【レビュー】厚岸シングルモルトウイスキー サロルンカムイ

ウィスキーレビュー
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厚岸蒸溜所

厚岸蒸溜所リリース第5弾。 これまでに最長30か月樽熟成したニューメイクの4種類を発売してきましたが、本場スコットランドでウイスキーを名乗れる3年の熟成にいよいよ到達。 2016年の秋の創業から丸3年が経ち、遂に蒸留所初のシングルモルトウイスキー(2016年11月〜12月に蒸留した熟成年数3年超原酒のみを使用)「サロルンカムイ」が2020年2月27日リリースされました。 「サロルンカムイ」とは、アイヌ語で「タンチョウ」を指し、”湿地にいる神”という意味を込めていて、厚岸のウイスキー造りに適した環境を意味しているようです。ボトルもそのイメージに合わせて白と赤のカラーリングとしてあります。 さらに同社では厚岸を”日本のアイラ”と見ていて、

  1. ピート層を通った清冽な水

  2. 冷涼・湿潤な気候(ラムサール条約によって保全、2020年11月には国定公園になる予定)

  3. 牡蠣が取れる。

などの共通点を挙げています。

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1.メーカー

堅展実業株式会社

設立1982年
本社所在地〒100-0011 東京都千代田区内幸町1丁目1-1 帝国ホテル東京内
所有蒸留所厚岸蒸溜所

2.蒸留所

厚岸蒸溜所

所在地〒088-1124 北海道厚岸郡厚岸町宮園4丁目109-2
操業開始2016年10月

「スコットランドの伝統的な製法で、アイラモルトのようなウイスキーを造りたい」という強い想いで2016年10月に開業した厚岸蒸溜所。モルトウイスキーの製造に使うポットスチル(単式蒸溜器)をはじめ、大麦麦芽を糖化させるマッシュタン(糖化槽)など、ウイスキー造りには多様な設備が必要です。
厚岸蒸溜所は、「本場・スコットランドの伝統的な製法で、アイラモルトのようなウイスキーを」との想いを実現するため、スコットランドのフォーサイス社製の設備を導入。その施工は同社の職人が来日して行ったのだとか。
アイラ島のウイスキー造りと同様、泥炭(ピート)層を通った水を仕込み水に用い、冷涼で湿潤、そして海風が当たる場所「厚岸」で日々、熟成が進んでいます。
厚岸蒸溜所は、ニッカウヰスキー余市蒸溜所(後志管内余市町)に続く道内80年ぶりのウイスキー蒸留所として稼働しております。
蒸留所周辺にはエゾ鹿が出没する大自然にあり、ホマカイ川の水はピート層で濾過されアイラ島の水の様に茶褐色をしています。
海藻を含むピート、植物を含むピートを使用した自家製ピートも製造可能な土地のようです。
又、寒暖の差も激しく夏は20度を超え、冬は-20度を下回りウイスキーの熟成に適した土地です。
ラムサール条約で守られた釧路湿原ですが、沼地に蒸留所を立てると沈んでしまう為に建物の基礎が20mはあるそうです。

〒088-1124 北海道厚岸郡厚岸町宮園4丁目109-2堅展実業株式会社 厚岸蒸溜所
※蒸溜所見学は「味覚ターミナル コンキリエ」が主催しています。

 

厚岸蒸溜所の情報はこちら↓もご覧ください。

厚岸蒸溜所の記事一覧 | ジャパニーズウイスキーディクショナリ...
Japanese Whisky Dictionary

3.商品名

厚岸シングルモルトウイスキー サロルンカムイ
Akkeshi Single Malt Whisky Sarorunkamuy

4.特徴

これまでリリースされてきたニューボーン3年間の集大成
配合された原酒は全て操業初年度である2016年製のもので、ピート(泥炭)を使っていないノンピートのバーボン樽とシェリー樽、赤ワイン樽とピーテッドのミズナラ樽の4原酒をブレンド。 イチゴやチョコレートのような華やかさとピートの煙くささ、ほんのりとした甘さに加え、ミズナラ特有のニッキのようなさわやかさも併せ持つ。 魚介類をはじめ肉やチョコレートなど幅広い食材と合い、ストレートのほか水や炭酸割りでも華やかな味を楽しめる。

4-1.テイスティングノート

香り高級なストロベリーチョコレートを連想させる
味わいトップフレーバーはイチゴとチョコレートの要素が強い。黒糖、マーマレード、醤油、バタートースト様の香りも感じられる
余韻柑橘類、シュガーシロップの酸味と甘味、ホワイトペッパー様のスパイシー、 シトラスピール様ビターと微かなニッキ調の甘みが続く

