【レビュー】厚岸シングルブレンデッドジャパニーズウイスキー 冬至

ウィスキーレビュー
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厚岸蒸溜所

厚岸蒸溜所より二十四節季シリーズスペシャルボトルの一つ。『冬至(とうじ)』が発売開始。商品のレビューと特徴や価格を紹介。

二十四節季シリーズも第18弾となりました。このタイミングでスペシャルボトルと銘打たれた二至二分ボトルの一つ、「冬至」が今回発売となりました。

冬至の日は、1年で最も昼の時間が短く、夜が長い日といわれています。太陽が地平線の一番低い位置にあり、太陽の南中高度が一年で最も低くなる日を指します。

第1弾 シングルモルトウイスキー寒露 2020年10月28日発売
第2弾 ブレンデッドウイスキー雨水 2021年2月28日発売
第3弾 シングルモルトジャパニーズウイスキー芒種 2021年5月28日発売
第4弾 ブレンデッドウイスキー処暑 2021年8月25日発売
第5弾 シングルモルトジャパニーズウイスキー立冬 2021年11月25日発売
第6弾 ブレンデッドウイスキー大寒 2022年2月25日発売
第7弾 シングルモルトジャパニーズウイスキー清明 2022年5月30日発売
第8弾 ブレンデッドウイスキー大暑 2022年8月26日発売
第9弾 シングルモルトジャパニーズウイスキー大雪 2022年12月5日発売
第10弾 シングルモルトジャパニーズウイスキー啓蟄 2023年2月27日発売
第11弾 ブレンデッドウイスキー小満 2023年5月31日発売
第12弾 シングルモルトジャパニーズウイスキー白露 2023年8月24日発売
第13 ブレンデッドウイスキー小雪 2023年11月22日発売
第14弾 シングルモルトジャパニーズウイスキー立春 2024年2月22日発売
第15弾 ブレンデッドウイスキー穀雨 2024年5月25日発売
第16弾 シングルモルトジャパニーズウイスキー小暑 2024年8月26日発売
第17弾 ブレンデッドウイスキー霜降 2024年11月27日発売
第18弾 シングルブレンデッドジャパニーズウイスキー冬至 2025年2月22日発売
2024年の冬至は12月21日でした。
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1.商品名と写真

厚岸 シングルブレンデッドジャパニーズウイスキー 冬至
AKKESHI Single Blended Japanese Whisky TOUJI  

2.厚岸シングルブレンデッドジャパニーズウイスキー 冬至の特徴

厚岸シングルブレンデッドジャパニーズウイスキー 冬至」は北海道初となるシングルブレンデッドジャパニーズウイスキーです。モルト原酒だけではなく、グレーン原酒のすべてを厚岸蒸溜所にて製造しており、さらにはグレーン原酒はすべて厚岸蒸溜所独自の“シングルポットスチルグレーン原酒”を使用しています。

 “シングルポットスチルグレーン原酒”とは、一般的に連続式蒸留器で製造されるグレーンウイスキーとは違い、単式蒸留器(ポットスチル)を使用して蒸溜するグレーン原酒です。グレーンウイスキーは、一般的にトウモロコシなどの穀類を原料として連続式蒸留器で蒸溜され、クセが少なくクリーンな酒質から「サイレントスピリッツ」と呼ばれます。対してモルトウイスキーは「ラウドスピリッツ」と呼ばれ、パワフルな味わいを持ちます。

 厚岸蒸溜所独自の “シングルポットスチルグレーン原酒”は、単式蒸留器(ポットスチル)を使用して蒸溜したグレーン原酒となっており、一般的に連続式蒸留器で蒸溜されるグレーンウイスキーと比較して高い技術力や多くの費用を必要としますが、「サイレントスピリッツ」と呼ばれるグレーンウイスキーに比べ「ラウド」な酒質であり、より一層風味が豊かでコクのある味わいとなっています。

■ グレーン原酒の原料は“オール北海道産”

 厚岸蒸溜所で蒸溜されたグレーン原酒は“シングルポットスチルグレーン原酒”に分類され、上述したように製法の面で高い技術力を必要としますが、原料にもこだわりがあります。一般的なグレーンウイスキーにおいては、トウモロコシやライ麦、小麦などを使用しますが、弊社シングルポットスチルグレーン原酒は100%北海道産原料を使用することで、テロワールの魅力を最大限に発揮することを目指しました。原料の穀類には北海道産のモルト(大麦麦芽)、小麦、米、蕎麦を用いており、より一層深みのある味わいに仕上がりました。

