【レビュー】厚岸シングルモルトジャパニーズウイスキー清明(せいめい)

ウィスキーレビュー
ウィスキーレビュー
厚岸蒸溜所

厚岸ウイスキー「二十四節気シリーズ」第七弾「厚岸シングルモルトジャパニーズウイスキー清明(せいめい)」
前回のブレンデッドウイスキー大寒が発売されて以来、約3か月ぶりのリリースとなります。

第一弾 シングルモルトウイスキー寒露 2020年10月28日発売
第二弾 ブレンデッドウイスキー雨水 2021年2月28日発売
第三弾 シングルモルトジャパニーズウイスキー芒種 2021年5月28日発売
第四弾 ブレンデッドウイスキー処暑 2021年8月25日発売
第五弾 シングルモルトジャパニーズウイスキー立冬 2021年11月25日発売
第六弾 ブレンデッドウイスキー大寒 2022年2月25日発売
第七弾 シングルモルトジャパニーズウイスキー清明 2022年5月30日発売

この二十四節季シリーズはシングルモルトとブレンデッドを交互に発売していく予定となっていて、今回はシングルモルトでの発売となります。
「二十四節気」とは1年を24等分して季節を表す名称を付けたもので、よく耳にする「立春」や「夏至」などもこれにあたります。

「清明」は二十四節気の5番目に当たる日で「万物が清々しく明るく美しいころ」とされており、4月5日から4月19日頃までに当たります。草花が活気づき、春の息吹を感じる季節です。新たな環境がスタートする季節ですので、たくさんのエネルギーを使う季節です。

清明の七十二候(古代中国で考案された季節を表す方式のひとつ。二十四節気をさらに約5日ずつの3つに分けた期間のこと)には、

玄鳥至(つばめ いたる) : 燕が南からやって来る」

とあるように、ラベルはフレッシさを感じさせてくれる清々しい青と緑、燕のシルエットがあしらわれています。

画像出展:厚岸蒸溜所公式Facebook

スポンサーリンク

1.メーカー

堅展実業株式会社

設立 1982年
本社所在地 〒100-0011 東京都千代田区内幸町1丁目1-1 帝国ホテル東京内
所有蒸留所 厚岸蒸溜所

2.蒸留所

厚岸蒸溜所

所在地 〒088-1124 北海道厚岸郡厚岸町宮園4丁目109-2
操業開始 2016年10月

2015年 蒸溜所建設を開始
2016年 10月蒸溜開始
2017年 第2熟成庫完成
2018年 2月厚岸蒸溜所として初商品リリース。第3熟成庫完成
2020年 2月初のシングルモルトウイスキーをリリース。
          4月第4熟成庫完成。
     10月二十四節季シリーズ第一弾リリース。

潮気を含んだ深い霧、清澄な空気、豊富な泥炭。北海道・厚岸の風土こそ、私たちの求める未知なるジャパニーズウイスキーの風味をつくり出してくれると信じ、2016年に蒸留を開始しました。
アイラ島のウイスキー造りと同様、泥炭(ピート)層を通った水を仕込み水に用い、冷涼で湿潤、そして海風が当たる場所「厚岸」で日々熟成が進んでいます。
厚岸周辺はウイスキーの風味づけに欠かせないピートが豊富に埋蔵されており、海・山・湿原などの変化に富んだ地形によって、ピートを採取する場所ごとに異なるフレーバーが期待できます。

「スコットランドの伝統的な製法で、アイラモルトのようなウイスキーを造りたい」という強い想いのもと、設備はスコットランドのフォーサイス社製のものを導入。施工はすべてフォーサイス社の職人が来日して実施。ポットスチルの形状はストレートヘッドのオニオンシェイプで、アイラ島のいくつかの蒸留所のものと似ています。加熱はラジエーター方式、付属するコンデンサーはシェル&チューブ式でマッシュタンはセミロイター式です。
発酵槽(ウォッシュバック)はステンレスで、あえて温度調整はできないタイプに。自然に任せながら、クラフトマンが発酵のタイミングを見極めます。

2つのダンネージ式の熟成庫に加え、2018年2月厚岸湾のすぐ側に革新的なラック式の第3熟成庫が完成。2020年4月には厚岸湾を望む丘の上にラック式の第4熟成庫が完成。空気中を漂う海の香りがウイスキーの特性に良い影響を与えることが期待できます。