4-2.商品スペック

アルコール度数55%
酒別シングルモルトウイスキー
樽種ノンピートのバーボン樽とシェリー樽、赤ワイン樽とピーテッドのミズナラ樽
内容量200ml
販売本数数量限定
希望小売価格5,500円(税込)
発売日2020年2月27日

5.受賞歴

2020年 SWSC「最優秀金賞」受賞
米国の世界的な酒類コンペティション 「サンフランシスコ・ワールド・スピリッツ・コンペティション」(SWSC)のウイスキー部門アザーシングルモルトウイスキーカテゴリーにおいて見事「最優秀金賞」を受賞。

6.価格

6-1.メーカー希望小売価格

商品名厚岸シングルモルトウイスキー サロルンカムイ
容量200ml
希望小売価格税込:5,500円

6-2.メルカリでの転売価格

メルカリでの転売価格は、10,000円~14,000前後となっています。(※2021/4/7時点)

6-3.ヤフーオークション落札価格

ヤフーオークションでの現在出品中の価格は、最安8,500円、最高20,000円、平均12,389円 (※2021/4/7時点)

6-4.楽天、ヤフーショッピング、Amazon

通販サイトでも、38,000円~55,000前後で販売されています。 (※2021/4/7時点)

6-5.BAR新海での提供価格

当サイトが運営する「BAR新海」では、1杯、45ml:8,250円、30ml:5,500円、15ml:2,750円で提供しております。

「BAR新海」のご案内
Japanese Whisky Dictionaryが運営する「BAR新海」は、東京都港区に3店舗。当サイトで紹介しているジャパニーズウィスキーをはじめ、国産のジンやビールなども取扱い。オリジナルカクテル、フレッシュフルーツカクテルなども人気。食事も豊富で1件目からも利用可能。

7.まとめ

中身は3年熟成のシングルモルトであるため、多少なり若さは見られます。 飲み方はストレートはもちろん、お好みで少量の加水、トワイスアップ、ロックなどあらゆる飲み方をお試しください。 時間をかけてゆっくり飲むと、香りが花開いて一層楽しんでいただけます。 なお、厚岸町名産の牡蠣と相性がよく、殻つきの生牡蠣に数滴垂らすと、双方の旨味が調和して潮の香りを堪能できるのだとか。 こうした牡蠣のたのしみ方もまた、アイラ島ではおなじみの習慣です。スコッチの聖地さながらの贅沢を一度試してみてはいかがでしょうか?

前回までの厚岸ニューボーンシリーズよりも出荷量が少なく、希少価値もかなり高まっております。 ウイスキー愛好家の方は、必ずチェックすべき逸品です。 第四熟成庫も建設中で将来は大麦、ピート、ミズナラ樽材までの厚岸オールスターを目指しているそうなので、まだまだ面白いことがたくさんありそうです。

■厚岸蒸溜所に関するその他の記事も是非ご覧ください。

【レビュー】厚岸ニューボーンファンデーション4
シェリー樽などで13〜30か月熟成したブレンデッド。 60%以上を占めるモルトについては、厚岸蒸留所にて蒸留・熟成した原酒のみを使用。 グレーンについては、スコットランド産のニューメイクを厚岸蒸留所にて樽詰し熟成された原酒のみを使用。 モルト中の50%以上にシェリー樽熟成原酒を使用。
【レビュー】厚岸ニューボーン ファンデーション3
厚岸ニューボーンシリーズ第3弾。北海道産ミズナラ樽で8~23ヶ月熟成した原酒の中から十数樽を選びブレンド。柑橘のアロマを含んだ複雑な香りの中に、ミズナラ由来のオリエンタルな風味と濃密な味わいを持つ至極の逸品です。2019年3月5日発売。6,380円(税込)
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最後に:ジャパニーズウイスキーのおすすめ書籍

世界的なトレンドを巻き起こしている「ジャパニーズウイスキー」の事をもっと知りたい、もっと勉強したいという方は、是非こちらの書籍をおすすめいたします。

(1).Whisky Galore(ウイスキーガロア)Vol.42 2024年2月号

【巻頭特集】ウイスキーの聖地 アイラ島の“現在”を読み解く
アイラ島のウイスキーは、昔から「アイラモルト」という独自のカテゴリーを与えられてきた。現在9ヵ所の蒸留所があり、さらに2つの新蒸留所計画が発表されている、この小さな島を改めて紹介。
また、現在入手可能なウイスキー8種を土屋編集長が飲み比べる。
●掲載蒸留所
ボウモア、アードベッグ、ラガヴーリン、ラフロイグ、カリラ、ブナハーブン、ブルックラディ、キルホーマン、アードナッホー