 今回の「厚岸シングルブレンデッドジャパニーズウイスキー 冬至」は厚岸で蒸溜したモルト原酒と厚岸蒸溜所独自の“シングルポットスチルグレーン原酒”を絶妙な配合でブレンドすることにより、まさに北の大地を体現するブレンデッドウイスキーとなっております。

2-1.テイスティングノート

香り 焼きたてのメロンパン、オレンジスカッシュ、ゼラニウム、ホットはちみつレモン
味わい オレンジラムネ、抹茶マリトッツォ、旨味の効いた出汁、塩ビスケット
余韻 酸味が先に立ち、香ばしさの後に甘くスパイシーな余韻が長く残る

2-2.商品スペック

アルコール度数 48%
酒別 シングルブレンデッドウイスキー
樽酒 キーモルト:オール北海道産ウイスキー
(北海道麦芽、厚岸蒸溜、北海道産ミズナラ樽使用原酒)
内容量 700ml
販売本数
発売日 2025年2月21日

3.受賞歴

現時点での受賞歴はありません。

4.価格

4-1.メーカー希望小売価格

商品名 厚岸 シングルブレンデッドウイスキー 冬至
容量 700ml
希望小売価格 29,700円(税込)

4-2.メルカリでの転売価格 

メルカリでの転売価格は、38,000円~40,000円程の価格帯で出品されています。(※2024/11/28時点)

4-3.ヤフーオークション落札価格  ※2024年8月22日更新

最新のヤフーオークションでの価格は、21,500円での出品が確認されました(※2024/11/28時点)

4-4.楽天、ヤフーショッピング、Amazon ※2024年11月28日更新

通販サイトでは、現在出品は確認できませんでした。(※2024/11/28時点)

厚岸 シングルモルトウィスキー 小暑
ノーブランド品

4-5.BAR新海での提供価格

当サイトが運営する「BAR新海」では、1杯、 45ml:4,620円、30ml:3,080円、15ml:1,540円で提供しております。

「BAR新海」のご案内
Japanese Whisky Dictionaryが運営する「BAR新海」は、東京都港区に3店舗。当サイトで紹介しているジャパニーズウィスキーをはじめ、国産のジンやビールなども取扱い。オリジナルカクテル、フレッシュフルーツカクテルなども人気。食事も豊富で1件目からも利用可能。

5.メーカー

堅展実業株式会社

設立 1982年
本社所在地 〒100-0011 東京都千代田区内幸町1丁目1-1 帝国ホテル東京内
所有蒸留所 厚岸蒸溜所

6.蒸留所

厚岸蒸溜所

所在地 〒088-1124 北海道厚岸郡厚岸町宮園4丁目109-2
操業開始 2016年10月

2015年 蒸溜所建設を開始
2016年 10月蒸溜開始
2017年 第2熟成庫完成
2018年 2月厚岸蒸溜所として初商品リリース。第3熟成庫完成
2020年 2月初のシングルモルトウイスキー「サロルンカムイ」をリリース。
            4月第4熟成庫完成。
     10月二十四節季シリーズ第一弾「シングルモルト寒露」をリリース。
2021年 精麦棟の新設(稼働は2022年)
2023年 4月第5熟成庫完成。

「スコットランドの伝統的製法を受け継ぎ、かつ厚岸らしい風味のウイスキー」がコンセプト。

潮気を含んだ深い霧、清澄な空気、豊富な泥炭。北海道・厚岸の風土こそ、私たちの求める未知なるジャパニーズウイスキーの風味をつくり出してくれると信じ、2016年に蒸留を開始しました。
北海道という土地、厚岸という土地の“テロワール”をウイスキーづくりに活かせるように、私たちはこの地で技術を磨き続けるとともに、土地の人々や自然とより深く向き合っていきたいと思います。北海道の大地で育まれた大麦やミズナラ、厚岸の美しい水や、ゆたかなミネラルを含んだピート。すべてを北海道からつくり、他のどこにも無いジャパニーズウイスキーを世界へ届けていくことが、私たちの願いです。
引用:Blender’s Attention ブレンダーのこだわり【厚岸蒸溜所】

