北海道にグレーンウィスキー蒸留所誕生!!道産コーンウイスキープロジェクト(北海道立総合研究機構)

ニュース

2021年6月9日、北海道立総合研究機構(道総研)は北海道内の農協を中心に複数の企業と連携し、道産トウモロコシを主原料としたコーンウィスキー(グレーンウィスキー)の製造に乗り出すことを発表。
国内で製造される「ジャパニーズウィスキー」の基準を満たした「コーンウィスキー」として販売することを目指していく。

北海道はトウモロコシの一大産地として有名で、冷涼な気候、穀類、水、森林、ピートなどの原材料や資源にも恵まれ、今後ウィスキーの世界的産地となる可能性を大いに秘めています。
このプロジェクトは、「北海道の新たなウイスキーの市場、文化づくり」「経済と農業への貢献」などをコンセプトに掲げ、コーンウィスキーの製造に乗り出し、2022年4月から空知管内長沼町で蒸留を開始し3年以上熟成後に販売を始める。販売は2025年春の予定としている。
参照:会議資料|道産コーンウイスキープロジェクト|北海道立総合研究機構

1.グレーンウィスキーとは

グレーンウィスキーとは、「とうもろこしや小麦等の発芽させていない穀類を、麦芽の酵素力で糖化し、醗酵させたものを連続式蒸留器で蒸留したもの」が通念とされていて、要はとうもろこし、ライ麦、小麦などの穀類を主原料とし、そこに麦芽(サントリーやキリンは大麦麦芽と明言している)を糖化酵素として加えた後、「連続式蒸留器」で蒸留し、木の樽で熟成させたウィスキーのことです。おだやかでクセのない性質から「サイレントスピリッツ」と呼ばれていますが、ブレンデッドウィスキーを造る際はまず最初にグレーンウィスキーから決めていくそうで、それが味わいのベースとなり、モルトウィスキーの個性を引き出す存在として重要な役割を担っています。
昨今ではシングルグレーンウィスキーなるものも商品化されていて、今まではモルトウィスキーに寄り添ってブレンデッドウィスキーを縁の下で支えている印象が強かったグレーンウィスキーですが、口当たりがなめらかで甘く、すっきりとしたグレーンウィスキーはそれ単体でも充分においしく、ウィスキーとして高いポテンシャルがあり、徐々に注目されてきているのです。

グレーンウィスキーの代表的な商品として、サントリー「知多」・ニッカ「カフェグレーン」・キリン「シングルグレーン富士」がある。

2.プロジェクトの背景

画像出展:酒のしおり(令和3年3月)|国税庁

2021年2月に発表された日本産酒類の輸出動向の品目別輸出金額において、ウィスキーが清酒を抜いてトップに。
輸出金額は清酒やウィスキー等の日本産酒類の国際的な評価の高まり等を背景に近年は大きく伸長を続けていて、平成24年以降9年連続で過去最高を記録してきた。
このような背景もあり、もともとコーングリッツをパンやお菓子などの材料で使う研究を続けてきた北海道立総合研究機構は、今後も輸出の見込めるウィスキーに着目。JAや各社と連携し事業化に結びつけた。
北海道には余市蒸留所や厚岸蒸留所などのモルトウィスキーを生産する蒸留所は複数あるが、グレーンウィスキーの生産拠点は未だ無い事も見逃せない要素であり、ウィスキー愛好家の注目を集める。国内を見てもグレーンウィスキー生産においては大手のサントリー、ニッカ、キリンがメインとなっています。

3.プロジェクトのコンセプト

3-1 北海道の新たなウイスキーの市場、文化づくり

とうもろこしや大麦等の原材料品質に合わせた製造条件などを策定。道産モルトや道産コーングリッツの特性や評価~生産方法の普及。
新たな木製樽などの開発においては、現在ウィスキー業界で国内外問わず注目されているのはミズナラですが、そのミズナラに続くウィスキー樽向け木材の探索。新たな形状や構造も含め検討。 北海道の資源・魅力・ストーリーを伝えていく。

3-2 経済と農業への貢献

新たな北海道ブランドとして地域との連携・食文化との融合と、とうもろこしや大麦の生産による地域の農業振興に貢献。北海道・地域の個性や風土にこだわった製造・販売を事業化する。
海外輸出による輸出産業への振興と経済の活性化を目指す。

4.プロジェクトメンバー

4-1 地方独立行政法人 北海道立総合研究機構

法人本部と5つの研究本部、21の試験場等からなる総合研究機関。
食品加工研究センター(江別)がコーングリッツと麦芽を混ぜる割合や、糖化液を造るのに最適な温度などを研究。このほか中央農試(長沼町)はトウモロコシの栽培技術などを支え、林産試験場(旭川)は熟成樽に適した道産の樹種の研究を行い、新たな木製樽などの開発やミズナラに続くウィスキー樽向けの木材の探索をしていく。

4-2 そらち南農業協同組合(JAそらち南)

「原材料の選定、供給体制の確立」

2014年から北海道立総合研究機構の戦略研究との共同により子実の食材利用研究に取り組み、2016年にそらち南農協内に「コーングリッツ製造システム」の開発などを進めてきた。
今回のプロジェクトでの役割は、主原料となるトウモロコシ「ビビアン」の生産を担う。

4-3 株式会社N-GRITS

「原材料の選定、供給体制の確立」

江別製粉(株)100%出資の新設法人で北海道江別市に本社を持ち、道産小麦のみを使用した小麦粉、飼料、全粒粉などの製造・販売を行ってきた。
2022年の生産開始を目標に準備を始め、栗山町産トウモロコシを原料とする「コーングリッツ」を製造し、加工メーカーに販売する事業を展開していく。現在、北海道栗山町にコーングリッツ工場を建設中。