【第2特集】北アイルランドのウイスキー
世界の五大ウイスキーのなかで、いまもっとも伸びているのがアイリッシュ。ブームを牽引する北アイルランドの最新情報をリポート。
●紹介ウイスキー
ブッシュミルズ、エクリンヴィル、グレンズ・オブ・アントリム、ヒンチ、キルオーウェン、マコーネルズ、ショートクロス、タイタニック・ディスティラーズ、トゥー・スタックス

【蒸留所リポート】
2023年に100周年を迎えたジャパニーズウイスキー。その第一歩が踏み出され、昨年リニューアルしたばかりのサントリー山崎蒸溜所を取材。そのほか月光川蒸留所や、個性的なツアーを行っている八郷蒸溜所&安積蒸溜所も紹介。

【インタビュー】
ワイルドターキーのマスターディスティラーであるエディー・ラッセル氏と、その息子ブルース・ラッセル氏を編集長がインタビュー。またフィンランドで自国ライ麦にこだわったウイスキーを造るキュロ蒸留所のミイカ氏にも話を聞いた。

【特集】
ウイスキーフェスティバル2023 in TOKYO、ウイスキーコニサークラブ新潟蒸留所ツアー、下田ウイスキーフェスリポート。

(2).ビジネスに効く教養としてのジャパニーズウイスキー

世界的にも有名なウイスキー評論家で、ウイスキー文化研究所代表 土屋守先生の著書「ビジネスに効く教養としてのジャパニーズウイスキー」です。
ウイスキーの基礎知識、日本へのウイスキーの伝来、ジャパニーズウイスキーの誕生、広告戦略とジャパニーズウイスキーの盛隆、そして、現在のクラフト蒸留所の勃興まで。日本のウイスキーの事が非常にわかりやすくまとめられた一冊。

(3).ウイスキーと私(竹鶴政孝)

日本でのウイスキー醸造に人生を捧げた、ニッカウヰスキー創業者・竹鶴政孝。ただひたすらにウイスキーを愛した男が自らを語った自伝の改訂復刻版。若き日、単身スコットランドに留学し、幾多の苦難を乗り越えてジャパニーズ・ウイスキーを完成させるまでの日々や、伴侶となるリタのことなどが鮮やかに描かれる。

(4).新世代蒸留所からの挑戦状

2019年発売。世界に空前のウイスキーブームが到来しているいま、クラフト蒸留所の経営者たちは何を考え、どんな想いでウイスキー造りに挑んだのか。日本でクラフト蒸留所が誕生するきっかけを作った、イチローズ・モルトで有名なベンチャーウイスキーの肥土伊知郎氏をはじめとする、13人のクラフト蒸留所の経営者たちが世界に挑む姿を綴った1冊。

(5).ウイスキーライジング

2016年にアメリカで出版された『Whisky Risng』の日本語版であり、内容も大幅にアップデート。ジャパニーズ・ウイスキーの歴史が詳細に記述されているだけでなく、近年、創設がつづくクラフト蒸溜所を含む、日本の全蒸溜所に関するデータも掲載。そのほかにも、今まで発売された伝説的なボトルの解説や、ジャパニーズ・ウイスキーが飲めるバーなども掲載されています。

(6).ウイスキーと風の味

1969年にニッカウヰスキーに入社した、三代目マスターブレンダーの佐藤茂夫氏の著書。
『ピュアモルト』『ブラックニッカクリア』『フロム・ザ・バレル』の生みの親でもあり、なかでも『シングルモルト余市1987』はウイスキーの国際的コンペティションWWA(ワールド・ウイスキー・アワード)にて「ワールド・ベスト・シングルモルト」を受賞。
竹鶴政孝竹鶴威の意志を引き継いだブレンダー界のレジェンドが語る今昔。

この記事を書いた人
新海 博之

1981年7月17日 北海道北広島市出身
大学卒業後、NTTデータカスタマサービス㈱へ新卒入社。
2010年「麻布十番BAR新海」を開業 → 2016年、名物「薬膳カレー」を開発 → 2018年「虎ノ門BAR新海」、2019年には「芝大門BAR新海」を開業 → 2020年 ウェブメディア「Japanese Whisky Dictionary」をスタート。
バーテンダーの私達だから出来る事として、ジャパニーズウイスキーの魅力を日々発信する。

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