「スコットランドの伝統的な製法で、アイラモルトのようなウイスキーを造りたい」という強い想いのもと、設備はスコットランドのフォーサイス社製のものを導入。施工はすべてフォーサイス社の職人が来日して実施。ポットスチルの形状はストレートヘッドのオニオンシェイプで、アイラ島のいくつかの蒸留所のものと似ています。加熱はラジエーター方式(間接加熱)、付属するコンデンサーはシェル&チューブ式でマッシュタンはセミロイター式です。
発酵槽(ウォッシュバック)は全てステンレス製で、あえて温度調整はできないタイプに。自然に任せながら、クラフトマンが発酵のタイミングを見極めます。

熟成庫は現在、第1~第5熟成庫まで。第1はダンネージ式、第2熟成庫(充填棟の隣)は現在出荷前の製品保管に使用。第3~第5熟成庫はラック式を採用、厚岸湾を望む丘の上にあり海の香り漂う「海霧」が厚岸町全体を包み込みモルトの熟成を深めるなど、ウイスキーの特性に良い影響を与えることが期待できます。

熟成樽はバーボン、シェリーに加え、入手困難な「ミズナラ」も使用。さらにワインやラム樽とのマッチングなど、あらゆる可能性に挑戦しています。
また、ウイスキーの原料となる大麦を厚岸内で栽培し、ピートや熟成のための木樽も含めてすべて厚岸産でおこない、将来的には「厚岸オールスター」のウイスキー造りを目指しています。新たな取組みで2021年8月、厚岸蒸溜所で蒸留した原酒を試験的に富良野で熟成させるという取組みも始まりました。富良野で熟成された原酒はどのような変化をもたらしてくれるのか。地元の厚岸のみならず「北海道」という偉大な個性を活かす、これこそまさにテロワール。ワイン通の人は良く耳にしてきたであろう「テロワール」の考えをウイスキーに取り入れ、「厚岸という個性」と「北海道という個性」を融合し、それらの土地のテロワールを活かしたウイスキー造りは魅力的であり期待値は無限大です。

厚岸町周辺の厚岸湖別寒辺牛湿原はラムサール条約の登録湿地です。ラムサール条約とは、1971年2月2日にイランのラムサールで採択された湿地に関する条約で、水鳥をはじめとする野生動物の生息地となっている湿地を、国際的な協力のもと保全および賢明に利用することを目的としています。
当社もこの豊かな自然を守り、共存していく蒸留所を目指しています。
ウイスキーに使用する上水の取水口は、蒸留所のそばを流れる尾幌川上流のホマカイ川。その周辺は湿原地帯で、清流にしか生息しないといわれるバイカモの生息地です。夏季に咲く小さな白い花は豊かな水のシンボル。この水が厚岸のウイスキーを育みます。

引用元:厚岸蒸溜所公式HP

厚岸蒸溜所の情報はこちら↓もご覧ください。

厚岸蒸溜所の記事一覧
アイラモルトのようなスモーキーでピーティーなウイスキー造りを目指して北海道厚岸町で2016年より操業開始。堅展実業株式会社が運営する厚岸蒸溜所。

7.まとめ

北海道産の原料を使ったジャパニーズシングルポットスティルウイスキー。

熟成年数はおそらく3年程かと思われますが、今までのブレンデッドとはもちろん違う味わいです。全く喉に引っかからず、さらさらと飲めてしまう。グレーンの醪造りもかなり気を使ったのではないかと想像できます。

単一クラフト蒸溜所のシングルブレンデッドジャパニーズウイスキー。前進し続ける品質と進化し続ける蒸溜所をこれからも応援させていただきたいと思います。

■「厚岸蒸溜所・厚岸ウイスキー」に関するその他の記事も是非ご覧ください。

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北海道と鹿児島の遠く離れた2つの蒸溜所で生まれた原酒を交換することで生まれたスペシャルなウイスキー。味わいや特徴を紹介。ウイスキーにおいて、元となる原酒はもちろんですが、熟成環境は香りや味わいにに変化をもたらす要因の一つとなっています。コチラの製品は、北海道と鹿児島という遠い地で生まれ、互いに元となる原酒を交換をしてた互いの地で熟成を行った商品です。
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厚岸蒸溜所より二十四節季シリーズ最新作『霜降(そうこう)』が発売開始。商品のレビューと特徴や価格を紹介。
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最後に:ジャパニーズウイスキーのおすすめ書籍

