世界各国からエントリーされたウイスキーの中からカテゴリーごとの最高賞を決めるウイスキーのコンペティション「World Whiskies Awards(ワールド・ウイスキー・アワード)」。2022年度の各国の予選の結果が発表されました。
本記事では、日本での1次予選の結果をカテゴリ毎に整理して紹介して参ります。
「厚岸」「嘉之助」「津貫」「駒ヶ岳」「安積」「三郎丸」などのクラフトディスティラリーズ(小規模蒸留所)からリリースされたウイスキーが多数受賞する結果となりました。
予選の入賞商品は、この後、世界ラウンドへ進出し、3/24に最終結果が発表される事となっています。
- 1.ワールド・ウイスキー・アワードとは?
- 2.審査の流れ
- 3.日本の第1ラウンドの結果
- 3-1.Blended(ブレンデッド)
- 【Category Winner】厚岸ブレンデッドウイスキー処暑
- 【Gold】ニッカ フロム ザ バレル
- 【Silver】 厚岸ブレンデッドウイスキー雨水
- 【Silver】 ニッカ デイズ
- 【Silver】 忍 ブレンデッドウイスキー ミズナラウッドフィニッシュ
- 【Silver】京都ウイスキー 西陣織 黒帯
- 【Bronze】Shin Select Reserve
- 【Bronze】The Shiki Blended Whisky Number 5
- 【Bronze】The Shiki Blended Whisky Number 6
- 【Bronze】The Shiki Blended Whisky Number 7
- 3-2.Blended Limited Release(ブレンデッド 限定発売)
- 3-3.Blended Malt No Age Statement(ブレンデッドモルト 年代表記無し)
- 3-4.Blended Malt 12 Years & Under(ブレンデッドモルト 12年以下)
- 3-5.New Make & Young Spirit(ニューメイク&ヤングスピリッツ)
- 3-6.Single Cask Single Malt(シングルカスクシングルモルト)
- 3-7.Single Cask Single Malt 12 Years & Under(シングルカスクシングルモルト12年以下)
- 3-8.Single Malt(シングルモルト)
- 【Category Winner】嘉之助シングモルト 蒸留所限定
- 【Gold】 嘉之助シングルモルト2021 Second Edition
- 【Silver】嘉之助シングルモルト2021 First Edition
- 【Silver】山桜 安積 ザ ファースト ピーテッド
- 【Silver】ニッカ シングルモルト余市ノンピーテッド
- 【Silver】マルス 津貫 2022 エディション
- 【Bronze】厚岸ブレンデッドウイスキー サロルンカムイ 海外エディション
- 【Bronze】ニッカ シングルモルト宮城峡
- 【Bronze】マルス津貫2021 南薩摩エディション
- 【Bronze】イチローズモルト秩父ザ・ピーテッド2022
- 3-9.Small Batch Single Malt(スモールバッチシングルモルト)
- 3-10.Small Batch Single Malt 12 Years & Under(スモールバッチシングルモルト12年以下)
- 3-1.Blended(ブレンデッド)
- 4.考察
1.ワールド・ウイスキー・アワードとは?