熟成樽はバーボン、シェリーに加え、入手困難な「ミズナラ」も使用。さらにワインやラム樽とのマッチングなど、あらゆる可能性に挑戦しています。
また、ウイスキーの原料となる大麦を厚岸内で栽培し、ピートや熟成のための木樽も含めてすべて厚岸産でおこない、将来的には「厚岸オールスター」のウイスキー造りを目指しています。新たな取組みで2021年8月、厚岸蒸溜所で蒸留した原酒を試験的に富良野で熟成させるという取組みも始まりました。富良野で熟成された原酒はどのような変化をもたらしてくれるのか。地元の厚岸のみならず「北海道」という偉大な個性を活かす、これこそまさにテロワール。ワイン通の人は良く耳にしてきたであろう「テロワール」の考えをウイスキーに取り入れ、「厚岸という個性」と「北海道という個性」を融合し、それらの土地のテロワールを活かしたウイスキー造りは魅力的であり期待値は無限大です。

厚岸町周辺の厚岸湖別寒辺牛湿原はラムサール条約の登録湿地です。ラムサール条約とは、1971年2月2日にイランのラムサールで採択された湿地に関する条約で、水鳥をはじめとする野生動物の生息地となっている湿地を、国際的な協力のもと保全および賢明に利用することを目的としています。
当社もこの豊かな自然を守り、共存していく蒸留所を目指しています。
ウイスキーに使用する上水の取水口は、蒸留所のそばを流れる尾幌川上流のホマカイ川。その周辺は湿原地帯で、清流にしか生息しないといわれるバイカモの生息地です。夏季に咲く小さな白い花は豊かな水のシンボル。この水が厚岸のウイスキーを育みます。

引用元:厚岸蒸溜所公式HP

厚岸蒸溜所の情報はこちら↓もご覧ください。

厚岸蒸溜所の記事一覧
アイラモルトのようなスモーキーでピーティーなウイスキー造りを目指して北海道厚岸町で2016年より操業開始。堅展実業株式会社が運営する厚岸蒸溜所。

3.商品名と写真

厚岸シングルモルトジャパニーズウイスキー清明(せいめい)
Akkeshi Single Malt Japanese Whisky Seimei

4.特徴

キーモルトは「オール北海道産のミズナラ樽原酒」

今作もキーモルトはオール北海道産ミズナラです。
樽種はバーボン樽が7割強、シェリー樽・ワイン樽が2割強、ミズナラ樽が極わずか。ノンピートとピートの計7種類の樽を使用。
厚岸モルトの甘みとピートが心地よい。厚岸の特徴でもある甘さ+ピートがしっかり感じられるウイスキーです。
芒種」のような煙たさを伴うピートとは違い、程良いコクとビターな甘さの後に潮っぽいピートがふわっと上がってきます。

4-1.テイスティングノート

香り 柑橘、バニラ、スモーキー
味わい レモンの酸味、はちみつ、ビターチョコレート、潮
余韻 甘味とピートが相まった心地よい余韻

4-2.商品スペック

アルコール度数 55%
酒別 シングルモルトジャパニーズウイスキー
樽種

バーボン樽、シェリー樽、ワイン樽、ミズナラ樽

内容量 700ml
販売本数 数量限定
希望小売価格 19,800円(税込)
発売日 2022年5月30日

5.受賞歴

現時点では受賞歴はありません。

6.価格

6-1.メーカー希望小売価格

商品名 厚岸シングルモルトジャパニーズウイスキー清明(せいめい)
容量 700ml
希望小売価格 税込:19,800円

6-2.メルカリでの転売価格 ※2024年8月30日更新

メルカリでの転売価格は、29,699円〜40,000円前後の価格帯が中心となり入手が可能となっています。(※2024/8/30時点)

いよいよ本格的にテロワールを押し出してきたとも言える「清明」。言うは易く行うは難し、と言う言葉があるように立て続けに新作を発表していくのは至難の技です。今作では「オール北海道のミズナラ樽原酒」を使って作られました。この頃には国内でも注目の蒸留所としてテレビでも取り上げられるようになり、国内外から注目される蒸留所としての立ち位置を確立した厚岸蒸留所。どこまでも本気が止まらない蒸留所で作り出されたのが「清明」です。