世界的なトレンドを巻き起こしている「ジャパニーズウイスキー」の事をもっと知りたい、もっと勉強したいという方は、是非こちらの書籍をおすすめいたします。

(1).Whisky Galore(ウイスキーガロア)Vol.48 2024年2月号

【巻頭特集】
日本のクラフト蒸留所最前線2025
安積蒸溜所/天鏡蒸溜所/月光川蒸留所/日光街道 小山蒸溜所/碧南蒸留所/清洲桜醸造 本社蒸留所/SAKURAO DISTILLERY[特集]
【新アイリッシュ・ルネッサンス[第3弾]】
ロー&コー/チャーチ・オブ・オーク/クーリー/キルベガン
土屋守の全国ぶらり旅 ガロア的酒場歩き──第24回沖縄編
【編集長インタビュー】
ジャパニーズクラフトの開拓者たち 第4回 安積蒸溜所 山口哲蔵氏
マコーネルズのジョン・ケリー氏に聞く 復活を果たした“ベルファストウイスキー”
JAL国際線機内販売でジャパニーズウイスキーの注目ボトルが続々登場
ビリー・ウォーカー氏が語るグレンアラヒー、新たな価値の創造。
アイル・オブ・ハリス蒸留所からシングルモルト第2弾が登場

(2).ビジネスに効く教養としてのジャパニーズウイスキー

世界的にも有名なウイスキー評論家で、ウイスキー文化研究所代表 土屋守先生の著書「ビジネスに効く教養としてのジャパニーズウイスキー」です。
ウイスキーの基礎知識、日本へのウイスキーの伝来、ジャパニーズウイスキーの誕生、広告戦略とジャパニーズウイスキーの盛隆、そして、現在のクラフト蒸留所の勃興まで。日本のウイスキーの事が非常にわかりやすくまとめられた一冊。

(3).ウイスキーと私(竹鶴政孝)

日本でのウイスキー醸造に人生を捧げた、ニッカウヰスキー創業者・竹鶴政孝。ただひたすらにウイスキーを愛した男が自らを語った自伝の改訂復刻版。若き日、単身スコットランドに留学し、幾多の苦難を乗り越えてジャパニーズ・ウイスキーを完成させるまでの日々や、伴侶となるリタのことなどが鮮やかに描かれる。

(4).新世代蒸留所からの挑戦状

2019年発売。世界に空前のウイスキーブームが到来しているいま、クラフト蒸留所の経営者たちは何を考え、どんな想いでウイスキー造りに挑んだのか。日本でクラフト蒸留所が誕生するきっかけを作った、イチローズ・モルトで有名なベンチャーウイスキーの肥土伊知郎氏をはじめとする、13人のクラフト蒸留所の経営者たちが世界に挑む姿を綴った1冊。

(5).ウイスキーライジング

2016年にアメリカで出版された『Whisky Risng』の日本語版であり、内容も大幅にアップデート。ジャパニーズ・ウイスキーの歴史が詳細に記述されているだけでなく、近年、創設がつづくクラフト蒸溜所を含む、日本の全蒸溜所に関するデータも掲載。そのほかにも、今まで発売された伝説的なボトルの解説や、ジャパニーズ・ウイスキーが飲めるバーなども掲載されています。

(6).ウイスキーと風の味

1969年にニッカウヰスキーに入社した、三代目マスターブレンダーの佐藤茂夫氏の著書。
『ピュアモルト』『ブラックニッカクリア』『フロム・ザ・バレル』の生みの親でもあり、なかでも『シングルモルト余市1987』はウイスキーの国際的コンペティションWWA(ワールド・ウイスキー・アワード)にて「ワールド・ベスト・シングルモルト」を受賞。
竹鶴政孝竹鶴威の意志を引き継いだブレンダー界のレジェンドが語る今昔。

この記事を書いた人
Ryuhei Oishi

北海道出身 bar新海虎ノ門店のバーテンダー。
都内のレストランで従事し、日本ソムリエ協会認定ソムリエ資格を取得。
土地それぞれの風土から様々な味わいが作り出される日本のウイスキーに興味を持ち、bar新海に就職。蒸留所へ行き、造り手の方々に話を聞き、その情熱・情報をバーテンダーとして伝搬するべく、JWDに参加。

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