ワールド・ウイスキー・アワードは、国際的に認められたあらゆるスタイルのウイスキーの中から、最も優れたものを選出する世界的な賞です。酒類専門家のための世界No.1オンラインリソースであるTheDrinksReport.comが主催するワールド・ウイスキー・アワードは、世界最高のウイスキーを選び、表彰し、世界中の消費者および業界関係者に向けてプロモーションを行うものです。
2.審査の流れ
この審査は、Taste(味)とDesign(デザイン)の2つのジャンルに分かれていますが、ここではTaste(味)の審査に関して説明していきます。
2-1.第1ラウンド
各ウイスキーをそれぞれのスタイルでテイスティングし、スタイルの勝者を特定・選出します。ワールド・ウイスキー・アワードの審査員には、国際的に活躍するジャーナリスト、酒類小売業者、業界の専門家などが名を連ねています。第一ラウンドの審査は、出品国それぞれで行われているようです。
2-2.第2ラウンド
スタイル賞を受賞したウイスキー同士をテイスティングし、各カテゴリーの「ベスト」ウイスキーを決定します。
2-3.第3ラウンド
各カテゴリーの「ベスト」ウイスキーは、最後にもう一度テイスティングを行い、「ワールド・ベスト」ウイスキーを決定します。この段階での審査員には、第1ラウンドと第2ラウンドの審査員に加え、第一線の蒸溜所経営者やウイスキー業界の専門家が名を連ねます。
3.日本の第1ラウンドの結果
それでは、日本より出品されたウイスキーの第1ラウンドの結果をカテゴリ毎に見ていきたいと思います。このリストのオリジナルの情報はこちら。
尚、ボリュームの関係上、Blonze受賞ウイスキーは商品名のみの紹介とさせて頂きます。
3-1.Blended(ブレンデッド)
ブレンデッドウイスキーとは、少なくとも1種類のシングルモルトウイスキーと1種類のシングルグレーンウイスキーをヴァッティングして製造されたウイスキーです。ブレンデッドモルトに地理的表示(例:アイリッシュブレンデッドモルト)がある場合、そのブレンドはラベルに記載されている国でヴァッティングされ、瓶詰めされたものでなければなりません。さらに、構成ウイスキーの大部分(50%以上)が、ラベルに記載されている国で蒸留・熟成されたものでなければ、エントリーの資格はありません。
【Category Winner】厚岸ブレンデッドウイスキー処暑
【Gold】ニッカ フロム ザ バレル
【Silver】 厚岸ブレンデッドウイスキー雨水
【Silver】 ニッカ デイズ
【Silver】 忍 ブレンデッドウイスキー ミズナラウッドフィニッシュ
【Silver】京都ウイスキー 西陣織 黒帯
【Bronze】Shin Select Reserve
【Bronze】The Shiki Blended Whisky Number 5
【Bronze】The Shiki Blended Whisky Number 6
【Bronze】The Shiki Blended Whisky Number 7
3-2.Blended Limited Release(ブレンデッド 限定発売)
ブレンデッドウイスキーの発売で3600本以下の限定生産のもの。
【Category Winner】イチローズモルト&グレーン リミテッドエディション 2022
写真は2021年のバージョンなので、今回受賞したのは2022年にリリースする商品と思われます。
【Silver】シングルブレンデッドウイスキー富士 リミテッド 2022
キリンの「シングルグレーン富士」が”シングルブレンデッド”ど名乗っているという事は、どういうことなのか?これはきっと、一ヵ所の蒸留所(富士御殿場蒸溜所)で作られたモルト原酒とグレーン原酒をブレンドしたという事を表しているのではないかと思います。
写真は、参考として現行の「シングルグレーン富士」を掲載します。
3-3.Blended Malt No Age Statement(ブレンデッドモルト 年代表記無し)
ブレンデッドモルトウイスキーは、異なる蒸溜所で蒸溜されたシングルモルトウイスキーを組み合わせて製造され、パッケージでは「ヴァッテッドモルト」または「ピュアモルト」と表記されることもあります。ブレンデッドモルトに地理的表示(例:アイリッシュブレンデッドモルト)がある場合、そのブレンドはラベルに記載されている国でヴァッティングされ、瓶詰めされたものでなければなりません。さらに、構成ウイスキーの大部分(50%以上)が、ラベルに記載されている国で蒸留・熟成されたものでなければ、エントリーの資格はありません。
【Category Winner】山桜 ブレンデッドモルト 安積
【Silver】ニッカ 竹鶴 ピュアモルト
【Silver】マルス 駒ヶ岳×秩父 モルトデュオ 2021
【Bronze】昌廣ピュアモルトウイスキー
【Bronze】Inazuma Synergy Blend
【Bronze】Far East of Peat First Batch
【Bronze】イチローズモルト ダブルディスティラリーズ
3-4.Blended Malt 12 Years & Under(ブレンデッドモルト 12年以下)
【Category Winner】忍 10年 ピュアモルトウイスキー ミズナラ
【Gold】 昌廣ピュアモルトウイスキー12年オロロソシェリーカスク
【Silver】倉吉12年
【Silver】倉吉18年