4-4 中標津クラフトモルティングジャパン株式会社

「原材料の選定、供給体制の確立」

大麦(国産二条大麦)の生産および、モルト販売事業、フロアモルティングによるモルト製造販売。
一粒一粒甘く良質なデンプンをたっぷりと含んだ味が濃い麦芽が特長。この大麦を麦芽に加工し供給していく。

4-5 北海道自由ワイン株式会社

「道産コーンウイスキーの製造、道産木製樽の開発」

「北海道から世界に100年後のブランドを発信する」をビジョンに、果実酒(ワイン)・ブランデー・ウィスキーの製造を手掛ける。
長沼町のワイナリー「北海道自由ワイン」が現在建設中のマオイ蒸溜所にて、コーングリッツと根室管内中標津町産の大麦の麦芽を混ぜて糖化液を造り、発酵後に蒸留する。10月にスコットランドのフォーサイス社製の蒸留器を新設予定

4-6 北海道自由ウヰスキー株式会社

「道産コーンウイスキーの製造、道産木製樽の開発」

現在、所有する紅櫻蒸留所にてスピリッツ・リキュールの製造を行っている。詳しい蒸留所情報はこちら

4-7 株式会社ニセコ蒸溜所

「道産コーンウイスキーの製造、道産木製樽の開発」

2021年3月から稼働したばかりの新設蒸留所で、自社の生産体制が軌道に乗ってから積極的に参加したい。と意思を示している。
現在はウィスキー・ジンの製造を行っている。詳しい蒸留所情報はこちら

4-8 国分北海道株式会社

「普及支援、商品化・地域産業化に向けた展開」

食品・酒類卸売業。メーカー商品取扱い及び「K&K」をはじめとする国分ブランド商品の開発・販売。北海道を中心として、道外・海外も含めた様々な地域へ食の提案。卸売業主導のブランディング。
コーンウィスキーの国内外への流通を支援していく。中国やインド、シンガポールなどへの輸出を計画。

5.製造~商品化、流通の流れ

「そらち南農業組合」が栗山町と由仁町にてグレーンウィスキーの主原料となるトウモロコシ「ビビアン」を生産。
そのトウモロコシを「N-GRITS」がコーングリッツに加工。
そのコーングリッツと「中標津クラフトモルティングジャパン」が生産した中標津産の大麦麦芽(モルト)を「北海道自由ワイン」が新設する蒸留所にて糖化、発酵、蒸留、樽熟成する。「北海道自由ウヰスキー」「ニセコ蒸溜所」もウィスキー製造工程に関わっていく。
「国分北海道」はその出来上がったコーンウィスキーを国内外へと流通する為の支援をしていく。
「北海道立総合研究機構」はこのプロジェクト全体を統括。ウィスキーのレシピ提案やトウモロコシの生産支援、ウィスキー熟成に使用する樽の新たな木材の選定も行っていく。

数ある企業のそれぞれの強みを活かした北海道だからこそ成し遂げることのできるこの夢のようなプロジェクト。「今後の動向」と「北海道初のグレーンウィスキー生産拠点」としての期待に胸が膨らむばかりです。

最後に:ジャパニーズウィスキーのおすすめ書籍

世界的なトレンドを巻き起こしている「ジャパニーズウィスキー」の事をもっと知りたい、もっと勉強したいという方は、是非こちらの書籍をおすすめいたします。

(1).ビジネスに効く教養としてのジャパニーズウィスキー

世界的にも有名なウィスキー評論家で、ウィスキー文化研究所代表 土屋守先生の著書「ビジネスに効く教養としてのジャパニーズウィスキー」です。
ウィスキーの基礎知識、日本へのウィスキーの伝来、ジャパニーズウィスキーの誕生、広告戦略とジャパニーズウィスキーの盛隆、そして、現在のクラフト蒸留所の勃興まで。日本のウィスキーの事が非常にわかりやすくまとめられた一冊。

(2).ウィスキーと私(竹鶴政孝)

日本でのウイスキー醸造に人生を捧げた、ニッカウヰスキー創業者・竹鶴政孝。ただひたすらにウイスキーを愛した男が自らを語った自伝の改訂復刻版。若き日、単身スコットランドに留学し、幾多の苦難を乗り越えてジャパニーズ・ウイスキーを完成させるまでの日々や、伴侶となるリタのことなどが鮮やかに描かれる。

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(3).新世代蒸留所からの挑戦状

2019年発売。世界に空前のウイスキーブームが到来しているいま、クラフト蒸留所の経営者たちは何を考え、どんな想いでウイスキー造りに挑んだのか。日本でクラフト蒸留所が誕生するきっかけを作った、イチローズ・モルトで有名なベンチャーウイスキーの肥土伊知郎氏をはじめとする、13人のクラフト蒸留所の経営者たちが世界に挑む姿を綴った1冊。

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(4).ウィスキーライジング

2016年にアメリカで出版された『Whisky Risng』の日本語版であり、内容も大幅にアップデート。ジャパニーズ・ウイスキーの歴史が詳細に記述されているだけでなく、近年、創設がつづくクラフト蒸溜所を含む、日本の全蒸溜所に関するデータも掲載。そのほかにも、今まで発売された伝説的なボトルの解説や、ジャパニーズ・ウイスキーが飲めるバーなども掲載されています。

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