メルカリでの転売価格は、48,400円~50,000円前後となっています。(※2022/5/27時点)

6-3.ヤフーオークション落札価格 ※2024年8月30日更新

ヤフーオークションにて現在出品中の本体価格は、26,800円〜30,000円前後となっているようです(※2024/8/30時点)

ヤフーオークションでの落札価格は、最安 39,800円 最高 52,000円 平均 45,900円
(※2022/5/27時点より過去180日間の統計情報)

6-4.楽天、ヤフーショッピング、Amazon ※2024年8月30日更新

通販サイトでも、32,000円〜40,000円前後で販売されています。 (※2024/8/30時点)

二十四節気において、どの季節のウイスキーを味わってもきちんと個性が立っているのことへの驚きは隠せません。それと同時に、とにかく品質の良さと言う点で「安心」を私たちに提供してくれる厚岸蒸留所。期待を裏切らない二十四節気シリーズは、最新リリースを味わい、しばらくすると、もう『次』を期待してしまう。なぜ期待をしてしまうのかと言えば、シリーズ物によく有りがちな、必ずどこかでズッこける、と言う不安が全くないからです。それは厚岸蒸留所が過去に積み上げてきた仕事に対する、実績と信頼があるからこそ、立ち上がってくるのだろうと思います。徹底的にこだわり抜いた「清明」を口に含んだ瞬間、味わいを楽しみながら、作り手の思いに少し寄り添ってみるのも楽しみ方の一つなのかも知れません。

通販サイトでも、50,000円前で販売されています。 (※2022/5/27時点)

6-5.BAR新海での提供価格

当サイトが運営する「BAR新海」では、1杯、45ml:5,610円 30ml:3,740円、15ml:1,870円などの少量でも提供しております。

「BAR新海」のご案内
Japanese Whisky Dictionaryが運営する「BAR新海」は、東京都港区に3店舗。当サイトで紹介しているジャパニーズウィスキーをはじめ、国産のジンやビールなども取扱い。オリジナルカクテル、フレッシュフルーツカクテルなども人気。食事も豊富で1件目からも利用可能。

7.まとめ

今までリリースされてきたシングルモルトは「寒露」「芒種」「立冬」とありました。立冬はシェリーに振り切っていたこともあり、今までの厚岸路線から敢えて外したウイスキーでシェリー好きな方にはヒットしました。
今回の「清明」は見事に厚岸路線に戻ってきた印象です。これぞ厚岸と言わんばかりの甘味とピートが共存しています。

 

約3か月ごとのリリースになりますので、次回のリリースは8月末頃でしょうか?「小暑」「大暑」当たりを予想しておりますが、果たして次回作のネーミングは何になるのか、予想しながら待つのも楽しみ方の一つですね。

厚岸蒸溜所についてもっと詳しく知りたいという方は、2020年12月にBSフジのウィスキペディアで特集をしていましたので、そちらの配信を是非ご覧ください。
厚岸ウイスキーの魅力だけでなく、厚岸町の自然や牡蠣漁を中心とした漁業、そしてウイスキーと厚岸産牡蠣のマリアージュなど、厚岸の魅力がたっぷりと詰まった番組となっています。

「ウイスキペディアSP 日本最東端・厚岸蒸溜所の挑戦」がBSフジ...
厚岸蒸溜所は、ウイスキーの聖地とも言われるアイラ島のウイスキーを徹底的に追究し、さらに厚岸独自の風土を生かしたウイスキーが作られている。ピートから、樽の材料・ミズナラまで北海道産にこだわり、製法や設備は本場・アイラの手法を伝承・習得し製造さ...

■「厚岸蒸溜所・厚岸ウイスキー」に関するその他の記事も是非ご覧ください。

【レビュー】厚岸ブレンデッドウイスキー大寒(だいかん)
モルトの配合はキーモルト(ミズナラ樽)を中心にバーボン樽はやや控えめに、シェリー樽とワイン樽で甘みと華やかさをプラスした味わいに。
【レビュー】厚岸シングルモルトジャパニーズウイスキー立冬(りっと...
2018年蒸留の北海道産モルト原酒のミズナラ樽熟成をキーモルトとして、ほかにも同じく北海道産モルト原酒のワイン樽(ピノノワール)熟成を使用。芳醇でリッチな味わいを引き出しています。華やかな甘さとチョコレートのような、これぞシェリー樽と言わんばかりの甘さが前面にでてきます。