【Bronze】Shin Mizunara 10 Years Old
【Bronze】Shibui Pure Malt 10 Years Old
3-5.New Make & Young Spirit(ニューメイク&ヤングスピリッツ)
ニューメイクスピリッツは、発酵させた穀物のマッシュを銅製のポット、コラム、ハイブリッドスチルで蒸留した未熟成の製品である。ヤングスピリットは、木製の樽で6ヶ月以上2年未満熟成させたニューメイクスピリットです。
【Category Winner】山桜ニューポット 安積ピーテッド
【Silver】マルス津貫ニューポット へビリーピーテッド2021
【Bronze】山桜ニューポット安積
【Bronze】Niigata Kameda New Pot Niigata Barley
3-6.Single Cask Single Malt(シングルカスクシングルモルト)
シングルカスクとは、容量750リットル以下の木製樽を指します。シングルカスク・シングルモルト・ウイスキーの認定には、水(希釈用)および/スピリッツ・キャラメル以外のいかなる物質も添加せずに、排出およびボトリングされたことが条件となります。シングルカスク・シングルモルトの製造プロセスにおいて、2つ以上の樽をヴァッティングすることは一切認められていません。
【Category Winner】山桜 シングルカスクウイスキー安積
【Gold】マルス シングルカスク 津貫 #T491
3-7.Single Cask Single Malt 12 Years & Under(シングルカスクシングルモルト12年以下)
【Category Winner】 マルス駒ヶ岳 2014年 シングルカスク No.1841 7年
【Gold】 三郎丸 ハンドフィル 2017
【Silver】イチローズモルト シングルカスク #2080 for ウイスキー祭り
【Bronze】 Mars Single Cask Tsunuki #T86
3-8.Single Malt(シングルモルト)
シングルモルト・ウイスキーは、麦芽100%、銅製のポットスチルを使って最低2回蒸留しなければなりません。複数の樽を使用することもできますが、単一の蒸留所の製品でアルコール度数40%以上、木製の樽で最低2年間熟成されている必要があります。シングルモルトウイスキーに地理的表示(アイリッシュシングルモルトウイスキーなど)がある場合は、ラベルに記載されている国で蒸溜・熟成されたものでなければなりません。
【Category Winner】嘉之助シングモルト 蒸留所限定
【Gold】 嘉之助シングルモルト2021 Second Edition
【Silver】嘉之助シングルモルト2021 First Edition
【Silver】山桜 安積 ザ ファースト ピーテッド
【Silver】ニッカ シングルモルト余市ノンピーテッド
【Silver】マルス 津貫 2022 エディション
【Bronze】厚岸ブレンデッドウイスキー サロルンカムイ 海外エディション
【Bronze】ニッカ シングルモルト宮城峡
【Bronze】マルス津貫2021 南薩摩エディション
【Bronze】イチローズモルト秩父ザ・ピーテッド2022
3-9.Small Batch Single Malt(スモールバッチシングルモルト)
スモールバッチシングルモルトウイスキーとは、100個以下の樽を使用して製造されたシングルモルトウイスキーと定義されます。
【Category Winner】 シングルモルト長濱 シェリーカスク Batch 0208
【Silver】シングルモルト長濱 ボルドーカスク Batch1427
3-10.Small Batch Single Malt 12 Years & Under(スモールバッチシングルモルト12年以下)
【Silver】三郎丸ⅠThe Magician Cask Strength
【Bronze】桜尾シングルモルトジャパニーズウイスキー カスクストレングス
4.考察
各国の専門家が銘柄を伝えられずに評価をおこなうブラインドテイスティングにより、厳正に審査がされているようです。
ここ数年、日本中で増え続けているクラフトディスティラリーズのうち、早くから始まった「厚岸蒸溜所」「嘉之助蒸溜所」「安積蒸溜所」「駒ヶ岳蒸留所」「津貫蒸溜所」「三郎丸蒸留所」が審査により正当な評価を受けた事は、非常に喜ばしく意味のある事だと思います。ジャパニーズウイスキーが大手のサントリーやニッカだけでなく、『クラフトディスティラリーズ』の存在感もしっかりと示すことが出来ました。
一方、審査結果を見るとちょっと違和感を感じてしまう部分も少々あります。「こんなウイスキー日本で聞いたことないなぁ」「日本では流通していないなぁ」という海外向けに企画されたであろう輸入原酒を国内で短期間追熟してブレンドしただけと思われるウイスキーも散見されます。(規定に抵触していないのか、問題ないのか定かではない)
ジャパニーズウイスキーの世界的なブームに便乗して、自社で十分な製造設備を用意せずに作られたウイスキーが、あたかもジャパニーズウイスキーのようなデザインと表記で「日本人が作ったウイスキー」として審査されていると思うとやや心が痛みます。
今後、正統派ジャパニーズウイスキーが更に成熟していった時に、今回のような違和感が少しずつ解消されていく事を期待しつつ、引き続き世界的なジャパニーズウイスキー発展を見守っていきたいと思います。