑橘系のフレッシュ感。ミント。 |
味わい | フルーティな甘さとやわらかなホップの甘みの中に若干の酸味を感じる。ヨーグルトのよう。後味はビールを思わせる苦み。 |
余韻 | 比較的穏やかでバーボン樽由来のバニラ香と心地よい苦み。 |
4-2.商品スペック
アルコール度数 | 52% |
酒別 | シングルモルトウイスキー |
樽種 | バーボン樽(南信州ビールIPA) |
内容量 | 700ml |
販売本数 | 限定2,688本 |
希望小売価格 | 9,460円(税込) |
発売日 | 2020年10月22日 |
5.受賞歴
現時点での受賞歴はありません。
6.価格
6-1.メーカー希望小売価格
商品名 | シングルモルト駒ヶ岳 IPAカスクフィニッシュ Bottled in 2020 |
容量 | 700ml |
希望小売価格 | 8,600円(税込:9,460円) |
6-2.メルカリでの転売価格
メルカリでの転売価格は、14,000円~16,000円前後となっています。(※2021/1/19時点)
限定数2,688本とかなり少ないので多くの販売サイトや酒屋さんで定価で販売しているとこは見当たりません。
6-3.ヤフーオークション落札価格
ヤフーオークションでの落札価格は、最安9,250円、最高18,000円、平均12,966円(※2021/2/7時点より過去120日間の統計情報)
6-4.楽天、ヤフーショッピング、Amazon
通販サイトでも、23,000~25,000円前後で販売されています。 (※2021/2/7時点)
6-5.BAR新海での提供価格
当サイトが運営する「BAR新海」では、1杯、45ml:2,970円 30ml:1,980円、15ml:990円などの少量でも提供しております。
7.まとめ
フィニッシュで使用した樽は、マルス信州蒸溜所内にある「南信州ビール駒ヶ岳醸造所」で作った南信州ビールのIPAを熟成させていた樽で熟成しています。ビールもウイスキーも自社で製造し、最終的にうまく融合させています。岩井ワインカスクも同様で自社の「マルス山梨ワイナリー」の赤ワインに使用した空樽でウイスキーを熟成させるなど、他蒸留所では自社だけで賄えない部分を本坊酒造はすべて自社でやり遂げているところは素晴らしい。
味わいは思っていた以上のホップを感じました。ハイボールにするとまるでビール!!炭酸と爽快なホップ感と苦みが美味しい。加水するとビターな感じと樽香が前面に出てきてIPA感も強まりますが、決して嫌な感じすることなく程よい苦みで美味しく飲めてしまいます。ウイスキー初心者の方でも、ビールが好きな人は抵抗なく飲めてしまいそう。
限定数も少なく、すでに市場に出てる分は完売しているのでボトル購入は難しいウイスキーですが、BARなどで見かけたときは是非飲んでいただきたいウイスキーです。
「本坊酒造」「シングルモルト駒ヶ岳」に関するその他の記事も是非ご覧ください。
最後に:ジャパニーズウイスキーのおすすめ書籍
世界的なトレンドを巻き起こしている「ジャパニーズウイスキー」の事をもっと知りたい、もっと勉強したいという方は、是非こちらの書籍をおすすめいたします。
(1).Whisky Galore(ウイスキーガロア)Vol.47 2024年12月号
【巻頭特集】
「新アイリッシュ・ルネッサンス[第2弾]」
【第2特集】
「日本のクラフト蒸留所最前線」
今号では北海道の厚岸と苫小牧、そしてクラフト蒸留所に麦芽を供給する中標津のクラフトモルティング社についても紹介します。さらに三島のウォータードラゴンと、ZEMONⅡが稼働する飛騨高山蒸溜所も再訪。
【連続ロングインタビュー】
第3回 ガイアフロー静岡蒸溜所 中村大航氏
【特別リポート】
遊佐蒸溜所の挑戦
第二期リニューアルが完了したサントリー白州蒸溜所
(2).ビジネスに効く教養としてのジャパニーズウイスキー
世界的にも有名なウイスキー評論家で、ウイスキー文化研究所代表 土屋守先生の著書「ビジネスに効く教養としてのジャパニーズウイスキー」です。
ウイスキーの基礎知識、日本へのウイスキーの伝来、ジャパニーズウイスキーの誕生、広告戦略とジャパニーズウイスキーの盛隆、そして、現在のクラフト蒸留所の勃興まで。日本のウイスキーの事が非常にわかりやすくまとめられた一冊。
(3).ウイスキーと私(竹鶴政孝)
日本でのウイスキー醸造に人生を捧げた、ニッカウヰスキー創業者・竹鶴政孝。ただひたすらにウイスキーを愛した男が自らを語った自伝の改訂復刻版。若き日、単身スコットランドに留学し、幾多の苦難を乗り越えてジャパニーズ・ウイスキーを完成させるまでの日々や、伴侶となるリタのことなどが鮮やかに描かれる。
(4).新世代蒸留所からの挑戦状
2019年発売。世界に空前のウイスキーブームが到来しているいま、クラフト蒸留所の経営者たちは何を考え、どんな想いでウイスキー造りに挑んだのか。日本でクラフト蒸留所が誕生するきっかけを作った、イチローズ・モルトで有名なベンチャーウイスキーの肥土伊知郎氏をはじめとする、13人のクラフト蒸留所の経営者たちが世界に挑む姿を綴った1冊。
(5).ウイスキーライジング
2016年にアメリカで出版された『Whisky Risng』の日本語版であり、内容も大幅にアップデート。ジャパニーズ・ウイスキーの歴史が詳細に記述されているだけでなく、近年、創設がつづくクラフト蒸溜所を含む、日本の全蒸溜所に関するデータも掲載。そのほかにも、今まで発売された伝説的なボトルの解説や、ジャパニーズ・ウイスキーが飲めるバーなども掲載されています。
(6).ウイスキーと風の味
1969年にニッカウヰスキーに入社した、三代目マスターブレンダーの佐藤茂夫氏の著書。
『ピュアモルト』『ブラックニッカクリア』『フロム・ザ・バレル』の生みの親でもあり、なかでも『シングルモルト余市1987』はウイスキーの国際的コンペティションWWA(ワールド・ウイスキー・アワード)にて「ワールド・ベスト・シングルモルト」を受賞。
竹鶴政孝、竹鶴威の意志を引き継いだブレンダー界のレジェンドが語る今昔。