スポンサーリンク

最後に:ジャパニーズウイスキーのおすすめ書籍

世界的なトレンドを巻き起こしている「ジャパニーズウイスキー」の事をもっと知りたい、もっと勉強したいという方は、是非こちらの書籍をおすすめいたします。

(1).Whisky Galore(ウイスキーガロア)Vol.47 2024年12月号

【巻頭特集】
「新アイリッシュ・ルネッサンス[第2弾]」
【第2特集】
「日本のクラフト蒸留所最前線」
今号では北海道の厚岸と苫小牧、そしてクラフト蒸留所に麦芽を供給する中標津のクラフトモルティング社についても紹介します。さらに三島のウォータードラゴンと、ZEMONⅡが稼働する飛騨高山蒸溜所も再訪。
【連続ロングインタビュー】
第3回 ガイアフロー静岡蒸溜所 中村大航氏
【特別リポート】
遊佐蒸溜所の挑戦
第二期リニューアルが完了したサントリー白州蒸溜所

(2).ビジネスに効く教養としてのジャパニーズウイスキー

世界的にも有名なウイスキー評論家で、ウイスキー文化研究所代表 土屋守先生の著書「ビジネスに効く教養としてのジャパニーズウイスキー」です。
ウイスキーの基礎知識、日本へのウイスキーの伝来、ジャパニーズウイスキーの誕生、広告戦略とジャパニーズウイスキーの盛隆、そして、現在のクラフト蒸留所の勃興まで。日本のウイスキーの事が非常にわかりやすくまとめられた一冊。

(3).ウイスキーと私(竹鶴政孝)

日本でのウイスキー醸造に人生を捧げた、ニッカウヰスキー創業者・竹鶴政孝。ただひたすらにウイスキーを愛した男が自らを語った自伝の改訂復刻版。若き日、単身スコットランドに留学し、幾多の苦難を乗り越えてジャパニーズ・ウイスキーを完成させるまでの日々や、伴侶となるリタのことなどが鮮やかに描かれる。

(4).新世代蒸留所からの挑戦状

2019年発売。世界に空前のウイスキーブームが到来しているいま、クラフト蒸留所の経営者たちは何を考え、どんな想いでウイスキー造りに挑んだのか。日本でクラフト蒸留所が誕生するきっかけを作った、イチローズ・モルトで有名なベンチャーウイスキーの肥土伊知郎氏をはじめとする、13人のクラフト蒸留所の経営者たちが世界に挑む姿を綴った1冊。

(5).ウイスキーライジング

2016年にアメリカで出版された『Whisky Risng』の日本語版であり、内容も大幅にアップデート。ジャパニーズ・ウイスキーの歴史が詳細に記述されているだけでなく、近年、創設がつづくクラフト蒸溜所を含む、日本の全蒸溜所に関するデータも掲載。そのほかにも、今まで発売された伝説的なボトルの解説や、ジャパニーズ・ウイスキーが飲めるバーなども掲載されています。

(6).ウイスキーと風の味

1969年にニッカウヰスキーに入社した、三代目マスターブレンダーの佐藤茂夫氏の著書。
『ピュアモルト』『ブラックニッカクリア』『フロム・ザ・バレル』の生みの親でもあり、なかでも『シングルモルト余市1987』はウイスキーの国際的コンペティションWWA(ワールド・ウイスキー・アワード)にて「ワールド・ベスト・シングルモルト」を受賞。
竹鶴政孝竹鶴威の意志を引き継いだブレンダー界のレジェンドが語る今昔。

この記事を書いた人
新海 博之

1981年7月17日 北海道北広島市出身
大学卒業後、NTTデータカスタマサービス㈱へ新卒入社。
2010年「麻布十番BAR新海」を開業 → 2016年、名物「薬膳カレー」を開発 → 2018年「虎ノ門BAR新海」、2019年には「芝大門BAR新海」を開業 → 2020年 ウェブメディア「Japanese Whisky Dictionary」をスタート。
バーテンダーの私達だから出来る事として、ジャパニーズウイスキーの魅力を日々発信する。

新海 博之をフォローする
タイトルとURLをコピーしました